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2014.01.31

サッフォーの詩

Sappho: two previously unknown poems indubitably hers, says scholar - サッフォーの詩が新たに発見されたそうです。

Köln (Colònia). Estàtua de la poetessa Safo (Émile Antoine Boudelle (1861-1929) by Pilar Torres紀元前7世紀の古代ギリシア、レスボス島の詩人サッフォー(サッポー)は、その性指向が問題とされたのか、中世の僧院で写本が作られることもなく、ほとんどの作品が散逸してしまいました。今では、1篇の完全な詩と1篇の断章が彼女の作として伝わっているのみだそうです。彼女の詩作に関する残りの知識は、すべて他の文芸家による引用などからつなぎ合わせて得られたもののようです。

このたび、オックスフォード大学の研究者が、3世紀のパピルス文書に書かれた2篇の詩がサッフォーのものだと考えられると発表しました。韻律が彼女の作風と一致していること、題材も彼女が好んで用いたものに似ていること、そして彼女の兄弟として知られる2人の人物が描かれていることなどが判断の根拠です。

記事の末尾に、発見者である Dirk Obbink さんの論文(PDF)へのリンクがあり、そこで2篇の詩の原文を読むことができます(私には読めません)。ガーディアン紙がそのうちの1篇を英訳しています

サッフォーの像の写真は Pilar Torres さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。

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2014年 1月 31日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.30

原発を作るポーランド

Poland's nuclear power programme gets green light - ポーランドの原発推進が確定的な方向性になってしまったようです。

by mister_washu政府が28日に原発建設を閣議決定しました。今年もしくは来年行なわれる総選挙の後に2016年までに建設地を確定し、2024年に稼働を開始させる予定です。

建設候補地としては、ポーランド北部、バルト海沿岸の3地点の名前が挙がっているそうです。Zarnowiec、Gaski、そして Choczewo です。以前は、この他に Mielno という場所の名前も挙げられていましたが、ここは2012年の住民投票で、94%という圧倒的多数で受け入れを拒否したそうです。すごいですね。何だか、行ってみたくなりました。

記事は、この他、国営電力会社 PGE が地域振興策などを示して候補地の説得にあたっていることや、再生可能エネルギー開発の助成金がかさむためにエネルギー予算が増加していて、その解消のために安価な核エネルギーの導入をしたがっているのだという説明が書かれていました。事故後の処理費用や非常に長期的な廃棄物の保管などの費用を考えたら、決して核は安価ではないはずなのですが、人間というのは都合の悪いことはすぐ忘れてしまうものだと、つくづく思います。

写真は mister_washu さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。原発を強く拒絶したミエルノの街。

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2014年 1月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.29

海の名前

Is it the 'Persian' or 'Arabian' Gulf? Toronto protest sets record straight - 「ペルシャ湾」か「アラビア湾」か。それが問題です。

Shakespeare Quote by Raina Gauthierカナダの John Baird 外相が先々週アメリカで講演した際に「アラビア湾」という呼称を用いたことで、カナダのイラン系市民が抗議行動を行ないました。カナダでは伝統的に「ペルシャ湾」という呼称が地図や教科書で用いられてきましたし、国連の公式文書にも「ペルシャ湾」が使われているそうです。それにも関わらず「誤った名前」を使ったことで、イラン系の市民を不用意に傷つけたという主張です。

「アラビア湾」という用語は1960年代にエジプトのナセル大統領が作ったものだと、この記事は紹介しています。「ナショナル・ジーオグラフィック」誌、ルーブル博物館、グーグル・マップなどが一旦は「アラビア湾」を使いましたが、イラン系市民が「ペルシャ湾」に訂正させてきたとも書かれていました。

外相自身は「どっちも使うよね。アメリカの軍艦がいっぱいいるから『アメリカ湾』と呼ぶ人もいるくらいだ」と述べているとか。ちなみに、同記事によると、アメリカ海軍は世界の趨勢に反して「アラビア湾」の呼称を使っているそうです。

写真は Raina Gauthier さんが CC-by で公開しているもの。

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2014年 1月 29日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.28

32年目の秘密

Brandis moves to protect what Australia knew of Indonesian war crimes - オーストラリアの法務大臣が重要な情報公開を阻もうとしています。

The Timor-Leste flag by Jaya RamchandaniGeorge Brandis 法相は、秘密保護命令(public interest certificate)を出して、外交文書の情報開示を求めている Clinton Fernandes さんが28日に開示要求を審査する行政控訴裁判所(Administrative Appeals Tribunal)に入ることを禁止しました。

フェルナンデスさんは、32年前にインドネシアが東チモールで行なった人道犯罪行為に関するオーストラリア政府の文書を公開するように求めてきました。1981年から82年、インドネシア軍はゲリラ掃討作戦と称して、東チモール市民を「人間の盾」に使ったり、数百人の市民を虐殺したりしました。オーストラリア政府は通信の傍受によって虐殺に至る事態の詳細を把握していただけでなく、インドネシア政府高官とも話し合いを持っていたと見られています。

