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2010.03.31

虐殺を謝罪

ユーゴスラビア崩壊後の一連の出来事は、私には難しすぎて、全体像がつかめずにいます(ここで懺悔。私、旧ユーゴ紛争に関する本の翻訳に関わっていました。頼りない翻訳者ですみません)。今、起こっていることだけを述べましょう:セルビアの議会がスレブレニツァの虐殺を謝罪する宣言を出そうとしています。これを書いている時点では、まだ議決が通ったというニュースは見られないのですが、30日の議会で議決されるだろうと伝えられています。

Srebrenica, by martijn.munnekeBBC "Serbia debates Srebrenica massacre apology" のほか、セルビアの英語メディア B92 で "Srebrenica resolution in parliamentary procedures" (27日、会議に上程)、"Islamic community wants “genocide” in resolution" (28日、ムスリムからは「ジェノサイド」であると書かれていないことへの不満が表明されている)、"No changes to Srebrenica draft" (29日、野党票の取り込みなどのため、文面を変えることはありえない)、"MPs to vote on Srebrenica resolution" (30日、本日議決の予定)といった報道があります。

決議は、1995年7月にボスニア・ヘルツェゴビナのスレブレニツァで殺された人々への哀悼を示す。ボスニアク人(ボスニアのムスリム)の虐殺は大きな犯罪であると糾弾する。事態を武力によって解決できると考えるように導いた当時の経緯を球団する。戦争犯罪の追求に議会も協力する。近隣諸国にも呼びかけつつ人権、少数民族の権利、自由などの確立を目指す。この宣言と同じように他の旧ユーゴスラビア諸国がセルビア人に対して起こした犯罪に関して宣言を出すように求める。などの要素を含んでいるようです。

旧ユーゴ紛争の歴史の中でこの決議がどのように位置づけられるのか、また、セルビアがどのような未来を夢見てこの議決を出すのかなど、私には分からないことが多いのですが、自分たちの民族が犯した過ちについて反省し謝罪しようという雰囲気を作り出したのがどのような市民の力であったのか、とても興味があります。

スレブレニツァの墓地の写真は martijn.munneke さんが CC-by で公開しているものです。

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2010年 3月 31日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.30

闘牛

Bullfight protest grows in Spain - スペインでは闘牛の廃止を求める声が強まりつつあり、28日には首都マドリッドで主催者側発表で2万人のデモが行なわれました。

Talavante, by Manon71スペインのメディアに、もっと詳しい記事があります。"Miles de personas secundan en Madrid la manifestación contra las corridas de toros" などの記事によると、この日の集会はマドリード市が「闘牛は文化である」と宣言したことに抗議するものとして行なわれました。集会を呼びかけた動物愛護を党是とする PACMA という政党のサイトや、この日の集会のサイトを見ると、「虐待は文化ではない」(La tortura no es cultura)というプラカードを持った人たちがたくさんいます。

伝統的なものであっても、不必要なまでに痛みを与えて殺したり、あるいは生物多様性を脅かしかねないものならば、それはきっぱりとやめなければならないと、私も思います。

闘牛の写真は Manon71 さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。先月28日の撮影だそうです。まあ、明らかに闘牛を美化している感じなのですが、せめてもと思って、牛が勝ちそうな場面を選びました。

今、ふと思ったこと。子どものころに聞いた闘牛士トレロカモミロの歌は、その後の私の人生を決める大きな力だったのかもしれません。戦いよりも昼寝が好き!

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2010年 3月 30日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.29

曇った日は大学が素敵に見える

私が大学に進学したころには聞いたこともなかったのですが、最近はどこの大学でもオープンキャンパスというのをやっています。日を決めて、高校生が大学で行われる授業を実際に聴講できるようにしたり、有名な卒業生を呼んできて講演会をやったり、在学生にガイドをしてもらって学内を見学したり。この種の取り組みをやっている大学関係者にはある意味衝撃的な論文が発表されました。

UMass Amherst, by rpscott123"Cloudy weather 'increases university appeal'" という BBC の記事が紹介している Uri Simonsohn さんによる "Weather to Go to College" という論文です。英王立経済学会のサイトで全文が読めます(PDF)。

記事の見出しに書いてあるとおりなのですが、曇っている日に大学を見学した学生は晴れている日に見学した学生よりもその大学に入学する確率が高い、というのが論文の結論です。アメリカ北東部にある「学業では有名だがスポーツは弱い大学」を見学に来た1,284人を追跡調査したそうです。季節など、その他の要因を排除しても相関が成り立つとのこと。個人的にはちょっと意外な感じです。

曇りの日には大学が魅力的に見える。先行研究で、曇りの日には人々は読書や勉強などのおとなしい活動を好むということが分かっているそうで、大学を見学に来た人も、曇っていると「おお、ここなら私、しっかり勉強するかも」とか思うのだろう、ということです。

真っ先に考えたのは、これが本当なら、秋田、石川、新潟、福井などの曇りの多い地方(あまり根拠はありません。グーグルで"曇りの多い県"で検索したら、一番上のほうに出てきた地名です)にある大学は、今後の大学生き残り競争に非常に有利だろうということですが、これは地域間での比較をした研究を待たねば、何とも言えませんね。

アメリカの大学の写真は rpscott123 さんが CC-by-nd で公開しているもの。あまり曇りの日の写真でいいものが見つかりませんでした。私はここを毎日歩いていたのですが、やっぱり天気がいい日のほうが素敵だと思います。

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2010年 3月 29日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.28

結婚する日

"Wedding bells ring as Black Marriage Day approaches"、"Saying 'I do': Black marriage campaign is growing" - アメリカでは今日、3月の第4日曜日が Black Marriage Day と呼ばれていて、アフリカ系アメリカ人がたくさんこの日に結婚するほか、結婚を考えるシンポジウムや、お互いに知り合うための催しなどが開かれるのだそうです。私は今年になってはじめてこの日のことを知ったのですが、Wedded Bliss Foundation (結婚の至福財団)という団体によって8年前に始められたようです。

first dance of a lifetime, by LuxaVisionアメリカではアフリカ系市民の結婚率が低く(白人の成人で結婚したことのない人は23.6%であるのに対し、アフリカ系市民では41.9%が結婚したことがない)、離婚率も高いため、生まれてくる子どもの72%が婚外子だとのことです。「黒人の結婚の日」は、「結婚離れ」を食い止めようと始められた企画で、結婚すれば経済的に安定し、子どもにいい影響を与える、というのが中心的な趣旨のようです。

日本では最近特に「収入が少なすぎて、結婚できない」みたいな言い方をしますが、同じ問題なのでしょうか、それとも全然違う問題なのでしょうか。いや、問題などはなくて、これは擬似問題だとも考えられるし…

