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2010.12.31

政治する脳

Political views 'hard-wired' into your brain - 英テレグラフ紙の科学欄から。政治的に保守的な人は、脳の扁桃体(amygdala)という部分が大きく、前帯状皮質(anterior cingulate)という部分が小さいことが分かったそうです。

O is for Occipital Lobe by illuminaut研究は、University College London の Geraint Rees 教授らが行なったもので、来年、刊行されるそうです。保守党と労働党の国会議員1名ずつと、90人の大学生の脳を断層撮影して、部位の大きさを計測し、政治に関する意識調査の結果をつきあわせたら、きれいな相関が見られたとのこと。

扁桃体は恐怖などの記憶をつかさどり、理性を停止して本能的な行動を取らせるところで、前帯状皮質は新しいことに挑む勇気や明るいことを考える力、共感や認知に関係する部分だと言われています。今回の調査は因果関係を示すものではないので、生まれつき脳と政治的指向性に関連があるのか、それとも脳の部位の発達によって政治的指向性が変わるのか、はたまた政治的に右寄りになると脳の部位が膨張したり萎縮したりするのかは分かりません。

これも最近報道された別の研究では(英ガーディアン紙 "Social whirl of a life? Thank your amygdala")、扁桃体が大きい人は人付き合いが上手だということでした。

まだ分からないことだらけなのでしょうけれど、右翼は「隣国が攻めて来る」みたいな恐怖をより強く感じて行動し、人への共感に乏しいが、人を扱うのには長けているって、少なくとも私たちの社会に関してはぴったり言い当てられたような感じがしませんか?

写真は illuminaut さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 12月 31日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.30

指定図書

なんとなく興味を引かれる話題なのですが、詳しいことが分からないので、何をどう考えたらよいのか分かりません。

Kuala Lumpur's Chinatown : 3 faces by PrettyKateMachineMIC wants BM literature book touching caste system pulled out - マレーシアの The Star 紙の報道です。マレーシアでは、来年度から高校2年生(Form 5)で必修の課題図書にされることになっている Interlock という本について、インド系市民社会の中のカースト制度について否定的な描き方がされているとして、マレーシア・インド人会議(Malaysian Indian Congress)というインド系市民の政党(連立与党の一員)から、課題図書指定を撤回するように要望が出たとのこと。

記事では、この本がマレー語で書かれているという以外、何の紹介もなかったので、調べてみました。著者は Abdullah Hussain さん、マレー系です。 Interlok は1971年に出版された長編小説(400ページ超)で、20世紀初頭から、日本による占領やマラヤ非常事態を経て独立に至るまでの数十年間に培われたマレー系、中華系、インド系の市民たちの絆を描いた作品のようです。指を互い違いに組んで手を繋ぐように、運命を共にしていくから、「織り合わされて」という題名が付いていると思われます。残念ながら、あらすじは分かりませんでした。

この本を指定図書にすることへの反対は、かねてからあったらしく、国立の言語文学研究所(Dewan Bahasa dan Pustaka)も反対意見を出して、10日ほど前に、教育省は一旦、指定の取り消しを表明したりしていたことがベルナマ通信社の英文記事から分かります。こちらの報道だと、問題はインド系及びマレー系の市民に対する差別語が使われていることのようにも察せられます。

マレー語の報道も、機械翻訳で読んでみました("MIC minta lakukan perubahan terhadap kandungan ‘Interlok’")。こちらでは、小説が正確に史実を反映していないことと、インド系市民の間での反目を誘発するのではないかという点が問題とされているようです。

もう少し調べれば、それなりに分かることも増えるとは思うのですが、結局は作品を読んでみなくては分からないことだろうし、仮に読んでも、マレーシアに関する知識が不足した状態では意味がないかなとも思ってしまって…

多文化社会のありかたの問題など、私たちにも関係のあることだと思うのですが、はっきりしたことが分からず、残念です(日本では、一つの民族が圧倒的に多数を占めているので、問題の現われかたは違うのかもしれません)。また、いわゆる表現の自由の問題ととらえるなら、それは私たちの社会でも起っていることです(ただ、これも自由を追い求めるあまり、人権を天秤にかけてしまわぬよう、気をつけなければなりません。そのためにも、どんな作品であるのか、一字一句をしっかりと見る必要があるのでしょう)。

写真は PrettyKateMachine さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。3民族の協調を謳ったものだと思います。

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2010年 12月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.29

立入禁止

US student detained at Jagannath temple in Puri - インドのオリッサ州プリでアメリカ人の大学生が拘束されました。…と言うと、すわ、テロ容疑か、などと考えてしまう昨今ですが、今回の事件は、そのアメリカ人がヒンズー寺院の聖域(ヒンズー教徒しか立ち入ることができない内宮)に入ったというものだそうです。

Orissa, Puri: Sri Jagannath Tempel by Felix Boosプリのジャガンナートは非常に有名な寺院で、その聖域にヒンズー教徒ではないアメリカ人とそのインド人の友人が入り込んでいるのが聖職者に見つかり、儀式が即時停止される中、捕らえられて、警察に引き渡されたとのこと。

二人は、聖域には知らないうちに入ってしまったと述べていて、寺院側もその主張を認めており、おそらく今後、警察からは不起訴になり、寺側に戻され、わずかな罰金で済むだろうと記事は書いています。

ちょうど一年前、私もヒンズー寺院で、人の波にもまれているうちに「ヒンズー教徒以外立入禁止」のところに入ってしまったのですが、近くにいた人に「写真は撮るな」と言われただけで、警察ざたにもならずに済みました(その日の記事、その数日前の記事)。一つ間違っていたら、新聞に載っていたかもしれません。恐ろしいことだ。

立ち入り制限部分にいっしょに入ったインド人の学生も逮捕されたようですが、それが幇助罪によるものなのか、それとも彼がヒンズー教徒ではないからなのか、それとも彼がヒンズー教徒ではあるが立ち入りの許されていないカーストに属するひとだったからなのかは、記事には書いてありませんでした。

ジャガンナート寺院の写真は Felix Boos さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 12月 29日 午前 12:39 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.12.28

太陽の国

Solar Advocates See A Sunshine Nation - バングラデシュで太陽光発電が急速に普及しているそうです。1億6千万の人口を抱えるバングラデシュで送電線網から電気を得ている世帯は47%にとどまっており、残りの世帯の多くは灯油ランプなどを使って生活しています。

Grameen Shakti, Bangladesh: a village solar energy scheme in Bangladesh financed through micro credit, and which benefits women. by IIEDバングラデシュ政府は、農村部電化及び再生可能なエネルギー開発計画(Rural Electrification and Renewable Energy Development Project)によって農村部へのソーラー・パネルの普及を促進しており、現在では750万人が各家庭の屋根に取り付けられたソーラー・パネルで作られた電気で、一日4時間ほど、電灯を用いた暮らしができるようになりました。

計画は官民共同で進められており、特に目覚しいのは Grameen Shakti 社(マイクロファイナンスで有名なグラミン銀行の系列会社)の貢献で、家庭用ソーラーシステムの設置の8割を担っており、毎月1万世帯に太陽光発電機を取り付けていて、これからの1、2年で、設置世帯数を倍増させることを目標としているそうです。

