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2010.10.31

キャタピラー社の決断

Caterpillar Corporation stops shipment of armored bulldozers to Israeli military - 世界的な重機メーカーであるキャタピラー社が当面の間、イスラエルへの大型ブルドーザーの輸出を停止することを発表したようです。

IDF CAT D9R - side view by Zachi Evenor輸出停止の対象とされているのは D9 および、それに装甲を施した D9R という機種のようです。パレスチナ占領地への侵攻時に街に入って建物を壊すのに使われているもので、特に、7年前に家屋の破壊を阻止しようとした平和活動家のレイチェル・コリーさんを轢き殺すことにも用いられたものです。現在、レイチェル・コリーさん殺害の罪を問う裁判がイスラエルで開かれていて、キャタピラー社はその裁判の進行中はイスラエルに対する D9、D9R の売却を自粛します。

このニュースに関する信憑性に私がちょっと不安をいだいていることも、お伝えしておきましょう。上に挙げた International Middle East Media Center については、私はかなり信頼をしているのですが、肝心のキャタピラー社の決断に関する一次的な報道は、イスラエルのエルサレム・ポスト紙の25日付けの記事 "Report: Caterpillar to delay supply of D9 bulldozers to IDF" ぐらいしか見つけられないのです。Caterpillar 社の報道発表等にも見当たりませんでした。

報道が正確だという前提で話を進めると、「当面の禁輸」という措置であるにしても、キャタピラー社の決断はイスラエルがパレスチナにおいてとっている非人道的な占領政策に自社が加担することを是としない姿勢を示すものであり、評価に値するものだと私は思います。イスラエルの司法に過度な期待はできないでしょうから、近いうちに「もとどおり」になってしまいそうなのは残念ですが。

企業とイスラエルの関わりという点では、私は無印良品のイスラエル出店計画に反対しています。もちろん、大型ブルドーザーとは違って、直接、人を殺す物を売るわけではないのは分かっています。イスラエル軍(IDF)の本部で、無印の消しゴムを使って作戦図を描き直したり、兵士が軍服の下に「ぬくもりインナー」を着込んで冬の寒さをしのいだり、戦いに明け暮れた一日の疲れをベッドで癒したり。そんなことを気にしなければ、私も同じ商品を買うのでしょう。しかし、このままでは、私にとっては、無印の商品は、ロカンタンの見たマロニエの木の根になってしまいそうです。

イスラエル軍の所有する D9R ブルドーザーの写真は Zachi Evenor さんが CC-by-sa で公開しているものです。何気にアナキストっぽい旗は戦闘工兵隊の旗だそうです。冒頭にリンクを張った記事に添えられた写真は、もっと迫力があります。ぜひご覧ください。

追記:私がこの記事を書いた後、2010年12月1日に良品計画はイスラエルへの出店計画中止を発表しました。ボイコットを呼びかけた私たちの声を聞いてくれたのだと思います。イスラエルに行かないでくれてありがとう、無印良品。

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2010年 10月 31日 午前 12:00 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2010.10.30

韓国語を学ぶ人、日本語を学ぶ人

29,000 for Korean test - スリランカのデイリー・ミラー紙に載っていた、わずか4行ほどの記事です。この週末に、最大の都市コロンボの13の会場で世界韓国語認証試験(세계한국말인증시험、 Korean Language Fluency Test)が行なわれ、2万9千人以上が受験するそうです。詳細は不明ですが、記事によると、韓国ではこの試験に合格していることが外国人の就労には必須のようですね。

日本では外国人の就労に際して日本語能力検定試験の受験が求められているわけではありませんし、そもそも、韓国と日本では海外からの労働者の受け入れの基本的な方針が違うでしょうから、単純な比較はできないでしょうけれど、国際交流基金の統計(2009年度速報値、PDF)によれば、スリランカで日本語を学習している人(試験を受ける人ではありません)は12,430人だとのこと。韓国語の受験者の半数以下です。

外国人なんか嫌いだというような人にとってはどうでもいいのかもしれませんが、私は一人でも多くの人が日本語を学んで日本人と知り合ってほしいし、日本の社会の中で暮らし、働くことを夢見てほしいです。ですから、スリランカで日本語よりも韓国語のほうが人気があるというのは、悔しく思いました。

Rally in Boston In front of Japanese Consulate by tamil.americanとは言うものの、写真の説明を兼ねて書くと、スリランカでは多数派のシンハラ人による政権が少数派のタミル人を弾圧する政治が続いているわけだから、スリランカとの友好を深める、交流を広げるということがどういう意味を持つのかは、しっかりと考える必要がありそうです。もちろん、言葉を通じてお互いを知ろうという考えは、全く没交渉にしてしまうこととは反対の立場ではあるわけですが。写真は、昨年ボストンの日本領事館の前で行なわれたスリランカ政府ボイコットを呼びかける行動。 tamil.american さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 10月 30日 午前 01:23 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.29

二十万人が路頭に迷う

Niger Delta evictions could make over 200,000 homeless - Amnesty - ナイジェリアで都市再開発の名のもとに何十万人もの市民が家を失いつつあります。ロイターの記事は、アムネスティ・インターナショナルが28日に出したレポートをもとにしたものです。

PHC0009 by ☀Rhys☀問題が起こっているのは、ナイジェリア南東部の海岸近く、ニジェールデルタ地帯にある Port Harcourt という都市です。劣悪な住環境の大集落があるだけでなく、石油利権を狙った犯罪組織が入り込んでいるという問題もあるようで、それらの「解決」のために、昨年から住居の取り壊しが始められました。2009年の間だけで、1万3千人以上が家を失いました。いや、家だけでなく、財産すべてを。代替の居住施設を提供されることもなく、多くの場合、立ち退きの令状すらないまま、人々は路頭に迷うことになったのでした。

Port Harcourt の人口は160万人。「再開発」の行なわれる川岸地区には20万人から50万人が住んでいると言われています。このままでは、戦争や内戦でもないのに、数十万人の国内避難民が発生するという異常な事態になるかもしれません。

ここにこの話を書くことで、私は何も達成することはできません。ナイジェリアの大使館に抗議の手紙を書いたりすることはできるでしょうが、私たちの国だって、空港を、ダムを、高速道路を、米軍基地を作るからと言って、多くの人たちを立ち退かせたり、土地を接収したりして、経済成長を成し遂げてきました。発展途上にある国に対して、「それは人道的によくないことだから、やめてほしい」などと言える立場にはないでしょう。