私は結婚をはじめ人間関係に淡白な意見しか持ったことがないので、よく分かりません。時々、もっと情熱的に生きればよかったと悔やむことがあります。でも、臆病だったんですよね。あ、でも、駆け落ちはしました。

披露宴での新郎と新婦のダンス。写真は LuxaVision さんが CC-by-sa で公開しているものです。

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2010年 3月 28日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.27

母親と自殺

Women with more children are less suicidal - 子どもをたくさん産んだ母親は自殺率が低いという調査結果が出たそうです。台湾の高雄医学大学の楊俊毓(Chun-Yuh Yang)さんが Canadian Medical Association Journal という学会誌に発表した "Association between parity and risk of suicide among parous women" は、全文が無償で読めます。

Memorial to Jan Palach and Jan Zajic II., by Lukas Kolisko1978年から1987年の間に第一子を出産した台湾の女性1,292,462人を2007年の時点で調べたところ、2,252人が自殺していました。これらの自殺者を年齢、子の数、未婚か既婚か、学歴、どこで出産したかなどの項目に分類して調査すると、3人の子どもを持つ母親は1人の子どもを持つ母親に比べ、およそ60%自殺率が低いことが分かったとのことです。

楊教授は、養育しなければならない子どもが多いほどストレスも大きいはずなのに、自殺率がそれとは反対の傾向を示すのは、デュルケームが『自殺論』で提唱した「家族との絆が強いほど人は自殺から遠ざかる」というテーゼを立証するものだと述べています。

自分が家族とのつながりがめちゃくちゃ弱く、しかもかなり憂鬱な精神状態であるにも関わらず、今のところ自殺しないで済んでいるので、私にはちょっと納得しがたい面もあるのですが… これを読んでくださっているかたで、私と同じように重い心を投げ出したく思っている人がいらっしゃいましたら、ぜひ、いっしょにゆっくりと歩き続けましょう。

プラハの Wenceslas 広場の石畳の上に手向けられた花束の写真は Lukas Kolisko さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。1960年代の終わり、ソビエト軍の侵攻に抗議して自死した2人の学生を弔うものだそうです。先週の土曜日に撮影。

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2010年 3月 27日 午前 12:00 | | コメント (8) | トラックバック (0)

2010.03.26

図書館で調べもの

Study: Third of Americans use library computers - アメリカ人の3人に1人は公共図書館のパソコンを利用しているという調査結果を AP が伝えています。報告書はワシントン大学のサイト U.S. IMPACT Public Library Study にあります。

Library computers, by Arlington Countyアメリカでは、1996年にはまだ28%の図書館しかインターネットが使えるところはありませんでしたが、現在では、ほとんどすべての図書館が無料でインターネットを提供しています。去年1年間では、図書館の利用者1億6,900万人のうち45%にあたる7,700万人が館内のパソコンを利用しました。これは14歳以上の人口の32%にあたります。

特に利用が多いのは、貧困層です。ここでは、4人家族で年収が22,000ドル(約200万円)以下の家庭と定義されています。この層では44%の人が図書館のパソコンを利用していました。この層の若年者(14歳から24歳)では、61%にのぼります。この層の老人(65歳以上)では、利用は54%でした。パソコンが使えることが、若者や老人を図書館にひきつけていると言えるかもしれません。

私がアメリカに住んでいたころは、VT100 の端末で蔵書の検索ができるぐらいだったんですけどね。それを言うなら、今、私が住んでいる市(京都府の南部です)の図書館も、パソコンはありますが、蔵書検索とか予約ぐらいしかできませんねえ。日本はどこもこんなものかなと思うんですが、みなさんの街ではどうですか?

写真はバージニア州アーリントンの図書館のようすです。Arlington County が CC-by-sa で公開しています。モニターの形からすると、ちょっと古い写真でしょうか。画面も Windows 98 っぽい?

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2010年 3月 26日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.25

大麻合法化が住民投票に

California may vote on legalizing pot - ロサンゼルス・タイムズ紙によると、大麻(マリファナ)を合法化するかどうかを今秋のカリフォルニア州の住民投票で問うべきだとする署名が規程を上回る数に達したようです。

i work i smoke i vote, by nimbin mardi grass 2009住民投票で問われることになるのは、21歳以上の人が個人の使用のために1オンス(約30グラム)以下のマリファナを所有したり、譲り渡したり、運んだりすることと、庭や畑で25平方フィート(約2.3平方メートル)以下の敷地でマリファナを栽培することを合法とする提案です。さらに、市や町が栽培や運搬、販売を認可し、課税することができるようになります。

カリフォルニア州では、すでに医療用のマリファナの使用は合法化されています。世論調査では、嗜好品としての大麻の合法化を望む人のほうが若干多いようですが、これから保守派の激しい巻き返しがあるでしょうから、結果はまだ予断を許さないと思います。

記事は、ネバダ州とワシントン州でも大麻の合法化が住民投票に付される見込みだと伝えています。

写真は、昨年オーストラリアで行なわれたマリファナの合法化を求めるパレードのようす。Nimbin mardi grass 2009 というグループが CC-by-sa で公開しています。「私は働く、吸う、投票する」。

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2010年 3月 25日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.24

朝の授業は眠いもの

Lie-in for teenagers has positive results - イングランド北部にある Monkseaton High School という中学・高校では、昨年秋から始業時間を一時間遅くしたそうです。授業は10時に始まります。朝を遅くしたことによって、欠席が8%減り、不登校は27%減ったそうです。

old school, by alamosbasement学力テストの成績に関しては、まだ結論を出すには早すぎるようですが、学校側は「期待が持てる」と語っています。総じて、生徒たちが幸せそうで、よく学んでいると認識されているようです。

始業時間の変更は、神経科学の専門家などの助言を得て、始められました。専門家は、ティーンエイジャーは朝、眠いものであり、それは怠け者だからではなく、生理的な問題なのだと指摘しています。若者に無理に早起きさせるのは、一番質のよい朝の睡眠を奪うことになり、教育の効率も低下するとのこと。早起きがよいとするのは大人の独善に過ぎないとも書いてあります。

いや、早起きがいいなんていう意見には全く同意しない大人もいます! 私のように。

教室の写真は alamosbasement さんが CC-by で公開しているものです。

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2010年 3月 24日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.23

花の香りと気候変動

Flowers losing scent due to climate change - マレーシアでは、気候変動の影響が草花にも現れてきているという記事。まず、昔より気温が高くなったため、花が早く枯れるようになってしまったという話が紹介されています。クアラルンプール市が街角の美化のために花を植えていたのだけど、花がもたないので採算が合わなくなってしまったため、市は花のかわりに緑陰樹を植える方針に切り替えたとのこと。

