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2008.11.30

独裁者を勘当

The little general, by slambo_42 "Franco's birthplace in Spain withdraws honorary titles", "Franco ya no es 'Hijo Predilecto' de Ferrol" - スペイン北西部の Ferrol は、フランコ将軍の生まれ故郷だ。これまでフェロルの町はフランコ将軍に「名誉町長(Alcalde Honorario)」と「お気に入りの息子(Hijo Predilecto)」の称号を与えていたが、この度、町議会でこれらの称号を廃することが決まった。右翼の国民党(PP)は棄権した。

記事は、歴史の記憶に関する法律で、銅像の撤去などが義務付けられたことに触れている。今回のフェロルの町の決議も、過去の過ちを正そうとする法的取り組みの成果のようだ。

フランコが描かれたスペインの古い切手の写真は slambo_42 さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。彼の肖像をここに掲げるのは不適切かもしれない。

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2008年 11月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.29

スペインの追加景気対策

フィナンシャル・タイムズ "Spain adds €11bn spending to its fiscal stimulus plan"、日経「スペイン、1兆3000億円の追加景気対策 公共事業積み増し」。スペインのサパテロ内閣はGDPの 1.1%に相当する110億ユーロの景気刺激策を発表しました。主に地方公共事業に振り当てられ、2009年中に30万の新たな雇用を創出する見込みだそうです。

日本の追加景気対策(10月30日官邸発表の概要PDF)は、例の給付金は2兆円という具体的な数値が挙げられていますが、「新規雇用を創出」のところは「地場産品販売、高齢サービスなど」とあるだけで、数値目標には焦点が当てられていないようです。発表当時の記事を見ると、「10万人程度の介護人材等の増強」と「非正規労働者、中小企業、地方企業を中心に60万人分の雇用下支え強化」の2つがあげられているので、具体策が何もないわけではないと思いますが、あまり中心に据えて議論されるようでもないみたいです。

スペインの失業率は10%を越えているので、そこに人々の関心が集まるのは自然だと思いますが、日本だって厚生労働省が来年3月までに3万人の非正規雇用労働者が失業すると発表したように、雇用の確保は大きな問題のはずです。私たちはもっと強く政府に働きかけていかなくてはならないように思います。

まあ、社会党を政権につけている国と、酔いどれの大金持ちに首相をやらせている国の違いなのかもしれません。

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2008年 11月 29日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.28

まだ冬はこれから

Un cinquième SDF retrouvé mort en région parisienne - AFP電。水曜の夜、パリ郊外の Gennevilliers で、駐めてあった車の中でホームレスの男性が死んでいるのが発見された。死因はまだ不明で、寒さで死んだとは限らないとされている。パリ地方で過去1か月にホームレスの人が死んで見つかったのはこれで5人目。

「ホームレス」で日本語のニュースを検索しても凍死などの記事が何も見つからないのは、たぶんよいことなのだろうが、その結論にはあまり自信が持てない。

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2008年 11月 28日 午前 12:00 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2008.11.27

アフガニスタンの岐路

"Karzai demands timeline for victory"、"Karzai demands timeline for end to military intervention" - アメリカの傀儡とも言うべきアフガニスタンのカルザイ大統領が、アフガニスタンで「テロとの戦争」を続ける多国籍軍は、あと何年戦争をしたら勝てるのか、行程表を示すべきであると要求しています。もしそれが示せないのであれば、アフガニスタン政府はタリバンとの交渉による和平の道を探ると述べています。何十か国もが派兵しているのに、小さなタリバンがつぶせないというのは「何かが間違っている」ということだとも述べています。

アルカイダからの命令で動いているタリバンとは対決していくが、アフガニスタン憲法の枠内で行動しているタリバンは交渉相手となりうると考えているようです。また、占領軍による民家の捜索などの継続に難色を示し、民間人に被害がこれ以上出ないようにすべきだとも言っています。