じゃあ、なんでこんなことをここに書いているかと言うと、ナイジェリアの地図を思い浮かべることのできる人、そして私と同年代の人ならば分かると思いますが、この話がビアフラで起っていることだからです。自分の暮している国のほかに世界が広がっていて、そこで私とは全く違う生活を送っている人がいる。そのことを私に最初に教えてくれたのは、ビアフラ内戦の結果、栄養失調に陥っている Igbo 人の子どもの写真でした。

あの時、私は「可哀想だね」と言うことしかできませんでした。あの時から40以上、歳を重ねた私は、今でもまた Igbo の人たちに「可哀想だね」と言うことしかできないのでしょうか。いえ、私は、絶対、もっと力強いことができる人間になったはずです。その証を立てる決意を表明するために、私はこの記事を書きました。

Port Harcourt の写真は ☀Rhys☀ さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 10月 29日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.28

ポルノが好きな人へ

Men who hate porn - ポルノと男性、そして関係性に関する記事です。英ガーディアン紙に出たもののようですが、豪エイジ紙に載っているのを見かけました。さまざまな視点が提示されていて、それぞれが興味深く、大雑把にまとめるには適していません。かと言って、翻訳する元気がないので、適当に要点を拾ってご紹介します。

Sex! by Eunheuiまずは、The AntiPornMenProject というウェブサイトの紹介。まだ若い男性が、自分が信ずる男女の同権などの原理と、自分が見るポルノ映画との間の差の大きさに悩んで立ち上げたサイトだそうです。だれに知られるわけでもなく、一人、自分の部屋で見るポルノ映画であっても、自分の周りの女性に対する態度に影響を与えてしまっている。そのことをどう捉えるかをフェミニズムの視点を参考に考察しているのだそうです(ポルノグラフィに関するフェミニズムと言っても、ドウォーキンとかばかりではないと思いますが)。

XY online というサイトも紹介されています。こちらは社会学の観点から、60年代、70年代の若者に対するポルノ(くだらないものであっても、ストーリー性があった)の影響と現代のポルノの実情(セックスの場面ばかりと言える)を比べたりしているようです。

これらの他にも、ポルノと、その主な消費者である男性に対する影響に関する書籍がいくつか紹介されています。

ポルノグラフィの話題は、私は全く詳しくないのですが、個人的には、裸の人を見ても、あるいは裸の人たちがセックスをしているのを見ても、全然面白くありませんねえ。思わせぶりな会話とかをするほうがずっと楽しいです。古い人間(セクハラオヤジ)なのでしょうかねえ。

「ポルノ」で検索しても、あまりいい写真が見つからなかったので、以前、私が「セックス」というタイトルでFlickr に公開した写真(近所で撮影)を載せることにします。 CC-by-nc です。

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2010年 10月 28日 午前 01:01 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.27

固有の領土ではないと彼女は言う

"Arundhati Roy faces arrest over Kashmir remark" (英ガーディアン紙)、"Arundhati Roy defends remarks on Kashmir" (ヒンドゥー紙)、"Pity the nation that silences writers: Arundhati Roy" (ヒンドゥースタン・タイムズ紙)。インドの作家アルンダティ・ロイさんが領土問題に関する発言で逮捕されるかもしれない状態のようです。

Arundhati Roy by jeanbaptisteparisかねてから、ロイさんはインドとパキスタン、中国の間で領有権争いの続いているカシミール地方がインドの固有の領土(integral part)ではないと語っており(ここでも2008年8月に取り上げました)、それが扇動を取り締まる刑法124A条の違反に問われています。ロイさんは、これはカシミールの人たちが長年にわたって日々口にしてきたことであり、愛と誇りを持って、正義を求める発言なのだと述べています。「作家がその思うところを語るのを封じ込め、その一方で宗教的な対立による殺人、大量殺戮、大企業による詐欺、略奪、陵辱、そして最も貧しい人たちを餌食にするような人たちが自由に歩きまわれるような国家は嘆かわしい」とも。

私たちの国でも、北端や南端の先住民族を蹂躙し、同化することによって得た土地を「固有の領土」などと称し、それに異議を唱える人を売国だの国賊だの呼んだりしますからね。ロイさんの置かれた境遇はとてもよく分かる気がします。彼女の身の安全を祈り、彼女がその良心に従って行動し発言することを支持します。

Arundhati Roy さんの写真は jeanbaptisteparis さんが CC-by-sa で公開しているものです。

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2010年 10月 27日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.26

拉致で批判される日本

More countries join fight against Japan in child abduction cases - 米軍星条旗紙の記事。日本は「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」(ハーグ条約、 Hague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction)を批准していないため、国際結婚が破綻した場合、日本人の親が勝手に子どもを連れて行ってしまうという拉致事案が頻発しており、多くの国に批判されているという話です。

Impending Separation by tomswift46 (No Groups with Comments)先週の金曜日、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、イタリア、ニュージーランド、スペイン、EU、ベルギー、コロンビア、ドイツ、ハンガリーの大使ら代表が柳田稔法務大臣に面会し、ハーグ条約への早期加盟を求めるとともに、批准までの間、親の訪問権を認めるなどの対策を講じることを訴えたそうです。

記事は、この他、日本の家庭裁判所の親権に関する扱いが国際的に広く批判されていること、日本人の親による拉致が95件あること、日本政府が「検討する」と言うばかりで何も具体的な動きを見せていないこと、アメリカ下院で先月、非難決議が採択されたことなどを伝えています。

「拉致」と言うと、北朝鮮の話ばかり思い起こされますが、私たち自身も国ぐるみで拉致に加担しているのだということを思い知らされました。

「もうすぐお別れ」と題された写真は tomswift46 さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 10月 26日 午前 12:00 | | コメント (8) | トラックバック (0)

2010.10.25

レイチェルのレストラン

Ramallah presents: Rachel Corrie restaurant - イスラエルの Ynetnews の記事。パレスチナ政府の暫定首都である西岸地区ラマラにレーチェル・コリーさんの名前を冠したレストランが開業したことを伝えています。

Rachel Corrie St. Ramallah by ISM Palestineパレスチナ人の家を壊そうとするイスラエル軍のブルドーザーの前に立ち、無残にも轢き殺されてしまったレーチェルさん。折しも、今、彼女の両親が起こした裁判がイスラエルで開かれています。

