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2008.05.31

アマゾンでの出会い

アマゾンの奥地で、外界と接触を持ったことがない先住民の集落が発見され、上空を飛ぶセスナ機から撮影された写真がこのたび公開された。全身を朱色に塗られた二人の戦士が空に向けて槍と弓を構えている。とても印象的な写真だ。

撮影はブラジル政府の Fundação Nacional do Índio (FUNAI)。29日付けの発表によれば、場所はペルー国境にほど近い Acre 州、Envira 川の左岸。

この件に関する Survival International の解説 "Uncontacted tribe photographed near Brazil-Peru border" によれば、地球上で彼らのように孤絶した部族は約100あり、そのうちの約半数がペルー、ブラジルに居住する。開発によって住み処を追われたり、免疫のない病気(ただの風邪であったりもする)で人口が激減したりしている。

私たちの考える人権という概念が、彼らをも包括するものでなければならないことは自明なのであるが、その他に私たちが明示的にあるいは暗示的に引き受けているさまざまな尺度や思考法は、彼らとの交渉の中でどれだけ妥当なものとして採択できるのだろう。

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2008年 5月 31日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.30

動物園の平和

Rebuilt Baghdad Zoo A Sign Of Hope - アメリカの CBS テレビの記事。バグダッドの動物園が復興しつつあり、それがイラク人にとって希望のしるしになっているとしている。

5年前、アメリカなどの連合軍がイラクを侵略した際、バグダッドへの攻撃で多くの動物が命を落とした。バグダッド陥落後の混乱で略奪されてしまった動物もいる。ライオンを餓死させないために、ダチョウを殺さなければならなかったこともある。動物園の職員たちにとっても、辛い日々だった。500頭以上いた動物は、数十頭にまで減っていたが、復興事業のおかげで150頭にまで回復した。アメリカ軍からはハイエナが寄贈された(やけに相応しい感じがする)。再び今、動物園には、宗派や居住地の分け隔てなく、人々が憩い(現実からの逃避でもあるだろう)を求めてやってくるようになった。

アメリカの大手メディアの報道だから、話半分と思って読まれなければならない。この記事はわりと良心的で、ちゃんと眉につばを付けて読むようにと書かれている:「確かに、動物園の中を歩き回っていると、平和な感じ、まるでほとんど正常であるかのような感じさえする。ここ5年間あまりのバグダッドとはあまりにも違う」。

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2008年 5月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.29

つばさの重み

中国政府からの支援要請を受けて、援助物資を四川大地震の被害者のもとに航空自衛隊のC130輸送機で運ぶことになるようですね(共同電「自衛隊機で支援物資空輸 四川大地震で政府方針」)。

本当に「自衛隊の飛行機で飛んできてもいい」という意向が示されたのなら、私たちが憲法9条の理念にしたがって戦争をしない国を作ってきた(そして、これからもそうありつづけるつもりである)ということが、かつて日本に侵略された国の人たちから認められたということですから、その信頼に応じるのがいいと私は思います。

これによって過去の問題が帳消しになると勘違いする人が出そうなのが心配ですが。

その一方で「それでも自衛隊は出るべきではない」という考えも、私はすごくよく分かります。もしかすると、自衛隊を出しても平和は守れると考えている私は、軍隊とか政治とかの怖さを見くびっているのかもしれません。ちょっと平和ボケでしょうか。

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2008年 5月 29日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.05.28

穀物危機関連のニュース二つ

Relief in Manila After Japan Agrees to Sell Rice - 日本は国内の農家保護のために米の輸入を制限しているが、そのため、WTO の規則で、一定量の米を輸入しなくてはならない。だぶついている輸入米を米不足に見舞われている世界一の米輸入国フィリピンに売り渡すことになった。

Mexico to Eliminate Grain Taxes to Help Reduce Prices - 穀物輸入国として世界第11位のメキシコが、食料品の高騰に対処するため、小麦、とうもろこし、米、豆類の関税撤廃に踏み切った。多くの国が同様の動きを見せている。

なんか、グローバリゼーションを押し進めようとする人たちの思う壺になっている感じがするのだけど、大丈夫なのだろうか。発展途上国の農業が崩壊したころに大恐慌が来て、世界中が大飢饉… などと考えると恐ろしい。

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2008年 5月 28日 午前 12:03 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.27

