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2010.11.30

先住民の反鉱業宣言

Indigenous Peoples in Latin America Unite Against Mining - 気がつくのがずいぶん遅くなってしまったのですが、今月中旬、ペルーの首都リマで、ラテンアメリカの諸先住民の代表376名が集まって、先住民居住地における鉱物資源の無秩序な採掘に反対する会議が開かれたそうです。

Informan sobre realización de Foro by Congreso de la Republica del Perú鉱業・気候変動と良き生活に関する先住民族フォーラム(Foro de los Pueblos Indígenas Minería, Cambio Climático y Buen Vivir)は、生物に富み、自然との調和を旨として暮らしてきた先住民の土地が今や汚染と毒性の地、軍事化の地、闘争を犯罪にしてしまう地、剥奪と貧困の地にされてしまったと述べ、先住民族の土地に採掘禁止区域を設けることなどを要求しています。このような要求は、既にコスタリカではある程度実現している一方、ペルーではこのブログでも何回か取り上げたように、採掘に反対する先住民運動が政府、軍による弾圧の対象となっています。

リマ宣言の全文(スペイン語と英訳)は Indigenous Peoples Issues & Resources のページで読むことができます。

南米の先住民の話からは外れてしまうのですが、最近、中国からレアアース類が日本に輸出されなくなったというような話を聞きます。貿易がうまくいかないのも心配ですが、採掘の行なわれている場所の環境とか人々の暮らしとかはどうなっているのだろうと、そんなことも心配になってしまいます。

会議に臨む先住民らの代表の写真はペルー議会(Congreso de la Republica del Perú)が CC-by で公開しているものです。

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2010年 11月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.29

自分らしい性を生きる人

Turkish transsexual trying to make her way in male dorm - トルコの大学で MtF のトランスセクシャルとして生きるセマさんの話。興味深いのは、セマさんが「女になりきろう」としているのではなく、女と男という二分法にとらわれない生き方を模索している点です。「自分は、以前は男だったけれど、今は男であり女でもあるんです」と語っています。

kepler havaya by gulinvardar口紅をつけ、ミニスカートははくけど、顔の毛は剃らない。トランスセクシャルの仲間たちからは、そういう中途半端さを批判されることもあるそうです。セマさんが通うボーアジチ大学はリベラルな校風で知られているので、概ね、受け入れられて生活することができていますが、家族はセマさんを男としか認めないので、帰郷する時は男として帰るそうです。「誰でも、持っている顔は一つだけではない。でも、人は一つの顔だけを見ようとする。それはそれで尊重しなくてはならない」と語っています。

「勇気ある行動だ」と褒めてくれる人もいるけれど、セマさんは当惑するそうです。自分らしく生きているだけだから。大学を卒業したら、もっと厳しい社会に出るわけだけど、「それが怖いわけではない。人はいつでも、その時々に直面する問題を解決して生きていかなければならないのだから。」

私は本当に自分が自分らしく生きようと努力してきたかとか、私は他の人たちが自分らしく生きようとするのを受け入れてきたかとか、考えさせられました。

写真は、セマさんが通う Boğaziçi 大学の卒業式で空に舞う帽子。 gulinvardar さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 11月 29日 午前 12:11 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.28

沖縄の未来を決める日

Okinawa gubernatorial election could set back U.S.-Japan relations - 今日行なわれる沖縄県知事選に関する米軍の星条旗紙の記事です。仲井真弘多現知事が再選されようと伊波洋一さんが勝とうとに関係なく、軍事面での日米関係は悪化するだろうと書かれています。

Allamanda by Kawa0310沖縄県民への世論調査では、辺野古移転を支持する意見は24.3%に過ぎないので、どちらが知事になっても、埋め立てを認可することはできないだろうという分析です。記事はまた、埋め立て認可の権限を国に移す法律を作ることができ、そのような法案が上程されれば、おそらく可決されるであろうが、そのような事態に至れば、沖縄の反対運動は今にも増して強まり、建設は困難になるだろうと述べています。

私は、仲井真知事が自民党政権下では移設容認派であって、民主党が政権を取った途端に反対を唱え始めるという、一貫性のなさ、不誠実さが問題をこじらせてきたと思うので、今後を彼に託したら、さらに訳の分からないことになりそうだと思ってしまいます。その点、伊波さんには安心して票を入れられるような気がしますが、アメリカから見ると五十歩百歩ということなのでしょうねえ。

あと、記事は、国がお金をどんどん沖縄につぎ込めば、県民は黙るさ、みたいな専門家の意見も紹介しています。これは、かなり違うと思うけどなあ。まあ、素人考えをぐだぐだ書いてもしょうがないので、とにかくここは、選挙の結果を待つことにしましょう。

ほぼ横一線で終盤を迎えたと言われる沖縄県知事選。明日の今ごろ、いち早く、当選の喜びや闘い続ける決意を読みたいと思い、イハ洋一ブログにバナーでリンクを張っておきます。

伊波洋一ブログ

沖縄の黄色い花、アラマンダの写真は Kawa0310 さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 11月 28日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.27

線路は続くよ

"Israel mulls rail link to West Bank settlement" (AFP)、 "Israel train line plan draws Palestinian ire" (AP)。イスラエルが西岸地区の占領地の中に国際法的に違法に作ったアリエル入植地と67年以前の国境線内の領地とを結ぶ鉄道路線を計画しているそうです。

Hof HaCarmel Train Station by david55king路線はテルアビブ郊外の Rosh Ha Ayin という町と、西岸地区内の最大の入植地 Ariel、そして Barkan という入植地を結ぶもので、ネタニヤフ政権は、「数多くある提案のうちの一つとして検討している段階だ」と述べています。

当然のことながら、道路封鎖や鉄道路線の敷設などによって占領下の領土が細かく分断されてしまうパレスチナ自治政府側は、持続可能なパレスチナ国家の独立を不可能にするものだとして、この計画に強く反対しています。

AP電では、この計画の他に、既に建設が始まっているエルサレム・テルアビブ間の高速鉄道が西岸地区の中を通ることについても、パレスチナ側が憤りを表明していることが紹介されています。

どちらの記事も、もう当たり前のことだから書かないのだと思いますが、入植地に向けて西岸地区を走ることになる電車には、パレスチナ人は乗れないのですよね。占領地を縦横無尽に通り抜ける高速道路の多くがユダヤ人専用であるのと同様に。