カルザイ大統領のこれらの発言は、アフガニスタン国民の人気を得ようとしてのものだと思われますから、逆の言い方をすれば、これらの認識がアフガニスタン国民の一般的な理解だということだと思います。テロとの戦争に勝てそうにないこと、いいタリバンと悪いタリバンがいること、駐留軍が民間人の生活を脅かしていること。

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2008年 11月 27日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.11.26

豪で同性愛者の権利拡張

Government removes same-sex discrimination - オーストラリアの国会が、同性のカップルの広汎な領域での権利拡大を可決した。扶養家族としての減税措置、社会保障、保健、年金などの分野で、夫婦と同等の扱いを受けることになる。ただし、結婚(同性婚)は認められなかった。

国会ではさしたる異論も出なかったらしい。ゲイであることを公表している閣僚(Penny Wong 気候変動担当相)や議員(緑の党 Bob Brown 議員)らが歓迎のコメントを出している。

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2008年 11月 26日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.11.25

戦争と子どもたち

War-affected children suffer psychological disorders - study - 国連 IRIN の記事。アラビア半島南端に位置するイエメンで内戦によって子どもたちがどのような心理的な負担を強いられているかの調査が行なわれた。

The younger generation in Yemen, by CharlesFred調査地点は過去4年間、シーア派による内乱が続いているイエメンの北西部サアダ州。9月から今月半ばにかけて、Seyaj という団体が7歳から15歳の子ども1,018人を対象に聴き取り調査を行なった。結果は次のとおり:

  • 45%の子どもが雷などの大きな音におびえている。
  • 22%の子どもがおねしょの問題を抱えている。平常時なら、15%を越えることはないだろう。約6%の子どもが起きている時におもらしをしてしまう問題を抱えている。
  • 約5%の子どもが軍服を着た大人を見たり銃声を聞いて気を失うことがある。
  • 15%の子どもが泣きたいけどがまんをすると言う。泣くことは恥ずかしいことだという文化らしい。
  • 約21%の子どもが内向的になったりひきこもったりしている。
  • 63%の子どもが悪夢を見る。
  • 約22%の子どもが家族の貧困や地域の経済状態が理由で学校を辞めようと考えている。

イエメンの子どもたちの写真は CharlesFred さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。この子たちは幸せそう。

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2008年 11月 25日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (5)

2008.11.24

ガザのパン屋さん続報

数日前に、ガザの経済封鎖についての記事を読むと、パン屋さんがよく出てくるという話を書きました。続報があります。

Gaza bakeries resort to “secondary” wheat used to feed birds - ガザでは食糧用の小麦粉が底をつき、海岸沿いの地域にあるすべてのパン屋では、22日以降、鳥や家畜のえさ用の質の悪い小麦粉でパンを作っていると伝えています。

21日付けの報道 "All Gaza Strip bakeries expected to halt operations by tomorrow" によれば、ガザのパン屋さんは47店。そのうちの27店が休業を余儀なくされたとのことです。

パレスチナの人々にとって、パン屋さんって、どういう存在なのでしょう。日本でいうと何にあたるのでしょう。みんなが頼っていて、休業されると困る店。コンビニかな? そういう感覚が肌で共有できていないのが残念なのですが、大変な事態になっていることはよく分かります。イスラエルによる完全封鎖に強い憤りを感じます。

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2008年 11月 24日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.23

結婚と植樹

Planting tree before marriage a must in Balikpapan - ジャカルタ・ポスト紙の記事。インドネシア東カリマンタン州のバリクパパンという都市では、結婚しようとするカップルに木を一本植えることが義務付けられたと伝えている。

バリクパパン周辺では違法伐採や採掘などによって森林が失われつつあり、木を大切にする気持ちを育てたいということらしい。バリクパパン市では、結婚する人はまず市役所で推薦状を発行してもらい、それを持って宗教裁判所に行くのだそうで、市役所での申請の際、苗木を一本持参すること、という条例だ。

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2008年 11月 23日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.22

政府は最新型クラスター爆弾を導入しない方針

クラスター爆弾:「最新型」も導入せず 政府方針 - 毎日新聞の報道です。日本政府が不発弾による副次的被害の根絶という人道面を重視し、クラスター爆弾条約で例外的に保有が認められている最新型も導入しないことを決めたと伝えています。