キスは危険

ベルリンのブランデンブルク門の近くに三千近いコンクリートの石柱によるホロコースト犠牲者の追悼施設がある(このブログでは3年前に取り上げた)。

ベルリンのホロコースト祈念碑その石柱群のすぐ近くにもう一つ高さ4メートルほどのコンクリートの箱が設置され、今日、公開される。箱の中にはスクリーンがあり、キスをする二人の男性が延々と映し出される。この箱はナチスの迫害によって命を失ったゲイたちの祈念碑だ。AFP電 "Monument to gay victims of the Nazis unveiled in Berlin" で知った。

ナチス政権下で、男性の同性愛は違法化され、強制収容所に送られたゲイの男性は5千人とも1万5千人とも言われる。

除幕式の案内に、碑に書かれた文章(英訳)が載っている。一部を訳しておこう。

ドイツは、その歴史ゆえに、ゲイやレズビアンの人権侵害に積極的に反対する特別な責任を負っている。世界のいろいろな場所で、人々はその性のために迫害され続けており、同性愛は違法で、キスさえも危険でありうるのだ。

「その歴史ゆえに」「特別な責任を負っている」という部分に線を引きながら読む。

写真は joto25 さんが CC-by-sa で公開しているもの。

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2008年 5月 27日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.05.26

南アで続く外国人襲撃

南アフリカで起こっている外国人に対する襲撃事件(このブログでは5月14日に取り上げた)は、残念なことに、収まる気配がない。2週間のうちに50人近くが殺され、15,000人余りが避難生活を送っている。

Tutu's warning went unheeded - at a heavy cost という記事で、首都のプレトリア・ニュース紙は、デズモンド・トゥトゥ前大司教が4年前に行なったスピーチを紹介している。貧富の格差の拡大によって市民の間に不満が募ってきており、せっかくアパルトヘイトを乗り越えてきた南アフリカ社会がこのままでは爆発しかねないと語ったトゥトゥ前大司教の言葉が現実になってしまったのではないかと指摘している。

南アフリカ人もジンバブエ人も、見分けがつかないと思うのだが、貧困という社会の歪みの中で、外から来た少数者が憎しみの標的になっていく。その図式は、決して南アフリカに限られたものではないだろう。それを解決していくのは、世界共通の課題だ。

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2008年 5月 26日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.05.25

チェコの医療制度改革論議

中欧のチェコでは医療制度改革が議論されている。現在の医療制度がどのようなものかが私には分からないが、政府が推し進めようとしている改革では、医師の診察や処方について30コルナ(約200円)ほどの診察費がかかるようになったり、法人税率が軽減されたりするようで、それらへの反発が強まりつつあり、1か月後の6月24日に一時間のゼネストが計画されているそうだ。

1348年に開学した由緒あるプラハのカレル大学の医学部附属病院の民営化というのも改革案の中に入っており、カレル大学はそれに反対して、民営化が行なわれた場合は医学部で診療医学の授業を行なわないことにする、という声明を出した: "Czech university threatens shutdown over reforms"。

記事には、チェコはこのところ好景気だったので、ストライキはめったにない、と書いてある。不景気続きだけどストをやらない国もあるんだけどな。国立大学の法人化の時もストにはならなかったし、名前からしておぞましい後期高齢者医療制度の導入にあたっても、どこかの老人ホームで入居者がストをやったという話も聞かない。なんか、私たちは重要な社会的な意思表示の手段を自ら封じ込めてしまっているようだ。いや、飼い慣らされるうちに忘れてしまったのかもしれない。

…というようなことを、1か月ほど前、フランスの高校生によるデモの話を紹介した時に、書かずに済ましてしまったのだが、この点について村野瀬玲奈さんがきっちりと書いているのでご紹介する:4月28日の記事30日の記事

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2008年 5月 25日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2008.05.24

再び叫ぶ

2004年に盗まれたムンクの「叫び」は2006年に発見され、今週、オスロのムンク美術館で公開が再開したという話をBBC "Scream painting back on display" や日本語のロイター電「ムンクの「叫び」、盗難後の修復終え公開へ」で読みました。

Munch's Scream at a peace rally

絵の画像をここに置こうかどうかと考えていて初めて知ったのですが、ムンクは同じ題材で何枚か描いているのですね。言われてみれば、上記ロイター電に載っている写真と Wikipedia のサイトにある写真は、明らかに違う絵です。