Hibiscus 扶桑花, by Nomad@Liveまた、花の香りが減ってしまったという話も出ています。花は気温が低いほうが香りをよく出し、暖かすぎると匂いを出す部分が早く乾いてしまうのだそうです。で、匂いがしないので、蝶や蜂なども寄って来なくなるという話。

記事では、自然の変化に付いていくことはできないので、遺伝子組換えなどで新しい環境に耐えうる品種を開発すべきだという専門家の意見を紹介しています。私はあまりそういう方向性の解決を信頼してないので、複雑な気分です。

クアラルンプールに咲くハイビスカスの写真は Nomad@Live さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。昨日の撮影です。

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2010年 3月 23日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.22

伝統的な食文化

Fish and chips celebrates 150 years as a British classic - イギリスの国民的な食べ物と言うとフィッシュ・アンド・チップスですが、それが生まれて今年は150周年にあたるという記事です。National Federation of Fish Friers という業界団体によると、fish'n'chips は1860年にロンドンとランカシャーではじめて売り出されたのだそうです。

best fish n'chips ever!, by jambinaいや、それだけなんですが。AFP の記事には、この料理の人気は女王にも勝り、まさに英国文化の真髄であるとか、古新聞で包むのは EU の規制でできなくなったとか、Rock and Sole Plaice という店がロンドンで一番古いと主張しているとか、いろいろ興味深いことが書いてありました。

150年の歴史で伝統料理と言えるということは、明治時代に始まったカレーライスとかラーメンとかもそろそろ伝統的な日本料理と言っていいってことでしょうかね。長い歴史を誇るイギリスなので、ベオウルフとは言わずともカンタベリー物語ぐらいに出てくるとか、シェイクスピアの大好物だったなんて逸話があってほしい気もしますけど。

写真は jambina さんが CC-by-nc で公開しているものです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスでも、かなりたくさん写真がありました。愛されているということなのでしょう。

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2010年 3月 22日 午前 01:59 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2010.03.21

軍人差別の食堂

Haifa divides over restaurant's ban on Israeli soldier - イスラエル第3の都市ハイファは、先住のアラブ系市民と移住してきたユダヤ人(現在では人口の8割を占める)の間の融和が比較的進んだ地域だと言われるが、近年、ロシアからの移民を中心とした右翼的なユダヤ人が増えてきて、対立が深まりつつあるらしい。記事は、アラブ人の Anas Deeb さんが経営する Azad というレストランが在特会のような者たちに連日妨害を受けていることを伝えている。

Citymonsters Haifa Bat Galim, by O*GE InteractiveGallery - Gaston妨害は、店が一人のイスラエル軍兵士の入店を断ったことに端を発する。これが「軍人差別だ」「ユダヤ人差別だ」として、店がつぶれるまでやる気らしい。経営者のアザドさんの話では、そもそも彼の店は「制服を着た人は入店お断り」という規則をたてていて、この規則は軍服だけでなく、学校の制服やボーイスカウトの制服にも適用されており、軍人を差別しているわけではないということだ。また、客の多くはユダヤ人だと言う。

出前をやっていたら、ぜひ頼むのだけど。

社会全体の不条理には素知らぬ顔をして、立場の弱い人につけこむ余地があったら、大勢でたかっていじめる。似ている…

ハイファの街の落書きの写真は O*GE InteractiveGallery - Gaston さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。私がいだく差別者のイメージによく似ている。ハイファには、いたるところにこういう怪獣の落書きがあるようだ。

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2010年 3月 21日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.20

スラムに住む

"Slum dwellers increased to 827 million" (マレーシア、Bernama)、"‘Slum dwellers have benefited, but not enough'" (インド、The Hindu)、"India, China lead in lifting people out of urban slums, UN says" (アメリカ、Christian Science Monitor) - 国連の Habitat (人間居住計画)がこのほど発表した報告書 "State of the World's Cities 2010/2011 - Cities for All: Bridging the Urban Divide" (報道資料)を紹介しています。

bianca, by darylgarza現在、世界でスラムに暮らす人々の数は8億2,700万人。10年前より5,500万人増えました。世界の総人口が67億人だということですから、地球上の約8分の1の人がスラムに住んでいることになります。なお、地球上で都市に住む人は34億9千万人だとのことなので、スラム人口は都市人口の約4分の1ということになります。スラム化が一番著しいのはサハラ砂漠以南のアフリカで、都市人口の61.7%にあたる2億人近くがスラムに居住しています。

10年前に比べて増えたと言っても、逆に10年前にはスラム環境であったけど、今回の調査では改善が見られた場合も多く、2億2,700万人が「スラムを出た」と考えられています。改善が目覚ましかったのは中国(スラム人口比率が37.3%から28.2%に減少)とインド(41.5%から28.1%に減少)でした。アジアではこのほかインドネシアとベトナム、アフリカではモロッコとエジプト、ラテンアメリカではアルゼンチン、コロンビア、ブラジルで大きな改善が見られました。

総人口増、都市化(都市圏の郊外への拡大や、都市間の幹線道路沿いへの人口集中)などにより、何か抜本的な対策が講じられない限り、今後も年間600万人の割合でスラム人口は増えるだろうと報告書は指摘しています。

報告書では、以下の条件のどれか一つを欠けば「スラム」と定義しているようです:「厳しい天候をしのげるような耐久性のある家屋」「一部屋を共有するのが3人以下」「安全な水を簡単に確保できる」「衛生的なトイレが使える」「居住の保証が確保されている」。

自分はとても幸せだと思います。少しでも幸せを分け合うようにしないと、ばちがあたると思う… でも、難しいですね。一人きりで生きているわけでもないし。

マニラの写真は darylgarza さんが CC-by-nd で公開しているものです。

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2010年 3月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.19

初の黒人神父の時代

Black Chicago priest, 1st in U.S., may become saint - アフリカ系アメリカ人の初の聖者が誕生するかもしれない。19世紀後半に生きた黒人の Augustine Tolton 神父を聖者に叙するべきかどうかについて、カトリック教会が調査を始めた。

Fr. Augustine Toltonオーガスティン・トルトンは1854年にミズーリ州で奴隷の子として生まれた。両親は隣合わせの農場に所有されていた奴隷だった。1862年に母親が彼とそのきょうだいを連れて逃亡し、イリノイ州に移り住む。そこで勉学の才能を教会の神父に認められ、それまで白人だけだった生徒の父母らの反対を押し切って、教会が運営する学校に入学を許可される。当時、アメリカ国内には黒人の学生の入学を許すカトリックの神学校はなかったが、彼の力量を信じた神父の取り計らいによって、ローマの神学校に留学することとなる。神学校を卒業後、彼はアメリカで「黒人初の神父」として活動することを任命される(トルトン以前に黒人の母親と白人の父親を持つ神父はいたらしい)。

