物分かりのいい米政府
U.S. Will Defer to Japan on Moving Okinawa Base - ニューヨーク・タイムズ紙の記事。来日したアメリカのゲイツ国防長官が、普天間飛行場移設などの問題について、これまでになく柔軟な姿勢を示したことを伝えています。政局の報道にかき消されてしまっていますが、大切なことを含んでいると思います。
日本語での報道でも一部紹介されていますが、普天間の基地問題について、ゲイツ長官は北沢防衛大臣に対し、「この問題が日本国内では政治的に複雑な問題だということを私たちはよく理解しています。そして、私たちは、日本の政府が沖縄の人たちとともに、彼らの利害や心配を考慮に入れながら事を進めていくのに付いていくつもりです」と述べました。また、兵器の共同開発と武器輸出三原則等の関連については、「他の国に提供するというのは経済的には意味のあることです。しかし、これについては経るべきプロセスがあるということも理解しています」と述べたそうです。どちらも、日本が独立国として民主的に方向を定めるべきだという意味だと思います。
日本語の報道だと、ゲイツ長官が上のように発言しているにも関わらず、前原外務大臣はまさにしっぽを振る犬のごとく、「昨年5月の日米合意に沿って実施する方針に変わりない」と述べたといいます。なんとも苦々しく思われます。
アメリカに臆せず渡り合おうとした鳩山政権には嫌味なほど強硬姿勢だったのに、菅政権にはアメリカ政府がわりとまともな物言いをしてくるのがなぜなのか、そしてこれを額面通りに受け取っていいのかなど、政治批評の才のない私には分かりません。今の日本の政治の状況を見て、何を言ってもむだだと思ったのでしょうかねえ。
ゲイツ長官が白々しく嘘を言っているのではないのなら、私たちはじっくりと沖縄の基地について考え続けるべきだと思います。先の沖縄県知事選で上位二人の候補がそろって県内移設を認めない立場だったことから、沖縄の人たちの意思は明らかです。
写真は辺野古の海岸、キャンプ・シュワブとの境界線の鉄条網。沖縄の人たちの基地に対する苦しみ、平和に向けた思いを見ることができます。 selena lynn さんが CC-by-nc-ndで公開しているものです。
2011年 1月 14日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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海外情報を翻訳するなど平和のためのニュースを届けておられる大分のさとうさん(→ウェブサイト)のメールで教えてもらった情報です.1月13日のゲイツ国防長官と前原外相,北澤防衛省との会談で,ゲイツ国防長官が普天間問題について「日本の指導に従う」と言ったことを日本のメディアは全く報道していないようです.カナダのピース・フィロソフィー・センターのブログ記事によると,該当部分はつぎのとおりです.「・・・政治的に日本の国内の事情が非常に複雑であるということをアメリカは理解しておりますので,日本側の指導に従って,... 続きを読む
受信: 2011/01/14 23:54:37
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