2008.06.30
私は軍事にも数学にも疎いので、何のことやら分かりませんが、「戦争の法則」が解明されたのだそうです。どんな条件が揃うと紛争が起こり、それが大規模な戦争になるのか小規模な小競り合いになるのかが分かるとのこと。英テレグラフ紙の27日づけの記事 "Scientists find 'law of war' that predicts attacks"。
近年の大小さまざまな紛争のデータを分析しても、正規分布にはならない。では全くもって混沌としているかと言うと、そんなことはなく、べき乗則で記述できる。ということらしいです。
それだけ? という感じもしますが、考えてみると、戦争を始めたがる人とか兵器に愛着を持つ人って、あまり難しいことを考えられない人が多いみたいですから、その行動様式はわりと単純だという結論は、案外、いいところを衝いているのかもしれません。でも、やっぱりこれだけでは積極的な平和は創れないような気がします。
Tags: 戦争, 平和, 数学, 統計
2008年 6月 30日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.29
Mexicans protest border fence with trees - アメリカ政府はメキシコとの国境に鉄とコンクリートの壁の建設を始めている。それに抗議して、メキシコの Coahuila 州が国境沿いに植樹を始めた。40万本、約500キロにおよぶ並木で「緑の壁」を作るのだ。
州知事は「私たちが作るのは命の壁だ。その相手は恥辱と憎悪である」と語った。
都市政治的で無機質な国境(国家)概念に対する、有機的な抵抗。などと下手にまとめると、感動を損ないそう。
Tags: メキシコ, アメリカ, 国境, グローバリゼーション
2008年 6月 29日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.28
イタリアでは、ロマ(ジプシー)の人たちへの弾圧が急速に強まっているようだ。ベルルスコーニ内閣の Roberto Maroni 内務大臣が、ロマ全員に指紋押捺を課すという方針を発表した。大人だけでなく子どもも、外国籍のロマだけでなくイタリア国籍のロマも対象になる。英インディペンデント紙 "Plight of the Roma: echoes of Mussolini"。
5月にここでも論じたナポリでの焼き討ち事件(の原因となった誘拐でっちあげ事件)をきっかけに、反ロマ感情に火が付き、それを与党の右翼政治家たちが利用しているようだ。今回の指紋押捺も、「治安の危機」対策として売り出されている。実際には、このところ治安は改善されてきているというのにである。
ところで、記事によれば、欧州評議会人権委員長の Thomas Hammerberg さんがロマのキャンプを視察した後、こう語っている。「私が訪れたキャンプの住民の多くはイタリアに40年も住んでいます。ある国に40年も住んでも、その人はまだ外国人だというのでしょうか」。息を飲むほど新鮮に聞こえた。
Tags: イタリア, ロマ, 差別, 偏見, ゼノフォビア
2008年 6月 28日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.27
英ガーディアン紙の記事、ロイター電、およびそれらの情報源である Hans M. Kristensen さんによるブログ記事 "U.S. Nuclear Weapons Withdrawn From the United Kingdom"。アメリカ軍がイギリスの Lakenheath 英国空軍基地から核爆弾を撤去したことを伝えています。
これによって、アメリカ軍がアメリカ国外に置く戦術核兵器(巡航ミサイルなどに搭載するのではなく、「落とす」爆弾ということだと思います)は、トルコとイタリアの米軍基地計2か所とイタリア、ベルギー、ドイツ、オランダ各軍の基地計4か所のみになったとのことです。
今回の撤去は全く公表されずに行なわれたわけですが、それはロシアと核軍縮交渉を行なっていく上で理解に苦しむ判断であるとされています。
Tags: 核兵器, 軍縮, 軍事
2008年 6月 27日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.26
3か月前に、トルコのイスタンブールでロマ(ジプシー)たちの住む街が再開発のために取り壊されつつあることを紹介しました。そのスルクレ(Sulukule)の街に、世界的に人気のバンドが支援のために訪れたと Turkish Daily News の記事が伝えています。
そのバンドの名前はゴーゴル・ボールデロ(Gogol Bordello)。ウクライナ出身の歌手を中心に結成された多国籍のジプシー・パンク・バンドだそうです。私が詳しい分野ではないので、はじめて聞いた名前だったのですが、サンプルを聞いたりビデオを見たりすると、なかなかインパクトがあって、よいです。クイーンとソウル・フラワー・モノノケ・サミットを合わせると似た感じになるのではないかと思いました。