家庭用ソーラーシステムは政府が半額を補助しており、一家庭あたりの負担は2,000タカ(約2,340円)とのこと。私たちの多くにとっては、何でもないような額ですが、バングラデシュでは、これでも大きな負担となっており、マイクロファイナンスでお金を借りて取り付ける人が多いようです。

ソーラー・パネルはすべて輸入になるため、外貨を流出させているだけなのではないかといった批判もあるようですが、政府はソーラー・パネルへの関税を撤廃し、普及させる構えです。

太陽光発電以外の電力源の割合も紹介されていました。火力が50%、地熱発電が45%、水力が5%。地熱発電がかなりの割合を占めていることが注目に値いします。

日本は消費電力が桁違いに多いでしょうから、そのまま比較しても意味がないと思いますが、太陽光、地熱などの再生可能なエネルギーにもっと力を入れてもいいように思います。

写真The International Institute for Environment and Development が CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 28日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.27

民族主義は亡国への道

Thousands rally in Moscow against ethnic violence - モスクワでは、ここ数週間余り、ロシア国粋主義者による他民族排斥デモが多く開かれてきましたが、26日には、国粋主義に反対し、民族的な多様性を肯定しようというデモが開かれ、数千人が集まったそうです。

black block antifaschistische action by la prosperite「ロシアはロシア人のためのもの」という国粋主義者たちの主張に対し、集会では Vladimir Ryzhkov さんが「ロシアでは、すべての町、すべての村が他民族社会だ。ナショナリズムの高揚は国を破壊してしまうだろう」と異を唱えました。「ファシストはロシアの恥」「ファシズム反対」などのプラカードが多く見られたそうです。

多くの少数民族が住むコーカサス地方での紛争によって火をつけられたロシアの民族主義。ようやく冷静な意見が語られるようになってきたのでしょうか。

写真は11月はじめの民族主義者たちのデモに対抗して行なわれた集会の参加者。危険を避けるため、 顔を覆っています。26日の写真はまだ目にしていないのですが、おそらく、顔を隠す必要もないほど、力強いものだったのだろうと思います。写真は la prosperite さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 27日 午前 12:15 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.26

同級生が強制送還

Students rally to defend classmate facing deportation to Mexico - カナダのトロントで、強制送還されようとしている同級生のために高校生たちが集会を開くという記事です。

G20 Toronto, Parkdale by J_P_Dトロント市中心部にほど近い Parkdale という街に住む18歳の生徒は、3年前にメキシコからこの地にやって来て、政治的な迫害を理由に難民申請をしていました。申請は却下され、その他の移民としての資格確認でも「危険人物」扱いとされ、送還されることとなり、木曜日、逮捕されました。

彼の同級生たちは、滞在資格確認に誤った記載がなされた可能性があること、却下の告知が怠られていたことを挙げ、裁判所で審査が行なわれるまで、強制送還を行なわないように求めて、クリスマスの土曜日の午後、教会で集会を開く予定とこの記事では伝えられています。

Parkdale は、労働者階級の街で、住環境はさほどよくなく、住居費の安さのため、さまざまな国から移民が多く定住してきたそうで、特にチベット人のとても大きなコミュニティがあるようです。おそらく、多くの若者にとって、他人事として済ましてしまうことを許さない空気があるのでしょう。

地球の裏側でこの新聞記事を読んで、考え込んでしまっていても、何にもならないのかもしれないのですが、私にも、必ずしも他人事だと思えないのも事実です。

パークデールの写真は J_P_D さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。昨年夏の G20 の時の撮影。微笑ましい光景に見えますが、実は、警備のために交通が遮断され、すぐ近くでデモ隊の逮捕が行なわれていたのだそうです。

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2010年 12月 26日 午前 06:05 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.12.25

大麻合法化を訴え、四か月のハンスト

Après 120 jours, le chanvrier Rappaz cesse sa grève de la faim - スイスの環境運動家で大麻の合法化を訴えてきたベルナール・ラパ(Bernard Rappaz)さんが獄中で続けてきたハンガーストライキを終了させました。

by keeppsRappaz さんは違法に麻を栽培し、ハーブティーとして販売した罪で収監されていましたが、その不条理を訴え、120日間にわたり、ハンストを続けてきました。最近では衰弱が激しく、塩と砂糖を摂取していたようです。当局側は病院による強制食餌を企てましたが、裁判所がそれを認めなかったため、生命が危ぶまれていました。

欧州人権裁判所(Cour Européenne des Droits de l'Homme)が Rappaz さんの訴えを受理し、その審査に1年以上の時間がかかるため、ハンストを中止するように要請し、それに従って、Rappaz さんはハンストを中止しました。

彼を批判する極右の UDC (フランス語の報道なので「中道民主連合」ですが、ドイツ語名では「スイス国民党」。あの黒羊が蹴り出されるポスターの人たちです)は、彼の闘いの敗北だとして、ほくそ笑んでいるようですが、マリファナの自由化が全ヨーロッパ的な議論の場に載せられたという意味では、一歩前進と言うべきものであると思います。

写真はスイスの冬の風景。苗木を覆う麻の繊維が凍てついたところだそうです。 keepps さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 12月 25日 午前 08:27 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.24

女史

First Stills From Besson's The Lady - 十年以上の自宅軟禁を先月解かれたビルマの民主化運動指導者アウンサンスーチーさんを主人公とする映画が作られているそうです。監督は『レオン』などの作品で知られるリュック・ベッソン。アウンサンスーチーさん役の主役は、『グリーン・デスティニー』(臥虎蔵龍、Crouching Tiger, Hidden Dragon)で有名なマレーシア出身の華人ミシェール・ヨー(Michelle Yeoh)さんです。ちょっとこの顔ぶれを見ると、アクション映画が始まりそうですが…

Vietnam by makeroadssafeリンク先、イギリスの映画雑誌 Empire の記事によると、この伝記映画は The Lady という題名が予定されています。アウンサンスーチーさんの名前を口に出すことが禁じられていたビルマ国内で、人々が彼女について語る時に使っていた言葉だとのこと。「貴婦人」とか「ご婦人」がいいのかもしれませんが、この記事の題名では「女史」と訳しました。映画は彼女の一生を追うものではなく、1980年代、イギリスに暮らしていた彼女が病気の母親を見舞うために帰国するところから、国内に留まり、選挙に勝つものの軍事政権に選挙結果を反故にされ、自宅軟禁処分を受け、夫の死の床にも行くことができなかった1999年までを描いたものだそうです。

アウンサンスーチーさん公認の伝記映画ではありませんが、今月はじめ、監督やミシェール・ヨーさんが彼女を尋ね、じっくりと話し合ったとのこと。英国の場面の部分の撮影は既に終わっていて、今後、ビルマ国内の場面を東南アジアのどこかで撮るのだと思います。イギリスでは来年秋に公開予定だそうです。