レストランは、同じく彼女の名前で呼ばれる道にあるとのこと。中東風料理と西洋風料理を出すとのことです。オーナーは、「パレスチナの人々のために命を投げ打った彼女をはじめとするすべての平和活動家への感謝を込めて」レストランの名前を選んだと語っています。

西岸のラマラなら、比較的自由に私たちも行くことができるでしょうか。いつの日か行ってみたいです。

ラマラ市内のレイチェル・コリー通りの標識の写真は ISM Palestine が CC-by-sa で公開しているものです。

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2010年 10月 25日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.24

右翼の国際会議

Europe's far-right factions to meet in Vienna - ヨーロッパ各国の極右政党が22日と23日にオーストリアのウィーンで国際会議を開いたそうです。

by negotiable_me参加したのは、オーストリアの自由党(FPÖ)、スウェーデン民主党(SD)、イタリアの北部同盟(Lega Nord)、デンマーク人民党(DF)など。フランスの国民戦線(FN)、ハンガリーの Jobbik、ブルガリアの Ataka は欠席でしたが、主催者側はこれらの党とも友好的な関係にあると説明しています。

会合は非公開で行なわれましたが、イスラム系移民の増加や、国家主権を制限し EU の権限を強化するリスボン条約への反対などが主な議題となったようです。

記事は、この他、FPÖ がシュテファン大聖堂を党の色である青い光で照らす計画を立てていることに対抗して、カトリック教会が聖堂前の広場での政治集会を禁止する意向であることを伝えています。

先週末に東京でデモを行なったような日本の極右団体も、近隣の国々の国粋主義団体と国際会議を開いたりしたら、何か新しい展開とかあるでしょうか。あまり大人の議論が期待できないような気もしますけど。

街角のゴミ箱に貼られた右翼党首の写真。 negotiable_me さんが CC-by-sa で公開しているものです。

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2010年 10月 24日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.23

フォントかなあ

Making things hard to read 'can boost learning' - 読みにくいフォントを使った文ほど記憶に残る、という研究結果です。

I'm a dummy learning Japanese by Esellee実験は、被験者をいくつかのグループに分け、いろいろなフォントで書かれた文を読ませ、15分後に覚えている内容をテストして、記憶への定着度を見るという方法で行なわれました。使われたフォントのサンプルを下に挙げます。 Ariel は一般的に読みやすいとされ、よく使われるゴシック体、それ以外はさまざまな癖のある字体です。

使われたフォントのサンプル

意外なことに、テストの結果、読みにくいとされるフォントで書かれている文章のほうが記憶に残りやすいということが分かりました。読むにくいぶん、読むのに時間がかかり、定着もよいということでしょうか。もちろん、あまりにも読みにく過ぎてもいけないと考えられますが、研究者たちは、お金をかけずに教育の効果を高めることができるかもしれないと論じています。

研究はプリンストン大学の Daniel Oppenheimer さんらによるもの。 Cognition という学会誌に掲載予定だそうです。

「バカでも分かる日本語」と書かれた語学入門書の写真は Esellee さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 10月 23日 午前 09:05 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.22

大麻合法化は否決の見込み

California voters turning against Prop. 19 and Prop. 23, poll shows - 来月はじめに行なわれるカリフォルニア州の住民投票の1項目としてマリファナの合法化が盛りこまれていることは、再三ここでも紹介してきました。今月のはじめには、合法化支持が世論調査で上回っていることを紹介しましたが、最新の調査では、不支持が巻き返して、逆転したようです。

Optical Ballot Box IMG_2333.JPG by -Andrew-Public Policy Institute of California の調査によれば、大麻の合法化を問う Proposition 19 を支持する人は44%、支持しない人は49%で、投票を2週間後に控えて、不支持が支持を上回りました。支持はさまざまな集団で落ち込んだようで、特にラティーノ層では、9月には63%が支持であったのが、不支持51%と、大きく変動しました。賛成派よりも反対派のほうが活発に運動をしたためだと思われると記事は指摘しています。投票に行くと答えた層では、不支持率はさらに高いようです。地域的には、南カリフォルニアでの落ち込みが激しいようです。まだ2週間もあるので、これからどう変わるか、分かりませんが。

前回この件に触れた際、「今回はダメじゃないかなあ、と私は思っている」と書いたのですが、そのとおりになりそうで、複雑な気分です。もともと私は一年半前に「どこかの州で嗜好品としてのマリファナが解禁になるのにあと3年から5年、全米で合法化されるのに8年から10年といったところだろうか」と“予言”しました。カリフォルニアが先鞭を付けるとして、今回はダメ、2012年も大統領選と抱き合わせになるので、たぶんダメ、そして2014年に合法化可決という流れだと思います。で、2019年ごろに連邦レベルで解禁といったところでしょう。まあ、こんな予想、当たったところで、何の足しにもなりません。

カリフォルニアで使われている投票箱の写真は -Andrew- さんが CC-by-nc で公開しているものです。光学的読み取り装置が付いているみたいですね。

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2010年 10月 22日 午前 12:35 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.21

空き缶

京都市議会で現在、空き缶回収禁止条例案が審議されています。分別ゴミで集積所に出された空き缶を持ち去ることを禁止するもので、空き缶を集めることで収入を得ているホームレスの人たちの生活を危うくさせるものだとして、多くの人が反対しています。

rollin' by Punchup20日の夕に、京都市役所で「人間の鎖」が作られました(反貧困ネットワーク京都のページ)。350人以上の人が手を繋ぎ、市役所の周りをぐるっと一周、完全包囲しました。私も参加しました。「人間の鎖」に加わるのは6年半ぶりです(前回、私が参加したのは、自衛隊のイラク派兵を阻止しようと、小牧基地を取り囲んだ時です)。

ゴミとして出された物とはいえ、勝手に取得するのはいけない、という原則論もあるとは思いますが、実態として、そうやって生計を立てている人がおり、その人たちが住処を持たない弱い立場にあるのだということを考えれば、単に空き缶回収の禁止を決めて、それで何かが解決したと考えるのはおかしいです。今、問題があると言うのなら、その問題がどうして起こったのかを見極め、結果としての現象を消し去ろうとするのではなく、その原因の部分を改善する努力をするのが社会の役目だと思います。

写真は Punchup さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。撮影場所はアメリカのミネアポリス、撮影日時は一週間前の10月13日です。