なんとこの Gogol Bordello、来月下旬に初来日します。新潟県湯沢町で開かれる Fuji Rock Festival に出るのだそうです。旬のバンドみたいですね。行ってみたいなあ。でも、おじさんが行くと場違いなんでしょうか。
Tags: トルコ, ロマ, 音楽, ロック
2008年 6月 26日 午前 12:05 | Permalink
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2008.06.25
一昨日、海洋生物に対するアクティブ・ソナーの悪影響に関する記事を書いたが、それに関連して、イルカやクジラたちにとっては気がかりなニュースが報じられている。"Navy v. dolphins: Supreme Court to hear battle over sonar" というマクラチー新聞系の記事によれば、アメリカの連邦最高裁がソナー使用の差し止めに関する判断を行なう見通しになったようだ。
カリフォルニア沖の海軍訓練水域において、ソナーの使用や音量を制限する命令をこの2月に連邦第9巡回裁判所が下している。ソナーが海棲哺乳類の聴覚に著しい影響を与えることを認め、制限を加えても海軍側に支障がないと判断したものだ。
これに対し、ブッシュ政権は、ソナー使用制限は国防を弱体化させるとして上告を行なっていた。今回、最高裁はこの上告を棄却しないことを決定したわけだ。最高裁はブッシュ親子に指名された保守派の判事が多数を占めているため、海軍に有利な判決が出るだろうと考えられている。
Tags: イルカ, クジラ, 環境, 生態系, 軍事
2008年 6月 25日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.24
Water Flowing Back Into Public Hands - フランスのパリ市では、過去1世紀にわたって水道が民間企業によって運営されてきたが、その契約が2009年末をもって終了し、延長されないことが決まったと伝えている。つまり、水の再公共事業化、脱民営化が行なわれたわけだ。
記事によれば、水道の再公共事業化は世界全体の潮流であるようだ。マリ、ウルグアイでは国営に戻された他、アルゼンチンのブエノスアイレス市、ボリビアのコチャバンバ市、そして40以上のフランスの都市が脱民営化を果たした。
多国籍企業を中心としたグローバリゼーションに対抗してきた私たちは、どうやら新自由主義との闘いに勝ちつつあるらしい。あと10年もしたら、郵便の再国営化によって私たちは小泉破壊からの復興の道を歩み始めているかもしれない。
Tags: フランス, グローバリゼーション, 新自由主義, 水
2008年 6月 24日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.23
先月、北海道沿岸にアカボウクジラの死骸が相次いで漂着した。潜水艦の水中音波探知機(アクティブ・ソナー)の大音量で内耳が損傷して急浮上し、血液中の窒素が気泡となって血管をふさぐ潜水病に罹ったのではないかとも言われている(毎日新聞の6月2日の記事「アカボウクジラ:根室に2頭漂着 潜水艦音波で内耳損傷か」)。
フロリダのキー諸島で金曜日に生きたまま座礁しているアカボウクジラ(beaked whale)注が見つかり、保護された。聴力検査が行なわれ、上は9万ヘルツ、下は千ヘルツ以下の音まで聞き取れることが確認された(人間はよくて2万ヘルツぐらいまで。記事によればイルカは15万ヘルツぐらいまで聞き取れる)。アカボウクジラが生きたまま保護されるのは非常にめずらしいことだそうで、聴力測定が行なわれたのも世界で初めてだろうと言われている。測定結果が種の代表的な値なのか、加齢などによって減衰したものかは分からない(マイアミ・ヘラルド紙 "Beaked whale gets hearing test")。
測定を行なったのは米海軍の研究者たち。しかし、ソナーが海棲哺乳類に与える影響に関する海軍の研究の一部としてこの測定が行なわれたかどうかについては、彼らは口を閉ざしている。私は、米軍が生態系への影響を真剣に考えていることの証しであると考えたい。
戦争や軍事競争は環境を破壊する。“敵”の潜水艦を見つけて“国を護る”つもりでも、地球の生態系を壊してしまっては、本末転倒だと思う。エコロジーが人間社会の下部構造だということを忘れてはいけない。
注:記事では、アカボウクジラ科の Gervais か Sowerby 種とされている。
Tags: クジラ, 環境, 生態系, 軍事
2008年 6月 23日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.22