英ガーディアン紙がスチル写真を何枚か掲載しています。一枚目など見ると、けっこう本物のアウンサンスーチーさんに似ているような気もします。

上の写真はベトナムの子どもたちといっしょのミシェール・ヨーさん。 Make Roads Safe というキャンペーンが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 24日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.23

冬の野宿者と私たちの憲法

S.F. homeless vigil for souls lost to streets - 日本では、12月、1月、2月を冬と呼びますが、アメリカでは、冬至が冬の始まり。冬の訪れにあわせて、21日の夜、サンフランシスコでは市役所の前で、この一年の間に亡くなったホームレスの人たちをしのぶ会が開かれたそうです。このような集会が行なわれるのは、今年で21年目とのこと。

Reading names of homeless who have died 21st winter solstice memorial by Steve Rhodes集まったのは65人ほど。亡くなった人の家族や、野宿者の支援をしている人たちです。会は宗教宗派を越えて行なわれ、カトリック、カルヴァン派、イスラム、ユダヤ教、仏教の聖職者が祈りを捧げた後、亡くなった人たち一人ひとりの名前が鐘の音とともに読み上げられました。もちろん、亡くなった人のうちには、名前の分からない人もいたようです。

集会の主催者が、「人々が路上で死んでいっているという真実を語り、声を上げていかなければならない」「すべての宗教の根底にある思いやりの気持ちをこうやって共有できたことに勇気を見出そう」と語りました。

私たちの国でも、多くの人が家を持たず、辛い冬の夜を送っていることと思います。何人かのかたは、春の暖かい陽を見ることもなく、息を引き取るのかもしれません。

私たちの社会を律する憲法は、その第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めています。ホームレスの問題は、単にその当事者の人たちの問題ではなく、私たち市民全員の権利の問題であり、私たちはその解決を国に求めていく責任を負うているのだと思います。冬は、このことを胸に刻むための季節です。

サンフランシスコの集会のもようの写真は Steve Rhodes さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 12月 23日 午前 01:11 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.22

外来語の駆逐

Authorities ban mixed English words in publications - 人民網英文版の記事です。中国当局が、外来語の氾濫の取り締まりに乗り出したようです。

Zhongshan Mountain Scenic Area by anne.oeldorfhirsch新聞出版総署(General Administration of Press and Publication)が、新聞、雑誌、書籍などに外国語(特に英語)が中国語文の中に現われたりすることや、英文字の略語、そして「中国製英語」のようなものが多く使われていることを指摘し、それが中国語の純粋さを汚し、調和のとれた健全な文化的環境に悪影響を与えていると論じているそうです。

文法や用語については国が規範を示し、出版社等はそれを遵守することが求められます。科学・技術用語や、固有名詞についても訳語が定められるようです。

外来語の全面的禁止というのも問題があるように思えますが、確かに、外来語が多すぎると分かりにくくなるので、私も、自分の書くものについて、政府に言われるようになる前に、正していきたいと思います。一応、今日の記事は片仮名語を全く使わずに書いてみました。

なんとなく素敵な中国語の看板の写真は anne.oeldorfhirsch さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 22日 午前 01:04 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.12.21

遠くて行けないぶどう園

The home of Israeli wine - 大火事のあったイスラエル北部、カルメル山の近くに広がるぶどう農園地帯についてのエルサレム・ポスト紙の記事です。ハイファの南にあるジフロン・ヤアコヴ(Zichron Ya’acov)という町がイスラエルでのワイン生産の中心なのだそうです。

Statue in Zichron Ya'acov by israluvジフロンは、19世紀の後半にロートシルト(ロスチャイルド)家がぶどう園として整備した所だそうで、「イスラエル建国前の村の佇まいを見せている」と書かれています。おそらく、ユダヤ系の人々の入植する前にも、だれかが暮らし、何かがあったのだろうと思いますが、その面影は見られないということかもしれません。

記事の後半は、ジフロン周辺で訪れるべき場所の紹介です。 Carmel WineryTishbi Winery、 Smadar Winery、 Somek Winery などのぶどう園が紹介されています。

行ってみたいなあ。今のままの情勢では、私には行くことはできないわけですが。せめて、パレスチナが独立した主権国家となってから。できることなら、難民のイスラエル国内への帰還権の行使が認められてから行きたいです。私が生きているうちに行けるようになるか、心配なところです。

以下は全然関係ない話。聖書には、ぶどう園やぶどう酒の話がたくさん出てきます。何かワインの話でも引用しようかと、ぱらぱら見ていたら、次の個所が目に留まりました。

ぶどうの枝が、木につながっていなければ、自分では実を結ぶことができないように、あなたがたも、わたしにつながっていなければ、実を結ぶことができない。わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。わたしを離れては、あなたがたは何もできないからである。わたしにつながっていない人がいれば、枝のように外に投げ捨てられて枯れる。そして、集められ、火に投げ入れられて焼かれてしまう。 (ヨハネによる福音書15:4-6、新共同訳)

私が何の力も持たないのは、だれにも繋がっていないからでしょうか。それでも、枯れ果てた私が焼かれることがないのは、だれかが見放さないでいてくれるからでしょうか。いろいろと考えてしまいます。

ジフロンの街角に置かれた農夫の姿のオブジェの写真は israluv さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 12月 21日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.20

都市の住みにくさ

Cities getting less liveable - 豪エイジ紙の記事。オーストラリアでは都市部での生活の質が悪化していると政府が認識していることが情報公開によって明らかになったと伝えています。9月にジュリア・ギラード首相が就任した際、首相府が行なった報告の資料が公開されたようです。

Melbourne Storm by Looking Glass人口の増加によって都市が過密化し、渋滞が深刻化したり通勤時間が長くかかるようになったりしたほか、サービスが低下したり、住宅難が生じており、所得が上がったにも関わらず、都市に暮らす人々は生活水準が下がったと感じているようです。首相府は、特に州政府によるインフラ整備の遅れが大きな原因だと分析しています。

ギラード首相もラッド前首相も、アボリジニなどの最も恵まれない人々への対策に力を入れてきましたが、それにも関わらず、貧困層とそれ以外の市民の間の格差は広がりつつあるとも報告書は指摘しているそうです。

私は今、都市と田舎の中間ぐらいのところに暮しているので、よく分からないのですが、日本の都市はどんな感じなのでしょう。東京とか大阪に住んでいる人たちは、生活の質が向上したと考えているのでしょうか、それとも悪くなってきていると思っているのでしょうか。たぶん、傍から見ているとどうしようもなく見える知事でも、街の中にいる人たちには選ぶ価値が感じられるのでしょうね。

メルボルンの驟雨の写真は Looking Glass さんが CC-by-sa で公開しているものです。

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2010年 12月 20日 午前 12:01 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.19

共産主義独裁政権の罪

Ex-communist countries seek penalties for denial of totalitarian atrocities - EU に加盟している中欧、東欧の諸国から、共産主義独裁体制のもとで行なわれた虐殺等を公の場で是認したり、否定したり、矮小化したりすることを罪とすべきだという提案が出されているそうです。

make a statement by ilyinov先週、リトアニア、ラトビア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、チェコの外相が EU 司法委員会に書簡を送り、ナチスによるホロコーストの否定がドイツなどで罪とされているのと同様に、共産主義独裁政権のやったことも、繰り返されることがないよう、その犯罪性を明確にし、その擁護を罪とするだけでなく、関与した人たちを時効などの制限なく裁くことができるようにすべきだ、と主張しました。 EU 側は、慎重に検討することを約束したようです。法制化されるかどうかについては、年内をめどに判断するとのことです。