当時のフレーザー首相は「すべての記録が開示されることを望む」と語っているそうです。しかし、現政権は、諜報活動が困難になるとして、開示を拒む構えです。

私はオーストラリアで情報公開の仕組みがどれくらい確立されているのか知らないので、この展開に意見を述べる資格はありません。しかし、30年以上経った機密文書も秘匿したままにしようとする政府というのは全く他人事ではないように思い、このニュースをご紹介しました。

東ティモールの旗の写真は Jaya Ramchandani さんが CC-by で公開しているもの。

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2014年 1月 28日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.27

ワールドカップで立ち退き

Brazil's poor evicted from slums ahead of World Cup - この夏のサッカーのワールドカップ開催を前に、ブラジルのスラムから市民の追い出しが行なわれているという記事。

Girl in a bike by Rafael de Oliveiraブラジル南部のポルトアレグレでは、幹線道路の拡張工事などで3万2千人がサンタ・テレサ地区などのスラム街(ファベラ)から立ち退かされたそうです。ブラジル全国では、道路建設、空港の整備などで25万人が影響を受けるとされています。

強制立ち退きには約225万円の補償金が支給されるようですが、ワールドカップ、そして再来年のオリンピックを控えて不動産価格が急騰しているため、新しい家を見つけて生活を立て直すには足りないことも多いようです。

左派の政権でも、ブルドーザーのような巨大なスポーツ・イベントには太刀打ちできないということでしょうか。

オリンピックは、その次は東京。大丈夫でしょうか。2002年の日韓共催ワールドカップの時には立ち退きの話とかを聞いた記憶がないので、ちょっと安心していいのかな、と思っていますが。

写真は Rafael de Oliveira さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。Porto Alegre の街角の風景。

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2014年 1月 27日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.26

はじめての謝罪

Hungary apologizes at UN for role in Holocaust, says ambassador - ハンガリーの国連大使が自国政府のホロコースト加担について謝罪しました。

Holocaust Memorial Tree at Dohány Street Synagogue by Charlie Sinclair23日がハンガリーのユダヤ人とロマのホロコーストの70周年の記念日だったそうで、Csaba Korosi 大使が国連本部で開かれた記者会見で「私たちは被害者のかたがたに謝罪する必要がある。ハンガリーの国家がホロコーストに関して罪を負っているからだ。第一に、ハンガリーの国は、その市民を守ることをしなかった。第二に、国は殺戮を助け、資金援助を行なったのだ」と述べました。

ハンガリーの政府が過去に謝罪を行なったかどうかについて私は知らないのですが、大使は、彼の国が国連の場で謝罪するのははじめてであると述べ、「今日のこの謝罪が国民的な記憶とアイデンティティの一部とならなければならない」と語ったそうです。

ハンガリーでは、極右政党が台頭する中、第2次世界大戦の新たな祈念碑を作る計画が発表されましたが、その設計が、ハンガリーがナチスによる占領の被害者であるという面ばかり強調するものだったそうで、加害責任の歴史認識の甘さを心ある市民たちが批判しているそうです。そういう政情の中、大使の発言は私たちの想像以上に勇気あるものだったのかもしれません。

写真は Charlie Sinclair さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。ブダペストにある「命の木」と呼ばれるホロコースト祈念碑だそうです。この写真では分かりませんが、葉の一枚一枚に、ホロコーストで亡くなった人たちの名前が刻まれています。

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2014年 1月 26日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.25

冒涜で死罪

Blasphemy case: Briton in Pakistan sentenced to death - パキスタンで、自分は預言者だと名乗った人が裁判で有罪になりました。

Trucks by carol mitchellコーランの中に、ムハンマドは最後の預言者であると書かれていますから、その後の時代に預言者を名乗るのはイスラムへの冒涜であるとされるということです。

首都イスラマバード近郊の都市 Rawalpindi の地裁の判決で、被告はイギリス国籍の男性。2010年に逮捕され、このほど死刑を言い渡されました。弁護側は被告が精神病を患っていると主張しましたが、認められませんでした。

ただし、パキスタンは2008年以降、死刑執行のモラトリアムを行なっているので、実際に処刑されることはなさそうだとのことです。

写真は carol mitchell さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。あまり話の内容とは関係なく、ただ、裁判の行なわれたラワルピンディの街の風景ということで選びました。

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2014年 1月 25日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.24

戦死者の数

World War I death count 'too low by one million' - 今からちょうど1世紀前にあった第1次世界大戦。その戦闘で死んだ兵隊の数がこれまで語られてきたよりも100万人以上多いという研究が発表されたそうです。

a couple walk to the cross by visitflandersこれまでは、戦闘員の死者は900万人程度だと考えられてきましたから、1割以上積み増しになるわけです。どうしてそんな誤算が生じたかと言うと、フランスは除隊後の死亡を数に入れていなかった、ロシアはドイツの捕虜収容所で死んだ兵隊を除外していた、ドイツは戦争の最後の数か月の間、死者を数える余裕がなかった、などの理由によるそうです。自国の被害を小さく見せるための意図的な操作もあったと見られます。