白人の神父からは「あの神父が捧げるミサは正式な典礼とは認めない」と言われて白人信者に説教することを許されないこともあった。しかし、シカゴの地下室で始まった教会は、やがて大きく育っていった。新しい教会の建設半ば、激務で疲れ切っていた彼は猛暑の中、倒れる。享年43。

私は彼が聖者に列せられるかどうかは分からない。彼の物語は、むしろ、彼を支えた人たちの物語として読むべきなのかもしれないとも思った。彼が生きたのは、その生まれによって人が人を奴隷として所有することがあった時代だ。それがその時代の法律だったのだ。彼は、その出自により、教育の機会も均等には与えられなかった。それがその時代の「国民感情」だったのだろう。しかし、そんな中でも、彼の母は出奔して体制と闘ったし、何人もの神父が人々の反対を押し切って彼に教育を施した。彼の時代にも、訳知り顔に不平等を正しいことだと説く人がいる一方で、時代の秩序や思考の枠組みから踏み出し、100年後、150年後の世界にその尊い働きの価値を認められる人たちがいたということだ。

私も今日の限界を越え、未来に向かう力となりたい。

トルトン神父の写真は著作権保護期間が終了し、パブリック・ドメインになったもの。

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2010年 3月 19日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.18

アルメニア人の放逐

Turkish PM threatens to expel Armenian workers (AFP)、Turkey PM warns might deport up to 100,000 Armenians (Reuters) - 1915年にオスマントルコ帝国が起こしたアルメニア人の虐殺をアメリカとスウェーデンの議会が「ジェノサイド」と呼んだことに抗議して、トルコのエルドアン首相がトルコ国内に暮らす10万人近くのアルメニア人を強制送還する可能性に言及しました。

エルドアン首相の発言は英 BBC が行なったインタビューで出たもので、BBC トルコ語サイトにある "Erdoğan: 100 bin Ermeni göçmeni sınırdışı edebiliriz" という記事がそれのようですが、これを書いている時点では英語サイトにはまだ記事がありません。

Armenian village street, by imansariトルコ国内には約17万人のアルメニア系住民がおり、そのうちの7万人はトルコの市民権を持っているが、10万人は不法滞在者だということで、その多くは1988年の大地震の後にトルコに逃れて来た女性で、イスタンブールなどで子守りや清掃作業などの低賃金労働をしているのだそうです。

エルドアン首相は、アメリカやスウェーデンでジェノサイド批判の決議が出されたのは、アルメニア国外に住むアルメニア移民(ディアスポラ)が強い影響力を持っているためであるとしています。決議がトルコ・アルメニア間の関係修復の努力に悪影響を与えることを示すために「必要があれば、明日にでも、出て行け、自分の国に帰れと言うつもりだ。わが国にい続けさせなければならない必要はないのだから」と語ったようですが、不快の原因と行動の標的の間の心の道筋は、記事からは私には分かりませんでした。

「不法滞在している外国人を叩き出して、何が悪い」「昔のことを今の価値観で大虐殺などと言うのはおかしい」など、エルドアンの発言に「我が意を得たり」と思う人もいると思いますが、そういう話を聞くためにコメント欄を設けているわけではありませんから、その類の人は静かにお引き取りください。

イスタンブールのアルメニア人街の写真は imansari さんが CC-by-nc-nd で公開しているものです。遠くから見ると、トルコ人もアルメニア人も見分けがつかないんですけどね。日本の人と朝鮮の人みたいな感じなんでしょうかね。

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2010年 3月 18日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.17

謝罪の不十分さ

東ティモールのラモス・ホルタ大統領が来日中に語ったこととして、NHK は「東ティモール 治安権限移譲を」、朝日新聞は「東ティモール「12年までにASEAN加盟」大統領意欲」、毎日新聞は「東ティモール:ASEAN加盟の意向表明 大統領が東京で」という見出しがそれぞれ示すような部分に焦点をあてて報じました。これを書いている時点では、日経、読売、産経には記事がないようです。

The real life @ East Timor, by suguこれに対し、AFP 電は、"E Timor 'still needs Indonesia apology'" と題して配信していて、1975年に始まった24年間にわたるインドネシアの占領に関し、東ティモールの人たちがまだ「謝罪」が十分に行なわれていないと感じている点に焦点を当てていました。

今日、東ティモールとインドネシアの関係はおおむね良好だと認識していますが、ラモス・ホルタ大統領は「今でも唯一欠けているのが、私たちの苦しみを引き起こす指示を出していた人物たちによる謝罪だ」と語っています。東ティモールは、独立回復後、真実と和解委員会形式でインドネシアによる人権侵害の過去と向き合い、戦犯裁判の実施などを求めませんでした。だからこそ、心を尽くした謝罪が必要であるわけですが、記事によれば、インドネシアは2000年に東ティモールを訪問したワヒド元大統領が謝罪をしたものの、その後大統領となったメガワティ、ユドヨノ両氏などの指導者たちは謝罪まではいかず、遺憾の意の表明に留まってきたそうです。

私たち自身に目を転じると、これまでの日本の政府による「謝罪」は歯切れが悪くて、本当に謝っているのか「まずかった」と言っているだけなのか分からないようなものが多かったですし、それを許してきたのは「もう謝ったじゃないか」「いったいいつまで謝らせるんだ」みたいなことを厚顔に言う世論だったと思います。そう考えると、ラモス・ホルタ大統領の発言のうち、ここで取り上げた部分が日本で報じられないのは残念だと思いました。

もちろん、日本が戦時中にティモールを占領し、6万人もの犠牲者を出したこと、軍のために女性たちを慰安婦として拉致したことについて、鳩山首相がちゃんと謝罪したのかどうかも心配だったりします。

「東ティモールの実際の生活」と題された写真は sugu さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。Dili から Gleno に向かう道沿いの村だそうです。

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2010年 3月 17日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.16

鯨調査船帰る

Non-lethal whale research trip returns - 南氷洋でクジラの生態の調査にあたっていたニュージーランド、オーストラリア、フランス合同の調査船 Tangaroa (ニュージーランドの National Institute of Water & Atmospheric Research 所属)が6週間の航海を終え、ニュージーランドのウェリントンに帰港しました(オーストラリア政府の発表)。

Humpback Whale Fluke, by rubonix殺さないで行なうこの調査では、60余りの生検サンプルを取ったほか、30頭のザトウクジラへの発信器の取り付けによる行動範囲のデータ収集などが行なわれました。調査チームは、自然保護に向けた重要なデータを集めることができたと語っています。データはこれから分析され、6月にモロッコで開かれる国際捕鯨委員会総会で発表されるそうです。