賢明で、正しい、勇気ある判断だと思います。掛け値なしにとても誇らしく感じます。これで麻生政権、支持率回復か? と言うと、無理だと思いますけど。

代わりに、GPS誘導の単弾頭ロケット弾導入に73億円使うのだそうです。正確に狙い撃ちできる兵器ということだと思いますが、ミサイル防衛の実験に失敗したばかりなので、素人考えでは、大丈夫なのだろうかと心配してしまいます。代わりに73億円、人道援助を贈ることにしました、というようなニュースが聞ける世の中にしたいですね。

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2008年 11月 22日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.11.21

イギリスが買春を厳罰化

For men who pay for sex with trafficked women, ignorance is no longer a defence - 英ガーディアン紙の記事。イギリス政府が買春の厳罰化を検討している。イングランドとウェールズで売春に携わっている女性は88,000人に上るが、その7割は人身売買でイギリスに連れてこられた人たちだと見られている。現代の奴隷制とも言われる人身売買を根絶するためには、買春する男性を厳しく罰することが必要だとスミス内相は語っている。

公表された法案では、第三者にコントロールされているセックスワーカーに金銭を渡せば、刑事処分の対象となる。これは故意、過失の立証を要することなく適用される無過失責任で、第三者に管理されているとは知らなかったというのは免責の根拠とはならない。買春をしようとして捕まった場合は名前が公表される。人身売買された人だと知りつつ買春すれば、レイプとして扱われる。

人身売買は世界的な問題だから、日本でも同じような議論がこれから行なわれるのだろうか。

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2008年 11月 21日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.20

ネパールで同性婚

Nepal SC approves same-sex marriage - インドのヒンドゥスタン・タイムズ紙の記事。ネパールの最高裁が同性婚を認める法制化に着手することを政府に命じたことを伝えています。同性婚そのものというより、同性愛者に対するいかなる差別も許されないという判断が下され、その中に婚姻の権利も含まれているということのようです。

記事からは詳しいことは分からないのですが、ネパールでは昨年から、身分証明書に、男女と並んで第三の性という欄が作られるようになったと記事は伝えています。

2006年の民主化以前は性的マイノリティの市民権は十分に保護されていなかったようなので、目を見張るような速度で人権が確立されていると言えるでしょう。

世界がどんどん私たちを追い抜いて行きます。

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2008年 11月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.11.19

北京のアメリカ人、東京のアメリカ人

アメリカへの留学生数、アメリカからの留学生数などをまとめた年次報告書が発表された。Institute of International Education の Open Doors 2008。"Study abroad flourishes, with China a hot spot" という新聞記事で知った。

アメリカが受け入れている留学生は623,805人、アメリカから国外に留学している学生は241,791人。アメリカ人留学生の主な渡航先は以下のとおり:

順位国名人数前年比増減
1イギリス32,7052%
2イタリア27,8317%
3スペイン24,00510%
4フランス17,23310.5%
5中国11,06425%
6オーストラリア10,747-2%
7メキシコ9,461-6%
8ドイツ7,3557%
9アイルランド5,7855%
10コスタリカ5,383-2%
11日本5,01214%
12アルゼンチン3,61726%
13ギリシャ3,4176%
14南アフリカ3,21628%
15チェコ3,14510.5%
16チリ2,82410%
17エクアドル2,81330%
18オーストリア2,8101%
19ニュージーランド2,7187%
20インド2,62724%

アメリカ人留学生の受け入れアジア首位が日本から中国に移ったのは2001年の報告書(1999年から2000年にかけての学年)でのことのようだが、その後7年間で日本は中国に大きく水を空けられている。

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2008年 11月 19日 午後 02:05 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.18