Poll finds Pakistanis favor talks with militants - 最近パキスタンで行なわれた世論調査によれば、タリバンと戦うべきだと考えるパキスタン人は19%に過ぎず、58%は話し合いを望んでいる。アルカイダとの話し合いを望む人も50%にのぼる。パキスタン海軍の軍艦への海上給油という形で日本も参加している「テロとの戦争」がパキスタンの市民からは歓迎されていない現状が明らかになったと言えるだろう。
世論調査を実施したのはアメリカの Terror Free Tomorrow という団体(以前にも書いたように、無党派ではあるが、どちらかと言えば共和党寄りだと思う)。調査では、パキスタン国内での軍事衝突等に関する責任はだれにあるかも問われた。タリバンが一番の問題だとする回答は4%、アルカイダとするものは8%。それに対し、アメリカ軍をやり玉にあげる回答は52%にものぼった。また、73%の人が「テロとの戦争」の本当の目的はイスラム世界を弱体化させ支配することだろうと答えている。
Tags: パキスタン, テロとの戦争
2008年 6月 22日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.21
1955年から2002年の間に起こされた戦争で、どれだけの命が失われたか。新たな研究によれば、戦死者の数はこれまで考えられてきたもののほぼ3倍にものぼる。また、軍事技術の向上により戦争によって死ぬ人は減りつつあるという言説が偽りであることが分かった。ロイター電 "Deaths in Vietnam, other wars undercounted: study"。
従来、最も信頼できる戦死者数の推計はスウェーデンのウプサラ大学とノルウェーの国際平和研究所(PRIO)のデータベースによっていた。これによれば、ベトナム戦争の戦死者は210万人、バングラデシュ独立戦争の戦死者は58,000人とされていた。今回の調査によれば、ベトナムでは少なくとも380万人が、バングラデシュでは269,000人が戦死していたと考えられる。
調査は、無作為に抽出された回答者に、戦争で死んだきょうだいがいるかを尋ね、それに人口モデルを重ね合わせて、全体の戦死者数を推計するもの。ネットで全文を読むことができる:Ziad Obermeyer, Christopher J L Murray and Emmanuela Gakidou "Fifty years of violent war deaths from Vietnam to Bosnia: analysis of data from the world health survey programme", BMJ, doi:10.1136/bmj.a137 (published 19 June 2008)。
Tags: 戦争, 死, 統計
2008年 6月 21日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.20
Bosses sleep rough for homeless charity - 真冬のシドニーでは、今夜、いつもより野宿者が60人ほど多い。地元の大企業の経営者たちが、ホームレスのための募金活動の一環で、一晩、ダンボールと寝袋で過ごしているのだ。
St Vincent De Paul というキリスト教慈善団体の企画らしい。記事によれば、オーストラリアでは200人に1人がホームレス。そのオーストラリア最大の都市シドニーの最も裕福な人たちが一晩といえども、路上生活を体験する。
経団連とかに呼びかけて同じようなことをやってみる行動力が自分にないのがすごく残念。
Tags: オーストラリア, ホームレス, 貧困
2008年 6月 20日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.19
1956年に日米両政府がアメリカ兵の犯罪に関し、職場で飲酒した後に起こした交通事故を「公務中」であるとしてアメリカに裁判権を認める秘密合意をしていたことが報道された(共同通信「職場飲酒も「公務」と合意 米兵事件で56年合同委」)。合意内容は現在も適用されているそうだ。新原昭治さんというかたの研究で明かになったものだ。
同じ新原さんのもう一つの発見が沖縄タイムスに出ている。「米兵事件2448件裁判放棄/62−63年」という17日づけの記事。1962年12月から1963年11月にかけての1年間に、日本国内(復帰前の沖縄は含まれていない)で米兵が起こした犯罪3,433件のうち、2,627件についてアメリカが裁判権の移譲を要求し、2,448件について日本が裁判権を放棄したというアメリカ陸軍の資料だ。