そうか、かつてユダヤ人はナチスドイツのもとで、黄色いダビデの星の印を服につけさせられました。今は、そんな印をつけさせられることもなく(=無印で)、パレスチナ人を虐げるわけですね。

イスラエルの鉄道の写真は david55king さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

追記:私がこの記事を書いた後、2010年12月1日に良品計画はイスラエルへの出店計画中止を発表しました。ボイコットを呼びかけた私たちの声を聞いてくれたのだと思います。イスラエルに行かないでくれてありがとう、無印良品。

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2010年 11月 27日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.26

贈り物の季節

アメリカでは感謝祭の木曜日が過ぎ、今日からがクリスマス・シーズン(というか、買い物の季節)です。それに疑問を呈する、 Buy Nothing Day (無買日)という呼びかけもありますね。などと紹介しつつ、それを裏切って、買い物の話を書きます。

e già natale in via Roma. Genova - Italy  by unita36"Italians to give 'useful' Christmas gifts" というイタリア国営の ANSA 通信社の記事が、イタリアの人たちが今年のクリスマスにどんなプレゼントを買うつもりでいるかを紹介しています。

まず、プレゼントを買わない予定の人は9.4%。そのうちの7割が、お金がないことを理由にあげています。プレゼントを買う予定の人も、3分の1が単に義理で贈り物をするようです。贈り物をすることが喜びであると感じる人は46.4%「に過ぎない」と記事は紹介しています。

昨年まで、一番人気は服飾品でしたが、今年は昨年より8%ほど落ちて、62.3%にとどまり、一位の座を食品に譲りました。食品を贈ろうと考えている人は66.2%。去年より10%近く増えました。電子機器をプレゼントに選ぶ人は30.7%と昨年より倍増。もちろん、本やおもちゃも人気で、それぞれ、62.2%と56%の人がギフトに選んでいます。

経済的には苦しいが、贈り物の習慣を断念するところまで人々は追い詰められていない、というのが記事の結論です。

さて、私は家族も少ないので、今年は野宿者の越冬事業か何かに募金でもしようかと考えています。そろそろ、そういう呼びかけも始まるでしょうか。

イタリアのジェノヴァのクリスマスの写真は unita36 さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。探し方が悪かったのか、イタリアの natale で探しても、赤や緑の光輝く「きれい」な写真があまりありませんでした。

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2010年 11月 26日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.11.25

英で再び学生の抗議行動

Students march in tuition fee protests - 2週間前に5万人規模の学生デモがあったイギリスで、24日、再び学生たちが大学の学費値上げや国の教育予算削減に反対する抗議行動を行なった。

UK - London (University College of London) by xpgomes510日のデモは一部の参加者が保守党本部になだれ込んだ(nofrills さんのブログ記事「ロンドン、学生の学費値上げ反対デモが暴走」が詳しい)ため、今回は警察側も厳重な警戒態勢で臨んでいるようだが、学生側は既にいくつかの大学で校舎の占拠を始めたらしい。

デモの主催者たちは、学生の間には過去に類を見ないほどの高揚が見られるとし、1968年の学生運動に比べている。

さて、私が勤めている大学は、先ごろ、新しいキャンパスを作る用地を買った。今の所が手狭になったからということなのだけれど、これから18歳人口は減少していくのだし、定員を減らしたらいいだろうと思っている教職員も多い。また、大きな土地を買うお金があるのなら、少しは学費を下げたらどうだという声もある。私もそんなふうに思うのだが、結局、何もせぬまま、悔しい理事会決議の報を聞いた。行動すること、デモで歩き、叫ぶことは、並々ならぬ決意や行動力が必要なことなのだ。自分たちの教育、そして教育の将来のために声をあげているイギリスの若者たちに心からの敬意を伝えたい。

University College of London の占拠の写真は xpgomes5 さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。24日朝、撮影。

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2010年 11月 25日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.24

外国人裁判官

Karua proposes foreign Supreme Court judges - ケニアのデイリー・ネーション紙の記事です。元法務大臣の Martha Karua 国会議員が、最高裁の判事7名のうち3名を外国人から任命すべきだという提言をしたと伝えています。

I love Kenya 01 JUL 2007 036 by elainedawnケニアは、2008年1月の内乱が示したように、多民族国家で、政党も民族の線に沿って構成されていることも多く、その時どきの任命権者がどの民族の出身だったかといった話題が付き纏うので、そのように任命された判事の公正さを信頼しない人も多く、事実また公正さを期待することが難しいこともあるので、ケニア人以外の判事を加えることによって、より公正な判断が可能になるだろうという意見です。

近年の政界の不正や内乱に関する調査報告書の作成には外国人も加わっていて、いい成果が得られたこと、ケニアの憲法には英連邦加盟国の人間がケニアで判事を務めることができることが定められているといったことも紹介されています。

私たちの国も、決して単一民族国家ではありませんし、国籍を持たなくても、この国に暮らしていて、裁判と関わりを持つことになる人たちもいます。民族以外でも、障碍とか性とかの面で多様性はあるわけで、それらの面での公正さが今の司法制度で保証されているのか、心配し始めると、かなり心配になります。外国人裁判官を導入するのがいいことかどうかは分かりません(そして、日本では、たぶん無理だと思います)が、今のままではみんなが気づかない点に気づいてくれるかもしれないな、みたいな期待もしてしまいますね。

ケニアの最高裁判所の写真は elainedawn さんが CC-by-nd で公開しているものです。

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2010年 11月 24日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.23

世論調査から

Poll: Israeli Jews still don't forgive Germany for the Holocaust - イスラエルのハアレツ紙の記事です。「ホロコーストで犯された罪について、ドイツ人やドイツを赦すことができる時が来ただろうか」という問いに対し、過半数、51%のイスラエルのユダヤ人が「全くそう思わない」と答えたと伝えています。19%が「どちらかと言えば、そうは思わない」。赦すことができると答えたのは23%。その他7%が「分からない」と答えました。

grief by hectorhannibal…というだけの、短い記事です。サンプル数は500人。Geocartography Institute という団体によって行なわれた調査です。話が全く逸れてしまうのですが、いろいろ探していたら、この機関が3年前に行なった調査で、イスラエルのユダヤ人の半数以上が「アラブ人と結婚するのは自民族に対する裏切りだ」と考え、37%が「アラブ文化は劣っている」と答えた、などという記事もありました(Ynetnews 2007年3月の記事 "‘Marriage to an Arab is national treason’")。