過去のソ連やその影響下にあった東側の諸国、あるいは現在も共産主義を標榜する中国や北朝鮮で行なわれてきた人権侵害の諸事象を見て見ぬふりをするつもりは毛頭ありませんが、犯罪化の定義が恣意的に拡大されて、資本家による労働者の搾取などの仕組みを明らかにし、植民地支配を打破するため等に強力な武器となった共産主義の思想自体が禁じられるようなことのないよう、慎重な審議を期待したいと思います。

ロシアの今年のメーデーで見られた、スターリンをあしらったプラカードの写真は ilyinov さんが CC-byで公開しているものです。

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2010年 12月 19日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.12.18

不法移民に税金を使うな裁判が敗訴

College tuition: Judge throws out suit against illegals - 以前にも書いたように、アメリカの州立大学では、もともと州に住んでいる学生の学費は安く、他の州から来る学生の学費は高く設定されています。ネブラスカ州で、住民たちが、州に住む不法移民の子どもたちにも安い学費が適用されるのは違法だと訴えていた裁判で、裁判所は原告の訴えを却下しました。

Mammoth by ensign_beedrill原告の訴えは、2005年にネブラスカ州が施行した、不法移民の子どもであっても、3年以上、州内に住んでおり、州内の高校を卒業し、合法的な滞在許可を申請中であれば、州民扱い(in-state)の学費が適用されるという法律が連邦政府の移民法に反する違法な税金の使途であるというものでした。17日のジェファーソン郡裁判所の決定は、連邦法との整合性を問うのであれば、連邦裁判所に提訴すべきであり、州裁判所としては何ら判断を示すものではない、というものでした。

原告たちが今後、連邦裁で訴訟を続けるかどうかは不明です。いずれにせよ、不法移民に対する排除的な扱いが不当であるという彼らの考えが、だれもが受け入れるような当たり前の真理からはほど遠いということを示したという意味で、外国人差別的な考えの人たちに対して冷水が浴びせられたと言っていいでしょう。

そういう冷水を浴びせられるべき人たちがいるのは、ネブラスカ州に、あるいはアメリカに限られたことではありません。

写真はネブラスカ大学の構内にあるマンモス像。 ensign_beedrill さんが CC-by-sa で公開しているものです。古い考え方の人たちも、そのうち、マンモスみたいに絶滅するでしょう。像を見ると、あと一歩、という感じですね。

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2010年 12月 18日 午後 05:04 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.12.17

図書館競争

Rural library contests in Krishnagiri - インド南部のタミル・ナドゥ州の農村部からのニュース。タミル・ナドゥ州では、Anaithu Grama Anna Marumalarchi Thittam という開発計画のもと、2006年から今年にかけて、小さな村々に図書館が建てられました。

India - Kids - 147 by mckaysavage計画で選ばれたのは205の村。それぞれの村に、定められた規格の建物が建てられ、さまざまな分野から1,005冊の蔵書が置かれました。村議会(panchayat)は図書館の運用計画を立案して提起し、Grama Sabha (村民集会だと思います)でそれが採択されます。

205の村、一つひとつで、子どもたちによる図書館競争が来週開かれます。競技種目は、場所を地図で早く探す競争、蔵書の内容に関する質問、ディベート、詩の朗読で、最優秀者には200ルピー(約370円)、2位の子どもには150ルピー(約280円)の賞金が授与されるそうです。

遠い国から、ちびっ子たちに声援を送ります。なんか、4万円弱寄付すれば全部の村で3位の子どもたちに100ルピーが贈れると考えると、そのくらい出したい気がしますけど、開催まで1週間では、そんなこと言い出すのは無茶ですよね。

タミル・ナドゥの子どもたちの写真は mckaysavage さんが CC-by で公開しているものです。

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2010年 12月 17日 午後 09:32 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.16

歴史的な責任を果たす

Germany paying $80 million to Auschwitz memorial - ドイツがポーランドのアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所跡地の保存のために8,000ユーロ(約89億4千万円)拠出することを Guido Westerwelle 外相が明らかにしました。

Arbeit Macht Frei by Pawel Sawicki少なくとも110万人が殺されたアウシュビッツを風化から守り、現在そして将来の世代にホロコーストについて教えていくのはドイツの「歴史的な責任」だとベスターベレ外相は語ったと記事は伝えています。

短い記事からは、どのような議論があったのかとか、どんな雰囲気でドイツの市民はこのニュースを受け止めているのかとか分かりませんが、自分たちの国の過去の汚点を「なかったことにする」のではなく、そこから学び、よりよい社会を作っていこうとする態度を政治の指導者たちがとっていることが、とてもうらやましく思えます。真に自分が属する集団を愛するとは、そういう態度のことを言うと思うからです。

「労働は(あなたを)自由にする」と書かれた収容所入り口の写真は Pawel Sawicki さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。今日の話とは関係ないのですが、この写真の "Arbeit Macht Frei" の文字列を見て、お揃いの黒いスーツで必死に「就活」をする大学4年生たちの姿が目に浮かびました。

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2010年 12月 16日 午前 02:45 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.12.15

日本でも服役囚に選挙権を

「服役中に選挙権がないのは違憲」元受刑者、初の提訴へ - 14日の朝に朝日新聞のサイトで配信された記事です。私が住んでいる京都では、同日の朝刊に、もっと詳しい記事が載っていました。これを書いている時点では、朝日のほかには共同通信が「受刑者の投票制限は違憲と提訴へ 大阪の男性」という記事を出していますが、残念ながら、他にはあまり広く報道されてはいない感じがしています。

House of Representatives election - 衆議院選挙 by ekkun禁錮刑以上の受刑者の選挙権を認めない公職選挙法11条の規定は、人種・信条・性別・社会的身分などによって国政選挙の選挙人資格を差別してはならないとする憲法第44条に違反するとして、大阪市在住の元受刑者が違憲確認と慰謝料の支払いを求めて今週、訴訟を起こすという話です。原告は大阪市西成区で労働者の支援をしていた人で、道路交通法違反などで先月まで服役していた人、裁判での代理人は大川一夫弁護士と報じられています。

紙の新聞のほうには、原告が「罪を償ううえでは我慢しないといけないことがあるのは理解できるが、選挙権の行使は国民の最も大切な権利の一つと思う。裁判所の考えを聞いてみたい」と語ったこと、立命館大学法学部准教授の倉田玲さんの調査によると少なくとも22か国で受刑者の選挙権を認めていること、「今回の訴訟が現状の是正につながることを期待したい」という倉田さんのコメント、愛知大学法科大学院教授の小林武さんの「受刑者に参政権が与えられることに違和感を持つ人が少なくないであろうことは理解できる。しかし、選挙に参加することによって受刑者が社会とのつながりを自覚でき」るようになるだろうというコメントが紹介されていました。