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2010年 10月 21日 午前 12:05 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.20

大使館の醜聞

Shame of graft that is the Tokyo embassy report - ケニアで日本絡みのスキャンダルが起きています。昨年夏に、新しい大使館用地として東京で土地を購入したことに関する事件です。

 by Yuta Yamamoto私の独自取材も交えてまとめると、昨年、前の大使が離任し、新しい大使が着任するまでの間に、大使代理を務めていた人物が、クリヤマという日本人から土地を購入しました。10億円以上のお金が動きました。しかし、この取引には問題があって、まず、その土地が異常に高い値で購入されたことが指摘されています。価格が異様に高いことは、購入前からも批判の声が出ていたのですが、ケニアの外務省はそれに取り合わなかったようです。また、ケニアの法律では、政府が土地の購入などを行なう場合は、競争入札などによらなければならないのですが、それも行なわれなかったようです。そして、土地取引の契約書に署名した人物には、実は決済権限はなく、この取引が外務省内での事務手続きを十分に経ずに行なわれたことも分かっています。

この取引をめぐっては、矢野哲郎・元参議院議員(栃木選挙区。当時は自民党現職、現在は新党改革に所属)の仲介があったとも言われています。

ケニアの市民が納めた税金を使って法外に高い値段で取引をし、その一部が見返りとしてケニアの外交官や官僚、もしかしたら日本の政治家や資本家に流れたらしいという、典型的な腐敗事案です。ケニアではこれによって外務大臣も引責辞任しなければならないかもしれないというところまで来ているようです。日本側でも、疾しいところがないのかどうか、しっかり見極めたいですね。

ケニアの写真は Yuta Yamamoto さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 10月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.19

名字が先か、名前が先か

New regulation to normalize spelling of Chinese name - 人民網英文版に出ていた中国語の表記に関する記事です。元の中文記事は新京報網の「人名拼音应“姓在前名在后”」。北京の中国人民大学で開かれたシンポジウムで李宇明さんという国家語委副主任に対して行なわれた取材に基づいています。

标语:释放Liu Xiaobo by jeanyimいくつかの話題が論じられていますが、最初は、中国人の名前をアルファベットで書く場合、姓を先に書くか下の名前を先に書くかで混乱が見られるとして、今後、国の規則によって姓が先という方式を確立させるとのことです。旬な名前を例にとれば、 Xiaobo Liu ではなくて Liu Xiaobo と書く、ということです。

記事の後半では、李宇明さんは、母語を大切にする精神が薄れてきているとして、入試で語文科目(中国語)を課さない大学があることを批判しています。シンポジウムでは、国語教育が弱体化している現状が明らかにされ、「いかに国語の授業を楽しくするか」について意見交換がなされたそうです。

「母語」と言う時、漢民族以外の少数言語はどう考えているのですかと、思わず問いたくなってしまいますが、中国語に関しても、「あれだけ大きくて強い国なのだから、心配ないのではありませんか?」と言いたくなります。

ちょっと話が逸れますが、私の職場では、どこの国の人かを問わず、「姓−名」の順にして名簿が管理されています。だから、西洋人だと「Lennon John」みたいに元の順をひっくり返して記載されたリストが届きます。で、姓だと思って呼ぶと、インドネシア人やアラブ人から「それは父の名前であって、私の名前ではない」と指摘されます。そんな時、(融通の効かない)名簿って、やっぱり管理するための道具なのかな、とか思ってしまいます。じゃあ、一人ひとりを支え、伸ばすための名簿ってどんな形になるのだろうと考えると、答えはないのですが。

写真は jeanyim さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。香港で今年の元旦に撮影されたもの。既に多くの人が論じているので、私が出る幕でもないと考えてしまうのですが、ここに書かれた言葉は私の願いでもあります。

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2010年 10月 19日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.18

非暴力抵抗の村

Budrus: A Palestinian story of non-violent protest - 2003年、イスラエル政府が隔離壁の建設を始めた時、西岸地区の村ブドルス(Budrus)は、完全にパレスチナ人の住む他の村や町から隔絶され、自らの農地にも立ち入れなくなるところだった。

Ayed Morrar of Budrus by Doha Film Institute村の人たちは毎週のようにイスラエル兵に対して抗議デモを行なった。非暴力のデモだ。ハマスとファタハの両者が足並みを揃えて行動した。15歳の少女がイスラエルのブルドーザーの前に踊り出て、止めた。村には催涙ガスや銃弾が撃ち込まれたが、 Ayed Morrar さんら人々は非暴力の姿勢を崩さなかった。そして、イスラエル政府は「政策判断で」隔離壁のルートを変更した。

映画 Budrus (Julia Bachaさん監督、Just Vision 作製。リンク先は公式サイト)は、非暴力抵抗の成功を追ったドキュメンタリーだ。もしガンジーがパレスチナにいたなら、イスラエルによる占領の問題は非暴力的に解決されていたかというと、必ずしもそうではないだろうと思うが、この映画は平和主義を諦めがちな私たちに勇気を与えてくれる映画のような気がする。ぜひ観たい。

抵抗運動の指導者モラルさんの写真は Doha Film Institute が CC-by-nc-sa で公開しているもの。そして、この記事に添えるための写真を探していて見つけた写真をもう一枚掲げることとする。下は davereed さんが CC-by-nc-sa で公開している写真で、「日本人の友だちと食事しているところ」と題されている。2008年7月31日にブドルスで撮影。

Eating food with a Japanese friend in Budrus by davereed

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2010年 10月 18日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.17

トリスタンとイゾルデ

びわ湖ホールで沼尻竜典さん指揮のオペラ《トリスタンとイゾルデ》を観て来ました。実は私、仕事の疲れを溜め込んでしまったらしく、体調が最悪だったのですが、やっぱりオペラだと投資額が大きいので、痛い体に鞭を打って… ということで、紹介も手短に。

John William Waterhouse: Tristan and Isolde Sharing the Potion by freeparkingとにかく、イゾルデ役の小山由美さん(メゾソプラノ)が素晴らしかったです。声量も抜群でしたが、王女としての気高さ(君主制を信じない私が言っても説得力がありませんが)、秘めた恋の情熱、媚薬の引き出した狂気などが感情豊かに表現されていました。最後の死に至る場面では神々しささえ感じられました。

