冷たい声
この週末、カルデロンのり子さんが通い始めた中学校の近くで「不法滞在外国人を叩き出せ」などと叫ぶデモが行なわれたことを知りました。カルデロンさん一家をめぐる経緯について、論じるべきことは多くあると思いますが、親と引き離されようとしている13歳の子どもの耳に届くところで「犯罪者」だの「出ていけ」だのシュプレヒコールをするというのは、何とも思いやりのないことだと思います。
滞在資格を持たない外国人、別れわかれになりつつある家族、小学校を卒業したばかりの子ども(たぶん、まだ新聞だって読みこなせないと思います)。カルデロンさんたちは、いろいろな意味で弱者です。意見の正否はともかくとして、そういう弱い立場の人をののしることによって自分が何かよいことをしていると思い込む人って、どんな人なのでしょう。
子どもに残酷な心の傷を与えかねないことを知りつつ、学校の横を通るデモ・コースを許可した蕨警察署もひどいと思います。排斥を唱える人々と警察という権力が不連続ではないとも考えてしまいます。
2009年 4月 13日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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カルデロンのり子さんとカルデロン一家について、そして、レイシズムとヘイトスピーチについての、メモの追加。
●Nameless Here Forever More U... 続きを読む
受信: 2009/04/13 0:42:25
» 100人で3人をいじめるデモが行われる国 トラックバック 5号館のつぶやき
いくつかのブログで取り上げられていて、YouTubeに映像も上がっていますが、信じられないデモが行われたようです。マスコミでは報道されない可能性も高いので、記録の意味も込めて書いておきます。おおもとのニュースソースは、以下のブログです。
いまさらだけど、在特会デモがサイアクだったので、カルデロン一家問題について少しだけ言っておく。(*minx*)
「追い出せデモ」から考える、「ポスト社会運動」の影響力について(荻上式BLOG)
[思ったこと]カルデロン一家追い出しデモについて(捨身... 続きを読む
受信: 2009/04/13 8:54:32
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コメント
私もこの出来事知りませんでした。
一昔前なら、新聞などで取り上げられたのでしょうけど、「今は昔」の時代の流れを改めて感じ、やるせなさが一層込み上げて来ます。
また、拝外主義というのか、今回のような動き(在日の人達に対する一貫した流れは別にして)は、ヨーロッパとかで起きていることは知ってましたが、それが日本で起きることは想定していなかっただけにショックです、世の中の流れを見ていれば、いつ起きても不思議ではなかったのでしょうが。
小泉・石原が持てはやされる世相を如実に表わしているのでしょうね。人権後進国と言われて久しいですが、そんなことは完全に通り越して、世の中はヒットラー願望に向けて邁進しているような気がしてなりません。
投稿: pepita | 2009/04/13 7:05:53
>親と引き離されようとしている13歳の子ども
これは、明らかに間違っています。
彼女には、祖国フィリピンで一家仲良く暮らすという選択肢もありました。
彼女たちは自ら望んで離れて暮らすことを選んだのです。
投稿: 旅の者 | 2009/04/21 8:23:05
pepitaさん、
返事が遅くなってすみません。
全般的に日本の人権レベルはそんなに悪くはないと思うのですが、それでも心の痛む出来事は気になります。
旅の者さん、
あれを「自ら望んで」と形容するのですか。まさに「冷たい声」を聞いた気がします。
「親か祖国のどちらかから引き離されるという不条理な選択を強いられた」という言いかたのほうが正確だと思いましたら、そう読み替えてください。
投稿: うに | 2009/04/21 15:26:56