一昨日、トルコのエルドアン首相が1936年から39年にかけて Dersim という町で起こった少数民族の虐殺について謝罪しました。
虐殺されたのはトルコ東部に住むクルド人で、詳しくは、アレヴィ派信者(Alevi)とザザ人(Zaza)と呼ばれる人々でした。エルドアン首相は当時の公文書を示し、13,806人が殺されたと語りました。虐殺の後には、強制移住や同化政策にさらされることになります。
エルドアン首相の「謝罪」は、野党への鞘当てとして口にされたようです。現在の最大野党 CHP が政権を握っていたころの出来事だぞ、お前たちは謝らないのか、と。
また、エルドアン首相は、現在行なわれているクルディスタンへの攻撃はクルド労働者党(PKK)が武装解除するまで止めるつもりはないと語っているそうです。このことからも、「謝罪」が現代の情況から遊離した、はかないものであるような感じがします。
"PM Erdoğan apologizes over Dersim massacre on behalf of Turkish state" というザマン紙の記事は、いろいろな立場の人の「謝罪」への反応を取り上げています。
過去の人道犯罪と向き合う運動を続けてきた人。首相が謝罪したというのは歴史的なことだ。デルシム出身者として、喜ばしく思う。
デルシムで20年間聞き取りを行なってきた作家。謝罪を首相から聞けたのは、デルシムにいる私たちにとって重要だ。傷が癒される。しかし、自分たちのきょうだいや父母がどこに埋められているのか、分かるようにしてほしい。また、今後の憲法改正で、私たちのトルコ市民としての権利が保障されるようにしなければならない。
デルシム出身の社会学者。首相がデルシムを「虐殺」だと言ったのは初めて。また、暴動が計画的ではなかったことを認めたのも初めて。その意味で重要だ。ただし、エルドアンが示した文書はこれまでにトルコの報道機関が既に公開したものであり、国の公文書館の文書を公開する必要がある。デルシムの人々が要求するのはこれだ。また、虐殺と CHP の当時の人物を結びつけるだけでなく、保守右派の人物との関連も解き明かすべきだ。
"Kurdistan presidency optimistic over Erdogan's apology" は、イラク側のクルド人系のサイトの記事です。イラクのクルド人自治政府は、「このような勇気ある発言で、クルド人に対してどんな悲劇が起こったかについての歴史が書き換えられる日が来た。トルコがクルド問題に対してとって来た政策がより開放的になり、クルド人社会に自信を与え、社会の和解に資するであろう」と評しています。
どんなきっかけで出て来た「謝罪」にせよ、わりと受け止めは好意的なようです。
私たちの国も、アイヌの同化政策、台湾と朝鮮半島の植民地支配、アジア太平洋諸地域の軍事占領や戦時虐殺、戦後の旧植民地出身者の国籍剥奪など、向き合わねばならない歴史がたくさんあります。いつの日か、傷つけられた人々が「傷が癒された」と言うような謝罪があることを願います。
写真は International Rivers が CC-by-nc-sa で公開しているもの。現代の Darsim (= Tunceli) 近郊で計画されているダム建設に反対するイベントのようすです。