そんな中で、アメリカだけは戦死者の数を水増ししていました。出征前に米国内の基地でインフルエンザの流行で死んだ兵隊を戦死者だと称していました。3万5千人ということだから、相当な数です。死者の数を誇張することによって、自分たちが払った犠牲を大きく見せ、国際的な発言力を強める狙いがあったと考えられます。もちろん、死んだ人たちの家族や友人などにとっては、徴兵さえされなければ避けられた死であったかもしれず、まさに「戦争で死んだ」「戦争で殺された」という表現があてはまることには変わりありません。

写真は visitflanders さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。ベルギーの戦没者墓地を散歩する若い二人。第1次世界大戦の墓のように書いてあるのですが、墓石がちょっと新しすぎるように見えます。明るい写真なので、「戦争を美化している!」という批判が怖いです。

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2014年 1月 24日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.23

ガンジーの遺品が行方不明

Gandhi’s ashes, books, blood-stained clothes disappear from trust - マハトマ・ガンジーの遺品の数々が行方不明になっています。

Father of the Indian Nation by Nagarjun Kandukuruガンジーの友人で、彼が暗殺された時にもそばにいた Dinshah K Mehta さんは、生前、Society of Servants of God という自然療法の団体を率いていました。その団体がニューデリーの Chanakyapuri 地区に持っていた建物に収められていたはずの遺灰、血糊のついた衣服、蔵書などが団体職員2名によって持ち去られてしまったようだとの告発があり、警察が業務上横領や背任の疑いで捜査を始めました。

これが世界を動かす出来事かと言えば、全然そんなことはないのでしょうけれど、なんとなく気になるニュースということで。

写真は Nagarjun Kandukuru さんが CC-by で公開しているもの。

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2014年 1月 23日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.22

ゲジ公園の遺族の声

Families of Gezi protests victims and injured protesters establish common association - 毎日いろいろなことが起こるので、日が経つにつれて多くの出来事が忘れられていきます。昨年6月にトルコであった公園占拠のことも、かなり久しぶりに思い出した気がします。

peace by Kerimcan Akdumanイスタンブールの都市再開発計画でゲジ公園という緑地が取り壊されることになり、それに反対する多くの市民が座り込みをするなどして、当局側と対峙しました。機動隊による強制排除の過程で、5人の市民が殺され、数千人が負傷しました。中には今も意識不明の状態の人もいるようです。

記事は、機動隊に殺された市民の遺族や負傷した市民らが「ゲジ犠牲者負傷者プラットフォーム」という団体を設立したことを伝えています。多くの死傷の原因となった催涙ガス弾やゴム弾の使用禁止を訴えていくそうです。

私たちの国でも、宮下公園は言うに及ばず、イスタンブールを抑えてオリンピックを開催することになった東京、あるいは先日の市長選で強い民意が示された名護市辺野古などで、市民と権力の衝突が起こることは十分にあり得ることです。尊い命が失われないよう、監視を強めていかなくてはならないと思います。

写真は Kerimcan Akduman さんが CC-by-nc で公開しているもの。昨年6月のゲジ公園です。

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2014年 1月 22日 午前 12:23 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.21

教科書をプレゼント

U.K. to cover cost of books at Lebanon state schools - イギリス政府がとても潤沢な支援をレバノンに対して行なうことにしました。

Justine Greening meets schoolchildren in Lebanon's Bekaa Valley by DFID - UK Department for International Developmentレバノンで公立学校に通うすべての子どもたちに教科書一式を贈ることにしたのです。対象となるのは6歳から15歳までの子どもたち。レバノン人だけでなく、近年の戦乱から逃れてきたシリア人、そしてイスラエルによって帰還の権利を奪われているパレスチナ人の子どもたちも含まれます。

教科書と言うと、私たちの国では、右翼国粋主義者たちによる侵略の歴史の美化の話ばかり出てきますが、なんか、今日はとても気持ちのいい話に会えました。英国政府の報道発表はこちら

写真は DFID - UK Department for International Development が CC-by で公開しているもの。レバノンで子どもたちと話し合う Justine Greening 国際開発大臣。こういう写真をクリエイティブコモンズライセンスで公開するなんて、宣伝も上手すぎます。

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2014年 1月 21日 午前 12:41 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.20

神はだれのもの

Kedah Sultan: The word 'Allah' is exclusively for Muslims - マレーシアから、「言葉はだれのものか」という問題。

Word by Nuwa anak Pariケダ州の王(スルタン)が、「アラー」などの単語はムスリム以外の人は使ってはいけないとする法律(Non-Islamic Religions (Control of Propagation Amongst Muslims) Enactment 1988 of Selangor)や判決(昨年の10月14日、控訴院)を異教徒は守るべきだと発言しました。

この話題は前々から気になっていたのですが、今日取り上げることにしたのは、異教徒が慎むべき25の単語のリストというのが載っていたからです。以下、順番は記事のまま。無理に訳すと私たちがふだん使っている言葉の意味と混ざってしまってよくないのかもしれませんが、カタカナへの転写を見てもよく分からなかったので、調べて、できるだけ日本語にしてみました。言うまでもないことですが、イスラムを信じているわけではない私がこれらの語を記すことでマレーシアの人々の感情を傷つける意図はありません。