バシールとワルツを

Waltz with Bashir - イスラエルのアリ・フォルマン監督によるアニメ映画「バシールとワルツを」のサイトです。1982年のレバノン戦争の際にベイルート近郊のサブラとシャティーラのパレスチナ難民キャンプで起こされたキリスト教民兵組織による虐殺事件を描いています。この虐殺を支援したイスラエル軍部隊兵士が主人公です。彼は長らく、自分の頭からこの虐殺事件を消し去っていましたが、二十年以上経って、悪夢でうなされるようになり、その原因を探っていくうちに事件のことを思い出していく、という設定のようです。

半年ほど前にカンヌ映画祭に出品されたようですが、このたびイギリスで公開されたらしく、インディペンデント紙 "War, death and animation: Cartoon film stirs Israel's conscience" などに紹介記事が載り、気がつきました。日本でも来週、東京フィルメックスという映画祭で上映されるようです。おりしも、明日(19日)締め切りの抽選で招待券がもらえる企画があります。

「バシールとワルツを」はイスラエルでは非常に好評だったそうです。虐殺そのものにはイスラエルは関わっていないという設定のほか、話にホロコーストが影を落としていることがユダヤ人に受け入れられやすくしているのではないかとか、一人の無力な兵士の視点から描いているために責任を免れたような気になれるからではないかといった辛口の評もあります(Gilad Atzmon さんによる "Sabra, Shatila and Collective Amnesia")。この最後の点に関連しては、一兵士の個人的な記憶の話に徹していることがむしろこの映画を単なる反戦映画に終わらせない力になっているのではないかという意見を、今の時点で数少ない日本語による映画評の中で書いていらっしゃるかたがいました。トラックバックを送ります。

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2008年 11月 18日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2008.11.17

イラク内閣が米軍地位協定を承認

イラクのマリキ内閣が米軍地位協定を受諾しました。2011年末までに米軍が完全に撤退することを明記したほか、町や村への米軍の展開を2009年半ばには終了し、基地に撤収することを定めています。今まで米軍が自由に行なってきた捜索や逮捕には、イラクの司法的な許可が必要とされるようになりました。

以前にちょっとうらやましく感じると書いた、イラクを他国攻撃の拠点にしないという条項も盛り込まれているようです(マクラチー新聞社 "Iraqi cabinet approves accord setting U.S. troop withdrawal" の箇条書きの部分)。アメリカ兵や民間傭兵が基地の外で公務外で犯罪を起こした場合の裁判権はイラクにあることも明記されているようです(クリスチャン・サイエンス・モニター紙の記事 "Iraqi cabinet votes to keep US troops" の終わり近く)。

この協定が占領を追認するものだとして反対する声も多いと伝えられていますが、マリキ内閣がこれらの条項をアメリカから勝ち取ったことは、十分注目に値するように思えます。

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2008年 11月 17日 午後 07:53 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.16

イタリアの大学はどこへ

Student protests paralyse Rome - 14日、ローマはイタリア全国から集まった大学生によるデモで交通が大混乱に陥ったと伝えている。デモの参加者は主催者側の発表で50万人、警察発表は10万人。

manifestazione 14 novembre 2008学生たちが抗議しているのは高等教育に対する国家予算削減だ。ベルルスコーニ政権は少なくとも15億ユーロ(約1,845億円)の予算カットを行なう姿勢を見せている。多くのクラスが閉講になるのは避けられそうにない。学生数の少ないキャンパスの閉鎖もありそうだ。また、民間資金の導入を可能にするために国立大学を法人化しようとする動きもある。

イタリアの大学が多くの問題を抱えていることも事実のようで、上記 ANSA の記事の中で言及されている The Economist 紙の記事 "A case for change" によれば、多くの大学は腐敗していて、親玉のような教授が学校を私物化し、コネで親戚を雇ったりしているらしい。学生の退学率は55%にものぼると書かれている。

14日のデモの写真は missingiuggia さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの。

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2008年 11月 16日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.15

闇に沈むガザ

Gaza Power Plants totally off - イスラエルによる経済封鎖で燃料が底をつき、13日、ガザの発電所が完全に操業を停止したことを伝えている。停電により、病院なども機能できなくなったほか、上下水道にも影響が出ている。