調査は5年間続けられ、ザトウクジラ、ミンククジラ、シロナガスクジラと水上の氷やオキアミなどの関係、主なえさ場と北方のえさ場の間の移動パターンなどを解明することを目指しているそうです(オーストラリア海洋哺乳類センターのページ)。ビデオを見ると、至近距離から、もりを使って発信器を付けたり、皮膚のサンプルを取ったりするのですが、けっこう痛いんじゃないかなあ。殺すよりはずっといいのでしょうけれど。

クジラの数に関しては、調査団の団長がザトウクジラについてはある程度の回復傾向が見られるものの、シロナガスクジラについては往時の2%程度まで減ってしまったままだと語っています(豪エイジ紙の記事)。

殺さないで分かることは殺さないで調べ、少しでも捕鯨で殺すクジラの数を減らせるよう歩み寄りができるといいですね。

検索すると、英語でのニュースはものすごくたくさん出回っているのに、日本語の報道はまだ少ないみたいなので、記事にしてみました。

ザトウクジラの尾びれの写真は rubonix さんがアメリカ東部沿岸で今月はじめに撮影したもの。CC-by-nc-nd です。ビデオはニュージーランドの国立海洋大気研究所のサイトで公開されているものです。自由に埋め込めるようになっています。

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2010年 3月 16日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.15

イランの大学教員の使命

イランの国営メディア Press TV の記事 "Iranian MPs want secularism advocates out of universities" によると、イランの国会議員130名が大学にいる「世俗主義的」な教員を排除するよう所管大臣に要望書を提出しました。

Tehran University, by xxooox議員たちは、大学には「イスラム制度に敵対する勢力がいる」とし、「大学教員が最も力を尽くさねばならないのは、1979年イスラム革命の文化的メッセージの促進であり」「イスラム体制に敵意をいだく者たちの行為は許容できない。世界のどこを探しても、体制やその社会を律する原則を壊そうとする者たちに資金や機会を潤沢に与える国はない」と述べて、「イスラム体制の敵、世俗主義を唱えたり政府を弱体化しようとする勢力」に対して「毅然として断固たる」対処をするよう、Kamran Daneshjou 科学研究技術担当大臣に求めています。

体制側の報道でこうなのだから、異議を唱えている人たちに言わせたら、どんなふうなのでしょう。心配になります。大学教員の最大の使命は体制の維持だなんて言われると、無性に腹が立ちますが、私たちの近くにも、もっとひどい国とかあるのだろうなあと思います。と同時に、このイランの国会議員たちの言い分、すぐに「反日」とか言って騒ぎ立てる人たちにそっくりなのにも感嘆。

写真はテヘラン大学だそうです。Xxooox さんが CC-by-nc-sa で公開しています。テヘラン大学には私も立ち寄ったことがあるのですが、この場所は見た覚えがないなあ。

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2010年 3月 15日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.14

大戦時の虐殺の検証は続く

Austrian govt finds mass graves of Nazi victims - オーストリア南部のグラーツという都市にある陸軍施設の敷地内で、ナチスドイツによって虐殺されたと見られる遺体が数多く発掘されたとのことです。

Graz, by Luca Foppiano約70体見つかった遺体は、ソビエト軍が近づいてきた時、ナチスの SS によって残虐行為の証拠隠滅のために殺されたレジスタンス闘士や捕虜、強制収容所に入れられた人たち、強制労働をさせられていた人たち、そして撃墜されたアメリカ軍のパイロットなどと見られるそうです。この場所では200人を越える大虐殺が起こったことが知られており、そのうちで遺体がこれまで見つかっていなかった人たちが今回発見されたらしいです。

戦争当時アメリカ軍が撮影した航空写真をオーストリアの防衛省から委託された歴史研究者たちが最近アメリカ政府に請求して公開させ、それをもとに現地調査が行なわれて、遺体の発見に至ったということだそうですが、虐殺が起こって今年で65年。もっと早くできなかったものかとか、いや、これだけの時間が経った後でも真実を知ろうとする姿勢はすばらしいとか、いろいろ考えます。

記事は、また、虐殺に関与した人物が2人まだ生きているかもしれないということを伝えています。今という時の重要さを思い知らされます。

私たちの国でも、昔は「10フィート運動」とかありましたが、最近はどうなのでしょう。また、日本が侵略した国々に関する資料だって、まだまだ眠ったままのものがあるのかもしれません。

Graz 市街の写真は Luca Foppiano さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。とても美しい街のようで、行きたくなるような写真がたくさんありました。ちょっと暗めのものを選んでみました。

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2010年 3月 14日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.13

ドブネズミは正義の味方

Rats used to clear land mines, increasing opportunities for development - 長年の戦乱で多くの地雷が敷設され、その脅威に今も怯えるアフリカのモザンビークでは、ドブネズミが地雷の除去に活躍しています。この記事は allAfrica.com で配信されてきました。

Giant Pouched Rat, by algaedoc地雷を嗅ぎ分けるのはアフリカオニネズミ(Giant Pouched Rat)というかなり大柄なドブネズミです。APOPO という団体(何の略称か分かりませんでした)が TNT 火薬を嗅ぎ分けるように訓練し、ロープに沿って歩かせて地雷を探します。人が金属探知機で調べるのよりずっと効率よく地雷を見つけることができるそうです。

地雷除去には今まで犬が使われてきました。完全に犬に取って代わることはできないみたいですが、犬は訓練に一頭あたり20,000ユーロから24,000ユーロ(約250万円から300万円)かかるのに比べ、ネズミは5,000ユーロ(約62万円)で済みます。また、地元にいる動物であるため、病気への耐性も持っています。さらに、犬は特定の作業者にしかなつきませんが、ネズミはだれとでも仕事ができるそうです。

下のビデオで、ネズミが実際に地雷を探しているところを見ることができます。安心してください。地雷を踏んでネズミが死ぬ場面はありません。地雷は5キロとか9キロとかの重さがかからないと爆発せず、ネズミは1.5キロから2キロぐらいなので、踏んでも爆発しないそうです。私はこの説明を読む前にビデオを見たので、とてもはらはらしました。みなさんからスリルを奪ってしまったのは謝らなければならないかもしれません。

地雷が埋まったままの土地は、不幸な人を死に至らしめたり手足を奪ったりするだけでなく、立入禁止にしてしまったら、それはそれで、農業などに使えず、そのコミュニティの生産性を低いままにしてしまいます。モザンビークの人たちにとって、アフリカオニネズミたちは、まさに、正義の味方、ヒーローであるようです。