  • Allah (神)
  • Firman Allah (神の言葉)
  • Ulama (聖職者組織)
  • Hadith (ムハンマドの言行録)
  • Ibadah (礼拝)
  • Kaabah (メッカの神殿)
  • Kadi (宗教裁判官)
  • Ilahi (神)
  • Wahyu (啓示)
  • Mubaligh (宣教師)
  • Syariah (宗教法)
  • Qiblat (メッカの方角)
  • Haj (巡礼)
  • Mufti (高位の聖職者)
  • Rasul (使徒)
  • Iman (信仰)
  • Dakwah (布教)
  • Injil (福音)
  • Salat (礼拝)
  • Khalifah (ムハンマドの後継者)
  • Wali (聖者)
  • Fatwa (宗教令)
  • Imam (宗教指導者)
  • Nabi (預言者)
  • Sheikh (長老)

これを書くのはけっこう決心が要ったのですよ。「傷つけるつもりはない」と言いながら傷つけるのが目に見えている神社に行く首相と自分はどれだけ違うのだろうとか。過去に侵略によって苦しめた国々やその市民に対する蔑称を使って憚らない人たちに抗議する自分と矛盾はしないのかとか。昔ほどいなくなったけど今でも「女の子はそんな言葉を使ってはいけません」などと教えている親たちに接するのと区別をつけるべきか否かとか。

写真は Nuwa anak Pari さんが CC-by で公開しているもの。マレー語の聖書に現われる「アラー」の語。

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2014年 1月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.19

モロッコの獄中でハンスト

Saharawi political prisoner starts open hunger strike - モロッコに占領されている西サハラからの報道によれば、服役囚の1人が無期限のハンストに入ったようです。

Prison in Sale, Morocco by Hanoi MarkCheick Banga さんは、2010年の Gdeim Izik 抵抗キャンプに参加し、逮捕された後、軍事法廷で禁固3年を言い渡され、現在、モロッコの首都ラバト近郊の Sale にある刑務所で服役している政治囚です。読書などの待遇の改善を求めているそうです。

ほとんど偶然目に入った記事だったのですが、考えてみると、ふだん気付かないだけで、本当は世界のいたるところで不当に獄中につながれている人がハンストなどの抵抗をしているのかもしれません。私たちの国にだってそういう人がいるかもしれないと思いました。

写真は Hanoi Mark さんが CC-by-nc で公開しているもの。サレの刑務所だそうです。

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2014年 1月 19日 午前 12:00 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2014.01.18

時間のかかる薬

Dennis McGuire executed in Ohio with new combination of lethal drugs - アメリカのオハイオ州で、新たな薬の組み合わせによる死刑が執行されました。

Velcade Chemo treatment: Hydromorphone by Phillip Jeffrey死刑執行に使われてきた薬が、製薬会社が人を殺す用途での使用を禁じたため入手できなくなり、いくつかの州で死刑執行が滞っているという話は、ここでも何回か紹介しました

今回は、手に入らない薬のかわりに midazolam という鎮静剤と hydromorphone という鎮痛剤の組み合わせを用いたようですが、それらを投与してから死刑囚が息を引き取るまで15分ほどかかり、その間、死刑囚はひどい苦痛を感じていたようです。そのことで、今回の死刑執行が米国の憲法で禁じられている残虐な刑にあたるとして、非難の声があがっています。

写真は Phillip Jeffrey さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。Hydromorphone の錠剤。強力な鎮痛剤で、がんの化学治療の際に処方されたものだそうです。

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2014年 1月 18日 午前 12:00 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2014.01.17

歴史を書き換える

紛らわしいタイトルを付けてしまいましたが、右翼国粋主義者たちの悪巧みに関する記事ではありません。

by Jordan Smith"16th-century manuscript could rewrite Australian history" - オーストラリアに初めてヨーロッパ人が到達したのは、1606年、オランダの航海士 Willem Janszoon だったとされています。ところが、今、1枚の絵がその大航海時代の歴史を塗り替えようとしています。

16世紀末にポルトガルで書かれたと思われる本にカンガルーらしき動物の挿絵が描かれているのです(前段落でリンクをはった記事にその写真があります。本を所有している Les Enluminures Medieval Art という画廊のサイトのどこかにも写真があると思うのですが、探していません)。つまり、ヤンソンよりも早くポルトガル人がオーストラリア大陸に到達していたと考えられるというわけです。

当時、ポルトガルは自分たちの貿易経路を極秘事項としていたこと、そして有名な1755年のリスボン大地震で記録の多くが失われてしまったことで、そのことは広く知られることはなかったが、探検家らが発見した奇妙な動物のことが、ポルトガル国内では人々に伝わっていたのではないかとの推理が行なわれています。

一方、オーストラリア政府は、たしかに問題の挿絵の動物がカンガルーによく似ていることは認めていますが、東南アジアのシカの類ではないとも言い切れず、また本が書かれたと推定される年も、最も遅い場合、1620年であったと見られるため、今すぐ歴史教科書の書き換えをする必要はないとの立場を表明しています。

どちらが正しいにせよ、それよりも前からアボリジニの人たちはオーストラリアに住んでいたわけで、大きな人類の歴史の視点からはほんの小さな事柄なのかもしれません。でも、歴史問題がいつもこういうふうに素敵な話だといいのですけれどね。