7割以上の案件について、言ってみれば主権を放棄していたというのも驚きだが、一年間で3,433件という事件の数にも驚いてしまう。一日10件近くアメリカ兵による犯罪が起こっていたということではないか。
安保闘争とか、こういう時代だったからあれだけ燃え上がっていたんだなあと、納得したりする。冒頭に挙げた飲酒運転の公務扱いは今でも続いているというが、犯罪件数は、半世紀近く経って、ぐっと減っているに違いない。と考えるのは私が沖縄に暮らしていないからだろう。
Tags: 安保, 地位協定, アメリカ軍, 犯罪
2008年 6月 19日 午前 12:02 | Permalink
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2008.06.18
ボストン・グローブ紙の一面記事 "Many states turning to paper ballots for fall" によれば、この秋の大統領選に向けて、アメリカでは電子投票をやめて紙による投票に戻すのが主流のようです。
投票用紙と言っても、アメリカでは投票する候補の名前のところに穴を開ける方式が多かったと思うのですが、ブッシュ大統領とゴア前副大統領の間で接戦となった2000年の大統領選挙で、多くの用紙で穴が空いているかどうかの判定でもめたため、2002年の中間選挙以降、電子投票を導入する自治体が増えていました。しかし、2004年、2006年の選挙では、電子投票は紙による投票以上に混乱を起こしてしまいました。その反省から紙の投票用紙が復活したようです。
日本でも電子投票を大々的に導入しようという動きがありますが、慎重にしたほうがよさそうですね。
Tags: アメリカ, 選挙, 電子投票
2008年 6月 18日 午前 01:00 | Permalink
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2008.06.17
1995年7月11日、ボスニア・ヘルツェゴビナの Srebrenica の町がセルビア人勢力に制圧された。それまでスレブレニツァを国連保護区として守ってきたオランダ軍は、約8,000人のボスニア人をセルビア人側に引き渡す。間もなく、引き渡されたムスリムたちは虐殺された。
Dutch Court to Hear Case on Srebrenica Massacre - 処刑されることが明白であったのにも関わらず引き渡しが行なわれたことの罪を問う2つの裁判がオランダで昨日起こされた。水曜日に、さらにもう1件、提訴が行なわれるらしい。これまで、オランダ政府や国連の関係者が責任をとって辞任することはあったが、刑事的な罪を問われたことはなかった。
日本政府は今、平和維持活動への参加を旗印に、自衛隊の海外派兵をより活発に行なおうとしている。紛争解決のための介入にはどのような落とし穴が待っているのか。スレブレニツァは、私たち自身の未来を映す鏡であるかもしれない。
Tags: ボスニア, ユーゴスラビア, オランダ, 国連, 介入
2008年 6月 17日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.16
Can songs of peace bring harmony to strife-torn Darfur? - 英 Independent 紙の記事。記者は Steve Bloomfield さん。ダルフール南東部の El Daein という町で書かれている。
ダルフールの住民たちを襲うジャンジャウィードたちは、出撃の前に、hakama と呼ばれる歌い手たちに、戦意昂揚の歌を歌わせる。歌い手だったハディジャさんは、戦いで父親を亡くした子どもたちが増えていくのを見て、自分の役割に疑問を抱くようになった。
ハディジャさんは、今、Abazar というミュージシャンが始めた「虹」プロジェクトに参加している。Rainbow プロジェクトは、彼女のようなジャンジャウィードの歌手と同時にダルフール住民側の歌い手(shaikha と呼ばれるらしい)を集め、一緒に平和の歌を歌う企画だ。ダルフールの村や難民キャンプを回っている。
歌で平和が創れるのか。それはだれにも分からない。プロジェクト参加者の中にも懐疑的な人はいる。「戦いの歌を歌う時にはお金を払う人がいるが、平和の歌にはだれもお金を払わないよ」と一人が語っている。ハカマたちとシャイハたちの間の関係もぎくしゃくしている。ラジオ局などからも締め出されたままだ。
聴いてみたいんだけどな。
Tags: スーダン, ダルフール, 音楽, 平和
2008年 6月 16日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.15
イタリアのベルルスコーニ内閣は、マフィアによる犯罪と戦うためと称して、軍をナポリ等の都市に展開させるらしい。"Italy sends soldiers to its cities to fight crime" という短いAP電によれば、展開規模は2,500人、期間は6か月。役目は警察の支援で、ゴミ収集をめぐる混乱が続いているナポリでは焼却場の防衛にあたる。