それにしても、トリスタンが歌う恋の(あるいは不倫の)苦悩は、うつ病の心の中とよく似ている気がしました。話としては二十歳前後の男女の恋の話なのですが、もっと年上の人たちが歌っているのを見て、勝手に私が感情移入しているだけかもしれませんが。

写真は John William Waterhouse が描いたトリスタンとイゾルデ。絵の著作権は既に切れていて、写真は freeparking さんが CC-by で公開しているもの。

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2010年 10月 17日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2010.10.16

水と市場

Privatization Not Answer to Water Crisis, Says WPN - 11日から15日まで、マニラでアジア開発銀行(ADB)が「水:危機と選択」(Water: Crisis and Choices)という国際会議を開いていた。

Tapping Point by langleyo会議では、ADB や出席した関係企業が、水の安定供給のためには官民パートナーシップ導入による水道事業の民営化が欠かせないという総括を行なったという。これに対し、 Water for the People Network という NPO が利潤追求を目的とした企業の参入は望ましくないという反論を発表した、というのが冒頭のマニラ・ブレティンの記事。残念ながら、 WPN のサイトやブログはあまり更新されておらず、反論文書はまだ読めていない。記事によれば、1997年に行なわれたマニラ首都圏の上下水道局の民営化が ADB からは成功例として挙げられていて、WPN はそれに異議を唱えているという。

小泉やブッシュが政治の第一線から退いて以来、ニュースなどでは市場原理主義(ネオリベ)の話は聞かなくなったけれど、着々と企みは続けられているのだなあと思った。

蛇口の写真は langleyo さんが CC-by-nd で公開しているもの。

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2010年 10月 16日 午前 12:00 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2010.10.15

黒い肌の誘惑

South Africa gets first all-black porn film - 南アフリカで、初めて黒人だけのポルノ映画が作られたそうです。ソト語(SeSotho)で「裸」を意味する Mapona というのがタイトルで、DVD で売られているようです。監督は Tau Morena さん。公募で選ばれた女優1名、男優2名が出演しているハードコア作品だそうです。

Alex by Roche Photo記事によると、南アフリカでは、ポルノはほとんどが欧米やアジアからの輸入物で、わずかに作られている国産のものも白人にほぼ独占された状態だとのこと。黒人と白人との間のセックスを描いた作品が80年代に作られたようですが(アパルトヘイトの時代ですよね、ちょっと意外です)、その後は黒人によるポルノというのは、全くと言っていいほど不在だったようです。

インターネットのアダルトサイト(こちら。モザイクとかかかっていませんから、ご注意を)で、「なぜ黒人によるポルノは少ないのか」という声が起こり、それに応える形で「マポナ」は企画されたそうです。

南アフリカはポルノグラフィに対してはすごく保守的らしく、制限や禁止などを求める人たちも多くいることが記事には紹介されています。一方、HIV/エイズの蔓延は深刻です。「マポナ」はセーフ・セックスを訴える役割も果たしています。男優は必ずコンドームを使っていると書かれています。

さっき、アジアからもポルノが輸入されているという話に触れましたが、これは有名な日本のアダルトビデオのことでしょうかねえ。だとすると、私は詳しくないのですが、セーフセックスなんて聞いたこともないといった作品が多いと聞きます。もしかすると、私たちの国の文化が、遠いアフリカでエイズ禍を広げる原因になっていたりするのかもしれません。

写真は Roche Photo さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。アフリカ系の人の美しいヌードという基準で探しただけで、映画とは全く関係がありません。すみません、完全に自分の好みで選びました。

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2010年 10月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.14

ケニアでは魚が値上がり中

Fish prices too high for Kenyans - ケニアのネーション紙に、魚の値上がりが続いているという記事がありました。2009年7月から2010年9月にかけての15か月で、スズキ(ナイルパーチ、 Nile perch)が26%、イズミダイ(テラピア、 tilapia)が42%、ダガー(Dagaa)という魚が80%も値上がりしているとのこと。

Serengeti_2007 018 by El Toñio100グラムあたりなのか、1キロあたりなのか、1匹あたりなのか分かりませんが、現状の価格はスズキは170シリング(約173円)、ティラピアが152シリング(約154円)、ダガーが104シリング(約106円)だそうです(ほとんど1シリング=1円みたいですね。「お金の計算が楽」って言って、日本から観光客を引き寄せられないものでしょうか)。

で、魚の供給量が需要に追いつかないため、政府は魚の養殖に乗り出すそうです(2日続けて養殖漁業の話になったのは偶然です)。所得が上がって、買う量が増えたというだけなら、まあ仕方がないかとも思いますが、少雨とか高温とかで収穫量自体が減っているのだったら、地球規模の環境の問題でしょうから、心配です。

私たちの国では、最近、野菜が本当に高いですね。韓国ではもっと大変だという話も聞きます。ケニアでも、夏には野菜が高くて困るという話がありました。今どき、食生活の面で幸せな国って、どこなのでしょう。

ナイルパーチの写真は El Toñio さんが CC-by-sa で公開しているもの。拡大しないと分からないと思いますが、別にTシャツの柄で選んだわけではありません。

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2010年 10月 14日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.13

占領地はビジネスで救えるのだろうか

Teaching Gaza to fish - 「ガザに漁業を教える」。イスラエルの新聞「エルサレム・ポスト」の記事。テルアビブ大学でビジネスや紛争解決などを学ぶ大学院生たちが、ガザの問題は住民が豊かになれば解決するとして、魚の養殖事業を始めるという話。

Early morning at the harbour, Gaza by kjRoc一人あたりのGDPが6,600ドル(約54万円)を上回ると、その国からはテロリストがいなくなるという研究があるそうで、それに基づき、ビジネスを盛んにして、雇用を創出し、所得レベルの向上を目指す。イスラエルの魚の養殖技術は定評があるので、その技術移転を図る。将来的には漁業資源の輸出を目指すが、当面はガザの住民の栄養不足の対策となるタンパク源となるだろう。

Nets of Peace というのがプロジェクトの名前で、国際的にも先駆的な試みとして注目を集めている。

読む文章の一つひとつに、「それが本当の問題ではないはずだ」「その問題がなぜ生じているかをあなたたちは考えないのか、なぜ根本的な原因を正そうとしないのか」「占領者であるあなたたちは、この上さらにビジネスの名のもとに搾取を企むのか」等々の不満を述べたくなった。

