屋根の下に住むために
Eliminating Slums - 南米のチリは、来週、OECD に加盟する。いわゆる「先進国」入りを果たすわけだ。一人当たりの所得水準が上昇しているだけでなく、チリでは貧困の撲滅についても果敢な取り組みが行なわれている。
1990年には38%だった貧困率が2007年には13%にまで下がった。1,800万人ほどの人口を持つチリで、スラムに住む家庭は20,000世帯ほどだ。1997年には126,000世帯、2007年には29,000あったことを考えれば、いかに急速に貧困対策が行なわれているかが分かる。チリでは、今、今年9月18日の独立200周年を目標に、劣悪な住環境の構造的な根絶が図られている。
記事は、スラムでの家作りに取り組んでいる Un Techo para Chile (チリに屋根を)という団体を紹介している。木材を提供し、ボランティアの若者とスラムの住民がいっしょに家を作るのだ。この NPO を作ったベリオス神父は「気を緩めるわけにはいかないが、チリはスラムのない南米最初の国になるだろう」と語る。
Un Techo para Chile とユニセフがまとめて今週公開した "Vivir en campamentos: la voz de los niños" (ウェブでは見つけられなかった)は、スラムに住む千人以上の子どもたちへのインタビューを含む報告書だ。全国的には、小学校で学校に来なくなる児童は0.98%、中学校で6.8%。スラムに住む子どもたちの調査では、13.3%が学校に行かなくなっている。スラムに住む子どもたちの30%は一人用のベッドに寝ることができない。多くはきょうだいといっしょに寝るわけだが、20%は家族以外の人とベッドを共有している。
日本では、劣悪な住環境のもとに暮らす人はもっと少ないかもしれない。しかし、チリとは逆に、増えていっているのかもしれない。
Un Techo para Chile の家作りの写真は★ Eɳcɑɳto さんが CC-by で公開しているもの。
2010年 1月 9日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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