何とも気の重い話になってしまいますが、何十年か後にパレスチナの人たちに聞いたら、多くの人が「イスラエルによる占領を赦さない」と答えるのでしょうか。これらの数字を目にすると、過去に大きな罪を犯した者が「どれだけ謝れば気が済むんだ」などと逆ギレしてもいけないこと、自分たちが踏みにじられた歴史が他の人たちを踏みつけない保障にならないこと、そして、かつての被害者が今、罪を犯していることが過去の加害者の罪を免じるわけでないことなど、いろいろと簡単には答えの出せないことごとについて、考え込んでしまいます。これはイスラエルについても言えますし、私たちの周りについても言えることだと思います。

うーむ、今日は、明らかに話の組み立てかたを間違えました。二兎を追う者は一兎をも得ず。

写真は hectorhannibal さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。北京近郊の盧溝橋の周辺にある彫像のようです。

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2010年 11月 23日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.22

留学しない理由

他の国に比べて、海外留学を志す若者が少ないのは、この国の排外的な傾向に原因があるのではないかという政府の調査報告書が出ました。一言で言えば、「生得的な外国人嫌い」。この国の過去の植民地支配者としての態度や閉鎖性(島国根性)が今でも生きているということです。また、若者たちが外に出たがらないのは、外国人労働者などに対する偏見とも大いに関連があるようです。

報告書(PDF)自体をまだ読んでいないので、新聞記事だけをもとにまとめると、このくらいになってしまいますが、これだけだと、また、すぐ自分たちのことが批判されたと思って、「お前は反日だ」だの「そんなにこの国が嫌いなら、出ていけばいいのに」だの、コメントやメール、ツイッターでの陰口などを書こうとする人がいるかもしれません。やめてください。

Demo-Lition 10/11/10 - 7 by lewishamdreamer元の記事は英テレグラフ紙の "'Xenophobic' British students shun foreign universities" で、報告書は Higher Education Funding Council for England (HEFCE) によるものです。ここで紹介しているのは、イギリスの若者の傾向です。

私たちの国の場合は、就職に向けての活動がしにくくなるなどというのも、留学を躊躇させる大きな原因になっているように思います。しかし、記事が指摘するように、留学によって、人は、視野が広くなり、言語能力や異文化との交渉スキルなども身につけることになるので、企業にとっても、そのような人は宝となるはずです。またぞろ「就職氷河期」と呼ばれるこの時代に、産業界には、新規雇用のありかたを考え直していく中で、ぜひ、海外で学ぶ人たちのことも考えてほしいと思います。

ところで、私は「生得的な外国人嫌い」、つまり人が生まれながら差別や偏見を持っているなどということがあるとは考えません。生まれながらということは、裏を返せば、死ななきゃ治らない、あるいは、死んでも治らないということで、確かに、上でちょっと触れたように、そんなふうにも見える人がいるのは私もよく知っています。でも、そんなことを信じていたら、教育に携わったりしてはいられません。

写真は lewishamdreamer さんが CC-by-nc で公開しているもの。先々週、ロンドンで行なわれた高等教育への予算削減に抗議する大規模なデモのようすです。

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2010年 11月 22日 午前 12:00 | | コメント (9) | トラックバック (1)

2010.11.21

犬の心と新しい人間

A Dog’s Heart: It's animal magic - ロンドンでイングリッシュ・ナショナル・オペラによる新しいオペラの上演が始まりました。題名は「犬の心」(A Dog's Heart)。監督はこの作品が初めて手がけるオペラとなる演出家の Simon McBurney さんです。

What I'm Currently Reading 5 by upton「犬の心」(Собачье сердце)はロシアの作家 Mikhail Bulgakov (Михаил Афанасьевич Булгаков)原作。レーニンの死の直後に発表されたこの小説は、スターリンらの手によって発禁処分にされたそうです。

天才的な外科医が野良犬を引き取り、シャリクと名づけます。医師はシャリクに人間の脳下垂体と睾丸を移植します。やがて、シャリクは非常に粗野な人間の男に姿を変えていき、さまざまな騒動を引き起こします。この、野獣の心を持った人間像が、ソビエト政府が提唱していた「新しい人間」を皮肉ったものだと理解され、反革命的な文学であるとされたようです。

確かにそうなのだろうと思いますが、現代にこの作品を蘇らせた人たちは、異国の過去の混乱を笑うために、これをオペラに仕立てたのではないだろうと思ってしまいます。ここに描かれた不自然で不道徳な「新しい人間」を作る試み。それは、例えば、自然に育つであろう隣人への愛を無理矢理に官製の「愛国心」で置き換え、結果的に他者への違和感を増幅させる国粋主義的な教育や、四年間かけて教養や人格を育むべき大学生に対して、その時間の実に3分の1を「就活」に費やさせて、教養や人格の育成が不十分な市民を作ることに問題を感じないネオリベ的な経済界の犯している過ちでもあります。

ブルガーコフの作品は、日本でも「犬の心臓」として翻訳されたようですが、今は絶版のようです。英語版の写真は upton さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。英語版なら、電子テキストがここにあります。著者のブルガーコフは1940年に没しているので著作権が切れていますが、英訳者の著作権はおそらくまだ保護期間内だと思います。

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2010年 11月 21日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.11.20

隣国の記念碑を建てる

Greek mayor to build Turkish memorial in Thessaloniki - 先週末、行なわれたギリシャの地方選では、首都アテネと第二の都市テッサロニキで社会党(全ギリシャ社会主義運動、 Panhellenic Socialist Movement、Pasok)が長年保守政党によって握られていた市長の座を奪還しました。テッサロニキで市長に選ばれた Yiannis Boutaris (Γιάννης Μπουτάρης)さんが、市に隣国トルコに共和制を打ち立てたケマル・アタチュルクらの記念碑を建てるつもりであると語りました。

παιδική χαρά by eleannabオスマン・トルコ帝国を打倒し、共和国を樹立したのは「青年トルコ人」運動の闘士たち。その指導者だったケマル・アタチュルクはオスマン帝国領であったギリシャのテッサロニキで生まれ育ちました。トルコとギリシャは何世紀にもわたって対立を繰り返してきたわけですが、ボウタリスさんは、今も必ずしも友好な関係にあるとは言えないトルコの人たちに、自分たちの祖先が暮らした土地としてテッサロニキを訪ねてほしいと考え、記念碑を構想したと述べています。