写真は Jordan Smith さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。オーストラリアではごくありふれた家族写真、のわけないですよね。

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2014年 1月 17日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.16

立ち退き条例

QC mayor signs city law to stop squatting - フィリピンから、スラム街をめぐるちょっと心配なニュース。

960618-Payatas-22 by Lennon Wong首都ケソン市が、非公式居住者の強制的な立ち退きを容易にする条例を作りました。自分が所有しているわけではない土地に家屋を建てて住民が住んでいる場合、3日以内に家屋を撤去して土地を明け渡すことを市が要求できるようになります。また、無断居住者(ここでは professional squatters と表現されています)が家屋を建てようとしている場合は、その取り壊しもできることになりました。

これまで、社会全体で土地の所有権が十全に確立されていなかったわけで、それを厳格に運用するように変えていこうとする時、非公式居住者の排除という問題が顕在化することはよく分かりますが、実際のところ、そこに暮らしてきた人たちはどこへ行けばいいと言うのでしょう。

写真は Lennon Wong さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。

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2014年 1月 16日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.15

韓国は図書館を増やす

Korea to greatly expand public libraries by 2018 - 韓国の図書館政策に関する記事。

숲속도서관, by Insoo Won by Photo and Share CC韓国政府が、2012年末に828だった公立図書館を2018年までに1,100に増やすと発表しました。市民1人あたりの蔵書数は、2012年の1.53冊を2018年に2.5冊にします。1館あたりの図書館員は、4.2人から6人に。これによって、図書館員1人あたりの市民の数は14,716人から7,575人へと充実します。

私たちの国の統計はまだ調べていません。市民1人あたりの蔵書数は負けていないような気がしますが、他の数字はどうでしょうか。

でも、図書館の数えかたが謎ですね。2012年に私は、ソウル市内だけで図書館が868あるという記事を紹介しています。これは多すぎるので、たぶん「図書室」みたいなものだろうと考えていました。一方、今日の数字は全国で828というもの。こちらはちょっと少な目のような気もします。

私たちの国の図書館の話題と言えば、佐賀県武雄市や神奈川県海老名市で民間企業に運営を委託したり委託を検討したりといった話ですね。2つの国が全く別の道を選択したように思えます。

「森の中の図書館」と題された美しい写真Photo and Share CC が CC-by で公開しているもの。

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2014年 1月 15日 午前 12:00 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2014.01.14

闘いは託児所から

«La lutte contre les inégalités commence dans les crèches» - 格差との闘いは託児所から始まる。

by Service photo, photothèque du Conseil Général du Val-de-Marneフランスの Terra Nova という進歩派シンクタンクが、貧富の格差の影響は保育園に入る前の子どもに既に現われており、平等な社会を築いていくためには、貧しい地域に重点的に施設を作るなどして託児所や保育園に入る機会の均等を保障したり、貧困による負の影響を乗り越えるための教育を施さなくてはならないという提言をまとめました。

私はフランスの子育てや教育の事情に暗いので詳しく紹介できないのですが(例えば、CP という頭文字が出てきたので調べたら、両親参加型託児所という言葉だということが分かりましたが、具体的にどういう制度なのか自信を持って言えるところまで行けませんでした)、私が一番関心を持ったのは、4歳で保育園に入るまでに、貧しい家庭の子どもは裕福な家庭の子どもに比べて耳に入ってきた単語が4千万語少ないというところでした。そして、読み聞かせを全員いっぺんにではなく一人ひとりの子どもを相手に行ない、親とも連繋を取る(保育園で読んだところの次から家で読んでもらうなど)ことによって、それまでの言語的、情操的な不利は克服できることが調査によって分かったとのことです。

私たちの国でも、おそらく同じようなことが言えるのだと思います。でも、ニュースで見たり聞いたりする段になると、「待機児童の解消」みたいな平坦な記述になってしまっているのですよね。

写真は Service photo, photothèque du Conseil Général du Val-de-Marne が CC-by-nc-nd で公開しているもの。バンセンヌの保育園だそうです。どういうところか全然知らないのですが、写真から判断すると、どちらかと言うと恵まれた街なのかな。

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2014年 1月 14日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.13

良心の囚人が死んだ

Gay 'prisoner of conscience' dies in Cameroon - アフリカのカメルーンで、同性愛を禁止する法律に違反したとして有罪となり服役していたゲイの男性が亡くなりました。

Jean-Claude Roger Mbede Solidarity Action by Amnesty FinlandRoger Jean-Claude Mbede さんの罪状は、ある男性に「愛している」と書かれた携帯メールを送ったこと。カメルーンの法律では同性愛行為は5年以下の懲役とされており、ムベデさんは3年の刑を言い渡されました。

ムベデさんは服役中にヘルニアになり、治療のために病院に入っていましたが、彼の同性愛に理解を示さない家族によって病院から拉致され、故郷の村で治療を受けられない状態におかれたまま、10日に息を引き取りました。

アムネスティ・インターナショナルがムベデさんを「良心の囚人」として釈放を訴えていました。カメルーンでは、過去3年間に少なくとも28人が同性愛者として起訴されたそうです。

