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2010.08.30

高まる死刑廃止の議論

Abolish death penalty, it’s incorrect to take someone’s life, says Nazri - マレーシアでは、首相府所管大臣が死刑制度は廃止すべきだという見解を発表しました。「もし人の命を奪うのが誤りだと言うのならば、政府もそれをすべきではない。それは皮肉なことであり、正しくない。」 Nazri Abdul Aziz 大臣は、死刑が犯罪の抑止力になっていないことを指摘し、死刑廃止が政府内部で非公式に話し合われてはいるが、まだそれを実行しようという意志が生まれてきていないと語りました。

2008-08-23 - St. Joseph Museum [FlickrSet] - 0277 by smiteme記事は、高等裁判所の元判事や Suhakam (マレーシア人権評議会)議長、そして弁護士会副会長などの死刑廃止を支持する意見を紹介しています。弁護士会の Lim Chee Wee 副会長は、「死刑は復讐を行なうための罰であるが、社会はもっと思いやり深くなることを学ばねばならない」と語っています。

マレーシアは殺人のほか、麻薬売買などにも死刑を適用していますので、そこらへんで改良の余地があるとも思いますし、通常の司法制度と並立してイスラム法(シャリア)に基づく裁判制度もあり、そこで鞭打ち刑などが申し渡されるところの残虐性についても考えていかねばならないとは思いますが、政府や司法に関わる人たちの多くが死刑反対を唱えていることには、羨望せざるをえません。

わたしたちの国でも死刑制度の是非が時々話題になります。このあいだニュースを見ていたら、死刑制度の存続を望む人が挙げる最大の理由が「被害者らの気持ちが収まらないから」だと紹介されていて、私は全く理解ができませんでした。殺された人の遺族の気持ちが収まらないなら、それはその人たちの精神面でのケアが十分ではないことを示しているのであり、死刑を行なわなければならない理由には全くなっていないと思います。まあ、世論調査の選択肢のたてかたがおかしいだけなのかもしれませんが。

写真は、アメリカのカンザスシティーにある博物館の展示だそうです。説明に、かつては、気の狂った女の人を町の広場で焼き殺すことがおかしいとはだれも思わなかったと書いてあります。 smiteme さんが CC-by-nc-nd で公開しています。

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2010年 8月 30日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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» ミス・ユニバース2010年大会のジャマイカ代表、イエンディ・フィリップスさんの死刑反対の言葉 トラックバック 村野瀬玲奈の秘書課広報室
  ミス・コンテストについての賛否はいろいろだと思いますが、それは保留にして、2010年のミス・ユニバース大会のニュースでびっくりするよ... 続きを読む

受信: 2010/09/01 0:00:28

コメント

>もし人の命を奪うのが誤りだと言うのならば、政府もそれをすべきではない。それは皮肉なことであり、正しくない。
こんな理屈が通るなら、懲役も罰金も一切の刑罰ができなくなるだろ馬鹿馬鹿しい。

>それはその人たちの精神面でのケアが十分ではないことを示しているのであり
殺人犯がのうのうと生き残ってる限り遺族の気持ちが収まるわけがない。
その自然な気持ちを消去しようという「ケア」なんてのは、ケアじゃなくて洗脳だ。

投稿: アルル | 2012/09/27 19:45:23

> こんな理屈が通るなら、

論理が全く分かりません。罰というものが全く許されない、という意味ですか?

> 殺人犯がのうのうと生き残ってる限り遺族の気持ちが収まるわけがない。その自然な気持ちを

いいえ、世界中を見てみれば、「収まるわけがない」というのが間違っているのが分かるはずです。

また、自分では自然だと思っていることが、実は教え込まれてきたことであったりすることは、よくあることです。

投稿: うに | 2012/09/27 21:07:11

>殺人犯がのうのうと生き残ってる限り遺族の気持ちが収まるわけがない。

現実には殺人犯がすべて死刑になるわけではないから、気持ちが収まらない家族と、気持ちが収まる家族と、国家が両方を作っているってことになるのかな。
 1932年5月に東京・麹町区で起きた殺人事件は、犯人の刑罰はとても軽かったけどね。遺族の気持ちが収まらなかったとしても、当時の世論はそれを無視したと思う。(莞爾)

投稿: kuroneko | 2012/09/28 15:13:40

kuroneko さん、

わあ、クーデターを議論に引き入れるというのは、なかなか面白い視点ですね。

投稿: うに | 2012/09/28 20:13:29

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