バシールとワルツを
Waltz with Bashir - イスラエルのアリ・フォルマン監督によるアニメ映画「バシールとワルツを」のサイトです。1982年のレバノン戦争の際にベイルート近郊のサブラとシャティーラのパレスチナ難民キャンプで起こされたキリスト教民兵組織による虐殺事件を描いています。この虐殺を支援したイスラエル軍部隊兵士が主人公です。彼は長らく、自分の頭からこの虐殺事件を消し去っていましたが、二十年以上経って、悪夢でうなされるようになり、その原因を探っていくうちに事件のことを思い出していく、という設定のようです。
半年ほど前にカンヌ映画祭に出品されたようですが、このたびイギリスで公開されたらしく、インディペンデント紙 "War, death and animation: Cartoon film stirs Israel's conscience" などに紹介記事が載り、気がつきました。日本でも来週、東京フィルメックスという映画祭で上映されるようです。おりしも、明日(19日)締め切りの抽選で招待券がもらえる企画があります。
「バシールとワルツを」はイスラエルでは非常に好評だったそうです。虐殺そのものにはイスラエルは関わっていないという設定のほか、話にホロコーストが影を落としていることがユダヤ人に受け入れられやすくしているのではないかとか、一人の無力な兵士の視点から描いているために責任を免れたような気になれるからではないかといった辛口の評もあります(Gilad Atzmon さんによる "Sabra, Shatila and Collective Amnesia")。この最後の点に関連しては、一兵士の個人的な記憶の話に徹していることがむしろこの映画を単なる反戦映画に終わらせない力になっているのではないかという意見を、今の時点で数少ない日本語による映画評の中で書いていらっしゃるかたがいました。トラックバックを送ります。
2008年 11月 18日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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コメント
はじめまして。トラックバックありがとうございました。
もしこの映画をご覧になる機会がありましたら感想をお聞かせください。
投稿: blackpaw | 2008/11/21 3:21:37
blackpawさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
お書きになった評を読んで、私もこの映画を見たくなりました。関西でも上映されるといいのですが。
投稿: うに | 2008/11/21 22:47:58
パレスチナのドキュメンタリーはことごとく禁止され、ジェニンでの虐殺事件を扱ったものなどは嘘をばら撒いたと裁判にかけられる中、イスラエルで好評だったというのでどのようなものか確認したく思いました。
インディペンデント紙のサイトの方ですが、映像が紹介されていたのに、クリックすると「違反のため削除された」とありましたね。
既に世界で監視するユダヤ団体から手が加えられたのでしょうか・・・?
投稿: Effel | 2009/01/14 16:33:13
インディペンデント紙からリンクが張ってあった動画は、映画の公式サイトの Clips のページにある Theatrical Trailer と同じものだと思いますので、そちらからご覧ください。
投稿: うに | 2009/01/15 8:02:40