BBCの記事には、この絵は1893年に描かれたと考えられてきたが、最近の研究によれば、描かれたのは1910年だと書かれていました。確かに、19世紀的というより20世紀的ですね。

Edvard Munch が死んだのは1944年。著作権の保護期間が死後50年の日本では著作権が切れていますが、70年に延長されたムンクの国ノルウェイでは、まだ保護期間内。ちょっと考えさせられます。

写真はデモで見かけた「叫び」。Penumbra さんが CC-by-nc-nd で公開しているもの

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2008年 5月 24日 午前 12:55 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.23

踊るマンデラ

つい先日、ネルソン・マンデラを主題にした映画「マンデラの名もなき看守」が公開されましたが、今度はブロードウェイ・ミュージカルになるというニュースです。英ガーディアン紙 "Mandela's story to be retold in song, on Broadway"、バラエティ誌 "Mandela musical heads to Broadway"。

ウィニー・マンデラとの間に生まれた娘 Zindzi Mandela さんの回顧録をもとにして、2年後の2010年5月封切りを目指すとのことです。2010年と言えば、6、7月に南アフリカで FIFA ワールドカップが開かれるので(大丈夫でしょうか。ちょっと心配)、それに合わせた日程かもしれません。

2010年か11年にはブルース・リーの生涯を描いたミュージカルもブロードウェイで上演されるようですね。うーん、どういう歌を歌うのでしょう。あちょー、あちょー、っていう掛け声しか思い浮かびませんが。

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2008年 5月 23日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.22

ボローニャとの距離

The Bologna Club: What U.S. Higher Education Can Learn from a Decade of European Reconstruction - 1999年にヨーロッパで始まった大学改革(ボローニャ・プロセス)の概要をアメリカの視点からまとめた報告書。まだ要約の部分を斜め読みしかしていない。

日本は高等教育における私立大学の比重が大きいので、ほとんど国立大学のみのヨーロッパとは状況が異なるが、今後、文科省から大学の“規格統一”の圧力は強まっていくだろうから、こういうのも読んでおかなくてはなあと思いつつ、見ている。

まあ、末端というか底辺というか周縁に位置する私が読んでも、世の中が変わるわけはない、などということは考えないことにする。

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2008年 5月 22日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.21

もっと上に

時事通信が「平和度ランキング」日本5位=140カ国中、G8では最高という記事を配信しています。1位から140位までの順位は Global Peace Index 2008 のサイトで確認できます。英語での報道には、ガーディアン紙ドイチェ・ヴェレなどがあります。私たちの国が上位に来ているのは、とてもうれしいですね。

時事通信の記事では、「(1)戦争や内紛が起きたか(2)暴力犯罪のレベル(3)政治的安定性(4)テロ発生の潜在性-など24項目」とだけあって、日本が国是とする平和主義という要因がどのように計算の中に入っているのか分かりにくいですが、算定方法の概説を見ると、「軍事予算のGDP比」「人口あたりの軍人の数」「武器の輸出入」「海外派兵」「高度な装備」なども入っています。憲法9条があるおかげで単に戦争をしていないだけでなく、私たちの国の戦力を持たない努力が高く評価されていることが分かります。9条を守り、育てて、更に上位を目指したいですね。

去年は、無責任な首相が所信表明演説をした直後に職を投げ出したりしましたが、政治的安定性でも大きな失点にはならなかったんでしょうかね。その後も相変わらず弱者を軽視して大企業ばかりにおもねる政権が続いているのだから、安定しているということなのかな。

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2008年 5月 21日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.20

あの街へ

レバノンの Ya Libnan 紙に、ベイルートのハムラ通りの賛歌のような記事が出ている: "Hamra Street in Beirut is the phoenix of Lebanon"。記事にもあるように、ハムラ通りは、喫茶店などが多い、おしゃれな街区だ。

いろいろなやつらがここにやって来た。パレスチナ解放戦線。イスラエル軍。シリア軍。そして、今月の初めには、ヒズボラが来た。そして、去っていった。どうやらベイルートは落ち着きを取り戻しつつあるらしい。

ベイルートの中でもハムラ通りは特別な場所だそうだ。ハムラはだれのものでもない。シーア派の街でもスンニ派の拠点でもキリスト教徒の勢力圏でもドルーズ教徒の牙城でもない。住人たちは「あなたの宗教は何ですか」という質問に答えようとしない。それらがすべて混ざり合っているのが特徴の街なのだ。そのおかげなのか、内戦でも、ハムラはベイルートの他の街区ほど深い傷を負わなかった。