私は今年の3月に「服役囚にも選挙権」という記事で、イギリスで受刑者に参政権が認められていないことについて、EU が是正勧告をしたという話を紹介しました。正直なところ、こんなに早い時期に日本で受刑者の公民権停止措置が司法の場で問われるとは思っていませんでした。世の中の流れは速いのだなあと実感します。

さて、私はこの訴訟を応援したいという気持ちでこの記事を書いています。その思いを挫かせるようなコメント、トラックバックはお控えください。この訴訟を応援したいと私が考えるのは、私たちの社会が犯罪者のみならず、同性愛者とか障碍者とか外国人とか、少なく、弱い存在に対して人格の否定につながるようなことをすることが多すぎると感じることに端を発しています。その認識を再確認させるような罵倒や揶揄は特にお断りします。

投票用紙の写真は ekkun さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 15日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.12.14

皇太子の発砲事件

Ousted Nepal crown prince in gun brawl with minister's kin - ネパールでは共産党毛沢東主義派が王制の打倒を掲げて武装闘争を続けていましたが、民主化運動の高まりにより、一昨年、ギャネンドラ(Gyanendra)国王が退位し、王制が廃止されました。

all painted and lookin' pretty by Brother Barnabasタイムズ・オブ・インディア紙の記事は、王制末期に皇太子だったパラス(Paras)王子がネパール南部のリゾート地 Chitwan で発砲事件を起こしたことを伝えています。王子が酒場で飲んでいたところ、王制廃止の立役者である故 G.P. Koirala 元首相の義理の孫と鉢合わせになり、政治をめぐる口論になって、激昂した王子が持っていた銃で発砲したとのことです。負傷者などはなかったようです。

パラス皇太子は人柄があまりよくないらしく、遊び好きだとか高慢だとかとも書いてありますが、王制時代にも発砲事件や交通事故を起こしていたことも指摘されています。しかし、王政下では、何ら罪に問われることはありませんでした。

今回の事件については、元首相の家族から、皇太子に刑事処分を下すよう求める声が出ていますが、現政権の基盤は脆弱で、いまだに王室を支持するような人もいる中、政府としては、なかなか手を出せないでいるようです。

ネパールでは、王制という封建制度の遺制を民主的な選挙によって打破したわけですが、それでもその変化の速度に付いていけない人が王宮の中にも外にもいたということがよく分かります。私たちの国でも、中の人たちには、じわじわと身を引く覚悟を決めてもらい、外の私たちも、そろそろ「仕分け」を始める意気込みを持たなくてはならないように思います。

事件が起こったチトワンは象で有名なところだそうです。写真は Brother Barnabas さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 14日 午前 12:28 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.12.13

経済では追い抜かれたけれど

Foreign Language Programs Cut as Colleges Lose Aid - 10日ほど前のニューヨーク・タイムズ紙の記事ですが、ニューヨークの州立大学で、フランス語、イタリア語、ロシア語、古典語(おそらく、ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語)の専攻を閉鎖されるという話がありました。同様にルイジアナ州立大学ではドイツ語とラテン語の専攻が閉鎖され、ポルトガル後、ロシア語、スワヒリ語、日本語の授業が削減されると記事は伝えています。外国語プログラムの縮小、専攻の閉鎖は多くの州立大学で起っているようです。

Concentration by cvconnell一方で、記事はアメリカの言語教育の最大の学会である Modern Language Association が昨年秋学期に全米の大学で調査した言語科目受講者の数を見る限り、言語を学ぶ大学生は増えていることを指摘しています。 MLA 報告書(PDF)の表は、次のようになっています。増加率は4年前の調査との比較です。

言語学習者数増加率
スペイン語864,9865.1%
フランス語216,4194.8%
ドイツ語96,3492.2%
手話(ASL)91,76316.4%
イタリア語80,7523.0%
日本語73,43410.3%
中国語60,97618.2%
アラビア語35,08346.3%
ラテン語32,6061.3%
ロシア語26,8838.2%
古典ギリシア語20,695-9.4%
聖書ヘブライ語13,807-2.4%
ポルトガル語11,37110.8%
韓国語8,51119.1%
現代ヘブライ語8,245-14.2%
その他40,74720.8%
1,682,6276.6%

このブログでは、過去に2002年の統計2006年の統計を紹介しました。あわせて見ていただくと、傾向がよく分かると思います。

とにかくアラビア語の伸びが依然として驚異的ですね。それに次いで、中国語、韓国語も20%に迫る勢いで学習者が増えています。日本語も10%を越す伸び率でがんばっていて、今回の調査でも中国語を抑えて、7位にとどまりました。経済規模では既に中国は日本を追い抜いていますから、日本語は大健闘だと思います。しかし、直近の4年の伸び率が今後も続くとすると、2012年の秋学期には、日本語は中国語にもアラビア語にも抜かれる計算になります。どうなるでしょうか。

あと、前回調査に続き、アメリカ手話が学習者数で4位になりました。日本の大学で日本手話を外国語の履修要件の中に入れているところはないと思うのですが、どなたかそこらへんのことをご存知ですか? 大学の設置基準は大綱化されて久しいから、手話を外国語科目として認定する大学があってもよさそうな気がするのですが。聴覚障碍者側からの働きかけみたいなものが少ないんでしょうか。それでも、2010年代半ばには、日本手話を外国語科目として扱う大学が出てくるんじゃないかな。

言語系科目の試験中の教室。写真は cvconnell さんが CC-by-nd で公開しているものです。

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2010年 12月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.12

地球の裏側の野宿者襲撃事件

Homeless attacked in Buenos Aires park - アルゼンチンのブエノスアイレスでは、隣国のボリビアやパラグアイから出稼ぎに来ている労働者たち約1,000名が、まともな住居が与えられないことに抗議するため、公園にテントを張り、泊まり込みをしています。

The people of Buenos Aires. by Senor Adventure先週に入って、まず、警察が排除に乗り出し、2名の死者を出しながらも、移民労働者たちは公園に留まりました。その後、近隣の住民が「公園にスラム(villa miseria)を作ることは許さない」として襲撃を繰り返し、さらに2人が亡くなったそうです。

アルゼンチンは比較的経済状態がよく、ボリビア、パラグアイなどの貧しい隣国から180万人ほどの労働者が移り住んできているそうです。

私たちの国は経済状態が芳しくありませんから、これからはそれほどの大量の労働者の流入はないと思われますが、自由市場主導のグローバリゼーションは、必然的に越境者を増やしていくでしょう。その時、どのようにそれらの人たちの基本的人権を守ったり、「元からいる人たち」との共存を図ったりするのか、この遠い国の事件からも、学ぶべきことがあるように思います。他の報道を探してみようと思います(まだスペイン語のメディアとかは、全く見ていないんです)。

ブエノスアイレスの野宿者の写真は Senor Adventure さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 12月 12日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.11