写真は Amnesty Finland が CC-by-nc-sa で公開しているもの。2012年に行なわれたムベデさんへの連帯を表明するキャンペーンにて。

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2014年 1月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.12

未開部族の勝利

Environment Ministry rejects Vedantas bauxite mine request - 昨年の8月に書いた件の続報です。インドのオリッサ州で、先住民の地での鉱山開発が正式に中止になりました。

Tribals of Niyamgiri #7 by Satpura Hills「聖地」で進められていたボーキサイト採掘計画に抗議した先住民(未開部族)たちの訴えにより、最高裁は昨年4月に住民投票の実施を命じました。投票の結果は明白な否決。中央政府の環境省が11日、採掘の禁止を命じました。

Niyamgiri 地方での採掘を見込んで建てられた精錬工場は、原料の不足で操業の継続が危ぶまれているようです。オリッサ州政府は中央政府の決定に不満を表明しました。

しかし、これでよかったんだと私は思います。

Niyamgiri 地方の子どもの写真は Satpura Hills さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。

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2014年 1月 12日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.11

ガーナの棺桶

Ghanaian fancy coffin maker comes to Kenya - 西アフリカのガーナでは、すてきな棺桶を作る伝統があるそうです。

Coffin by Paa Joe (Ghana) by Lia写真を見ていただければ、説明は無用だと思います。元の記事は、Kane Kwei という工房を率いるガーナの棺桶アーティストの第一人者が招かれてケニアを訪れ、ナイロビのスラム街キベラでワークショップを行なったという話です。

記事には、魚、鳥、トナカイ、蜘蛛、自動車や、「一度飛行機に乗ってみたい」と言っていた母親のために作られた飛行機の形の棺桶の話などが出てきます。日本でも展覧会が開かれたりドキュメンタリーが作られたりしたこともあるとも書いてあるので、ご存知のかたも多いかもしれません。たしかに「ガーナ、棺桶」で検索するとたくさんページが見つかります。

写真は Lia さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。

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2014年 1月 11日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.10

図書館は学校

Los Angeles library to offer high school diplomas - ロサンジェルスの市立図書館が高校卒業資格の授与を始めるそうです。

Central Library by jpellgenロサンジェルスの図書館では、大学レベルの生涯教育コースや移民向けの市民権獲得講座が開講されたりしていますが、遠隔教育業者と提携してオンラインのコースを提供し、それを修了した人に正式な高卒資格を与えることにしました。アメリカの図書館では初の取り組みだとのことです。

「デジタル時代の図書館の役割」を熟慮した結果の決断です。単なる本のコレクションを超える方法として、教育機関としてのアイデンティティを選び取ったようです。

ロサンジェルス市立図書館本館の写真は jpellgen さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。

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2014年 1月 10日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.09

ヒッチコックを怖がらせた映画

Alfred Hitchcock's unseen Holocaust documentary to be screened -『鳥』などの恐怖映画の巨匠として知られるアルフレッド・ヒッチコックが監督を務めたドキュメンタリー映画がまもなく完成します。

The Hitchcock stamp was the first US stamp to feature a die-cut. by Donovan Beeson第2次世界大戦末期、連合軍によって解放されたヨーロッパで見つかった数々の絶滅収容所。Bergen-Belsen などの収容所には、いち早く連合軍の報道関係者が入り、ホロコーストの惨状を映像として記録しました。それらの資料をもとにしてドイツ人に反省を迫る映画を作ることを命じられたのがヒッチコックでしたが、戦後、冷戦の時代が訪れるとともに、米英政府はドイツを深く追求して孤立させないほうが得策であると判断し、ヒッチコックの映画は公開されることはありませんでした。

イギリスの公文書館に眠っていたフィルムは、1980年代に発見され、「収容所の記憶」(Memory of the Camps)というタイトルでテレビ放映もされましたが、劣化したフィルムのままであったり、一部が欠けていたりしました。今回は、デジタル技術で復元され、見あたらない部分は元々のフィルムをつなぎ合わせるなどして再構築され、ほぼ監督が意図したであろう形に整えられたそうです。2015年に映画祭での上映やテレビでの放映が予定されているそうです。

映し出された累々たる屍に、さすがのヒッチコックも目を背けた、みたいなことが書いてありました(最近よく聞く「ステマ」というやつかもしれません)。

私たちの国でこの映画が見られるようになるかは分かりません。私たちの国では、侵略や人道に対する罪に市民一人ひとりがどう向き合うかを問う機会が十分に与えられなかったと言われています。また、戦後の復興を担ったアメリカが、初めは平和憲法の制定を強く主導したのにも関わらず、わずか数年のうちに警察予備隊(今の自衛隊。また名前を変えるという話もありますが)の創設を求めて来たということも思い出されます。この映画が映し出している事実、作られた経緯、公開されなかった顛末、そして今、こうして新たな脚光を浴びる意義、それらがすべて、他人事ではなく、私たち自身の問題として咀嚼されなければならないように思います。

写真は Donovan Beeson さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。

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2014年 1月 9日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.08