世の中、特にネットでは、ミサイルだの戦闘機だの戦車だののことを好んで語る人たちが幅をきかせています。そんな中で、平和を取り戻す営みに関する本当に地味なこの記事に目をとめ、最後まで読んでくださったあなたに心から感謝します。

写真はタンザニア産のアフリカオニネズミ。Algaedoc さんが CC-by-nc で公開しています。ビデオAPOPO が YouTube で公開しているものです。

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2010年 3月 13日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.03.12

高校生と差別

Poll: 46% of high-schoolers don't want equality for Arabs - イスラエルの Ynetnews の記事。同国で行なわれた高校生の意識調査の結果です。Maagar Mochot 研究所というところが行なった調査だそうです。

 האדם החושב by galit lub半数近い46%の生徒が「アラブ系市民にはユダヤ系市民と同等の権利を与えるべきではない」と答えました。調査対象にはアラブ系の高校生も入っていたようなのですが、この数字の母数に入っているかは記事からは分かりません。この平等に関する答えは、公立高校とユダヤ教系の学校とで大きく隔たっていて、不平等であるべきと答えた公立高校の生徒は36%であるのに対し、そう答えたユダヤ教系の学校の生徒は実に82%にのぼります。

同性同世代のアラブ人の友だちを持つ気があるかと尋ねたところ、答えは、全体では32%が「嫌だ」でした。公立高校では23%、宗教系の学校では81%。

アラブ人は国会の参政権を持つべきかという問いには、全体の56%、公立校の47%、宗教系学校の82%の生徒が「持つべきではない」と答えました。

「アラブ人に死を」という標語が民族差別的であるかについては、全体の21%、公立の16%、私立の45%が差別的ではないと答えたそうです。

他にも、自分が入植者だったら入植地の放棄に応じるかとか、エチオピアからの(肌の黒い)移民といっしょのクラスで学ぶ気があるかとかについての答えが報じられています。

たぶん彼らは、イスラエルはユダヤ人が作った国だからとか、アラブ人は「テロリスト」だからとか言って、自分たちの考え方を正当化するでしょう。でも、外から、より客観的に見ると、言い分はどうあれ、差別的な考え方を持っている人がずいぶん多いのだなとしか見えないと思います。

「高校無償化から朝鮮学校を除外すべきだ」と考える人が半数以上だという私たちの国も同じです。

「考える人」と題された写真は、イスラエルの学校でストライキ中の教員とその生徒たちだそうです。galit lub さんが CC-by-nc-sa で公開しているものです。ここにいる生徒たちは、より開かれた精神を持っていると思うのですが、どうでしょうか。

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2010年 3月 12日 午前 12:00 | | コメント (20) | トラックバック (3)

2010.03.11

燃える南アフリカ

S.Africa protests spread ahead of soccer World Cup - ワールドカップまで100日を切りましたが、開催地の南アフリカでは生活水準の改善を訴える抗議行動が日を追って増えてきているそうです。

Soweto, como puede verse, by Adriano Morán10日には、ヨハネスブルク近郊のソウェト(アパルトヘイト時代に黒人居住区とされていたところ)で千人あまりの市民が競技場近くの道路を封鎖してデモを行ないました。この日のデモは平穏なうちに解散となったようですが、タイヤを燃やす群集に警察が発砲するなどの事件も起きており、「アパルトヘイトのころを思い出させるような光景」が見られることもあるようです。

人々は、住宅環境、学校教育、道路、下水道の整備などを求めており、ワールドカップ開催中も抗議行動を続ける構えのようです。記事は、昨年大統領に就任したジェイコブ・ズマは今でも「貧しい者の味方」だというイメージを保っており、自分たちの声を聞いてくれる人がいると信じているからこそ、人々は声を上げているのだろうという専門家の分析を伝えています。

あ、そうか、私たちがあまりデモとかをやらないのは、どうせ耳を傾けてくれる人がいないと思っているからなのかもしれませんね。

ソウェトの写真は Adriano Morán さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。選ぶのに困るほどいい写真がたくさんありました。私自身ソウェトに行ったことがあるのは以前書きましたが、街の中が多様で一枚の写真では伝えきれないと思い、あえてさらっとした写真を選んでみました。

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2010年 3月 11日 午前 12:12 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.10

服役囚にも選挙権

Prisoners must be allowed to vote, Council of Europe warns Britain - 服役中の受刑者に選挙権を認めないイギリスは至急、状況を改善する必要がある。ヨーロッパ委員会がイギリス政府に対し、強い勧告を行ないました。

European elections 2009, by European Parliament記事によれば、イギリスでは服役囚の公民権が停止されており、選挙で投票ができません。これに関しては、6年前に John Hirst さんという当時の服役囚がヨーロッパ人権裁判所に提訴して、勝訴しているとのことです。ヨーロッパ委員会の勧告は昨年末に続き、2回目。次回の総選挙までに服役中の受刑者に投票権が与えられないならば、ヨーロッパ人権規約の違反とみなされるであろうと述べています。イギリス政府は今のところ、投票権の停止は応分な刑罰であるという見解を変えていません。

日本でも、服役囚に対しては公民権停止措置がとられています。刑務所の中には、最高裁判事に×を付けたい人がいっぱいいるだろうと思いますが、確かにその権利を認めないのはおかしいように思えます。「こんな法律を作った議員は嫌だ」と考えている受刑者もいるでしょう。でも、まだ議論は緒にもついていませんし、出だしを急ぎすぎると、すぐつぶされるでしょうねえ。議論には死刑廃止よりも更に時間がかかるような気がします。

記事では、イギリスの Unlock という元受刑者の団体が紹介されていました。日本にもそういう団体はあるのでしょうか。

写真は昨年のヨーロッパ議会の投票のようす。ベルギーで撮影されました。刑務所ではないと思います。European Parliament が CC-by-nc-nd で公開しています。

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2010年 3月 10日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.09

空港で拘束されたイランの詩人

La poétesse iranienne Simin Behbahani empêchée de venir en France - 国際女性の日だった8日、イランの詩人 Simin Behbahani さんはパリ市長の招聘のもと、パリでフェミニズムと女性に関する詩について講演を行なう予定だった。しかし、前日、テヘランの国際空港に来たシミン・ベフバハニさんは当局に拘束され、出国を許されなかった。

Simin Behbahani, by Fakhradin Fakhraddini「国民的詩人」とも評されるベフバハニさんは82歳。4年前の国際女性の日には、テヘラン市内のフェミニズムの集会に出席中、警官に殴られたこともあると記事は伝えている。

昨年、反体制デモに参加して射殺されたネダさんに、彼女は「あなたは死んでもおらず、死にもしない。/あなたはいつまでも生き長らえるのだ。/あなたは永遠の存在になったのだ。/あなたはイランの人々の声なのだ。」という短い詩を贈っている