生まれ変わって九百年

Tibetan Buddhism's oldest reincarnate lineage turns 900 - チベット仏教の中で最も古くから続く転生活仏はカルマパ(Karmapa)と呼ばれ、ダライ・ラマ、パンチェン・ラマに次ぐ権威と認識されているようですが、そのカルマパ1世 Düsum Khyenpa が生まれて900年の記念行事がインドのブッダガヤで営まれました。ダライ・ラマも列席したそうです。

Monk meeting by Megan Garner現在のカルマパは第17代の Orgyen Trinley Dorje さん。1985年に生まれ、1992年に霊童として発見され、2000年にヒマラヤを徒歩で越えてインドに亡命しました。ウゲン・ティンレーさんは、ダライ・ラマからも中国政府からもカルマパの生まれ変わりと認められていますが、カルマパが代々率いるカギュ派の中には、彼を真性の活仏と認めず、別の青年を17世としてたてている一派もいるそうです。なかなか世の中は難しいものです。

そのような論争はさておき、カルマパ17世はブッダガヤでの祝祭におけるスピーチで、ダライ・ラマの「中観」の路線を自らも歩むと語ったそうです。ダライ・ラマ14世も高齢となり、パンチェン・ラマは拉致されたままになっていますから、今後、チベットの人々の心をまとめていく重責は、この25歳の青年が担っていくことになるのでしょう。

私自身は、輪廻はともかく、転生は信じないのですが、代々のカルマパが得た悟りが、あなたを正しい道へ導くようにと、私も祈ります。

カルマパが暮らすギュト僧院のお坊さんたちの写真は Megan Garner さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 11日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.10

異邦人に売るなかれ

Top rabbis move to forbid renting homes to Arabs, say 'racism originated in the Torah' - 火曜日のことですが、イスラエルの有力なユダヤ教超保守派の聖職者(ラビ)たちが「異教徒にアパートを貸したり家を売ったりしてはならない」という宗教命令を出しました。「アラブ人たちがこの地に根を下ろすのに手を貸す必要はない」というのが彼らの言い分です。彼らは、聖典トーラ(旧約聖書)の教えに従えば、このような態度を取ることが必要になると主張しています。

Al Quds by stuff_and_nonsenseこれに対し、ユダヤ教聖職者の中からも批判の声があがりましたし("Leading Haredi rabbi refuses to endorse letter forbidding the rental of homes to Arabs")、知識人やヤド・バシェム・ホロコースト記念館なども、「もし、ドイツでユダヤ人には部屋を貸さないという話だったら、どういう意味だっただろうか」と問い、その人種差別性を糾弾しました("Yad Vashem: Forbidding rental to Arabs is a blow to Jewish values")。しかし、今のところ、政府は何ら発言をしていません("Israel's legal establishment silent amid uproar over 'racist' rabbis")。

イスラエルという、我々が眉をひそめがちな国にも、さまざまな意見があることが分かります。私たちの国でも、過激な右翼の人たちだけでなく、平和や連帯を志す人がいることが、ちゃんと世界に伝わるといいのですが。

ユダヤ教のラビの写真。でも、タイトルはエルサレムのアラビア語の名前「アルクッズ」になっています。 stuff_and_nonsense さんが CC-by で公開している写真です。

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2010年 12月 10日 午前 12:06 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.09

韓国で米軍基地の騒音訴訟に最高裁判決

Top court upholds compensation for damage from U.S. base noise - 聯合通信によれば、韓国の大法院(最高裁)は9日、下級裁判所の判断を支持し、米軍基地の騒音に関して国が住民に賠償を行なうべきであるという判決を下しました。

Namiseom -- Chuncheon, Korea by adamsribs大法院で争われていたのは、韓国北東部、春川(チュンチョン、춘천)にある米軍基地(既に閉鎖された Camp Page のことでしょうか? 違っていれば、軍事に詳しい人が教えてくれると思います)の近隣に住む市民が2003年に起こした訴訟で、離発着するヘリコプターの騒音で眠れなかったり、聴力に影響が出たことへの損害賠償を求めていたものです。

チュンチョンの美しい紅葉の写真は adamsribs さんが CC-by で公開しているものです。この写真からは静けさしか読み取れませんが、この美しい場所には別の面もあるということなのでしょう。

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2010年 12月 9日 午後 05:19 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.08

独立した国として

Brazil, Argentina, Uruguay recognize Palestinian state - ラテンアメリカで、パレスチナを独立国として承認する動きが急速に広まっています。先週の金曜日に、ブラジルのルラ大統領が自分の任期中にパレスチナを承認するつもりであることを公にした後、月曜日に、アルゼンチンがパレスチナをただちに自由な独立国として認知することを明らかにし、ウルグアイも来年早々にそうすることを発表しました。

by Tar.Digitalラテンアメリカの経済共同体であるメルコスル全体がこの方向に進むだろうと見られており、トルコを訪問中のパレスチナのアッバス大統領も、次はパラグアイが独立を承認するだろうとの見通しを述べています。いずれの国も、1967年の中東戦争以前の実効支配線を国境として考えるとしています。

パレスチナ暫定自治政府(PA)自体は現在、百数十か国に承認されているようですが、イスラエルの反対を押し切ってパレスチナを国家として承認する国はまだまだ数少ないようです。日本は… アメリカの意向に逆らいはしないでしょうから、無理でしょうね。うーん、そもそも自分たちが本当に独立国なのかという不安のようなものが心をよぎります。

ブラジルのサンパウロでパレスチナ解放を訴える青年の写真は Tar.Digital さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.07

社会的統合の手本

In Spain, Gypsies Find Easier Path to Integration - 「ジプシーたちは、多くの国ではロマと呼ばれることが多いが、スペインは違う。ここでは、ジプシーにあたる「ヒタノ」(gitano)というスペイン語の単語は誇りをもって使われる」と記事のはじめのほうに書かれていました。

TABLAO FLAMENCO by Pat McDonald (away for a few days)スペインでは、軍国主義から民主主義に体制が移行して以来、ヒタノを社会に溶けこませる施策が30年間続けられてきており、他のヨーロッパ諸国に比べ、ヒタノの人たちの生活は格段に安定しているようです。ヒタノの3分の1が電気やお湯の設備のないあばら屋に居住するような国も多い中で、スペインでは92%が一般的なアパートや一軒家に暮らしているそうです。小学校への就学率はほぼ100%。大人は50%が正式に雇用されています。

それは、ヨーロッパのどの国よりも多くの政府予算をヒタノのために使ってきたためでもありますが、もう一つ、他の国々が「偏見をなくす」といった漠然とした目標を掲げていたのに対し、スペインではもっと具体的な就職支援や住環境整備に集中してきたことが大きく影響しているそうです。

もちろん、差別がなくなったわけではなく、今でもヒタノの人たちがタクシーの乗車拒否にあうことなどを記事は紹介しています。また、中高の退学率は極めて高いようです。しかし、軍国主義の政権下で、武装警察などに怯えながら暮らしていた日々とは全く違う生活が可能になったことは事実のようです。何しろ、軍政下では、ヒタノの人たちは市民権を与えられていなかったのだそうですから。