テッサロニキには、昔はユダヤ人も数多く住んでいましたが、ナチス・ドイツによる占領下、その多くは強制収容所に強制連行されました。殺されたユダヤの人たちを弔う記念碑も建てたいとボウタリスさんは考えているそうです。

「歴史は否定することはできない」とボウタリスさんは語ります。国や民族にまつわる痛ましい歴史があっても、いや、あるからこそ、交流を図らねばならず、それが必ずや友好を生み出すだろうという新市長の考えに、私は強く共感します。

テッサロニキ市内の公園の写真は eleannab さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 11月 20日 午前 02:04 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.19

卵が壁の言葉を話す時

Qaeda-linked group threatens Israelis, in Hebrew - アルカイダ系の組織がヘブライ語でイスラエルに対して警告を与える音声メッセージを公開したという話です。 Jemaa Ansar al-Sunna (スンナ支持者集団)と名乗るグループだそうです。

最近イスラエルの攻撃によって殺されたガザのゲリラたちの復讐のために、侵略者ユダヤ人に対して、パレスチナの地を出ていくまで攻撃を加えると宣言しているというのがその内容です。今までアルカイダ系のグループが、より広くメッセージを伝えて義勇兵を募るためにアラビア語以外でビデオなどを公開したことはあるけれど、ヘブライ語が使われるのは初めてだとのこと。イスラエル人たちに「危険が近くまで迫っているのを感じさせるため」にそうしたのだろうという分析を記事は紹介しています。

Israel Day 1 by izahorskyメッセージの中では「エルサレム」の代わりに、先住民であるパレスチナの人たちが使う呼び名であるアラビア語の「アルクッズ」という語が使われていると書いてありました。私はふだん「アルクッズ(エルサレム)」みたいに表記することが多いので、「アルクッズと言っている」と書かれているのを見て、「だからどうした」と思ったのですが、他が全部ヘブライ語なのに、そこだけアラビア語なのが変だということなのかなあ。

「残念なことに」と言うことができると思いますが、パレスチナの人たちによる占領者イスラエルに対する武力的な抵抗は、短期的、中期的に終息することはないと思われます。その状況の中で、あえてイスラエルに商業的に参入していくということがどういう意味を持つのか、進出を考えている企業には、よく考えていただきたいと思います。抑圧の実態のあるところに行き、横暴な振舞いをする側に寄り添うことは、無印のままではできないことだと私は思います。

アルクッズ(エルサレム)への標識の写真は izahorsky さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。一行目がヘブライ語、二行目の括弧の中が「アルクッズ」です。

追記:私がこの記事を書いた後、2010年12月1日に良品計画はイスラエルへの出店計画中止を発表しました。ボイコットを呼びかけた私たちの声を聞いてくれたのだと思います。イスラエルに行かないでくれてありがとう、無印良品。

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2010年 11月 19日 午前 12:04 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.11.18

死刑との決別

Iraq president refuses to sign Aziz death order - フセイン政権時代にシーア派への弾圧に関与したとして、イラクのタリク・アジズ(Tariq Aziz)元副首相は先月、人道に対する罪で死刑の判決を申し渡された。しかし今、ジャラル・タラバニ(Jalal Talabani)大統領が、彼に対する処刑命令には署名しない意向を明らかにした。

casa el purgatori by Scott Clark「イラクの死刑の歴史は過去のものにされるべきだから」というのがタラバニ大統領の言葉だ。タラバニ大統領は全面的な死刑制度撤廃論者ではないらしいが、死刑を行なわないことによって、「民主的な現在のイラクとその過去の対比を浮き彫りにすることができる」と考えているらしい。

アジズ副首相はフセイン政権のシーア派市民の大量殺人だけでなく、クルド系市民の大量殺人の罪にも問われている人物だ。タラバニ大統領はクルド人。憤りや憎しみを感じていないわけはないと思う。それでも、アジズのような大量虐殺に関わった者に対する死刑に反対する彼を、私は尊敬して止まない。

「タリク・アジズ」とは、アラビア語で「輝かしい過去」を意味するという。彼のおそらく残虐な生を野蛮な死刑から護ることがイラクの輝かしい未来を開くことになるよう祈りたい。

絞首台の写真は Scott Clark さんが CC-by で公開しているもの。この絞首台はイラクのものではなく、メキシコの、おそらく昔のもの。

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2010年 11月 18日 午前 12:10 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2010.11.17

新疆の貸本屋

Bookstore for migrant workers thrives in Urumqi - 新浪網英文版の記事。どこかに中国語の元記事があるのだと思うのですが、検索のしかたが悪かったらしく、見つかりませんでした。新疆ウイグル自治区ウルムチにある貸本屋の話です。

11年前に河南省から来た出稼ぎ労働者(农民工)が病気になって工事現場では働けなくなり、はじめた貸本屋が今では200平方メートルの大きな店にまでなったとのこと。出稼ぎ労働者の多くは本を買うお金の余裕がないので、本を借りたり、立ち読みしたりで、重宝がられているそうです。記事に、本屋の中の写真が5枚あって、雰囲気が分かります。中国の古典文学から、ネットで流行している大衆小説まで、たくさんの本が置かれているようです。

記事は華人の話ばかりで、この地の先住民であるウイグル人のことは一言も出てきません。もちろん、別の記事を探せば、ウイグル人たちの生活もまた(中国のメディアのレンズを通して)描かれているのでしょうけれど。

Eid al adha: happy eid! by Swamibu 今、時はイード・アル・アドハー(Eid al Adha、犠牲祭)。ムスリムの大きな祝日です。ウイグル語では Qurban Heyit というみたい。「イード、おめでとう」は普通 "Eid Mubarak!" ですが、ウイグル語で何と言うのか、調べられませんでした。かったるい記事ですみません。

ウルムチでイードのために鶏が生贄にされているところの写真(華人系の店のようですが)は Swamibu さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 11月 17日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.11.16

福井で度重なる焼き討ちを憂う

外国人狙う不審火 車や店「出て行け」の張り紙も」という朝日新聞の記事を読んで、とても憂鬱な気分になりました。福井市では外国人に対する嫌がらせと見られる不審火がこの2か月ほど相次いでいるそうです。10月21日の時点での記事が福井新聞にもありました:「礼拝所駐車の車出火、不審火か 福井、外国人排斥の張り紙も」。英語でも共同通信の報道 "Car burns in front of Fukui mosque" があります。

