アウシュビッツの教訓
去る1月27日はアウシュビッツ強制収容所が連合軍によって解放されてから65周年の日でした。地元ポーランドのカチンスキ大統領やイスラエルのネタニヤフ首相らが参列して追悼式典が営まれました。
Arab MP to attend Holocaust memorial - この式典にイスラエル議会(クネセト)の議員代表団の一員としてアラブ系の議員が参加したことが論議を呼んでいます。アウシュビッツに赴いたのはイスラエル共産党(アラブ系市民とユダヤ系市民の両方からなる唯一の政党だとのことです)委員長の Mohammed Barakeh さん。アラブ系議員が参加することによって、ホロコーストを政治利用しようとするシオニストたちのやっていることに正当性を与えてしまうことを危惧して、彼の出席を批判する声が強いようです。
バラケ議員は「いかなるレイシズムやジェノサイドにも反対であるという私の極めて明確な立場を示すためには、行けるところにならどこにでも行くのが私の責務だ。ホロコーストという人類の、とりわけユダヤ人の被った大きな悲劇の教訓とは、そのような犯罪が許される余地はないということでなければならない」と述べ、現在イスラエルがパレスチナの人々に対して行なっていることの犯罪性、欺瞞性と抗うためにもアウシュヴィッツに行くことは正しいのだという決意を語っています。
彼の信念がパレスチナの地の正義と平和となって実を結ぶことを祈る、としか言いようがありません。
話が非常に卑近になるのですが、中国の人権問題、とりわけチベットとかウイグルの問題をめぐる言説が私たちの国では国粋主義者たちの独壇場となっていて、民族的な偏見を嫌う者には入りづらいという状況を思い出しました。バラケ議員なら、迷いもなく発言していくだろうな、と思います。私はそういうふうになれるでしょうか。
アウシュビッツの写真は harshilshah100 さんが CC-by-sa で公開しているもの。建物ではなく、前景の鉄条網に焦点が合っていることに私は戦慄しました。
2010年 1月 29日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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コメント
イスラエル共産党についてはノーマークでした。なにかネタが見つかりしだい、また書いてくださいな。
川‘▽‘)
投稿: はなゆー | 2010/01/29 6:34:54
はなゆーさん、こんにちは。
イスラエル共産党のウェブサイトで今回のアウシュビッツ訪問を論じているページはここです:
http://www.maki.org.il/index.php?option=com_content&task=view&id=6496&Itemid=106
投稿: うに | 2010/01/29 23:54:43