数えられない

UN decides to stop updating Syria death toll - 国連がシリア内戦の犠牲者数の発表を中止することにしました。

Lebanese Town Opens its Doors to Newly Arrived Syrian Refugees by UNHCR Photo Unit国連は、昨年半ばに、シリアで内戦により亡くなったのは約10万人と発表しました。死者数の集計はシリア国内の6つの情報源をもとに、自らの情報収集を通じて妥当性を検証して行なってきましたが、最近では情報が入らなくなり、また国連自身のシリア国内での活動も極めて限られてしまっているため、正確な数字が出せないと判断したとのことです。

よく、一人の死は死だが、多くの死は数字になってしまうというような言いかたをします。数字としてすら表わすことができないという事態に戦慄を覚えます。アフガニスタンやイラクの教訓を学んだ世界が介入を選択しなかったことは幸いですが、それによって救われた気持ちには到底なれませんね。

シリアからレバノンに逃れた女性たちの写真は UNHCR Photo Unit が CC-by-nc で公開しているもの。

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2014年 1月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.07

戦犯は無罪を主張

Germany: Defense seeks acquittal in WWII killing - ドイツで行なわれているナチス戦犯の裁判が終盤を迎え、弁護側は最終弁論で無罪を主張したという記事。

The hanging kitchens of Appingedam / De hangende keukens van Appingedam by Bert Kaufmann92歳の Siert Bruins 被告は、SS の構成員だった1944年9月にドイツ国境沿いのオランダの町 Appingedam で Aldert Klaas Dijkema さんというオランダ人のレジスタンス闘士を殺した罪に問われています。弁護側は、被告が殺害の場にいたことは認めていますが、銃の引き金を引いたのは別の人物であり、また被告は殺害の計画についても知らなかったと主張しています。検察は終身刑を求めています。

戦犯の裁判については、気がつくたびにここに書くことにしていますが、今回の件は今まで全く知りませんでした。他にもずいぶん見逃していることでしょう。自分の国のニュースだと、もっと見つけられると思うのですが、なぜか私たちの国の戦争犯罪人の追求は進んでいる気配がありません。

犯行現場アッピンゲダムの街の写真は Bert Kaufmann さんが CC-by-sa で公開しているもの。この街では、ここに見るように川にせり出した家屋が有名なのだそうです。

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2014年 1月 7日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.06

退位を望む

Most Spaniards want king to abdicate - poll - スペインでは、市民の62%が国王の退位を望んでいるという世論調査の結果が公表されました。

by Popicinioフアン・カルロス国王の人気がどんどん下がっていることは、昨年の春にも書きましたが、辞めるのも時間の問題になってきたようです。

フランコの右翼独裁政権から民主制に移行するにあたって積極的な役割を果たし、かつては、とても人気の高い国王だったそうです。そういう時代を知らない若者の間で特に退位を求める声が強いそうです。

私はもちろん、退位にとどまらず、王制を廃止すればいいのにと思いますが、なかなか世界はそのようには動かないようです。同世論調査では、多くの人が、王が譲位することによって王制の人気は復調すると考えていることも分かったそうです。

私たちの国にも似た制度がありますが、こっちもこのまま変わらないのでしょうね。別に今やっている人に恨みとかはありませんし(逆に、先代にはかなり強い反発を感じます)、年頭のあいさつで、「『平和』という言葉は首相の考えと違っているから使わないでくれ」とでも言われているのでしょうか、「安らかな、穏やかな」とか「世界の人々の安寧と幸せ」とか遠回しに語っているのを見ると可哀想にすら感じられますが。

写真は Popicinio さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。昨年4月14日、第2共和制の記念日の行動で王制打倒を訴える市民たち。

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2014年 1月 6日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.05

大統領になった難民の子

Musharraf being targeted because he is 'Muhajir': MQM chief - はじめに断りを入れておきますが、別に私はこの人を支持しているわけではありません。

Pakistan's former President Pervez Musharraf at the EP by European Parliamentパキスタンのムシャラフ前大統領は、亡命から帰還した後、国家反逆罪で訴追され、現在、その裁判が行なわれています。他にも悪い政治家はいくらでもいるのに、ムシャラフ前大統領だけが検挙されるのは、彼が「ムハジール」だからだという指摘がムハジールの運動家からなされました。

ムハジールとは、1947年のパキスタンとインドの分離独立にあたり、インドからパキスタンに逃れたムスリムの難民のこと。確かに、ペルベズ・ムシャラフは1943年にインドのデリーで生まれ、家族に連れられてパキスタンに入りました。

もちろん、私たちの国でも、難民や移民への視線の冷たさを感じますが、いずこでも同じなのでしょうか。

写真は European Parliament が CC-by-nc-nd で公開しているもの。

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2014年 1月 5日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.04

不穏なジェスチャー

Concern Over an Increasingly Seen Gesture Grows in France - フランスで流行っている不穏なジェスチャー。

Quenelle epaulée by defaz36「ラ・ケネル」(la quenelle)というのは、片手を斜め下に伸ばし、二の腕にもう一方の手を添える動作。伝統的には何の意味も持たない動作ですが、9年ほど前に Dieudonné M'Bala M'Bala というコメディアンが発案したもので、腕を斜め前に上げるナチスの敬礼に似ていることや、このコメディアンが反ユダヤ的な発言を繰り返すため、現在では差別的な意図をもって行なわれることが多くなったようです。

