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2010.09.01

演劇家は占領に反対する

Israeli Actors Boycott Theater in Settlement - ヨルダン川西岸の占領地内にあるアリエル入植地で建設が進んでいる劇場が完成間近となり、公演の予定が発表されました。先週の水曜日、 Yousef Sweid さんというアラブ系イスラエル人の俳優が、自分が所属する 劇団(Habima)もそこで公演を行なうことになっていることに驚き、出演を拒否すると発表しました。

The Caucasian Chalk Circle by Bertolt Brecht - Aug 2006 by Dragon Productions Theatre CompanyIsraeli actors refuse to take the stage in settlement theatre - 金曜日には、36人の俳優や劇作家が入植地での公演ボイコットを宣言し、日曜日には署名者は60人を越しました。これに対し、ネタニヤフ首相が「ボイコットはイスラエルを貶めようとする国外の勢力に与するものだ」と語り、閣僚からも劇団への助成を即刻中止すべきだなどとする意見が相次ぎました。街頭では、「裏切り者ども」と書かれたプラカードが見られたそうです。

150 academics, artists back actors' boycott of settlement arts center - 火曜日に、イスラエルの大学教員150人余りが、俳優らのボイコットに賛同を表明し、自らも、第3次中東戦争によってイスラエルが占領した地域での学術的、文化的活動への参加を拒否することを宣言しました。署名者の中には、今春、来日したシュロモ・サンドさんの名前も見えます。作家などの文化人も声明を発表する準備を進めていて、日本でも有名なアモス・オズも呼びかけ人として加わっています。

侵略的な政府の方針に逆らう人たちを非国民呼ばわりする体制側の圧力は、私たちの想像以上に強いのかもしれません。これらの勇気ある人たちを支える力になりたいです。無印良品のイスラエル出店計画に対するボイコットは、その力になるでしょうか。

この件の新聞報道を見ていると、いろいろと啓発されるような意見を読むことができたのですが、その中で特に印象に残ったのが、劇作家の Joshua Sobol さんが述べている「人々は近年、イスラエルの実存的な問題に無関心になってしまった」という言葉です。「実存的」という語自体が最近は使われなくなったようにも思いますが、私たちの社会も、かつては過去の侵略、植民地支配、戦争、戦後処理などについて「実存的」な戸惑いを持ちつつ暮らしていましたよね。

写真は Ariel 入植地で上演が予定されている演目の一つ、ブレヒトの『コーカサスの白墨の輪』(Der Kaukasische Kreidekreis)の一場面です。 Dragon Productions Theatre Company というアメリカの劇団が CC-by-nc で公開しています。

追記:私がこの記事を書いた後、2010年12月1日に良品計画はイスラエルへの出店計画中止を発表しました。ボイコットを呼びかけた私たちの声を聞いてくれたのだと思います。イスラエルに行かないでくれてありがとう、無印良品。

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2010年 9月 1日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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