時系列でまとめると、

  • 9月10日未明、ポルトガル人が所有する乗用車が燃やされる。
  • 9月10日未明、福井市学園2丁目のインド料理店で旗や植木などが燃やされる。
  • 10月20日未明、福井市文京3丁目の福井モスクの駐車場でマレーシア人留学生のワンボックスカーが燃やされる。
  • 11月14日未明、福井市日光2丁目のマンション駐車場でブラジル人所有のワゴン車が燃やされる。

焼き討ちの現場には、「外人、出ていけ」と書かれた紙が残されていたとも。

by eightydaysjet大きな動きというよりは、一人か二人、つまりごく少数派がやっていることだとは思いますが、今後、こういうことが増えるのではないかと心配です。「出ていけ」というような言い方をデモで叫んだりネットに書いたりしてきた人たちの責任も重大だろうと思います。そういう人たちは、自分たちが言葉のレベルの暴力で行なっていることを物理的な暴力で真似る人たちが必ずいることを学ぶべきでしょう。

おそらく、新聞の記事にならないだけで、似たような事件は数多く、いたる所で起こってきたのでしょう。それに気づかなかった不明を恥じ、気づいたからには、毅然とした態度をとっていきたいと思います。

福井の水族館に貼られた注意書きの写真は eightydaysjet さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。普段接することの少ない動物に対する扱いだけでなく、自分と同じ人間に対しても、「どんなことをしてはいけないか」を、箇条書きにして教えなければならない愚かな時代になってしまったのでしょうか。

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2010年 11月 16日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.15

セックス・パーティー(性党)

Sex Party set to launch Vic campaign - オーストラリアのビクトリア州では今月27日に州議会選挙が行なわれます。小選挙区制らしいので、あまり期待はできないと思いますが、このたび、新たな政党が旗揚げしました。

After the Time Warp by Rantzオーストラリア・セックス党(Australian Sex Party)。既成政党が性に関してはあまりにも保守的であるとして、性的な表現の自由などを掲げて有権者に訴えていくようです。セックス党のサイトにある政策を見ると、性に関してならなんでもかんでも自由にというわけではなく、セックス・ワークの合法化、暴力性のないポルノ映画の上映禁止措置の緩和、同性愛者への差別禁止、同性婚の合法化などを訴える一方で、幼児買春を厳罰化したり、セックス・ワークに関連する人身売買の禁止など、「人権としての性」をまじめに考える党であるように思えます。

泡沫政党の域を出ないような気もしますが、各国の緑の党も、最初はそんな感じだったのかなとも思います。

写真はセックス党の北部準州上院議員選候補 Seranna Shutt さん。 Rantz さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 11月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.14

目を離さないでいたい

昨夜、ビルマのラングーンでアウンサンスーチーさんの7年にわたる自宅軟禁が解かれました。アウンサンスーチーさんに、そして民主的な社会を求めるビルマの人々にお祝いの言葉を贈ります。

Aung San Suu Kyi by (M.E) Morgan私は2年半前にサイクロンのナルギスがビルマを襲ったころから、国外にいるビルマ人(さして政治的でもない人たち)の発言を何人か Twitter で追ってきたのですが、その一人が「ああ、これで光が射してきた」と書いていました。まさに、すべてはこれからなのでしょう。

願わくば、今日の高揚感が自由なビルマの実現という、より一層の喜びに一直線に結びついていますように。しかし、おそらくそのような望みは夢見がちな戯言と言われるでしょう。アウンサンスーチーさんは自宅の敷地を出ることが許されるようになっても、集会での発言などが制限なしに行なえるようになる保障は今のところないでしょうし、支持者たちへの監視や弾圧は今までよりも厳しくなるのかもしれません。そして、対外的な宣伝効果が期待できる民主化運動の象徴的存在の軟禁解除は行なわれたと言っても、2,000人以上いると言われる政治犯の釈放に関しては、何ら進展の兆しがないように思えます。

この秋には、日本でもビルマの少数民族難民の定住受け入れが「試験的に」始まった一方、最高裁でビルマ人反体制活動家の家族の難民認定が却下されるなど、私たちの意識にビルマ(ミャンマー)が上ることも多くなってきました。アウンサンスーチーさん解放の喜ばしいニュースを聞いて私たちが注ぎ始めた眼差しが、ビルマの人々の幸福につながりますように。

危険を承知の上で先日の偽選挙やアウンサンスーチーさんの解放の取材のためにビルマに入った宇田有三さん(ウェブサイトTwitter)などの各国のジャーナリストの方々にも応援の言葉を贈ります。解放直後、現地時間17時35分に宇田さんが撮った写真が昨夜公開されたのを見て、私は、初めて、彼女の解放を実感しました。

Aung San Suu Kyi さんの肖像画は (M.E) Morgan さんが CC-by-nc で公開しているものです

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2010年 11月 14日 午前 09:14 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.13

横浜で慰安婦問題は語られるのか

Aquino Asked to Back Comfort Women's Cause - 12日づけのマニラ・ブレティン紙の記事です。フィリピンの Pia Cayetano 上院議員が APEC 首脳会議出席のため来日するアキノ大統領に対し、元慰安婦のかたがたの問題を日本政府との会談で取り上げるよう求めた(カエタノ議員の公式サイトの記事)ことを伝えています。

Never Again by thrownoverboredフィリピン国会では過去3年にわたって、元慰安婦問題が議論され、日本の国会での審議を求めるよう外交努力を行なうことを政府に求める決議案が出されたりしましたが、アロヨ前大統領時代には、全く進展が見られなかったと記事は伝えています。

これまでのようにただ待つのではなく、日本に謝罪や賠償を積極的に求めていこうという主張です。それと同時に、カエタノ議員は上院に法案2083号「慰安婦の賠償および保健に関する法案」(Comfort Women Compensation and Benefit Act of 2010)を提出し、元慰安婦の女性たちに月額3,000ペソ(約5,650円)の恩給を支給する他、医療の無償化を実現したいとしています。

これに先立ち、 Benigno Aquino 大統領は、日本の報道各社の取材に応じ、「慰安婦問題については、好戦的な態度をとっても得られるものは少ない」とし、日本に対して、「当事者全員が納得できるような妥協」を求めていくつもりであると答えています。また、近日中に東京に着任する大使に交渉を委ねる意向であることをほのめかしています。

アキノ大統領も菅首相も、改革の期待を背負って就任したものの、出だしでいろいろとつまずいてしまっていますから、あまり「腫れ物」には触らないような会談になってしまいそうな予感がします。

