インドネシアの教科書
インドネシアでは8月に学校の年度が始まるようだ。今月から始まる年度で、はじめて、小学校から高校までの教科書が電子書籍として提供されることとなった。今まで、学校の教科書は教員から購入するのが普通だったが、所得の少ない家庭では教科書代がまかなえず、子どもの教育をあきらめてしまう場合もあったらしい。
7月31日づけジャカルタ・ポスト紙の "Confusion mars implementation of e-books policy" という記事によれば、今年度からは国が出版社から教科書の著作権を買い上げ、教育省の Buku Sekolah Elektronik というサイトでPDF形式で公開している。だれでも自由にダウンロードして使うことができる(実際に、ダウンロードできた。インドネシア語を学んでいる人などには、とても有益だと思う)。ただし、買い上げが十分に進んでおらず、使われている教科書287種類のうち、49種類しか入手できない。また、プリントアウトしたものを違法に高い値段で売っている業者も現れるなど、事業の滑り出しは順調とは言えないようだ。
そもそも、インターネットへの接続手段を持たない家庭も多く、また、ダウンロードしたものを印刷するのにもかなりお金がかかる。買い上げと電子書籍化ではなく、教科書の無償配布に予算を回すべきだったのではないかという声も強い。
日本では、憲法の第26条に「義務教育は、これを無償とする」とあり、その理念に基づいて教科書の無償給与制度がとられている。「小さな政府」を目論む人たちの中には、文教予算を削減し、教科書の有償化を求める意見もあるようだ。愚かな話である。
インドネシアの子どもたちの写真は bonbongirl さんが CC-by-nd で公開しているもの。
2008年 8月 1日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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