ハムラ通りには、レバノンのさまざまなところから、そして世界から、人々が集まってくる。若者たちを見て、老人は、この街は彼らとともに続いていくのだと語り、微笑む。ハムラは、レバノンが必ず復興するという象徴なのだよ、と言う。

うーん、これは本当に内戦同様の混乱を経験しつつある都市からの報道なのだろうか。こんな甘い旅の誘いがあっていいものか。もう一度行きたくなっちゃうじゃないか。

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2008年 5月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.05.19

パレスチナとの距離ゆえに

A disaster for Palestinians - レバノンの小説家 Elias Khoury による論評。イスラエル建国60周年にあたり、中東が置かれた位置を分析している。

前半で、クーリはイスラエル建国をアラブの側から表わすナクバという言葉の由来について語り、この「災難」という意味の言葉が加害者の存在や被害者の敗北の責任を曖昧にする危険を指摘しながらも、ホロコーストの償いとして世界が目を閉ざしたことの不可避性をよく表わしていると述べている。

後半では、占領によってナクバは歴史のかなたに追いやられることなく現在の日常になっていることを指摘し、占領に有意義な形で抵抗できなかったパレスチナの(非宗教的な)指導部の没落によって、イスラエルを含め中東は崖っぷちの状況になったと分析している。そして、その崖っぷちの状況からの転回を可能にするのは、イスラエルがその原罪と向き合うこと、つまりナクバによって土地を追われたパレスチナの民の苦しみを認識することだとクーリは言う。

私にとって、ナクバ60周年はなんとなく過ぎ去ってしまった。それは、私とパレスチナの間にある距離を物語っているのだが、その距離を意志の楽観主義として活かしていくことが私には求められているような気がする。

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2008年 5月 19日 午前 12:14 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.18

ナポリでロマ居住区の焼き討ち

イタリアでは今月、保守派のベルルスコーニが首相に返り咲いた。それは国会内の勢力分布の問題だけでなく、市民の間に不寛容が広まりつつあることの帰結であるようだ。

Gypsy shanty towns burn in Naples as Italian police swoop on illegal immigrants - 新政権のもと、先週、全国一斉で不法移民の検挙が行なわれたが、ナポリでは、混乱に乗じて、14日、ロマ(ジプシー)の人々の暮らす Ponticelli というスラム街に火炎瓶が投げ込まれて大火災となり、一帯が焼け落ちた。放火や消火活動の妨害は、マフィアが指示を下したものとも言われている。

イタリアには「ロマやルーマニアなどからの移民には犯罪者が多い」という外国人に対する偏見が蔓延しているらしい。今回の焼き討ちも、ロマの少女が乳児を誘拐しようとしたという“事件”が発端となった。人権団体 EveryOne Group は、誘拐未遂がでっちあげであると結論づけている

イタリアからの強制送還とは少し異なり、フランスではロマの「自主的帰還」事業が進められている。しかし、ルーマニアに帰っても、彼らを待ち受けているのは失業や差別である(Home to Roma, And No Place for Them)。

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2008年 5月 18日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.17

牛の幸せ

牛にはウォーターベッドがよいのだそうだ。乳牛をウォーターベッドで寝られるようにしてあげると、牛乳の生産量が6%から10%ぐらい増えるらしい。幸せな労働者は生産的な労働者である。

Dairy farmers pamper cows to boost milk output というAP電によれば、ヨーロッパやアメリカでは、ウォーターベッド付きの牛舎というのは、かなり当たり前の光景になってきているようだ。寝心地がいいだけでなく、夏は冷水を、冬は温水を入れることによって、温度の面でも、より快適な環境を作ってあげることができる。

記事で紹介されているアイオワ州の酪農家は、牛たちをもっと快適にしてやろうと、牛舎に液晶テレビを設置したという。昼のトークショーとかを見せているらしい。今ひとつ、牛たちの興味をひくとは思えないが。「サウンド・オブ・ミュージック」や「アルプスの少女ハイジ」とかを見せたほうがいいんじゃないだろうか。でも、同じものを繰り返し見せられたら、牛たちも飽きるか。

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2008年 5月 17日 午前 12:00 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2008.05.16