フィリピンの元慰安婦のかたがたによるデモの写真は thrownoverbored さんが CC-by-nc で公開しているものです。「二度と次の世代に慰安婦を作らないために」。

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2010年 11月 13日 午前 02:44 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.12

北限のモスク

Little mosque in the Northwest Territories opens - カナダの北西準州にあるイヌヴィック(Inuvik)という町にモスクが作られたそうです。

Midnight Sun by morrison1375イヌヴィックは北極圏の町で、今、これを書いている時点での気温はマイナス14℃とのこと。人口は3,000人余りで、そのうち、ムスリムが80人ほどいるようです。今まで、この町のムスリムたちは、大きなキャンピングカーの中で礼拝を行なってきましたが、これからは、ちゃんとした建物でお祈りを捧げることができるようです。

プレハブの建物は、遠路はるばる運ばれてきて、途中に狭い道があったり、橋から転落しそうになったり、大変だったようです。何はともあれ、来週から始まるイードに間に合って、何よりでした。

灼熱の砂漠の民に向けて書かれたコーランの教えをこの地で実践していくのは、とても辛いこともあるのかもしれないな、などと考えてしまいます。ちなみに、緯度で言うと、シベリアにもっと北のモスクがあるそうです。

イヌヴィックの町から見た白夜(沈みきらない太陽)の写真は morrison1375 さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです

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2010年 11月 12日 午前 12:12 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.11

水晶の夜と今

German ‘Kristallnacht’ commemoration marred by rows - イスラエルのエルサレム・ポストの記事です。他にもドイチェ・ヴェレなどにも記事がありました。11月9日の夜は、1938年にフランクフルトでシナゴーグ、ユダヤ人の家やユダヤ人が経営する店などが襲撃された「水晶の夜」でした。ナチス扇動によるユダヤ人への組織的暴力の始まった日とされています。

Hunted jew by threedots毎年、フランクフルトでは記念行事が行なわれているらしく、今年は主賓としてドイツ生まれでユダヤ系のフランス人作家 Alfred Grosser さんが招かれました。アルフレッド・グローセルさんは "Von Auschwitz nach Jerusalem" (アウシュヴィッツからエルサレムへ)という本を昨年出版し、パレスチナの問題に関するイスラエル政府の方針を批判したことで、ユダヤ人社会の中で論議を呼んだそうです。

今回の記念講演においても、「もし私たちユダヤ人がガザの苦しみを理解する心の広がりを持たなければ、パレスチナ人にナチスによる虐殺の恐怖を理解してもらうことなどできないだろう」と述べたそうです。ドイツ在住ユダヤ人団体は、グローセルさんが一方的にイスラエルを批判した場合には席を立って退場するとしていましたが、結局、この日のスピーチでは、だれも席を立たなかったそうです。

これだけの報道では十分に雰囲気を知ることはできませんが、かつてユダヤ人が経験したことが今、パレスチナ人に経験されつつあるのだという感覚が共有されつつあるというか、「ホロコーストは歴史上類を見ない悲劇である」という絶対的な位置づけから相対視が可能になってきたというか、そんな変化を読み取るのは、あまりに楽観的すぎるでしょうか。

写真は threedots さんが CC-by-sa で公開しているものです。ドルシュテンという町にあるユダヤ博物館にある「狩られるユダヤ人」という彫刻だそうです。

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2010年 11月 11日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.11.10

公用語と憲法

Campainers argue for German to be adopted as the official language - ドイツで、ドイツ語を公用語とするという条項を憲法(基本法)に書き込もうという運動が行なわれていることを伝えるドイチェ・ヴェレの記事です(ちなみに綴りの間違いは原文のままです)。

Verein Deutsche Sprache (ドイツ語協会、VDS)という団体が主体となって、4万あまりの署名を連邦議会に提出したそうで、ドイツで最大の購読者数を持つビルト紙が賛同しています("Deutsch ins Grundgesetz: Grosse BILD-Aktion")。

VDSのサイトを見ると(私はドイツ語が読めないので、見るだけですが)、どちらかと言うと、英語の氾濫への警戒を主張しているようです。しかし、当然のことながら、移民社会は、少数者の言語が保護されなくなり、子どもたちが学校でドイツ語使用を強制されたりすることになるのではないかと警戒を強めています。

Collection of german anarchist newspapers by margaretkilljoy記事は、外来語の使用はドイツ語を豊かにしてきたこと、移民がその文化やその一部としての言語を持ち込んだことによってドイツ文化も恩恵を受けてきたこと、言語はいつも流動的で、法律で言語を規定しようというのは言語の本質を理解していない証拠だ、等の評価を紹介しています。とても妥当な評価だと思います。

私たちの社会でも、これから、「きれいな日本語、正しい日本語を守ろう」みたいなお上品なお題目のもとに、日本語を母語としない人たちへの日本語の強制とかが起こるのだろうと思います。小さな規模では、もう既に起こっているのでしょう。

水晶の夜」に読んだことも手伝って、憂鬱さを感じざるを得ませんが、もちろん私は、人々が賢明で寛容になり、世界がよくなったことを信じ、この話を記します。

やっぱりドイツ語が分からないと、なかなかいい写真が探せませんな。とりあえず、深く考えず、適当に。 写真は margaretkilljoy さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 11月 10日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.09

先住民と憲法改正

Gillard announces panel to examine prospect of indigenous recognition - オーストラリアのギラード首相が、憲法を改正し、先住民(アボリジニ及びトレス海峡諸島民)の存在への言及を盛り込むための国民投票を実施する意向を表明しました。先住民の代表、非先住民の代表、法律の専門家などからなる委員会が任命され、来年末までに文案をまとめたり国民投票の日程を提案したりするようです。

by Rusty Stewart別の記事 "Referendum labelled a 'political stunt'" では、アボリジニの活動家が、この提案は人気取りに過ぎず、「もしオーストラリアの白人が本当に私たちの真の歴史を憲法に取り入れ、先住民への誠実な謝罪を組み込もうというのであれば、先住民の土地が収奪されたこと、大規模なジェノサイドが行なわれたこと、英王室は500の部族国家のどれ一つとも合法的な条約を結びもしなかったことを認めて、書き込まなければならないだろう」という非常に厳しい評価を与えています。

国会内では、野党も憲法改正に前向きな姿勢を示していますが、国民投票のハードルは高く、これまで、44の憲法改正案のうち、8つしか成立したことがないそうです。そのうちの1つが1967年に問われた、アボリジニに選挙権を認めた改正です。ギラード首相は、今、半世紀に一度の機運が高まっていると考えているようです。