ベフバハニさんの写真は Fakhradin Fahkraddini さんが CC-by-sa で公開しているもの。

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2010年 3月 9日 午前 12:06 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.08

731部隊跡が平和公園に

人民網英文記事 "China to build park marking Japanese army's inhumane experiments"、新華網中文記事「哈尔滨侵华日军“731”遗址将建和平主题公园」。中国北東部の黒竜江省ハルビン市が、日本の中国侵略当時に日本陸軍の731部隊が使っていた建物の周辺を731遺址公園として整備する予定であることを発表しました。

Remains of Unit 731 base, by felibrilu細菌戦の人体実験、生体解剖などを行なっていた悪名高き731部隊。戦争犯罪という負の歴史を風化させないようにしようという努力は、どの国にあっても大切なことだと思います。記事は、この公園が平和をテーマとするものになると伝えています。戦争の記憶が安易な民族主義の高揚に堕してしまわないためには、過ちを犯した側にも、歴史をしっかりと受けとめ、反省することが求められていることは言うまでもありません。公園のどこかに、日本政府の謝罪の碑でも建てられるといいと思うのですが… できることなら、そういうのを日本のほうから呼びかけられたらいいのにと思います。でも、きっと外交関係というのは、そんなに簡単なことではないのですよね。

公園の予定地は工場労働者のスラムだったところで、昨年から立ち退きをさせられているそうで、それはそれで心配でもあります。

写真は felibrilu さんが CC-by-nc で公開しているものです。

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2010年 3月 8日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.03.07

歩く勇気

GPS guiding blind man on trail - アメリカの東海岸に、南部のジョージア州から北東の端のメイン州までの約3,500キロを貫く自然歩道アパラチアン・トレイル(Appalachian Trail)がある。今、一人の盲目の男性がその踏破に乗り出した。

Virginia 2006, by hawkwing3141Mike Hanson さん、44歳。生まれた時から目が見えなかった。GPS機能付きの携帯に可能な限りの経路情報を入れ、先週、ジョージアから歩き出した。1日あたり24キロほど移動して、7か月かけて歩く予定だ。

山あり谷あり。森の中の道なき道も、岩場もある。他人事ながら心配になってしまうが注1、ハンソンさんの勇気に敬意を表したい。私も彼から元気をもらおう。

写真はバージニア州ポカホンタス付近の山道。Hawkwing3141 さんが CC-by-nc-sa で公開している。

注1: GPSを持っていると言っても… 私は、カーナビがあっても交差点を曲がり損ねます。私が不器用なだけかもしれません。

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2010年 3月 7日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.03.06

海南島慰安婦裁判の行方

去る2日に最高裁で、中国の海南島で日本軍の慰安婦にされた8人の女性たちが起こした裁判に対して上告棄却の決定が出されました。あまり広く報道されてはいないみたいなのですが、毎日新聞に記事があるほか、この裁判に関わった弁護士の杉浦ひとみさんがブログに記事を書いていらっしゃいます。

海南島紅色的人, by mingsho一審では請求の期限が切れているという理由で、二審では日中共同声明で中国は個人賠償請求権を放棄したからという理由で、原告は敗訴していたそうです。この日の棄却は、一二審の判断を支持するものです。

人民網英文記事 "Japan's unilateral interpretation of Sino-Japanese Joint Statement invalid: FM spokesman" や光明日報「秦刚就日最高法院终审驳回中国慰安妇赔偿上诉答记者问」によれば、この最高裁の決定について中国外交部の秦剛報道官は「中日共同声明は両国の政府の間の厳粛な政治文書であり、日本の裁判所が勝手な解釈を出すのは法にかなったことではなく、無効である」と反論しました。

私の素人考えだと、日中共同声明には中国政府が賠償請求を行なわないとしか書いてないように思えます。おそらく秦剛報道官もそう考えていて、それを個人賠償請求権も放棄したようにとらえるというのが日本の勝手な解釈だと言っているのでしょう。

中国政府が真剣にこのことを考えるのであれば、今後、この問題は国際司法裁判所で争われることになるのかもしれません。

日本の戦争責任あるいは戦後責任をはっきりさせるという意味では、この展望は望ましいものだと思えますが、80歳を過ぎた原告のかたがたにとっては、あまりにも残酷な時間のようにも思えます。

挿絵は mingsho さんの「海南島紅色的人」と題された絵。CC-by-nc-sa で公開されています。慰安婦の問題とは直接関係はない絵だと思いますが、無意識に関連付けてしまったのでしょう、私は見た時、はっとしてしまいました。

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2010年 3月 6日 午前 01:22 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2010.03.05

弔う母たち

Pressure firms helping Iran govt: Ebadi - イランの人権弁護士シリン・エバディさんが繰り返しイランの政権との向き合い方を語っている。これは3日にニューヨークで行なわれた講演に関する記事。

They Killed My Bro Koz He Asked: Where's My Vote, by Hamed Saberエバディさんは、一貫して、イランへの軍事攻撃や経済制裁は逆効果だと主張している。市民を苦しめるだけだから。彼女が求めるのは、イラン政府に携帯電話の管理ソフトウェアを提供したノキアやジーメンスなどのハイテク企業や、依然として取り引きを続けていると見られる軍事産業などに圧力をかけることだ。それらの会社の技術が市民の拘束などにつながっているからだ。

Shirin Ebadi さんは、また、イランの改革運動に女性の力が大きく関わっていることを指摘している。「デモの参加者は女性のほうが多いくらいです」と彼女は言う。「イランの弔う母たち」(Mourning Mothers of Iran)というグループが、集会を開くたびに殴打に遭いつつ、諦めずに活動を続けていることを紹介し、彼女たちが民主化の中心となるだろうと述べている。

私は例の「悪の枢軸」という言葉に毒されてしまっているのか、イランの「緑の運動」の話を聞くたびに北朝鮮のことを考えてしまう。市民を傷つけない接し方とはどんなものなのか。北朝鮮の「弔う母たち」はどこにいるのか。私たちがやるべきことは、港を閉ざすことではなく、彼女たちを探しに行くことではないだろうか。

写真は Hamed Saber さんが CC-by で公開しているもの。昨年6月17日、テヘランで撮影。女性が掲げるプラカードには「『私の票はどこに行ったの?』と聞いたために、私のきょうだいは殺された」と書いてあるそうだ。

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2010年 3月 5日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.04

生まれ変わる西岸の村

Palestinian village known for protests sees cultural rebirth - ヨルダン川西岸地区のニリン村(Nilin, Ni'lin)では過去2年間、毎週金曜日に隔離壁の脇で抗議行動が行なわれてきた。シュプレヒコールを上げ、少年たちがイスラエル兵に向けて投石する。