Gaza in crisis: Israel turns away UN food convoy at border; blackouts as power plant shuts down - イスラエルは、視察団や支援活動家のガザへの立ち入りだけでなく、国連による食糧の搬入も拒んでいる。

二つの記事とも、パン屋も燃料切れでパンが焼けなくなり、休業に追い込まれていると書いている。日々、パンを買って食べることがパレスチナの人たちの生活の中で大切な位置を占めているということなのだと思う。その感覚を肌で知りたいと思った。

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2008年 11月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.14

バグダッドのサンタクロース

Santa Claus in Baghdad - 1990年代。イラクの人々は経済制裁によって苦しんでいた。食べ物も薬も、なかなか手に入らないのだ。バグダッドに住む16歳の少女アマルの家族も、家のものを少しずつ売って暮らしていた。学校のカリーム先生が辞めることになった。生徒たちは少しずつお金を出し合って、お別れのプレゼントをあげようと計画している。10年前にアメリカに移住したおじさんが里帰りしてくる。アマルの幼い弟のビラルは、おじさんがサンタクロースで、自分におもちゃを持ってきてくれると信じ込んでいる。しかし、おじさんがみんなへのおみやげに持ってきたのは薬など日用品だけ。ビラルの落胆を目にした父親は、大学で文学の先生をしていた祖父の遺品を売り払って、ビラルのためにおもちゃを買う。カリーム先生へのプレゼントを買いに行ったアマルは、古本屋で Khalil Gibran の本を見つける。プレゼントにはぴったりだが、お金が足りない。アマルは惜しむことなく、おじさんからもらったばかりの自分のお小遣いを足して、その本を買う。別れの日、先生がその本を手に取って開いた時、明かされる運命のいたずらとは…

…という、アメリカの小さな映画会社が作った作品がこの日曜日にアメリカで公開される。「バグダッドのサンタクロース」。原作は Elsa Marston さん、監督はエジプト出身の Raouf Zaki さん。レバノンの有名な音楽家 Marcel Khalife さんが音楽を提供しているそうだ。ボストン・グローブ紙の記事で知った。

独裁政権を倒すという大義名分で行なわれる経済制裁によって普通の人たちが苦しめられ、その生活の中で分かち合いや思いやりが小さな奇跡を起こすというのは、時と場所を超越した筋書きのような気がする。

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2008年 11月 14日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.13

遺伝子組み換えトウモロコシで生殖機能に異常か

Mice! Forget about birth control - try GE maize instead! - オーストリア政府が行なった実験で、遺伝子組み換えトウモロコシを食べさせられたハツカネズミに生殖能力の劣化が観察されたそうだ。えさの三分の一をモンサント社の NK 603 x MON 810 という遺伝子組み換えトウモロコシにしたハツカネズミは、自然のトウモロコシを食べたハツカネズミと比べ、3回目の出産以降、子どもの数や大きさが減少しており、その差は統計的に有意だったという。ウィーン獣医科大学の Jürgen Zentek 教授らの実験で明らかになった。

NK 603 x MON 810 種はアメリカ、アルゼンチン、日本、フィリピン、南アフリカで栽培と食用利用が許可されており、メキシコとEUで食用利用が許可されているそうだ。

モンサント社は、安全ではないという結論を出すのは尚早だとするコメントを発表している。

ドイツ語での報道(残念ながら私には読めない)は、オーストリアの Kurier 紙 "Rückenwind für Gentechnik-Gegner" など。

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2008年 11月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.11.12

コンゴ情勢は更に悪化

DR Congo: Increase Peacekeepers in Eastern Congo - ヒューマン・ライツ・ウォッチがコンゴへの更なる平和維持部隊の派遣を呼びかけている。現在の国連部隊(MONUC)の規模では、増えつつある民間人への被害を防止できないとして、安保理が3,000人程度の増派を速やかに議決することを求めている。

AFP電 "UN accuses DRC army of looting, abuses" は、コンゴ国軍が略奪などを行なっていると報じている。

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2008年 11月 12日 午前 12:27 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.11