こういったニュースに驚けるような社会に自分が暮していることが、本当にうれしい。
Tags: イタリア, 軍国主義
2008年 6月 15日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.14
京都市が市内のコンビニの深夜営業を規制する方針を打ち出したらしい。共同通信電「深夜のコンビニ、規制検討 京都市が「市民会議」」によれば、規制は「温室効果ガスを削減する一環として」となっているが、日経「京都市、コンビニ深夜営業を規制へ 景観に配慮」では、「消灯によって夜間の町並み景観をよくするのが狙い」と書かれている。朝日新聞は両方をあげている。
本当の意図が何であれ、一番気になる部分については、朝日が「深夜帯に働く人らにとっては不便になるとの声もあるが、「環境保護のためにはライフスタイルの変更も必要」と市は理解を求める考えだ」と伝えている。
この京都市の回答を聞いた人はだれでも、すぐさま「だれもが好き好んで夜に働いているわけではなく、そういう時間帯まで働かざるを得ない、あるいはそういう時間帯にしか仕事を見つけられない人がいるのだ。ライフスタイルを選ぶ自由を与えられていない人がいるのだ」と考えるであろう。
だれもが持っているであろうこの情況認識を大切にしたい。京都市の言う「地球温暖化対策を進めるにはライフスタイルの転換が必要」というのは正しいだろう。しかし、そのためには労働の情況を変える必要がある。より大きなテーゼとして掲げるなら、資本主義の解体が必要だ。
Tags: 京都市, コンビニ, 地球温暖化, 景観, 資本主義
2008年 6月 14日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.13
Some Cuban emigrants head back home - マイアミ・ヘラルド紙の記事。キューバからは毎年約2万人がアメリカなどに移住するが、中にはキューバに戻ってくる人がいる。その数は正確には分からないが、ニュースになるほど少ないのであろう。
帰る理由はさまざまで、残してきた家族が忘れられない人もいるし、慌ただしい社会について行けない人もいる。納得できるような仕事に就けない人もいる。キューバ移民のコミュニティが極端に右傾化しているのを嫌う人もいる。
ある人がインタビューに答えて、「私はフィデル・カストロは嫌いだけど、だからと言って、カフェテリアで働かなくちゃならないってわけ? もう44だけど、アメリカに行って、はじめて、飢えを味わった。ここなら、寝室が4つもある家に住める。アメリカでは、机のように小さいアパートに住まなくちゃならなかった」と語っているのが印象に残った。
Tags: キューバ, アメリカ, 貧困, 社会主義
2008年 6月 13日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.12
アフガニスタンやイラクを侵攻する前にも、京都議定書を認めない立場をとるブッシュ政権のことをドイツでは多くの人が批判的にとらえていた。そして、ブッシュがドイツに来るたびに、大きな抗議行動が起こっていた。去年までは。
今、ブッシュはおそらく任期最後のドイツ訪問をしている最中だが、抗議行動はほとんど見られない。アメリカの政策に対する批判よりもドイツ自身の政策に人々の目が行っているということもある。いずれにせよ、「もうすぐいなくなる人」であるブッシュは、憎まれ役としても賞味期限切れなのだ。
"In Germany, Bush Protests Lose Appeal" というニューヨーク・タイムズの記事がそう伝えている。洞爺湖サミットに対する抗議行動も、あまり盛り上がりそうにないですよね。ブッシュだけじゃなくて、福田首相だって「もうすぐいなくなる人」的な臭いがぷんぷんするし。
Tags: ドイツ, 洞爺湖サミット
2008年 6月 12日 午前 12:04 | Permalink
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2008.06.11
Smoking hurts mind as well as body - French study - フランスの研究で、喫煙する中年は喫煙しない中年に比べて記憶、論理、語彙、流ちょうさで劣る場合が多いという結果が出たと伝えている。
パイプをくわえたサルトルの写真を見た後では、フランス人にこんなことを言われても、にわかに信じがたい。この研究の被験者がイギリス人なのでサルトルとは違うのかもとか書いて、喫煙する友人たちを思いやったりする。あまり思いやりになっていないかもしれない。ごめん。たばことパイプの違いという可能性もあるな。
