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2009.01.20

図書館の民営化

東京都文京区が区立図書館の民営化を実施しようとしていることを知った(gnarly さんのブログ記事)。文京区は来週の26日まで意見を受け付けているそうで、文京区に住んでいなくても「公共図書館を利用する立場」から意見を言えるとのことだ。私も何か書こうと思う。文京のよりよい図書館をつくる会のサイトに区による説明会の日程などが載っている。

文京区は図書館の管理運営を民間に委ねることによって開館日を増やしたり開館時間を延ばしたりできると主張している(区の広報、PDF)。しかし、日本図書館協会は民営化による経費節減努力は労働条件の悪化をもたらし、図書館員の質の低下は免れ得ないとして、公立図書館に指定管理者制度の適用はなじまないとする意見を昨年12月にまとめている(PDF)。

2008年6月の調べでは(PDF)、すでに大きなところでは広島市、北九州市、千代田区、大田区、杉並区、足立区が民間企業への委託を行なっており、71の市区町村が導入を検討しているらしい。決して多いとは言えないが、重く受けとめるべき数字だと思う。

ところで、カレントアウェアネス・ポータルで「文京区」って探しても、何も出ない。親切な司書さんが必要だ。

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2009年 1月 20日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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この記事へのトラックバック一覧です: 図書館の民営化:

» とあるブログを見て眠れなくなった... トラックバック 丸山高弘の日々是電網 The First.
相変わらず、「指定管理者制度」と「民営化」を誤解している記述に、どうしても一言いいたくなってしまう。 まずここ  ・拙速な文京区の図書館民営化計画にストップを!  ・図書館の民営化  ・文京区の図書館があぶない! 文京のよりよい図書館をつくる会 用語の使い方が、ちょっと煽動的な印象があります。 そもそも「民営化」とは、日本国有鉄道が株式会社化されジェイアールになったりとか(JRの場合はさらに分割しましたが)、日本専売公社が日本たばこ産業株式会社 (JT) になったりとか、... 続きを読む

受信: 2009/01/22 2:08:10

コメント

記事紹介リンク、ありがとうございます。
自分も図書館利用者の立場から、職員のかたの不利益にならないようなかたちで、これまでのライブラリの資源と機能が維持・存続されることを希望しています。
文京区に利用者のみなさんの声が届くとよいのですが。

投稿: gnarly @はてな | 2009/01/20 2:09:09

いつもそっと読ませていただいています。

確かに指定管理者制度というのは、労働者にとってはあまり良い制度とは思えません。単に納税者の立場から考えれば、経費の削減は歓迎すべきことでしょうが、請け負った側から見れば、一番抑え易いのは結局人件費です。

知り合いにそういうところで働いているひとがいますが、はっきり言って、ワーキングプアの一歩手前という感じです。彼は、住まいと食べ物、それに伴う光熱費などで手一杯で、文化的な楽しみなど望めないといっています。文化や福祉に携わる人間が一番そこから遠いところにいるというのは笑えない冗談のようです。

しかも、指定管理は入札によって一定期間請け負うものなので、入札に失敗すれば職場も収入も失ってしまう可能性もあります。

そのような環境ではどこかにひずみが出てくる恐れはあるでしょう。一人ひとりは真摯に仕事に取り組んでいますが、どこか個人の犠牲のうえに成り立っているように思えてなりません。

投稿: ぱら | 2009/01/21 0:46:42

gnarly @はてなさん、こんにちは。

とても重要な話に気付かせていただきました。ありがとうございました。今後どうなるか心配ですね。


ぱらさん、こんにちは。

まったくおっしゃるとおりだと思います。文化の名のもとに、働く人を虐げる職場が作られていきそうですよね。そう考えると、「働く者」の立場からも意見を書きたくなります。

投稿: うに | 2009/01/21 10:45:20

基本的に、「指定管理者制度」と「民営化」はまったく違います。タイトルで目を引きたいのは解りますが、その用語の使い方が大きな誤解を招きます。

この手の話でまっさきに気になるのは、地元の図書館友の会等の市民団体が、なんで指定管理者そのものに手を挙げようとしないのか...なんです。市民団体が指定管理者になることで、館長以下職員の人事は市民の手にゆだねられるのです。これは米国の公共図書館における「図書館委員会 Library Board」の日本版ということもできると考えています。

せっかく、「市民の手による公共図書館の運営」という使い方もできる指定管理者制度なのですから、むしろ「営利企業にはやらせないぞ!」くらいの市民活動があってもいいんじゃないでしょうか。

投稿: まる3 | 2009/01/22 1:46:04

「指定管理者制度」イコール「民営化」ではないと思いますが、実態として企業任せにすることが多いのではありませんか?

市民運動は待っていても始まらないので、まる3さんが先頭に立って文京区で運動を始めるなら、私も遠くからですが応援します。

投稿: うに | 2009/01/22 15:09:16

うーん。どうでしょうか。
「図書館友の会」が手を挙げて管理者になったら別に新たな友の会が要るのはともかくとして、入札ですので当然管理者になれない場合もあります。区側や選ばれた企業・団体と「微妙」になるような気もします。

そもそも制度導入に懐疑的だった場合、手を挙げるということはしないというのが普通でしょうが。

投稿: くうねるよむ | 2009/01/23 1:52:44

市民本位の運営に結びつけていくような文化的なインフラが存在しないということですよね。図書館の運営よりもずっと大きな問題の一面を私たちは見ているのかもしれません。

投稿: うに | 2009/01/24 10:33:58

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