ウクライナのジェノサイド

1932年から33年にかけて、ウクライナでは Holodomor と呼ばれる大飢饉が発生した。300万とも1千万とも言われる人たちが亡くなった。飢饉は、集団農場政策を強硬に推し進めるスターリンがあまりにも多くの穀類をウクライナから移送してしまったために起こったと考えられている。独立を志向するウクライナを罰するために、あえて多くの人を餓死させたのではないかとも考えられ、Holodomor をジェノサイドだと考えるのが主流になってきているらしい。どこでも同じことなのかもしれないが、ここにも否定論者がいるそうだ。多くのロシア人は、これがジェノサイドだったという歴史観には否定的らしい。

Canada set to recognize 1930s Ukrainian famine as genocide - カナダでは、今月下旬にウクライナの首相が訪れるのを前に、国会でホロドモールをジェノサイドだと認定する決議をするようだ。

記事の終わりには、最近、カナダの首相が20世紀初頭の中国からの移民に対する不当な取り扱いについて謝罪を行なったことや、1914年に起こったインド人に対する入国拒否事件に関しても近日中に謝罪をする見込みであることを伝えている。

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2008年 5月 16日 午前 12:45 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.15

豪が難民政策を転換

The Australian 紙 "Refugee intake raised to 13,500" およびAP電 "Australia's new refugee policy wins praise from UN, human rights groups"。オーストラリア政府が難民受け入れ枠を拡大するとともに、難民の永住ビザ取得を容易にする政策を発表した。

難民の年間受け入れ枠は13,500となる。イラクからの難民には500の枠が確保されている。保守党のハワード政権の難民政策では、あらかじめ難民申請をしないで入国した場合は、3年間の仮ビザを与えてきた。労働党ラッド政権は、これを変更し、入国後に難民申請をした場合も永住ビザを発行することにしたらしい。

オーストラリアでは、政権が交代したことによって、確実に人権への配慮が強まり、寛容な社会への歩みが始まったようだ。日本でも、もうすぐ政権が代わると思うが、こういう変化があるのだろうか。期待するとともに、なんとなくあまり変化がないのではないかという不安がある。まあ、やってみなくては、分からない。

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2008年 5月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.14

差別を乗り越えてきた国

南アフリカでは最近、国外から来ている労働者などが職を奪ったり治安を悪化させているとして外国人に暴力をふるう事件が多発しているらしい。火曜日、ネルソン・マンデラ(今年の7月で90歳になるそうです)が Tshwane 市から自由賞を贈られた際、スピーチの中でこの問題を取り上げたことをヨハネスブルグの Soweto タウンシップの新聞 Sowetan が "Have some humanity - Madiba" という記事で伝えている。

「私たちがどんなに怖ろしい状態からここまで来たかを思い出してください。分裂を乗り越え、今ある姿にまで引き上げることができた国の功績を忘れてはなりません。どんな問題に関しても、またあの破壊的な分断状態にまで身を落とすようなことはやめようではありませんか。ンコシ・シケレリ・アフリカ(主よアフリカを祝福し給え)。」

こういう文脈で言及できる国歌って、素敵ですね。あと、これって以前に書いたかもしれないのですが、南アフリカで店にいる時、ラジオから Nkosi Sikelel' iAfrika が流れてきました。白人の店員さんがそれに合わせて口ずさんでいたので、白人としてこの歌に疎外感は持たないのだろうかと思い、「この曲、好きですか」と聞いたら、「ほんとうにいい曲です」と答えました。うらやましいなあ、と思いました。

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2008年 5月 14日 午前 12:14 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2008.05.13

石の呪い

オーストラリア中部にある巨大な一枚岩ウルル(Uluru)。以前は植民者の言語で Ayers Rock と呼ばれていた。この先住民の聖地から密かに小石などを持ち帰る人が後を絶たない。ウルルを管理する国立公園事務所には、毎日必ず一通は「申し訳ありませんでした」という手紙を添えて、おみやげに持ち帰られた石が郵送されてくる。たいがいはポケットに入るような小さな石だが、オーストラリア国内からは32キロの、海外からは9キロの岩が送り返されてきたこともある。

ウルルUluru tourists return 'cursed' souvenirs - 先住民の聖地を荒らしたことを恥じて送り返してくる人も多いが、だいたい4人に1人は手紙の中で、その石を持ち帰ってから本人や家族に不幸が見舞ったことを述べている。不幸をもたらす「呪いの石」だと考えているようだ。呪いを本気で信じているわけではないにせよ、「気味が悪いので」という人も多いのだろう、というのが手紙に目を通している人の説明だ。