振り返って自分の国を見ると、部落差別に関しては、もう同和対策は終わらせるべきだという意見がある一方で、私の住む市の被差別部落では所得はかなり低いままみたいです。何世代もこの国に住んでいるのに、過去に与えられていた日本国籍を奪われたままの人たちもたくさんいます。また、最近になって日本にやって来た人たちが、広い社会にとけ込めずに集住しているという実態もあります。さらには、国に帰したら迫害に遭うことが分かっているのに難民の人たちを追い出したりということも。

私たちがスペインに学べることは、たくさんあるのかもしれません。

は、ヒタノたちが伝えたスペインの伝統舞踊フラメンコ。 Pat McDonald (away for a few days) さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 12月 7日 午前 12:38 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.12.06

第二言語教育の功罪

China announces new 'bilingual' policy for Tibet pre-schools - 中国政府がチベット人居住地域の農民、遊牧民家庭の子どもたちに対し、2015年までにチベット語と中国語(普通話)の二言語教育(双語教育)を開始することを決めたようです。

Singing Tenzin, streets of Lhasa by IMs BILDARKIV現在、チベット人の子どもの幼稚園就学率は24.5%ですが、5年後には60%程度にまで上昇すると考えられ、都市部だけでなく広大な非都市圏の子どもも中国語を勉強することになり、自生語であるチベット語は今にも増して弱者の少数言語として、権威を失っていくことになると考えられます。

遊牧民家庭の子どもたちを幼稚園に通わせるためには、親元から離して、寮に入れることが必要とされるとも考えられ、チベット語、あるいはチベット文化の継承は困難に直面することになるでしょう。

自分のものではない言語を学ぶことは、心を開き、よい人間を作ることに貢献する力になりうるのですが、やはりそれも経済の上部構造なんだなあと思いました。私のゼミにいた中国からの留学生は、今、日本の小学校に勤務して、中国人児童の日本語の勉強を手伝ったり、学校から親に宛てた配布物を中国語に訳したり、朝礼で全校生徒に簡単な中国語を教えたりしています。彼女が勤め始めた5年ほど前は、中国人児童に対する心ない差別語やいじめがとても多かったようですが、今ではそのようなことはほとんど見られなくなったそうです。そんなふうに、同じ中国語を教えるという行為であっても、状況により、価値はさまざまに変わるのだなあと思いました。

ラサの男の子の写真は、 IMs BILDARKIV さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 12月 6日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.05

さっそく無印良品で買い物をしました

昨日の土曜日は、昼過ぎから仕事だったのですが、通勤途中に寄れる京都、河原町の無印良品に行き、イスラエル出店を思いとどまってくれた感謝の気持を込めて、買い物をして来ました。

無印良品のパスポートケース

税込で1,050円のパスポートケースです。夏に千葉県成田市三里塚にある新東京国際空港の旅客ターミナルビルの中の無印の店で見て、いいなあと思ったのですが、もちろん私は Stop 無印良品キャンペーンに賛同していましたから、買わずに旅立ちました。

今まで使ってきたパスポートケースには、従来の航空券を入れることはできたのですが、最近、e-チケット化が進んで、プリントアウトのA4の紙を3つ折りにして入れようとするとギリギリで入らなくて困っていたのです。

実は、ちょっと夏の旅行の出費がかさんでしまったので、当分、旅行に行くあてはないんですけどね。

いろいろな無印の商品の中からパスポートケースを選んだのは、移動の自由を奪われているガザの人たちへの連帯の象徴としてです。まあ、こうやって書いてみると、なんとおセンチなことかと自分でも思ってしまいますけれど。

レジの店員さんには、「私はイスラエルへの出店計画が中止されたことを喜ぶ者です。店長さんとかと話す機会があったら、ぜひ、『ありがとう』とお伝えください」とお願いしました。

無印良品の出店断念と、それを引き出したキャンペーンについては、 The Electronic Intifada の記事でも取り扱われていました。

これからも続くだろう占領や抑圧からパレスチナを一日でも早く解き放つために、一歩一歩、良心の高みを目指しましょう!

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2010年 12月 5日 午前 12:33 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.12.04

経済格差、教育格差の国際比較

The Children Left Behind: A league table of inequality in child well-being in the world's rich countries - UNICEF のイノチェンティ研究所が3日に公開した報告書(PDF)。OECD 加盟国について、経済的な格差が教育の上での格差にどの程度反映されているか、そしてどの国々で教育の機会均等が実現されているかを調査したものです。残念ながら、日本は資料が揃わなかったらしく、4回ほどの言及しかされていません。

Mother and child / 母と子 by Robert Thomson日本が比較に含まれている指標の第1のものは、児童が勉強する家庭環境に関するもので、勉強机、静かな部屋、パソコン、学習用のソフトウェア、インターネット接続、計算機、辞書、教科書を持っているかどうかを調べたものです。全体の平均と、下位半分の中の平均を比べて格差の広さ狭さを調べています。この指標においては、OECD 平均は16.2%。デンマークが一番格差が小さく、6.9%。日本は19.9%で、表に含まれている31か国の中で下から11番目です。アメリカよりも若干格差が大きいとされています。

日本が現れる第2の指標は読み書き能力です。15歳の子どもについて、PISA のテストでちょうど中央値となった子どもと、下から10%に属する子どもの点数の差を比べています。OECD 平均値は28.1%、最も均等なのはフィンランドで19.9%、日本は28.6%で下から14番目です。韓国が21.1%で2位となっているのが目を引きます。

3番目は数学能力。これも PISA、15歳の調査で、比較の手法は読み書きと同様。OECD 平均は24.1%、1位はフィンランドで19.3%、日本は23.2%で上から11番目です。韓国は22.5%で7番目です。

最後が科学に関する知識で、読み書き、数学と同様な比較です。OECD 平均は25.5%、1位はフィンランドで20.0%、日本は26.4%で下から10番目です。韓国は23.4%で上から4番目です。

私はこういう問題の専門家ではないので、数パーセントの違いが「肌の感覚」としてどれぐらいのものなのか分からないのですが、全体的に、日本は経済的な格差によって子どもが受けることのできる教育の違いが大きめな国ということになるようです。

個人のレベルでは、自分の子どもにいい教育を受けさせようと一生懸命働く親が悪いわけもなく、また、使えるお金がある場合に子どもの教育に投資するというのは賢明なことだと思います。でも、教育行政は、それを追認するのではなく、よりよい教育の機会がより平準的に行き渡ることに配慮しなくてはならないと私は思います。そういう考えと正反対なネオリベの嵐が吹きすさんだ過去20年。嵐の傷跡は痛々しいです。

「母と子」と題された写真は Robert Thomson さんが CC-by-nc で公開しているものです。福岡県二丈町の海岸で。

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2010年 12月 4日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.03

無印の良心

無印、イスラエル出店中止 ネットで反対運動も」 - 共同通信のこの記事が伝える通り、良品計画は1日、無印良品のイスラエル出店を断念する旨、発表しました。共同の記事は、「日本ではブログや短文投稿サイトのツイッターなどで出店を問題視する声が広がり、一部には不買の動きも出ていた」と指摘しています。良品計画の報道発表では「経済的な理由により」出店を中止するとあります。おそらく出店を強行していたら、日本だけでなく、無印が店舗を持つ多くの国でボイコットが起こっていたでしょうから、これは経営上、極めて順当な判断だっただろうと思います。