「盗まれた世代」へのケビン・ラッド前首相の感動的な謝罪から2年半。虐げられてきた人々にとっては、あまりにも歩みが遅いと感じられるのだろうという推察と、少しずつでも過去の不正を糺そうとしている人たちの姿を見る感動の間で、心は揺れます。

アボリジニの少女の写真は Rusty Stewart さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 11月 9日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.08

虐殺の史実の見直し、始まる

'I was wrong,' admits historian over claims of Malaya massacre - 英ガーディアン紙。第二次世界大戦終了後の1948年、イギリスの保護領マラヤ連邦で戦われた反英独立闘争の中で起こった英軍による虐殺事件の真相が初めて明らかになろうとしています。

1948年12月12日、マレー半島中西部スランゴール(クアラルンプール近郊)にあるバタンカリ(Batang Kali)という村で24人の非武装の村民がイギリス軍によって虐殺され、村は焼き払われました。死体の多くには手足の切断などの損傷の跡が見られたそうです。

Fallen enemies by wajakemek | rashdanothman英国政府は、殺傷されたのはマレー人中心に進められていたイギリスの植民地統治と厳しく対立していた中華系住民を中心とするマラヤ共産党(Parti Komunis Malaya)の軍事組織マラヤ民族解放軍(MNLA)の戦闘員であったとし、遺族からの謝罪や賠償の要求には応えてきませんでした。しかし、先週、当時、駐留軍に所属し、1960年代にこの時代(MNLA による反英闘争時代。「マラヤ非常事態」と呼ばれるようです)の公的な歴史報告書の編纂に携わり、虐殺説を否定した歴史家の Anthony Short 氏が、 "The Malayan emergency and the Batang Kali incident" という論文を発表し、非武装の民間人の虐殺が起こったと考えるべきであろうと記して、虐殺否定説を撤回しました。イギリス政府も、第三者委員会の設置などによって、史実の見直しを図ると見られています。

60年以上も経った戦争犯罪に対して加害者(とその子孫たち)が誠実に向きあうことができるのか、そして、それによって世界をどのように、どの程度、よく変えていくことができるのか、注目しましょう。

「倒れた敵」と題された写真はクアラルンプールにある Tugu Negara (国立記念碑)の彫像の一部分。 Tugu Negara は日本軍による侵略と、その後1960年まで続いたマラヤ非常事態を戦った英雄を讃えるものだそうです。この倒れた人が日本兵なのかマラヤ共産党員なのかは、私には分かりません。 wajakemek | rashdanothman さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 11月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.07

美容整形

Women opt for genital surgery - 豪エイジ紙の記事。タイトルを見た時、FGM (女性器切除)の話かと思ったのですが、違いました。この10年で、オーストラリアでは性器の美容整形を受ける女性が急増しているという話題です。急増と言っても、10年前には454件だったものが昨年は1,400件になったとのことで、絶対数は少ないのだと思います。

México a Través de los Siglios (Detail - Frida Kahlo), 1929-35 by saturdave人気のあるのは labioplasty (labiaplasty) と呼ばれる陰唇の縮小手術。敏感な部分が大きすぎて自転車に乗るのに不自由するなどの理由もあるようですが、大半は細めのビキニが着られないという理由だったり、そのほうがきれいに見えるだろうからといった理由で行なわれるようです。80万円ほどかかり、性感が減少してしまう危険性もあるようです。

また、膣の壁の敏感な部分にコラーゲンを注入し、性感を増大しようという手術もあり、これはアメリカで人気だとも書いてありました。

私自身は自分にも他人にも外見にはあまりにも無頓着だし、今では性欲もほとんどないので、あまりピンと来ないのですが。

この話題、とりあえず、フリーダ・カーロの絵でも添えておくのが無難かなあと思うのですが、いかがでしょうか。 saturdave さんが CC-by-nc-sa で公開している写真です。

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2010年 11月 7日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.06

基地と病院

新市立三沢病院が完成 来月8日開院 - 先月25日のデーリー東北の記事です。青森県三沢市で移転新築されていた市立三沢病院が完成したそうです。

The Fabulous Thunderbirds by jasohillで、米軍機関誌の星条旗紙は5日づけの記事 "Misawa troops help Japanese transfer patients to new hospital" で、この日、三沢基地に駐留する海軍および空軍の衛生兵20人が入院患者80人の搬送に携わったことを伝えています。基地内の保健施設では不可能な診断や治療のために軍人、軍属が市立三沢病院を利用してきたことも多く、搬送の手伝いができたことは喜ばしいという医療群司令官代理の言葉も紹介されています。

写真は昨年10月、三沢基地上空で曲技飛行を繰り広げる米空軍のサンダーバーズ。 jasohill さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。毎日、こんな軍用機が飛び交っていたら、さぞかし大変だろうと思いますが、この曲技飛行団はふだんはネバダ州にいるそうです。ちなみに、新しく建て替えられた病院の工事概要のページには防音機能に関して記した部分があり、建物の防音仕様は「防衛省1級防音」となっています。

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2010年 11月 6日 午前 01:39 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.05

尊厳死への圧倒的な支持

94% des Français favorables à l'euthanasie: le Sénat rouvre le débat - フランスで先月行なわれた世論調査によると、実に94%の人々が尊厳死の権利を支持していることが分かりました。報告書の本体はこちらにあります(PDF)。

by dumplife (Mihai Romanciuc)過去に行なわれた同様な調査では、1987年に85%、1997年に84%、2001年に88%でしたから、ここ数年で急激に尊厳死への支持が高まったことになります。ベルギー、オランダなどでは尊厳死が法的に認められていて、治癒の見込みがなく、苦痛が耐え難い場合、治療を拒否することができるそうです。その結果、これらの国では死亡者数の約2%が尊厳死によるものだと考えられています。

一方、フランスでは、尊厳死はタブー視されており、昨年も尊厳死を認めようという法案が否決されたそうです。来年初めにも、再び同様の法案が審議されるそうで、今回の調査で判明した、ほとんどすべての人が尊厳死を望んでいるという事実がどう審議に活かされていくのか、注目されます。

極悪犯であっても、その命を他人や政府が奪うことは許されない。自分の命に関しては責任をもって、それを終えることが許されるべきだ。そういう尊厳の捉え方をすばらしいと思うとともに、なのに軍隊を持ち、戦争をすることは厭わないという考えに戸惑いを覚えます。

