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2010.08.21

結婚執行人の過ち

Invalid vows put weddings in doubt - 私たちの国では「結婚なんて、紙切れ一枚のこと」という表現を使うことがありますが、オーストラリアでは婚姻届という紙切れよりも、結婚を宣言する法的な立会人の発言が大切なようです。その立会人が間違った言い回しを使っていたために、自分たちは結婚したと思っていた何千組もの夫婦が実は法的には結婚していなかったことが明るみに出たそうです。

... in sickness and in health, and... WHATTHEHECK?!! by PacoAlcantaraオーストラリアでは、連邦の婚姻法(Marriage Act 1961)に基づき、結婚執行人(celebrant)の資格を持つ者が予め定められた文章を発話することによって、婚姻の法的な効力が生まれるのだそうです。しかし、2003年に規制緩和が実施された結果、十分な能力を持たない結婚執行人が世に出ることとなり、その人たちが法規から逸脱した表現を用いて式典を執り行なっていることが、サンプリング調査で分かりました。

例えば、結婚の誓いについては、結婚執行人は新婦や新郎に対して「ここに列席する人たちに私○○があなた××を私の法的な婚姻による夫(妻)とすることの証人となることを求めます」と言わせなくてはなりません。この文章の中で、「人たち(person)」は「人々(people)」と言い換えることは許されていますが、「家族や友人たち」と言い換えることは許されていません。また、「法的な婚姻による夫」は「法的な夫」や「婚姻による夫」と言い換えることはできますが、単に「夫」だけではダメなのだそうです。でも、それを意識せずに、無効な表現のまま繰り返させている場合が多いようです。

喜劇映画なら、この新聞記事を読んで小声で「イエス!」とか言いながらガッツポーズをする人がここで映りますよね。それにしても、言葉がこんなに重いものだとは思いませんでした。

上記の誓い以外に間違いが多いのが、警告(monitum)と言われる部分。婚姻法46条によると、結婚執行人は「私は法律によって、法に則った結婚を厳粛に執り行なう権威を与えられています。私のもと、そしてこれら証人たちのもとで結婚によってあなたたちを結ぶ前に、あなたたちが入ろうとする関係が荘厳かつ拘束力を持つことを思い起こさせねばなりません。結婚は、オーストラリアの法律によれば、一人の男と一人の女が、他のだれの入り込む余地もなく、自由意志で、一生涯結ぶ交わりです」と述べなくてはならないそうです。

「一人の男と一人の女」の部分を「二人」などと言い換えてはいけないとのこと。心を波立たされます。

写真はオーストラリアの結婚式の一場面。屋外で行なわれた結婚式。赤い服の結婚執行人が誓いの言葉を述べさせていたら、空からパラグライダーの人たちが祝福に降りてきて、式が中断されたところだそうです。 PacoAlcantara さんが CC-by-nc-nd で公開している写真です。

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2010年 8月 21日 午前 01:41 | | この月のアーカイブへ

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コメント

契約と社会承認の社会か、届け出と世間体の社会か、なんて「日本人論」なら比較するんでしょうね。

投稿: kuroneko | 2010/08/22 0:41:23

kuroneko さん、こんにちは。

宣誓という行為の重みの違いとも言えるかもしれませんね。

投稿: うに | 2010/08/23 23:50:15

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