宗教的な情操と、植民地支配やその後の人種差別という現世的な罪の意識とが、不連続ではないようすが看取できる。

写真は Dennis Kruyt さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの

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2008年 5月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.12

国連人権理事会の資料

Gazing at the Celestial Blue ブログの碧猫さんが「国連人権理事会の日本に対する普遍的定期検査に関する報道、いろいろ」という記事を書いています。死刑制度が存続している問題や慰安婦問題などについて、さまざまな国から意見が寄せられたようです。

碧猫さんが指摘しているように新聞各紙の記事は短めで断片的なので、もう少し情報を探してみました。実は見つけただけで、まだ紐解いていません。

まとめ文書を見る限り、日本代表の報告に対し、人種差別や排他的な風潮に関して更に情報がほしいという意見が出たり、女性の人身売買について更なる取り組みを求める声があがったり、入国管理施設への国際機関の査察、代理監獄制度の見直しをはじめとしてさまざまな勧告案が提起されたようです。順番に審査の対象となるどの国にも多くの意見や提案が出されるようなので、そういう文脈の中でとらえるべきものですが、多様な視点から出された意見は私たちが考えていく上でも有益なヒントになるだろうと思います。

日本に関する報告書は14日に日本の受け持ち国であるフランス、インドネシア、ジブチの3国から提案され、議決されます。

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2008.05.11

チョコレートの詰め合わせ

「彼は幼いころ、あるヒット映画の主人公の少年時代を演じた。大人になって、彼は、ある意味、その主人公の人生をなぞるように生きてきた。兵隊になり、不人気な戦争に行ったのだ」といった感じで始まる記事を読んだ。"Child 'Forrest Gump' actor leaving Army" というAP電だ。

映画「フォレスト・ガンプ」で子役を勤めた男性は、「国のために働きたい」と考えて大学の途中で陸軍に入り、一年間をイラクのアンバー県で過ごした。今、彼はカンザス州の基地に戻り、来月初めの退役を待っている。イラクについては、「いい経験だった。ひどいことをたくさん見た。たくさんの人が傷ついた。とにかく暴力的だった。私たちが何かいいことができていればいいのだけれど」と語っている。

彼がフォレスト・ガンプの生涯をなぞっているのではなく、アメリカが同じような過ちを繰り返しているだけなのだと考えるほうが正しいと思う。残念ながら、不正義な戦争はまだ続くだろう。彼にも、偶然、反戦集会で話をする機会が巡ってくるかもしれない。

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2008年 5月 11日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.10

隔てる壁

チェコ中部のハブリチュクフ・ブロト(Havlíčkův Brod)という小さな町で、市営住宅の敷地の中のロマ(ジプシー)の人たちとそれ以外のチェコ人たちの住んでいる部分の境にコンクリの塀を作るという話を読んだ(Fence cutting off Roma people gets building permit)。町がこのほど建築許可を出し、費用の半分を負担する決定をしたが、塀を作れと言い出していた住民たち(ロマではない人たち)が費用の残りの半分を負担しようとせず、計画が宙ぶらりんになっているとのこと。

ロマではない人たちは、ロマの人たちが大きな音を出したり、建物や車に傷を付けたり、花壇を荒らしたりすると言う。ロマの団体の活動家は、壁を作るのは何の解決にもならず、就職口を斡旋したり、子どもたちの遊ぶ場所を作るほうがずっと効果的だと語る。

チェコでは、1999年に別の町で同様な壁が作られたが、ヨーロッパ議会を巻き込んだ議論になり、翌年、撤去されたと記事は伝えている。

日本でも、外国人労働者などが増えるにつれて、こういう話が出てくるのかなと思う。そんな時、チェコで壁が問題の解決になったのかどうかを検証するといいと思い、ここに書き留めておく。

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2008年 5月 10日 午前 12:11 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.09

死にゆく猿

Orangutan may be extinct in 3 years - インドネシアのジャカルタ・ポスト紙の記事。カリマンタン島(ボルネオ島)の中部に住んでいるオランウータンが、あと2、3年のうちにも絶滅してしまう危険性があると報じている。