最初のテストを行なった17年後に追跡調査をしようとしたが、たくさん死んでいたので、喫煙者の研究は難しかったとも書いてある。きつすぎ。
Tags: 喫煙, たばこ
2008年 6月 11日 午前 12:38 | Permalink
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2008.06.10
スペインでは、先月の末から漁業関係者のストライキが続いている。燃料の高騰に抗議するもので、過去一週間余りにわたり、一隻も操業に出ていないらしい。ポルトガル、フランスでも同様に抗議行動が行なわれているらしい(スト開始を伝える5月30日の英インディペンデント紙 "Spanish fishermen strike over rising fuel prices")。9日には、トラック運転手たちも無期限ストに入った(インディペンデント紙 "Spanish lorry drivers start fuel protest")。また、4日には、EU各国の漁業関係者がブリュッセルで抗議行動を行ない、騒乱が起こったらしい(英ガーディアン紙 "Violence flares as fishers protest over fuel prices")。
日本でも、国内の漁業者のほとんどが加盟している12の漁業団体が8月初旬に数日間の一斉休漁を検討していることが最近報じられた(共同通信電)。「燃料代の高騰による漁業経営の悪化を世論に訴えるのが狙い」とされている。2か月の猶予をもって予告されたストを、政府は無策のうちに迎えないでもらいたい。
Tags: スペイン, 漁業, ストライキ
2008年 6月 10日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.09
6日に衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が全会一致で決議されたと聞く。私はと言えば、前夜に家族が救急車で病院に運ばれるという慌ただしさの中でこのニュースに接したため、何とも遠い国の出来事のような感じしかしなかった。今、新聞記事を読み返したり、決議文を読み上げたりしてみても、何か物足りなく感じてしまう。
先住民族として認め(られ)ることが一里塚であることは確かだ。しかし、この文書はアイヌの権利を保障するための何ら具体的な政策提起も含んでいないし、歴史認識に言及こそするものの、それを自分のものとして非をあがなう道に踏み込もうとはしない臆病な文章だと私は思う。私は決議案を作った人たちの善意や良心を疑いはしないが、残念ながら、この文章を今から何十年か経って読み直した時にそこに燦然と輝く人権擁護の宣言を見出せるという予感は全くしない。
私たちの国の政治は、心に声を届かせるための鍵のようなものを失ってはいないだろうか。
Tags: アイヌ, 先住民, 人権
2008年 6月 9日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.08
米軍の Stars and Stripes 紙に載っていたイタリアの話 "Mafia-free market coming to Naples"。
記事によれば、イタリアでは一日に8千万ユーロ(約132億円)ものお金がマフィアに対し、みかじめ料(pizzo)として払われている。自分自身はマフィアと関わりあいがないとしても、自分がパンを買ったパン屋が用心棒代を払っていれば、結局は自分のお金がマフィアの手に渡ったことになる。それをよしとしない人々が、4年前に「さよなら、みかじめ料」(Addiopizzo)運動を始めた。「ピッツォを払えば、みんなの尊厳がなくなってしまう」というステッカーをパレルモの町中に貼ったのだ。
この週末、ナポリでは、用心棒代の支払いを拒否した食堂や露店のみが出店する祭りが開かれるのだそうだ。同様な催しは3月にローマでも開かれた。アディオピッツォ運動発祥の地パレルモではここのところ毎週末、ピッツォを払わない露店のマーケットが開かれているのだという。
腐敗や不正に対抗する市民の運動として、注目したい。
Tags: イタリア, マフィア, 暴力団
2008年 6月 8日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.07
クジラが入り江に迷い込んだとかイルカが砂浜に打ち上げられたとかいう話を聞くたびに、水銀中毒で神経系に異常をきたしていたのではないかと思ったりする。オーストラリアでの調査で、実際にそういう結果が出た。