私の心が今、とても荒んでいるから、ということもあるのだろう。もしかしたら、お金の問題として解決しようというのも悪くないのかもしれないし、あるいは、この若者たちは尊敬すべき人たちなのだけど、記事の書きかたが悪いのかもしれない。

ガザの漁船の写真は kjRoc さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。

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2010年 10月 13日 午前 12:22 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.12

絵馬を掛けてきた

京都の伏見稲荷大社は五穀豊穣、商売繁昌の神と言われる「お稲荷さん」の総本家として、多くの人々に慕われています。連休最終日だった昨日も、十月と言うには暑すぎるような陽気の中、朝から多くの人がお参りに訪れていました。

私も絵馬を買い求め、願い事を書き記し、本殿の裏の柵に掛けました。

無印良品がイスラエル出店をやめますように

「無印良品がイスラエル出店をやめますように」−それが私の書いた願い事です。商売の神さまの耳もとまで届くといいのですが。

絵馬は八百円でした。お金の使い道として、よいものであるか、私には分かりません。困っている人のために寄付したりするほうがいいようにも思います。

神社で願い事をするのがよいことかも、私には自信が持てません。神道は過去のこの国の軍国主義と強く結びついていますから。特に、独善的な「神の国」がユダヤ人を迫害したナチスドイツとの同盟関係を結んでいたことを考えると、イスラエルに関わる願いをここで表明することに私はもっと慎重であるべきだったかもしれません。

商売の神に願うのが適切だったのかも疑問です。良品計画に適切で良心的な経営判断を求めるという意味ではお稲荷さんはよい場所だと思えますが、もし虐げられた民、不平等に苦しむ人々の神を祀る神社があるならば、私はそこに赴くべきだったでしょう。

書いた文章も、もっと練るべきだったかもしれません。「無印良品がイスラエル出店をやめて、また気持よく買い物ができるようになりますように」とか。

このように、後味は今ひとつなのですが、今日の記事は、自分がやったことを書きました。ふだん私は、いろいろなところで世界をよくするために闘っている人たちのことを敬意を込めて書いていますが、なかなか自分自身が何かをやったということを書くことができず、恥ずかしく思っています。いざ動こうと思っても、いろいろと考え込んでしまって… 迷ってばかりいたら何もできないと思い、今日は考えが変わる前に電車に乗ってしまいました。

追記:私がこの記事を書いた後、2010年12月1日に良品計画はイスラエルへの出店計画中止を発表しました。ボイコットを呼びかけた私たちの声を聞いてくれたのだと思います。イスラエルに行かないでくれてありがとう、無印良品。

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2010年 10月 12日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.10.11

改造蚊、野に放たれる

Malaysia to carry out landmark GM mosquito trial - マレーシアで遺伝子組換えを施された蚊を野に放ち、デンゲ熱(デング熱)を媒介する蚊を撲滅させる実証実験が始まることになりました。マレーシア政府の生物安全性審査部が承認を与えたため、今年中に2千匹から3千匹の実験用の蚊のオスが2州で放たれます。

aedes aegypti  by Ciro Boro - photo実験に使われる蚊は、その子どもが早く死ぬように遺伝子組換えが行なわれているそうで、それによって、蚊を減らそうという試みです。反対している人は、「子どもが早く死ぬ」のは一定の条件が揃った場合のみであることや、予期せぬ効果があるかもしれないことを指摘しています。

仮面ライダー(初代の)を見て育った世代なので、蚊のような複眼の生物が「改造」されて世に送り出されてくるというだけで、怖くなってしまいます。ヒー。

同じデンゲ熱関連では、スリランカには「蚊が育つのを許してはいけない」という法律が最近できたそうで、それによって、ガレージのタイヤで蚊を発生させてしまった人が初めて禁固刑を申し渡されたという記事がありました("Mosquito breeder imprisoned")。

デンゲ熱を媒介するネッタイシマカ(Aedes aegypti)の写真は Ciro Boro さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 10月 11日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.10

世界の精神の病

WHO challenges mental health neglect - 世界保健機構(WHO)が貧しい国において精神的な病気の治療が十分に行なわれていない実態の改善を呼びかけています。

Why So Glum? by SkeenaValleyGirlWHO の推定では、世界のうつ病患者は1億5千万人。そのうちの2/3近くが発展途上国にいると見られています。世界の人の4人に1人は、一生のうちに一回は精神病、神経疾患、薬物などへの依存を患うとのことです。しかし、貧困国では、精神疾病の75%の患者が治療を受けることもなく放置されているのが現状です。治療設備がなかったり、治療費が出せないこともありますが、適切な診断を下されることもない場合も少なくないそうです。社会的に負の烙印を押されるということも、もちろんあります。

やるべきこととして、精神疾患の治療が「贅沢」にあたるという通念を打ち破ること、そして医療従事者が精神疾患の診断を的確に下せるようにすることを WHO は考えており、この記事は、この後者の目標を念頭に、「介入の手引き」が新たにまとめられたことを伝えています。 mhGAP Intervention Guide for mental, neurological and substance use disorders in non-specialized health settings というページに PDF へのリンクがあります。ちらちらと見てみましたが、確かに、私のひどかった時にぴったり当てはまるような記述がありました。

「贅沢」云々という点ですが、日本というとても豊かな国の中でも、精神疾患の治療薬が高価なのは紛れもない事実だと思います。パキシルなどの SSRI で、ひと月に4、5千円かかると思います。それを出すことができなくて治療を諦めた大学院生や失業者を実際に知っています。ここらへんのことは、日本国憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という誓いのもとに私たちが生きていることを考えれば、社会的な介入、もっと言えば社会主義的な介入がなされるべきだろうと思います。

写真は SkeenaValleyGirl さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 10月 10日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.09

高等教育を救う日

Students protest fee hikes, layoffs - 7日の木曜日、カリフォルニア大学バークレー校では、約500人の学生が図書館を座り込みによって占拠し、鍋を打ち鳴らすなどして、州の教育予算削減に抗議しました。

Reading Hall of the Charles Franklin Doe Library, UC Berkeley by MaxVTこの日の集会は、公教育を守るための全国行動(National Actions to Defend Public Education)の一つとして開催されたもので、州予算の削減による学費値上げ、科目閉講、人員削減の撤回などを要求しました。州政府も、この日、州立大学に対する追加の予算措置を発表し、学生や教職員による度重なる抗議行動が効を奏したことが明らかになりましたが、これらの予算措置は要求のほんの一部を満たすに過ぎないため、今後も集会やデモが続く見通しです。11月1日に再び大きな集会が予定されているほか、11月16日から18日に開かれる州立大学理事会での衝突が予想されています。