このケネルのジェスチャーをしながら、観光地や行事などで写真を撮るのが流行っているようで、フランス政府は、この流行がもたらす排外主義的な風潮の広がりを憂慮し、禁止を視野に入れて対策を検討しています。もちろん、都合よく「表現の自由」を説いて行政の介入に反対する人たちがいたり、禁止や排除によって被害者づらをする人たちが出てくることが予想されたりするので、対応は慎重なものになるでしょう。

クリップアートは defaz36 さんがパブリック・ドメインで公開しているもの。流行っているというわりには、いつも私が使っている Flickr では CC ライセンスの写真は一つも見つけられませんでした。あるのは quenelle の元々の意味の魚だんごの写真ばかり。

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2014年 1月 4日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.03

サパティスタ蜂起から20年

Zapatistas mark uprising's 20th anniversary - メキシコのチアパス州でサパティスタの蜂起が起こって、一昨日で20年になりました。

XX Anniversary Zapatista Uprising by Darío Ribelo12月31日の夜、Oventic という村で EZLN による記念式典が行なわれました。オルテンシア司令官が「私たちの闘争は正当な大義を持っており、私たちの武器は抵抗、反乱、真実、正義、理性である。これらは私たちの側にある」と語ったこと、メキシコ政府との休戦協定で約束された自治が未だに認められていないこと、しかし EZLN がその勢力圏を5つの「巻き貝」(caracoles)という地区単位にまとめて司法、厚生、教育などの仕組み作りを推進していることなどが紹介されています。

1994年1月1日は北米自由貿易協定(NAFTA)が発効した日でした。記事は、当時、メキシコでは NAFTA によって伝統的な生活様式や農業が破壊されると心配する声が上がっていたけれど、今日、製造業の隆盛により中流層が潤っていることを指摘しています。その一方で、依然として貧困はメキシコの大きな問題であり、チアパス州は今も最も貧しい州のまま。先住民の生活はよくなってはいないようです。

社会全体が崩壊こそしないが、抑圧されていた人たちは抑圧され続けている。もし仮に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が今年締結されるとしたら、20年後、やはり私たちもそのようなまとめをしているでしょうか。

写真は Darío Ribelo さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。20周年式典のようすです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで僻地から最新の映像が公開されていることに感動しました。あと、私が関心を持ったのは、マスクをしているので顔は分からないけれど、足元を見ると女性も男性もいるのが分かることです。

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2014年 1月 3日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.01.02

みんなの誕生日

Jan. 1 is everyone's birthday in Afghanistan - アフガニスタンでは、1月1日はみんなの誕生日。

New Blanket by The National Guardもちろん、全員がこの日に生まれたわけではありませんが、1月1日が誕生日の人がすごく多いのだそうです。

それは、1980年代、90年代の戦乱で、自分の本当の誕生日がいつかを知らない人が多いから。アメリカの占領が始まって正確な日にちを履歴書に書く必要が生まれたりして、覚えやすい1月1日を選ぶのだとか。

この傾向は、アフガニスタンだけではなく、かつて戦争があった、あるいは今も戦争が続いている、ベトナム、ソマリア、スーダンなどでも「1月1日生まれ」の人がたくさんいるようです。

誕生日が分かったからと言って幸せになれるわけではないと思いますが、平和であれば知っていて当然のことを知る機会が戦争によって奪われるのは悲しいことです。

そう言えば、うちの恩姫ちゃんは元は野良だったので、いつ生まれたのか分かりません。私が幼いころに死んだ母の誕生日を恩姫ちゃんの誕生日にしています。おセンチですね、私。

写真は The National Guard が CC-by で公開しているもの。進駐軍から毛布をもらった子ども。

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2014年 1月 2日 午前 12:00 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2014.01.01

失望を乗り越えて

Germany urges Japan to deal 'honestly' with WWII past - 「日本の内政問題について語りたくはない」という前置きの後に。

SAAJS road-side photo Exhibition in Kabul by Afghan Justice Seekers「一般的に言って、すべての国家は20世紀の怖ろしい出来事に果たした自らの役割に誠実に向き合わなくてはならない。そのように誠実に責任を負うことによって、初めて、かつての敵と未来を築くことができるようになる。これはドイツが肝に銘じていることであり、すべての国に当てはまることだと思う」と Steffen Seibert ドイツ大統領府報道官が語りました。

昨日は、安倍首相の靖国参拝についてアメリカ政府の Jen Psaki 報道官が「失望した」と表現したことに関して、 Marie Harf 報道官が改めて「私たちのメッセージは、私たちが選んだ言葉からとても明らかなはずだ」と語ったことも伝えられました。

私たちの問題です。私たちの手で誠実さを取り戻しましょう。一歩でも前に進みましょう、希望のほうへ。

カブール市街の写真Afghan Justice Seekers が CC-by で公開しているもの。過去30年にアフガニスタンで市民を殺してきた戦犯たち(ソ連軍、タリバン、アメリカ軍)の責任を追及しようという屋外ポスター展だそうです。

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2014年 1月 1日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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