パタ・パタよ、永遠に

「パタ・パタ」という歌を知っているだろうか。だれでも一度は耳にしたことがあるに違いない。軽快なダンス曲で、1967年に世界中で大ヒットになったそうだ(昔のビデオ最近のビデオ)。歌っていたのは、南アフリカのミリアム・マケバ(Miriam Makeba)さん。彼女が死んだ。76歳だった。

Miriam Makeba at the Hague Jazz 2008アパルトヘイトに批判的な発言をしていたため、マケバさんが国外で活動をしている間に、当時の南アフリカ政府は彼女の市民権を剥奪し、帰国を阻んだ。彼女の歌は放送禁止になった。

今週の日曜日、マケバさんはイタリアで開かれたコンサートで半時間ほど歌った。マフィアを告発する「ゴモラ」という本の著者で、マフィアから暗殺予告を出されているロベルト・サビアーノ(Roberto Saviano)さんを支援するコンサートだった。歌い終わって、ステージを離れる際、胸の痛みを訴え、病院に運ばれた。心臓発作だったそうだ。

最後の最後まで、正義のために闘い、歌い、そして死んでいった。

写真は Haags Uitburo さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。今年の5月に撮影。

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2008年 11月 11日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.11.10

平和維持活動への参加

For a few dollars more... - タイムズ・オブ・インディア紙の論評。国連の平和維持活動への貢献について書かれている。南アジア諸国の平和維持活動への貢献度は非常に高く、兵力を貢献する117か国のうち、パキスタンが10.590人で第1位、以下、9,211人のバングラデシュ、8,724人のインドが続き、この3か国で88,754人の平和維持部隊の約40%を構成している。300人前後を派遣する英、米、露は国別内訳の40位台だが、ご存知のように、国連の実権はこれらの裕福な国が握っている。

このような平和維持部隊への貢献の大きさは、財政面での日本の貢献の大きさと比較しうるもので、安保理の常任理事国が拡大されるのであれば、インドも日本と同様、当然、候補国となる。というのが記事の前半。日本が国連に対して軍事的ではなく予算的な貢献を期待されていることに注目したい。

記事の後半は、国連の平和維持部隊に参加すると、米ドルで給料がもらえるため、参加する兵隊自身にもメリットがあるという話と、安全の話だ。国連の創設当時からの加盟国であるインドは、半世紀にわたる平和維持活動参加で126人の戦死者を出した。カシミール地方などで毎年300人近くが武装勢力との戦闘によって死ぬことを考えれば、126人というのは微々たる数だと書かれている。

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2008年 11月 10日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.09

ショインカ通りは存在しない

Soyinka Rejects Street Name - ナイジェリア This Day 紙の記事。1986年にノーベル文学賞を受賞した劇作家ウォーレ・ショインカ(Wole Soyinka)が、アブジャ市の道路に彼の名が付けられることを拒否したと伝えている。過去の独裁者アバチャ将軍などの名もリストに入っているため、自分にちなんだ名前の道ができることは栄誉だとは考えられないと語ったそうだ。

ショインカはまた、バラク・オバマ氏がアメリカ大統領に選ばれたことについて、「オバマから学んだ教訓の一つは、宗教、人種、民族などでリーダーが決まると考えている人は過ぎ去った時代に生きる人だということだ」と語った。アフリカのさまざまな国で未だに部族を中心とした政治が行なわれていることを批判した言葉だが、あらゆる国の差別者たちにも当てはまるものだろう。

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2008年 11月 9日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.11.08

ベオグラードのヘイトスピーチ

Minister hails "victory against hate speak" - セルビアの B92 テレビの英文記事。ベオグラード地裁が出したヘイトスピーチに関する判決について報じています。

2006年3月16日に Glas Javnosti という新聞に「迫害されるセルビア人(Prognani Srbi)」と名乗る団体が「ボイコット(Bojkot)」と書かれた広告を出し、

「クロアチア人はセルビアで会社を買い漁り、どんどん店を出すなど、やりたい放題のことをやっている。クロアチア資本のイデア(IDEA)という店で買い物をすることは、私たちセルビア人を虐殺し、故郷から駆逐した奴らに金をやるのと同じである」

