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2010.05.22

日豪軍事同盟を憂慮する

今週、オーストラリアのスミス外相とフォークナー国防相が来日し、日豪両政府は自衛隊とオーストラリア国防軍との間の物品役務相互提供協定(ACSA = Acquisition and Cross-Servicing Agreement)に調印しました。普天間移転とか口蹄疫とか韓国の軍艦の沈没とか、いろいろ大きなニュースがあったためか、あまり大きく報道されなかったと思うのですが、AFP 電は「建前では平和国家である日本がアメリカとの軍事同盟の他に結ぶ歴史的な初めての軍事協定」と呼んでいます。

Buddies Against War by jemsweb協定自体は、共同で軍事演習を行なうことを定めている他は、国連の PKO か災害援助に限って共同行動を取るという線で書かれていて、ある程度、抑制的だと思います。相互に提供される物品のリストの中に、「部品・構成品」というのがあったりして、「これって大丈夫?」と心配になったのですが、次の項に、この部分は「日本国の自衛隊又はオーストラリア国防軍による武器又は弾薬の提供が含まれるものと解してはならない」と明記してあって、ほっとしました。

しかし、この協定調印に関する平野官房長官の談話を読んで、またとても心配になりました。長いので、気になる部分だけを抜き出してみると、こうなります:

本協定に基づく物品又は役務の相互提供は、 … 「武器又は弾薬」の提供は実施しないこととしているものの、提供することとしている物品又は役務の一部には、武器輸出三原則等における武器等に当たるものが含まれることとなる可能性がある。 … 本協定の下で行われる武器等の提供は武器輸出三原則等によらないこととする。 …

省略したところも含め、全体としては、「限定的に提供するだけだから、武器輸出三原則等がザルになったわけじゃない。だから、いいだろ」と言っているわけで、「そりゃ、無制限に輸出できるようになったわけではないけど、今までになかった新しい抜け穴を作ったわけでしょ、いいの、それ?」というのが心配の第一点。

もう一つは、「武器と解してはならない」って書いてあるのに、「武器が含まれる可能性がある」って何よ、という点です。「ちゃんと読んだの?」というレベルで反応すべきか、それとも、「ちょっと待ってよ、書いたものには綺麗ごとを並べておいて、初めっからそれを守るつもりなんか、これっぽっちもないの?」というふうに怒るべきか。

人をあざむくつもりがなかったとしても、将来、また「自衛隊が行くところが非戦闘地域だ」みたいな詭弁を弄する人が政権に就くかもしれないのだから、よくないですよね、やっぱり。

政治とか外交とか軍事とか、人の書いた文章を解釈するとか、人の意図を読み取るとか、私の苦手な分野が全員集合したようなニュースですから、たぶん私の取り越し苦労なのでしょう。大きなニュースにならないのは、取るに足らないことだから。きっとこの国は私が心配するほど危ない方向には進んでいないのでしょう。

写真はイラク侵攻直前のオーストラリアでの反戦デモのひとコマ。 Jemsweb さんが CC-by-sa で公開。同じ時、あなたも、私も、同じ言葉の書かれたプラカードを掲げて日本の街を歩いていたかもしれません。

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2010年 5月 22日 午前 02:02 | | この月のアーカイブへ

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コメント

平野官房長官談話には以下抜粋が書かれています。【受領側の義務として、提供される物品又は役務の国連憲章と両立しない使用の禁止及び提供側政府の事前同意なく第三者へ移転を行うことの禁止が定められている】

投稿: かずやん | 2011/11/13 9:57:22

指摘の意味が分かりません。

いわゆる「武器輸出三原則等」の一角は、「三原則対象地域以外の地域については、…「武器」の輸出を慎むものとする」という1976年の政府統一見解であり、それを国連憲章を持ち出しての「基本理念」論まで後退させてしまったというのが、私の主張です。

それに対してあなたの指摘は何も応えていないと思いますが?

投稿: うに | 2011/11/13 10:38:23

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