Mercury poisoning linked to dolphin deaths - オーストラリア東南部のビクトリア州で過去2年間に海岸の浜辺に乗り上げて死んだ8頭のバンドウイルカを解剖し、脳細胞の水銀濃度を測定したところ、1キログラムあたり3.45ミリグラム(つまり3.45ppm)という値であった。同水域の生きているイルカの皮膚生検では1.32ミリグラムという結果が得られている。一般に安全値は1ミリグラム程度で、3ミリグラムを越えている場合は脳機能などに重い障碍が現われると考えられているそうだ(以前書いた水銀含有値に関する記事)。8頭は、方向感覚が麻痺したり、思考が乱れたりした末に、苦しみながら陸に乗り上げて死んだのだろう。
イルカたちが水銀中毒を起こした原因は明らかなようだ。ビクトリア州では古くから金の採掘が行なわれており、掘削の廃棄物は海底に捨てられてきた(以前、一つの金の指輪を作ることによって20トンもの廃棄物が生まれるという話を紹介したことがある)。その廃棄物に含まれていた水銀などの重金属が食物連鎖の過程で濃縮されていったのだ。
Tags: オーストラリア, イルカ, 水銀, 環境, 水俣病
2008年 6月 7日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.06
4日前に「あなたがこの記事を読むころには、幸せな結末が訪れているかもしれない」と書いた件―アメリカ政府のフルブライト奨学生に選ばれたガザの学生たちの運命―は、残念なことに、まだ解決していない。
イスラエル政府により出国が認められなかったことによって取り消されていた奨学金は、支給されることになった。しかし、イスラエル政府は7名の奨学生のうち3名にまだ出国を許可していない。明るい面を見るなら、4名には出国の見通しができたことになる。もちろん、この7名以外に、留学を志しながら、出国を認められずにいる学生たちが何十人、何百人といるはずだ。
ロイター電 "Israel eases restrictions on Gaza Fulbright students" を読んで、認識を新たにした点がある。「出国を許可しない」というのが具体的には、「ビザ手続きのためにエルサレムにあるアメリカ領事館に行くことが許されない」という状態だということだ。何という不条理だろう。
Tags: パレスチナ, イスラエル, 教育, 大学
2008年 6月 6日 午前 03:02 | Permalink
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2008.06.05
フィリピンでは、これまで初等教育でも中等教育でも、児童生徒が制服を着用して登校することが義務付けられていたが、このほど、学校制服が全面廃止になった(日本の最高裁判決についてフィリピンの新聞に何か書いていないか見ていて、見つけました)。
月曜日にアロヨ大統領が新たに小学校一年生になる子どもは制服を着なくてもよいと発表した("6-year-olds don’t need to wear uniforms to school--Arroyo")。制服を買うお金のない家庭の子どもたちにも教育の機会を保証しようという計らいである。それに続き、火曜日に Jesli Lapus 教育相が、小学校とハイスクールのすべての学年で制服を廃止することを発表した("DepEd: No more uniforms for public school students")。子どもたちの教育は無償であるべきという理念を貫いたわけだ。
私は制服を着なくてはいけないのが嫌だった(別にファッションを気にしていたわけではない。今だってほとんど一張羅で過ごしている)ので、フィリピンの子どもたちに、心の中で「おめでとう」と言った。統制とか管理、子ども扱いの象徴みたいな制服が嫌だったのだけど、制服を買えない子どもの教育を受ける権利のために闘うという発想はなかったなあ。著しく反省。
Tags: フィリピン, 教育, 学校
2008年 6月 5日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.04
合衆国のニューイングランド地方を代表する詩人 Robert Frost が生前住んでいた別荘が昨年末、荒らされた。若者たちが勝手に入り込んでパーティーを開き、酒やドラッグの影響で、いろいろ壊したりして、被害は100万円ほどにのぼった。パーティーに来ていた二十数人が検挙され、このほど判決が下った。
"After wild party, justice is metered out" というAP電によれば、被告たちには、刑の一部として、フロストの詩に関する講義に出席するという義務が科された。たぶん、詩の授業は死ぬほど退屈だから罰になるというのではなく、講義を担当する先生が言うように、ロバート・フロストが社会に対してどんなに大きな貢献をしたかを学べば、他人の物を大切にする心が生まれるであろうから、なのだろう。