私は今、私立大学で働いています。今あるキャンパスでは手狭なので、経営陣は、ちょっと離れたところにある工場跡地を買おうという気を起こしていて、心配です。その土地を買って校舎を建てるには、大学の持っている資産の大部分を売却することが必要らしく、10年後、20年後の経営見通しが楽観できないからです。これから先、少子化で学生は減るだろうし、より多くの学生に来てもらうためには学費を下げなければならないだろうし、貯金ゼロのたけのこ生活をしていくのはあまりに危険だと思うのですが。

ちなみに、私はもう、大きな音を出すための鍋と匙は用意してあります。出番はまだかな。

写真は MaxVT さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。木曜日に座り込みが行なわれた図書館です。

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2010年 10月 9日 午前 01:01 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.08

国境は観光地

Tourism Planted at a Barbed Border - レバノンの南端、イスラエルの国境地帯で観光地としての開発が始まっています。

The Israel-Lebanon Border by Southern Kross国境の鉄条網からほんの数メートルのところにも、ロッジやレストラン、そして四つ星ホテルが建設されることになっているそうです。イスラエル建国以来、何回も戦闘の地となった場所です。今でも、肉眼でイスラエル兵や戦車を見ることができるとのこと。

「この計画は私たちの抵抗の一部です。開発はイスラエルと平和的に戦う方法なのです」「私たちはまた起こるかもしれない戦争に怯えて生きてはいけません。前に進まなくてはならないのです」といった声が紹介されています。

緊張の続く国境線を怖い物見たさで冷やかしに行くというのではなく、その存在が平和の持続を保証する力を持つ旅行者として、訪れてみたいと思いました。

レバノン・イスラエル国境の写真は Southern Kross さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 10月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.07

新しい言語の発見

US linguists find "hidden" language in Arunachal - インドの北東端、アルナーチャル・プラデシュ州(バングラデシュよりも東で、ビルマに接しているあたり)で新たな言語が発見されたそうです。ここではタイムズ・オブ・インディア紙の記事にリンクを張りましたが、主要な通信社でも広く配信されています。

Aka  Dance by rajkumar1220「新たな言語」が見つかったと言うと不正確ですね。言語が「新たに見つかった」と言うべきでしょうか。コロ(Koro)という言語で、近隣の Aka 語(Hru 語)に似ているようです。アカ語を話す人たちと服装や風俗が似ているので、最初はアカ語の方言だろうと思われていたのですが、実際に調査してみたら、方言とは言えないほどかけ離れていたとのこと。「英語とロシア語ぐらい違う」と説明されています。日本人と韓国人が、外見上はほとんど見分けがつかないけど、言葉は通じないのと同じような感じでしょうか。

Koro の話者は千人前後。若い人は優勢なヒンディー語の世界に入ってしまっているとも書いてあり、おそらく十数年から数十年で絶滅してしまうのでしょう。私たちの持つ多様性が損なわれてしまうことは、残念でなりません。

グローバル化した社会の中で、「もしかすると、これが最後の新言語発見になるかもしれない」と書かれていますが、私はそうは思いません。アマゾンで、インドの山奥で、アフリカの草原で、まだ私たちの知らない世界がきっと存在していると思います。それを私たちが知ることが果たしていいことなのかは疑問ですが。

写真はコロ語の話者と服装などが似ているというアカ語を話す人々です。もしかすると、これはお祭り用の格好であって、普段からこういう服を着ているのかどうかは分かりませんが。 rajkumar1220さんが CC-by で公開しているものです。

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2010年 10月 7日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.06

格差の広がる街

The big divide: the super rich versus struggle street - オーストラリアのシドニーでは、貧富の格差が急速に拡大しているという記事です。富裕層の住む Mosman という地域と労働者階級が暮らす Fairfield という街とを選び、その所得格差を見ると、2003年には2.5倍だった格差が2008年には2.9倍になったそうです。

by cyprinusfishingお金持ちはシドニーの東側、海岸沿いに住み、貧困層は内陸の西側に多く見られるそうで、記事に付けられた地図では、くっきりとその色分けが見て取ることができます。労働者階級においては、賃金の上昇が物価の上昇に追いつかず、どんどん家賃の安い地域に移住が進んでいるとのこと。

富裕層の所得がその他の人たちよりも多く上がったのは、オーストラリア全体の傾向のようです。しかし、格差の広がりは産業の構造変革が顕著だった1980年代、90年代よりは緩やかだそうです。また、2008年以降の世界的な不況は、富裕層に大きな影響を与えただろうとも書かれています。

昨日の話ではありませんが、お金を持っているかどうかは人々の幸せとは直接には相関しないとは思います。でもやっぱり、家が貧しくて受けたい教育が受けられないなどということは、なくさなくてはならないと思います。さて、私たちの国の街はどんな状況なのでしょう。

シドニーの街角でバイオリンを弾く女性の写真は cyprinusfishing さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 10月 6日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.05

幸せの秘訣

Happiness is a matter of choice, study finds - 幸せは選び取るものである、という研究結果が発表されたそうです。オーストラリアのメルボルン大学 Bruce Headey 准教授らによる研究で、6万人ものドイツ人を25年間にわたって追跡調査したとのことです。 Proceedings of the National Academy of Sciences に掲載とのことですが、見つけられませんでした。

Here comes the Sun. by Christian O. Harrisこれまで、幸せと感じられるかどうかは人柄の問題で、遺伝とか子どものころの経験によると言われてきたそうなのですが(本当?)、研究によれば、そうではなく、人生の目標をいかに設定するか、どのような伴侶を選ぶかなどが大切な要因となることが分かったそうです。自分の出世や金銭的な成功を目標とする人よりも、家族を大切にしたり、人を助けることに生きがいを感じたり、社会的、政治的な活動に身を投じたりする人のほうが幸せになれるとのこと。

仕事時間が短いことは必ずしも幸せには結びつかず、仕事の時間が希望よりも長すぎも短すぎもしないことが重要。一人暮らしをしている人よりも、家族を大切にしない伴侶と暮らしている人のほうが不幸、などとも報じられています。

かなり保守的な結論という気もします。金銭的な成功云々とは別に、経済的な事情も幸せに大きく影響すると思うのですが、記事ではそういった面については全く触れられていないのも気になります。幸せになれる人に関するステレオタイプも文化によって違うのかもしれませんが、私にはあまり驚きが感じられないような… あなたはどうですか?

