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2011.02.21

解放戦争と愛の記憶

Bangladesh liberation film opens old wounds - 1971年に起こったバングラデシュの解放戦争を主題にした新しい映画 Meherjaan (メヘルジャーン:戦争と愛の物語)に関する論争を伝える AFP 電。

National Martyrs' Memorial by Wherever I Roamパキスタンからの独立の戦いの中で、当時の東パキスタンでは、300万人が殺され、20万人の女性がレイプされるなど、パキスタン兵による残虐な戦争犯罪があったとされています。『メヘルジャーン』は、しかし、主人公であるメヘルという娘がパキスタン軍の兵士と恋に落ち、その兵士は殺戮に加担することを拒否したため軍法会議にかけられるという筋書きのようで、この映画の上映開始後に巻き起こった非難に関し、製作者たちは「パキスタン兵の中にもよい人間がいたという考えが許されなかったようだ」と語っています。さらに、メヘルの従姉妹がパキスタン兵にレイプされたために生まれた子どもが38年後の今、メヘルを訪ねてきて、二人が封印されていた彼女たちの歴史を再発見していくという設定になっているようで、「レイプされた女性たちの苦しみを矮小化するものだ」という批判もあるようです。バングラデシュ国内では、『メヘルジャーン』は事実上、上映禁止になったも同然の状態だとのこと。

この映画に向けられた批判には、なるほどと思う部分もあるのですが、解放戦争時の戦争犯罪に関する法廷が昨年設置され、戦争協力者たちの検挙が始まっているという世情を考えると、少し過敏ないし閉鎖的(正史以外の語りを許さないという意味で)になっている面もあるのかもしれません。戦争犯罪法廷は政治的に利用されているようで、検挙されたのは野党の指導者ばかりだと記事は指摘しています。

まずは、作品そのものを観てみたいものです。

ちなみに、今日2月21日は、国際母語の日(International Mother Language Day)。1952年、パキスタンによるウルドゥ語の強制に反発し、母語バングラ語を使用する自由を求めてダッカで抗議行動が起こった日です。

ダッカ郊外にある国立戦争犠牲者祈念碑の写真は Wherever I Roam さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2011年 2月 21日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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コメント

予告編でもうみたくなりました。1971年だとまだ戦争被害者の数も多いのでしょうから、過敏な反応も仕方ないかなと思いますが、映画のほうはよさそうですね。
日曜にテレビでみた番組で沖縄の万葉集とも呼ばれる歌謡集「おもろさうし」を研究していた伊波普ゆうと仲宗根 政善をとりあげていました。、母語といえるかどうかわかりませんが、大和言葉への強制がこれほど厳しかったとは知りませんでした。自分たちの言葉を失うということは、文化・歴史も失うということなのですね。

投稿: tae | 2011/02/21 22:37:55

tae さん、コメントありがとうございます。

留学生を見ていると、1980年代生まれですから、バングラデシュ人もパキスタン人も、わだかまりなしに仲良くしているように見えます。異国に来て、ともにムスリムだという連帯感のほうが勝るのかもしれません。そういえば、1980年代、日本に来ていた韓国人の留学生からは、かなりきついことも言われたりしたのですが、アメリカで知り合った韓国人とは歴史が壁にはならなかったなあ、とか思ったり。

投稿: うに | 2011/02/23 23:20:23

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