と主張したそうで、ベオグラード地裁は6日、これがヘイトスピーチにあたるとし、これに類する「差別を助長し、憎悪を教唆する」文章の出版を禁じました。広告を掲載した新聞の編集長に対し裁判費用の負担が命じられました。

韓国人が対馬の土地を買い漁っていると産経新聞などが騒いでいるのと微妙に重ねて見てしまいますよね。

注: セルビア語の記事では Ideja とつづられています。

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2008年 11月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (14)

2008.11.07

真珠港を忘れるな

USS Arizona visitor center begins face lift - ハワイのスター・ブレティン紙の記事。日本によるパール・ハーバー奇襲攻撃を記憶するための新たな施設の建設が始まったことを伝えている。

沈没したアメリカ海軍の戦艦アリゾナの残骸の上には記念碑が建てられているが、その海上記念碑に行くフェリーが発着するのがビジター・センターだ(地図)。このセンター周辺は地盤沈下が激しく、施設の維持が難しくなったので、隣にもっと大きなセンターを建てることになったらしい。2年後の完成を予定しているが、建設中も現在のセンターは営業を続ける。

67年も前のことだ。しかしアメリカはまだ忘れない。忘れまいと思っている。

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2008年 11月 7日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.06

住民投票でマリファナが合法化

4日に大統領選とともに行なわれた住民投票で、アメリカ北東部のマサチューセッツ州は、マリファナ(大麻)の所持を刑事罰の対象から外すことを選択しました(ボストン・グローブ紙 "Voters approve marijuana law change")。

州議会で修正が加えられるかもしれませんが、1か月以内にマサチューセッツ州の法律となります。これにより、少量(約30グラム以下)のマリファナの所持は刑法違反ではなくなり、100ドル(約9,900円)の民事上の反則金が科されるのみとなります。大麻の栽培と販売や、ヘロインなどの強い麻薬の所持は刑法犯罪として残ります。

本当は米大統領選の結果について書きたかったのですが、感極まって、書けないのでありました。NHKのニュースを見ていたら、ジェシー・ジャクソン牧師が目に涙を溜めているのが写って、思わずもらい泣き。

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2008.11.05

次の米大統領とパレスチナ

これを書いている時点で、アメリカ大統領選の投票が行なわれているところだが、イスラエルの ynet ニュース "Report: Obama voiced support for Palestinians' right to Jerusalem" は、オバマ次期大統領、もとい、オバマ候補がパレスチナ自治政府のアッバス大統領らに、パレスチナ人が国家を建設する権利があることと、東エルサレムがパレスチナの一部になるべきだということを語ったらしいと伝えている。パレスチナ側は、これまでにアメリカの大統領から聞いた話の中で一番良い話だったとしている。情報源はレバノンの al-Akhbar 紙。

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2008年 11月 5日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.04

ゲームは子どもを凶暴化するらしい

Study Links Violent Video Games, Hostility - 暴力的なビデオゲームは子どもを凶暴にするという日米の研究結果をワシントン・ポスト紙が報じている。紹介されているのはアメリカ小児科学会の学会誌 Pediatrics の最新号(Vol. 122 No. 5 November 2008)に掲載された Craig A. Anderson, Akira Sakamoto, Douglas A. Gentile, Nobuko Ihori, Akiko Shibuya, Shintaro Yukawa, Mayumi Naito, and Kumiko Kobayashi による "Longitudinal Effects of Violent Video Games on Aggression in Japan and the United States" で、全文が読める(htmlpdf)。

日本では1,231人の中高生、アメリカでは364人の小学校高学年の児童を対象にして、学年のはじめに、暴力的なビデオゲームをどのくらいやるか調査し、数か月後に、けんかなどを起こしたかどうかを調査し、その2つの間に相関があるかどうかを見たらしい。その結果、性別や過去の暴力傾向などを差し引いても、ビデオゲームで遊ぶ時間の長さと、後の暴力傾向の間に関係が認められること、それらの間の関係は(社会全体が暴力的な)アメリカと(それほどでもない)日本とで似通っていることが分かったとのこと。つまり、ビデオゲームは、文化の差を超えて、凶暴性を生むリスク要因の一つと考えられるということだ。