Ni'lin, by rpb1001そのニリンで起こりつつある文化的な復興を記事は伝えている。復興の中心は200年ほど前、オスマントルコの支配下で建てられた要塞の再建だ。1967年の第三次中東戦争の時、所有者がイスラエル軍の侵略を逃れてニリンを去った後、廃墟と化していたこの要塞は、スウェーデン政府(国際開発協力局)の資金援助で建て直された。今では公民館として、バンドの練習やパソコン教室、会議などに使われている。記事によれば、スウェーデン政府は2002年以来、1,500万ユーロ(約18億円)をかけて、西岸地区の100以上の建物の修復を行なってきた。

若者たちの未来を作る場所にするというのがこの新しい要塞のテーマだ。有名な音楽家になって自分たちがどのようにイスラエルの占領を拒絶したかを音楽で表現したいと15歳の少年が語る。金曜日の抗議集会の呼びかけ人は「イスラエルの検問所で本を読むのも抵抗だ。このことを多くの人が確信するようになってきた」と語っている。

久しぶりに明るいニュースをお届けすることができた。資金援助の話については慎重に検証したりしないといけないのかもしれないけど。そういえば、日本政府の「平和と繁栄の回廊」構想はどうなったのだろう。こういう明るい話題の種になっていればいいのだけれど。

投石するニリンの少年の美しい写真は rpb1001 さんが CC-by-nc で公開しているもの。観た人がコメントに「ダビデとゴリアテのよう」と書いている。まさに。

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2010年 3月 4日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.03

テロの賞賛

Spain jails Basque leader for 'glorifying terrorism' - スペインで、バスク民族主義政党 Batasuna の指導者 Arnaldo Otegi さんに「テロリズムを賞賛した」罪で懲役2年の有罪判決が出た。バタスナ(団結)はバスク地方の独立を目指して半世紀にわたり武装闘争を続けてきた ETA の政治部門と見なされており、2003年に非合法化されているらしい。

arnaldo-otegi-ertzaintza, by www.ukberri.net2005年に開かれた収監中の活動家への連帯集会でのオテヒさんの発言が「テロの賞賛」にあたると認定されたようだが、スペインのエル・パイス紙("Dos años de prisión para Otegi por enaltecimiento del terrorismo")などを見ても、オテヒさんが「ETA の旗を振り」、その活動家が「政治囚であり」「ネルソン・マンデラにも匹敵し」、その投獄は「まったく不適正であり明らかに間違っている」と述べたと書いてあるだけで、これだけで有罪になるというのは、私にはかなり不思議に思える。

ETA の武装闘争が人々に痛みを与えてきたことは分かるが、それを封じ込めるために制限される言論の自由はかなり大きいようだ。

この件についていろいろ読んでいたら、バタスナは Bateraguna という組織として再出発するという話があった。来年の地方選に候補を擁立するらしい。

ETA にしろ Batasuna にしろ Bateraguna にしろ、検索しても「公式サイト」みたいなものを見つけることができなかった。ご存知のかたがいらっしゃったら、お教えいただければ幸いだ。まあ、バスク語で書かれていて、読めないだろうが、リンクとか張っておきたい。

アルナルド・オテヒさんの写真はバスクのニュースを配信する ukberri.net が CC-by-nc で公開しているもの。

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2010年 3月 3日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.02

高校無償化法案と北朝鮮制裁

国会で審議中のいわゆる高校無償化法案に関して、朝鮮学校を適用から除外しようという話が出ています。そのような動きを押しとどめようという要望書への賛同が募られています。明日(3月3日)の朝7時までです。

越田清和さんらの呼びかけによる「「高校無償化」制度の朝鮮学校(高級部)への適用を求める要請書」をお読みの上、賛同をご検討ください。

政府が適用除外の方針を変えない場合、おそらく別の理由づけをすると思いますが、私たちはみな、この問題が日本人誘拐事件を引き起こした北朝鮮に対する制裁措置の一つとして提案されたことを知っています(沖縄タイムスの社説)。

Pyongyang, DPRK (North Korea). February 2010, by adaptorplugしかし、国籍が「朝鮮」であっても、そしてその国籍を持つ者としての誇りを学校で教わっているとしても、日本に生まれた子どもたちには何の罪もありません。

この話を聞いた時、一番最初に頭に浮かんだのは、第二次世界大戦当時の北米で行なわれた日系人の強制収容でした。10万以上の日系人が、「敵性外国人」であるとして、財産を放棄させられ、住み慣れた街から追い立てられました。当時の多くのアメリカ人の人権意識はまだ十分に成熟しておらず、これを当然のこととして受け入れていたのでしょう。

パールハーバーが彼らの恐怖であったように、私たちは核開発だのテポドンだのへの怖れをかきたてられ、その国に連なる人を疑い、その子どもたちに制裁を加えようとしています。私たちの人権意識も甚だ不完全で、今はこれを許してしまうのでしょうか。

この記事に添えるのにふさわしい写真が見つかりませんでした。ちょっとズレてしまうのですが、上の写真はピョンヤンの子どもたち。Adaptorplug さんが CC-by-nc で公開している先月7日撮影の写真です。よく見ると、Puma とか Nike って書かれた帽子をかぶっています!

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2010年 3月 2日 午前 12:00 | | コメント (6) | トラックバック (3)

2010.03.01

刑務所で学ぶ

Private colleges bring back higher ed to prisons - 米国北東部コネチカット州の Cheshire Correctional Institution という刑務所では、昨年秋から近隣の大学から講師が来て受刑者たちに大学の授業を教えている。

Boise's Old Pen, by Peach Tea授業を担当しているのはコネチカットにある有名なリベラル・アーツ系の Wesleyan 大学。10校ほどの私立大学が共同して運営費を負担している。先学期から始まったこのプログラムでは18人の受刑囚が週に1回、2つの授業を受講している。18人のうち6人は殺人犯。120人ほどの応募者からの選考過程では罪状は考慮に入れられなかった。ウェズリアン大学は正式な単位を出しているが、最終的に学位を授与するかどうかはまだ決まっていない。お隣のニューヨーク州では、同じような刑務所でのプログラムで学位を出している大学もあるようだ。

アメリカでは、かつてはこのような授業がかなり行なわれていたようなのだが、1994年に受刑者が奨学金に応募することが禁止されて以来、刑務所での教育はなくなってしまっていた。

記事では、学生たちがとても前向きに勉強に取り組んでいることなどとともに、犯罪被害者の家族団体が反対していることが紹介されている。

私たちの国ではどうなっているのだろう。放送大学とかなら勉強できるのかな。

アイダホ州の刑務所の写真は Peach Tea さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。

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2010年 3月 1日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

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