Muji Stuff by 大琪♥私は、そういう損得勘定だけでなく、占領され抑圧されるパレスチナの人たちのことを「具体的調査の結果」、会社の良心がイスラエルへの展開を許さなかったのだろうと推測します。その意味で、ボイコットを呼びかけてきた人たちの声が届いたと言えると思います。抑圧された人たちのことを考える、良心的な企業としての姿勢を、これからも強く世界に示してくださることを期待します。

出店断念のニュースを聞いて、私はしばらく涙が止まりませんでした。ゆううつな日々を送る私が生きる希望を与えられたようにさえ感じられました。しかし、無印良品がアルクッズ(エルサレム)にできないことになったと言って、実はパレスチナの人々の暮らしは何も変わりません。今のままが続くだけです。どうか、私が昨日感じた希望、生きる意欲が封鎖されたガザの人たちに一日も早く届きますように。

ブログ左端に張ってあった Stop 無印良品のロゴを暫定的に「行かないでくれてありがとう、無印良品」というバナーに変えました。また、この春以降、無印のイスラエル進出に反対する意見を書いた記事に下記の追記を施しました。

追記:私がこの記事を書いた後、2010年12月1日に良品計画はイスラエルへの出店計画中止を発表しました。ボイコットを呼びかけた私たちの声を聞いてくれたのだと思います。イスラエルに行かないでくれてありがとう、無印良品。

Brief Summary in English: The Japanese retail chain Muji, or Mujirushi Ryohin, decided not to open stores in Israel. There had been very vocal protests in Japan against Muji's presence in Israel, and it looks like the "Boycott, Divestment and Sanction" worked.

無印良品の製品の写真は大琪♥さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 12月 3日 午前 12:53 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2010.12.02

南氷洋、波静か

'Godzilla' ready to battle Japan's tardy whalers - 日本は今日から南氷洋での捕鯨を開始する予定でしたが、捕鯨船団の母船である日新丸は依然として日本国内にいるようです。例年だと、11月中旬には出航しているので、今年はだいぶ遅れていることになるそうです。今年の日本の捕獲目標は985頭ですが、年々、捕鯨の禁止を求める世論が高まっていますから、漁の時期を短縮して、自主的に捕獲数を下げる意図があるのだろうと、記事を読んで思いました。

Ocean 7 Adventurer by warrenskiシー・シェパードは、昨年、日本船に体当たりされて沈没してしまった Ady Gil の代わりに、「ゴジラ」(英文の綴りは Godzilla ではなく Gojira)という船を導入しました。かつて Ocean 7 Adventurer と呼ばれていた高速船で、アディ・ギル号の倍程度の大きさだそうです。世界一周の時間記録を持つ船だそうです。

シー・シェパードは、この他、これまで捕鯨船に投げ込んできた腐ったバターが不人気なので、事故現場などで死体を探す警察犬の訓練に使われる Pseudo Corpse (ニセの死体)という液体に替えると発表したそうです。

あまりよく見えないのですが、Gojira となった元 Ocean 7 Adventurer 号の写真は warrenski さんが CC-by-sa で公開しているものです。最近の写真はここなどをご覧ください。

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2010年 12月 2日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.01

眠れなかった夜の後には、難しい仕事が待っている

ふだんは、夜、家に帰って来てからネットを見て回って、いろいろと考えさせられるような話があれば、0時ちょっと前までに記事を書くのを日課にしているのですが、昨日から今日にかけては、仕事がどうしても終わらず、もう明け方近くになってしまいました。

ネットから見つけた話ではないのですが、書きたい話はあるのです。どう書いていいものか、分からないのですが。

留学生向けの日本語の授業のはじめに、私はよく、歴史上、その日に何が起こったかについて、ちょっと話します。例えば、先週の水曜日は、Queen の Freddie Mercury が死んだことについて話しました。実は、今学期に入ってから、Deep Purple の Smoke on the Water を聴いたことがないというアメリカ人の学生がいたので、ちょっと心配だったのですが、Queen はちゃんと認知されていました。来週の水曜日は、もちろん、ちょうど30年前に John Lennon が死んだことを話すつもりです。

the bus that started the civil rights movement by contemplative imagingで、今日は何を話すのがいいかと考えると、おそらく、ローザ・パークスさんがアラバマ州のモンゴメリーで、バスに乗っている時、白人に席を譲らなかったことで、一年以上にわたるアフリカ系アメリカ人によるバスのボイコットが始まったことを話すべきだろうと思います。

Rosa Parks さんは、5年ほど前に亡くなりました。私も追悼の記事を書きました

以前の私なら、何の躊躇もなく、この話をしていたのですが、最近の私には迷いがあります。

最近、村崎太郎さんと栗原美和子さんが書いた『橋はかかる』という本を読んだのです。村崎さんは、猿の次郎が「反省」ってやる猿回しの人です。彼は被差別部落の出身で、住井すゑさんの『橋のない川』をだれにも連想させる題を持つこの本の中で、彼は子どものころの差別体験や、大人になり、出自を隠して生きてきたこと、そして栗原さんとの出会いを通じて、自分がどのように変化したかを綴っています。

その中で(pp. 33-8)、中学のころに受けた同和教育の授業についての記述があります。私が下手に要約するより、ぜひ元の文を読んでいただきたいのですが、村崎さんは、「二人しか当事者がいない教室内で、『部落の人たちを差別してはいけません』と発言していること事態が、差別行為のように私には感じられた」と言います。よかれと思って「差別はいけない」などと言っても、かえって傷つけてしまうことがあるということです。村崎さんは、雰囲気を暗くしないためにわざと明るく話すのはやめてほしいとか、テーゼとして「差別はいけない」と教えるのではなく、教師の実体験から話すとか、過去の暗い面ばかりを取り上げるのではなく、前向きに未来を見据えて授業をしてほしいとか、「部落差別」だけに話を留めず、世にあるさまざまな差別や不条理な扱いに言及し、一人ひとりが少しでも身近な話として聞けるようにしてほしい、といった提案をしています。

さて、今日、私が教える日本語のクラスは、欧米系の学生ばかりで、白人たちの中にたった一人、黒人がいます。今日は日本人のボランティアの人たちに来てもらって、会話のパートナー役をやってもらいます。今、「日本人の」と書いたところですでに問題が発生しているのですが、来てくれる人の一人は在日韓国人のようです。その他にも、もしかしたら、被差別部落出身者もいるかもしれません。

さあ、そんな中で、私はだれの心も傷つけずに、黒人公民権運動の始まった日のことを話すことができるでしょうか。正直言って、自信がありません。だからと言って、Rosa Parks さんの話を避ける勇気も私にはありません。どうしたらいいのでしょうね。

55年前の今日、ローザ・パークスさんが乗っていたバスの写真は contemplative imaging さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 12月 1日 午前 05:47 | | コメント (10) | トラックバック (0)

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