ちなみに、私はビデオゲームというのをやったことが全くない人間なので(子どものころ、インベーダー・ゲームというのが流行りだしたのだけど、お金がなかったので遊べなかった。以来、ビデオゲームとは自分には関係のない、ぜいたくなものだと思いながら生きてきた)、何かとんでもない勘違いをしているかもしれない。

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2008年 11月 4日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.03

歴史のある建物

Colonial tavern set for auction - ボストンの北、Haverhill で、1690年に建てられたレストランの建物が売りに出されている。たぶん、この交差点この建物

日本では、最近こんな話(京都新聞「「寺田屋」は鳥羽伏見の戦いで焼失 京都市が公表 展示改善を要請」)を聞いた。幕末の事件(1862年)の舞台だと思われていた建物が、実は明治維新の最中(1868年)に焼失した後、建て替えられたものだったという話。

アメリカの318年前の建物と日本の140年前の建物。単純に比べても意味がないのだろうけど、アメリカのほうが日本に比べて歴史が長く身近なところで残っているのかな、と思った。

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2008年 11月 3日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.11.02

コンゴに平和を

コンゴ民主共和国(DRC)では、ルワンダとの国境沿いで政府軍と Laurent Nkunda 将軍の率いる反政府軍との間の紛争が続いている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の10月31日の報道発表 "UNHCR concerned for 50,000 displaced people in Congo after camps reportedly emptied" によれば、Goma の北90キロにある Rutshuru の避難民キャンプを反政府軍が襲撃した後、5万人もの避難民が行方不明になっており、その安否が心配されている。

BBC は、North Kivu 州の人口約600万のうち100万が避難を余儀なくされていると伝えている(" Crisis bites for Goma refugees")。反政府軍はゴマから15キロに迫った29日夕に停戦を発表し、31日朝の時点では、小康状態が保たれていると報じられているが、戦闘の合間を縫って家に戻ろうとした人たちにも、消息が途絶えてしまった人がかなりいるらしい。ゴマには周辺の地域から数万人が流入したと見られているが、食糧の供給はまったくもって不足している。退却する政府軍による略奪、暴行なども起こったらしい(ルワンダ発の国連IRINの記事 "Government troops "on the rampage")。

フランスとイギリスの外務大臣がコンゴの首都キンシャサに入り、紛争解決にあたるそうだ。フランスのクシュネール外相は、「まれに見る規模の虐殺が起こっている」と語っている(英インディペンデント紙 "Congolese rebels torch refugee camps")。

祈ろう。

下の地図は、パブリックドメインの Perry-Castañeda Library Map Collection から。DRC がまだザイールと呼ばれていた1979年のものから切り取った。

コンゴ東部地図

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2008年 11月 2日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.01

イタリアで学校ゼネスト

Massive protest in Rome over sweeping Italian education cuts - ベルルスコーニ政権の初中等教育予算削減案が10月29日に議会上院で可決されたことに反対して、30日、イタリア全土で教育機関のゼネストが行なわれた。ローマ、ミラノ、トリノ、ベネチアなどの都市で数千人から数万人によるデモによって道路が占拠されたり交通が麻痺したりしたようだ。29日には、ローマの議事堂近くで高校生などのデモ隊が棒や鎖などで武装した右翼と衝突し、逮捕者が出る騒ぎとなっている(毎日新聞「イタリア:「教育改革」抗議デモ…学生15人逮捕」など)。

今回の予算削減により、小学校で13万人の教員が職を失なうことになると見られている。高等教育も予算削減の危機にさらされており、11月14日に全国の大学でゼネストが予定されている。AP電 "Students in Italy clash over education cuts" によれば、ストライキ以外にも、抗議の意を込めて授業を教室ではなく町の広場などで行なったりする高校や大学の教員が多いらしい。

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2008年 11月 1日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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