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2011.01.23

死刑の薬

US company stops making key death penalty drug - アメリカの薬品会社 Hospira 社がチオペンタルナトリウム (sodium thiopental)という薬品の生産から撤退するという記事。この薬は、死刑が残存しているアメリカの35州のうち34州で執行に用いられているそうで、生産中止によって必要量を確保できず、死刑執行に支障が出るだろうと伝えています。

Tender Bedside Manners by Peter Geneチオペンタルナトリウムは麻酔薬ですが、生産には政府の認可が必要で、現在、この薬の製造認可を受けているのはホスピラ社だけ。また、死刑執行にはこのチオペンタルナトリウムの他、臭化パンクロニウム (pancuronium bromide)という筋弛緩剤や塩化カリウム(potassium chloride)という心臓を停止させる作用のある薬を含む3種混合薬の注射が用いられるのですが、薬品の処方は各州の法律で定められているため、代替の薬に移行するにも、議会での審議等を経なければならず、予定されている死刑が執行できない場合が出ることは避けられないようです。

ホスピラ社は、この薬の生産拠点を老朽化した国内の工場からイタリアの新しい工場に移すつもりでいたのですが、死刑を既に廃止したイタリア政府が、製造された薬が死刑に用いられないことを操業許可の条件としたため、生産の継続を断念したそうです。

写真は Peter Gene さんが CC-by-sa で公開しているものです。安楽死の準備をする獣医さんです。リンク先の大きな写真を見ていただくと分かりますが、レントゲン写真の左下に、チオペンタルナトリウムを酸素と混ぜて吸入するための装置があります。「全く無痛である」と解説されています。

この薬がペットの安楽死に使われることや、記事の中の論点の一つで、処方を変えるのが難しい理由として、新しく選ばれた薬が無痛であることの証明を迫られて裁判になるかもしれない点が挙げられていることなどを知り、絞首刑という日本の死刑の執行方法にますます納得がいかなくなりました。そもそも、死刑制度を続けるべきだという人の多くが「遺族の感情」を挙げることを考えると、できるだけ苦しみながら死ぬほうがいいということになるのでしょうか。痛みのない死刑ならいいのかと言うと、そうではないので、この部分にとらわれるのはあまり意味がないのかもしれませんが。

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2011年 1月 23日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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