私は憂鬱な気持ちになったりすることも多いのですが、この記事を読んで、自分は幸せなのだなと再認識したところがあります。いつか、胸を張り、瞳を上げ、何のためらいもなく、「私は幸せです」と名乗れるようになるでしょうか。

写真は Christian O. Harris さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 10月 5日 午前 12:00 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.10.04

建国の歴史の視点

Education Ministry bans textbook that offers Palestinian narrative - 1週間ほど前に最初に報道されたことですが、イスラエル南部のスデロットの高校で、国の認定を受けていない歴史教科書を使って授業をしたとして、校長が教育省に呼び出されたそうです。

International Wall in Belfast * Palästina by PPCC Antifa その教科書では、イスラエルの建国、つまりパレスチナの人々にとってのナクバが、ユダヤ人側、アラブ人側の双方の視点で語られていて、その真ん中に生徒自身が考えたことを書き込む欄があるとのこと。上記ハアレツの記事の後に出た AP 電 "Principal faces hearing over textbook" によれば、この本は5年前に検定で不合格になったものらしいです。

Sha'ar Hanegev 高校では、この本を高校2年生向けの選択科目「他者によって語られる歴史を学ぶ」の授業で使っているとのこと。近隣の大学の教員なども参加した先駆的な授業のようです。

どの国の歴史にも汚点は数多くあるもので、それから学んで、自分たちの社会をよくしていこうという気持ちを育むことこそ大切だと思うのですが。

パレスチナの子どもたちを描いた壁画の写真は PPCC Antifa さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。壁画は北アイルランドのベルファスト、 Falls Road にあるそうです。

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2010年 10月 4日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.10.03

大麻所持は交通違反並み

State downgrades pot possession to infraction - カリフォルニア州のシュワルツネガー知事が少量のマリファナ所持を「スピード違反並み」の扱いとする法律(SB 1449)に署名しました。これにより、州内で1オンス(約28グラム)以下の大麻を所持していることを警察により摘発されても、最大100ドル(約8,550円)の罰金を払うだけになり、犯罪歴や、逮捕歴すらも残らないことになります。マサチューセッツ州などいくつかの州における状態と同等ということだと思います。

by jvoves保守派の知事がこのように大麻の非犯罪化に同意したのは、一つには、州の財政事情が非常に厳しいため、これまでのように刑事事件として処理するのは裁判などの費用がかかりすぎるという判断があります。もう一つ、1か月後に迫った住民投票でマリファナの完全合法化をめざす第19案(Proposition 19)を阻止する意図もあるのだと思います。非刑法犯罪化したのだから、完全合法化までやらなくていいじゃないかという彼なりの妥協点を提示したのでしょう。

世論調査では、大麻の合法化に賛成する意見は49%(反対42%に対して7%リード)から52%(反対41%に対して11%リード)とされており、わずかな差で第19案が可決される見込みだと言われていますが、まだ誤差の範囲内というか、どちらにでも転ぶ余地のあるところだろうと思います(一応、「ほら、気持よくなっちゃっていて投票に行かない人がいるかもしれないじゃないですか」みたいな冗談を入れておきます)。今回はダメじゃないかなあ、と私は思っているのですが。

住民投票で賛成票を投じることを呼びかけるポスターの写真は jvoves さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 10月 3日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.02

貧者のいない街

Delhi looks to hide grim reality - インドのデリーで明日からイギリス連邦競技大会(Commonwealth Games)が開かれます。それを前に、デリーでは、物乞いをする人たちの追い出しなどが行なわれたようです。

Beggar by Lava記事によれば、デリーには通常、15万人のホームレスと6万人の物乞いがいると見られています。警察の発表では、今年に入ってからデリーで逮捕された物乞いは1,300人。しかし、人権団体の語るところでは、それらの人々の4分の3は、物乞いではなく、ただ貧しいだけだったり、地方などから出てきた人たちだったりするようです。身分証明書を持っていないため、治安上の問題だとされ、排除されたようです。

街には、ほかにも、「お祭りに相応しい雰囲気を出すため」だとして、大きな看板が立てられて、スラム街などを見えなくしたりしているそうです。スラム街を竹の囲いで覆ってしまおうという計画もあったようですが、批判の声が上がって、それは中止になったとのこと。選手村の近くのスラムは取り壊されたそうです。

インド政府が大会に向けて「世界一流の首都」であることを示したいとしたことによって、これらの措置がとられたようですが、貧困や格差は世界全体の問題ですから、そんなことをする必要はなかったはずです。

デリーの物乞いの写真は Lava さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。

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2010年 10月 2日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.01

中国の書店事情

Embattled bookstores look to start new chapter - 新浪網英語版に出ていた中国の書店に関する記事です。事情は私たちの国とだいたい同じようで、オンラインの書店(「当当」というサイトが紹介されていました)に押されて売り上げが減り、経営が苦しいとのこと。

Mao & Chiang by Theodoranian|虎兒日本と違うのは、一つには、オンライン書店では割引があるのだそうです。再販制度がないということですね。もう一つは、「古典もベストセラーも、電子書籍でだいたい手に入る」という点。著作権保護が今ひとつというのがその一面だと思いますが、日本より電子化が進んでいるという面もあるのだと思います。やっぱり人数が違うからなあ。がんばれ青空文庫

記事で紹介されていた書店は、

  • 第三極書局(Disanji) - 去年までは最も大手の書店だったが、閉店。
  • Lady Book Salon - 北京の女性向けの書店だそうです。
  • O2Sun - 北京の有名書店。本だけでなく、CD なども置いているとのこと。
  • 単向街図書館(One Way Street Library) - 蓝色港湾(Solana Lifestyle Shopping Center)にあるそうです。大学生に人気、講演会なども開かれるとのこと。

でした。行ったことのあるかた、いらっしゃいますか? 行ってみたいなあ。

そういえば、話は韓国に飛びますが、ソウルの光化門にある教保文庫が改装して営業を再開したという話を数日前に読みました。

中国の本屋さんで平積みされている本の写真は Theodoranian|虎兒さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。

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2010年 10月 1日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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