写真はイタリアで尊厳死を求めるデモに参加した人のプラカード。 dumplife (Mihai Romanciuc) さんが CC-by で公開しているものです。

個人的には、昨日も耐え難い苦痛の日でしたが、もちろん治る見込みがないわけでもありませんから、命のある日々を大切にしたいと思います。ご心配くださったかたにお礼を申し上げます。

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2010年 11月 5日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.11.04

詩の五輪

Poet Simon Armitage plans Olympic gig for 2012 - イギリスで、2年後に開かれるロンドン・オリンピックに合わせて、全世界から詩人を招くイベントを開催しようという計画が始まったそうです。

beautifully bound Pablo Neruda book, fundació joan march by Guy Jamesこの最大の詩の祭典を企画しているのは Simon Armitage さんというイギリスの詩人。 Southbank Centre というところにある The Poetry Library を中心に、 Poetry Parnassus という名のもとに開かれるとのこと。過去にも、招待された詩人がビザが下りずに会議に出席できなかったり、詩人が原語で朗読するのに合わせて大スクリーンで英訳を流す工夫をしたりと、大変なことが多くあったようです。実際に200もの国や地域から詩人を連れてくるとなると、とんでもなく大変なことになるような気がします。今までの会議では南極からの出席者がいなかったので、基地などにこもって詩を書き溜めている人がいないか調べている、などとも書いてありました。

1つの国から1人選んでも、その社会全体の文学界を代表できるわけでもないでしょうしねえ。

写真は、安直に、パブロ・ネルーダの詩集の表紙を選びました。 Guy James さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 11月 4日 午前 01:18 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.03

マラリアの無毒化再び

Scientists create ‘malaria-proof’ mosquitoe - ナイジェリアのバンガード紙の記事です。アメリカのアリゾナ大学の研究者たちが、マラリア原虫を媒介させない蚊を遺伝子操作によって開発することに成功したことを伝えています。

A female Anopheles stephensi mosquito taking a blood meal (Image Credit: Mr. Kedar Bhide) by dullhunk マラリア原虫 Plasmodium を破壊する特性を持つ蚊を野に放てば、普通の蚊と交配し、マラリアを媒介しない蚊が多くなり、感染を減少させることができるだろうという話です。蚊の寿命をコントロールする Akt と呼ばれる遺伝子を操作することによって、マラリア耐性を持つ蚊ができるようですが、その詳しい仕組みはまだ解明されていないようです。

マラリアを媒介する蚊の写真は dullhunk さんが CC-by で公開しているものです。撮影は Kedar Bhide さん。

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2010年 11月 3日 午前 01:12 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.02

危ない薬物

Alcohol Is More Lethal Than Heroin, Study Finds - お酒、大麻、エクスタシー、コカイン、ヘロインなどを、その使用者本人の健康被害、周りの人々への被害(例えば、家族が崩壊するとか)、社会全体への被害(環境破壊、経済的な損失など)といった多因子で危険度を計測すると、お酒が一番危ない薬物だという研究結果が発表されました。

イギリスの医学誌 Lancet に掲載された David J Nutt 他による "Drug harms in the UK: a multicriteria decision analysis" という論文です。 Science Direct などの電子ジャーナルを購読している大学図書館などに行けば読めると思います(論文のリンクは DOI です)。

Proposition 19 by futureatlas.com使用者本人への危険は、ヘロイン、クラック・コカイン、覚せい剤(methamphetamine)が大きいですが、社会全体への影響を考慮すると、これにアルコールが加わります。大麻(マリファナ)、エクスタシー(MDMA)、LSD の危険度はこれらに比べてはるかに低いということが分かりました。元の論文を見てみると、本人への危険度、他者への危険度を合算した数値としては、アルコールが72、ヘロインが55、クラックが54(粉のコカインは27となっています。素人考えでは、ちょっと差が大きすぎるような気がします)、覚せい剤が33、たばこが26、大麻が20、エクスタシーが9、LSDが6となっています。

アルコールは常用すると身体全体の多くの器官に悪影響を与え、医療への負担が大きくなることが危険度を高く見積もらせるようです。だからと言って、お酒をすべての人に対して禁止するのは現実的ではないだろうと記事は指摘しています。お酒が文化として根付いているからです。反対に、禁止薬物として取り締まられているものについては、その規制が科学的根拠に基づいていないわけだから、諸国の政府は再検討をすべきであろうと研究の著者は述べています。

折しも、今日はカリフォルニアで嗜好品としてのマリファナの合法化が住民投票で問われます(カリフォルニアでは、医療目的の大麻の使用は14年前に合法化されています)。先日も書いたように、私は、今年の投票ではたぶん合法化は否決される(しかし数年後には可決される)だろうと予想しているのですが、どうなるでしょう。私たちの国でも、ここで紹介したような研究がもっと知られるようになれば、「あのころは『ダメ、ゼッタイ』なんて言ってたんだよ」と笑い合う日も来ると思います。でも、いつのことになりますやら。

マリファナ合法化の条例案19を支持するプラカードの写真は futureatlas.com さんが CC-by で公開しているものです。

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2010年 11月 2日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.01

台北の同志たち

Taiwan sees Asia's 'biggest' gay rally - 台北で30日、「アジア史上最大」のプライド・イベントが開催されたようです(見出しにはクオーテーション・マークが付いていますから、そのつもりで読みましょう)。参加者はおよそ3万人。右翼が二千数百人(一説には5,800人)集まると「戦後最大のデモ」になる、どこかのみみっちい国とは大違いです(ちなみに、2週間前のこの話を聞いて、なるほどこの人たちに「犠牲者は30万人」とか説いても通じるわけがないと、妙に納得してしまいました)。

by 虫蟲台灣同志遊行。「同志」とは、最近の中国語でゲイのことだそうです。日本語ページもあります。今年のテーマは、「性的マイノリティとしてカミングアウトをして、政治への参画、投票をしよう」というもの。重要な提言だと思います。どのような領域や性質で弱者であったり少数者であったりしても、声を潜めているだけでは、旗を振りかざし、罵倒の言葉を浴びせる卑怯者たちを増長させるだけだということを、もう一度確認したいと思います。

パレードのようすの写真はたくさんあるのですが、CC で公開されているものは、撮影者の好みなのでしょうか、マッチョ系のものが多いです。この写真はピースマークから一画欠けている印が今回のイベントのロゴのようなので選びました。虫蟲さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 11月 1日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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