日本の裁判が死刑、懲役何年、執行猶予何年といったものを方程式で求めたように差し出していくのに対し、アメリカの裁判では、時々、こういった風変わりな判決が言い渡される。時に、それは滑稽にも見えるのだが、被告が犯した罪と真正面から向き合うように仕向ける方策であると言うことはできるだろう。罪を直視し、それを乗り越え、より善な市民として社会に戻っていく。そういった仕組みを私たちも持つべきかもしれない。
Tags: アメリカ, 文学, 詩, 犯罪, 司法, 刑罰
2008年 6月 4日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.03
あるイギリス人の家族が昨年の夏、ギリシャの保養地に行ったら、そこに泊まっていたのはほとんどがドイツ人で、観光案内などもドイツ語ばかりで英語が通じず、閉口した。で、帰ってから旅行会社を訴えたら、このたび、なんと勝訴の判決が出た。
これは当然、ドイツ人にとってはおもしろくない話で、ドイツのタブロイド紙は、イギリス人がよく行く観光地を列挙して「ドイツ人はここには行くな」と呼びかけたり、イングランドがサッカーの欧州選手権で予選落ちしたことを揶揄して「イギリス人のみなさん、どうぞ海岸をお楽しみください。私たちはサッカー競技場に行きますので」などと嫌味を書いている。
…のだそうだ。シュピーゲル紙の記事 "Court Case Sparks Tabloid War: Briton Gets Refund For Having too Many Germans in Hotel" で知った。
遠くから見ると、なんとなく微笑ましい。やり合ってる現場にいたら、日本で韓国や中国を嫌って小賢しい口をたたく奴らみたいに、根性が腐ってるとしか見えないのかもしれない。
Tags: 民族差別, ネットウヨク
2008年 6月 3日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.02
ガザに住む7人のパレスチナ人学生たちの留学のためにアメリカ国務省から奨学金が支給されることが決まっていたのだが、イスラエル政府が出国許可を与えないため、国務省は先週、奨学金授与の決定を取り消した。
金曜日にこのことがニューヨーク・タイムズ紙で報じられた("U.S. Withdraws Fulbright Grants to Palestinians in Gaza")。ライス国務長官は外遊先でこの件について記者団に質問されてショックを受けた模様で、その後、国務省はイスラエル政府に再度働きかけを行ない、イスラエル政府は検討を約束した(土曜日のワシントン・ポスト紙 "Israel Revisits Limitations on Gaza Students")。
というわけで、状況はいいほうに向かっており、もしかすると、あなたがこの記事を読むころには、幸せな結末が訪れているかもしれない。そう祈りつつ、この記事を書いている。
私もかつて同じ奨学金をもらって留学した。私たちの時は、前年秋のプラザ合意によって急激に円高ドル安が進み、奨学金が本当にもらえるのか、受給決定者のだれもが心配していた。結局、日本政府が費用を折半することになり、私たちは無事、渡米することができた。ガザの人たちの困難はそれとは比べものにならないが、私には他人事とは思えない。
Tags: パレスチナ, イスラエル, 教育, 大学
2008年 6月 2日 午前 12:00 | Permalink
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2008.06.01
Convention on Cluster Munitions (クラスター爆弾条約)。ダブリンでの会議で世界の大多数の国々によって採択された条約です。すごく素朴な名前です。不発弾処理なども射程に入っているからか、「禁止」の文字もありません。A4用紙で18ページたらず。でも、その中には、人々の平和への願いと努力が凝縮されているような気がします。辛抱強く問題と向き合った外交官の人たち、あきらめずに声をあげ続けた市民の人たち、本当にありがとう。
条約の第21条第1項は、条約に参加していない国々へ参加を促すべきことを定めています。第3条は、参加国がその領土内のクラスター爆弾を速やかに廃棄すべきことを定めています。日本は、自衛隊の保有するクラスター爆弾を廃棄するだけではなく、日本国内に軍事基地を持つアメリカに対し、条約の精神に則って行動することを求め、そして日本国内からのクラスター爆弾の撤去を求める義務があります。
AP電、BBCの記事などによると、イギリス政府はアメリカに対して米軍基地にあるクラスター爆弾の撤去を要請するようですが、ドイツと日本は撤去を求めないだろうと考えられているようです。
そんなふうに高を括られたくないなあ。がんばりましょう!
Tags: クラスター爆弾, 基地, 平和
2008年 6月 1日 午前 12:00 | Permalink
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