カリマンタン島地図 カリマンタン島中部には約31,300頭のオランウータンが棲息していると考えられてきたが、保護運動家によると、実勢は2万頭程度であると思われる。森林を伐採してヤシ畑がどんどん作られており、オランウータンたちは住み処を奪われている。私にはヤシ油なんてあまり身近に感じられないのだが、かなり急速に開墾が進んでいるらしく、2006年だけで1,600頭のオランウータンが犠牲になったそうだ。

絶滅が危惧されると言えば、パンダなんか千数百頭しか残っていないというのに、東京に連れてきていいのだろうか。かわいいし、友好の証しを示してくれることはとてもうれしいことなのだけど。

消えかかっている動物たちが動物園で簡単に見られることは、私たちに誤った安心感を与えないだろうか。無邪気に動物たちに手を振る子どもたちに、「あなたがおとなになるころには、パンダもオランウータンも、いなくなっちゃっているかもしれないんだよ」って、私たちはうまく伝えられるだろうか。

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2008年 5月 9日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.08

名誉市民

ビルマ(ミャンマー)は、サイクロン Nargis で甚大な被害を受けただけでなく、今週末にはタンシュエ軍事政権による名ばかりの新憲法国民投票も予定されていて(サイクロンの被害を受けた地域に限って投票が2週間延期された)、ニュースを読んでも気が滅入ることこの上ない。それらの中で完全に埋もれてしまったほんの少し明るいニュースを紹介する。

Canada honours Aung San Suu Kyi of Myanmar with citizenship tribute - カナダ政府がアウンサン・スーチーさんに名誉市民権を授与した。これまでに名誉カナダ人に選ばれたのは、南アフリカのネルソン・マンデラ、チベットのダライ・ラマ、そしてホロコーストからユダヤ人を救うために尽力したスウェーデンの外交官 Raoul Wallenberg の3人だけ。そうそうたる顔ぶれだ。

たまちゃんも、ひこにゃんも、かわいいんだけど、わたしたちも、もっとおとなになろうよ、とおもいました。

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2008年 5月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.05.07

ナルギスの跡

Nargis と名付けられたサイクロンによるビルマ(ミャンマー)国内の死者は、これを書いている時点の報道で15,000人程度にまで上っている。行方不明になっている人も多いようなので、まだ更に増えるのだろう(すでにビルマ語の報道では50,000人という数字も出ているらしい)。

ビルマ情報ネットワークがリンク集で紹介している US Campaign for Burma のサイトでサイクロン被災者救援のための募金ができる(送信ボタンの直前のボックスにチェックを入れる)。クレジットカードの処理が終わった時に表示されるページに、寄付金は現地の団体に直接渡されると書かれている。

私を含めて、災害時といえども軍事政権の支援に結びつくことはやりたくない人は多いと思う。何もかも失ってしまった人にとってみれば、だれがくれるお金も同じなのかもしれないが。信頼できる義援金の委託先などについて情報がありましたらお教えください。

追記:宇田有三さんのブログに日本ビルマ救援センターでの義援金募集の呼びかけが載っていました

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2008年 5月 7日 午前 12:00 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2008.05.06

パキスタン支援に関する疑問

高村正彦外務大臣のパキスタン訪問についての報道で、ちょっと気になる点がある。

日本の新聞や外務省のサイトを見る限り、総額479億円の円借款供与の表明が今回の訪問の最大の注目点だ。5月3日の共同通信では、「同国内の送電施設整備や道路、かんがい施設改修に総額479億円の円借款供与を表明」とある。朝日新聞が若干詳しく、「円借款の供与先は、小麦や綿の主要生産地パンジャブ州を中心に計4件で総額479億4300万円。テロの背景ともいわれる貧困の削減を目的に、貧困層の多い地方の農村開発を支援し、農業生産性の向上などを目指す」と伝えている。外務省による内訳の説明によれば、パンジャブ州以外には、シンド州、バロチスタン州で行なわれる計画も円借款の対象となっている。

一方、パキスタンの英字紙の報道を見ると、この479億円よりも大きな扱いで7億7千万円という数字が取り上げられている。4日づけの The News 紙によれば、「部族地域における教育、保健面での開発のため」として高村外相が発表した支援の金額だ。そもそも、この記事はタイトルが "Japan to help develop tribal areas" となっている。Dawn 紙は、"Japan to support counter-terrorism efforts of Pakistan: Accord on infrastructure projects signed" という記事で、479億円の話よりも前に、「日本は総合的なテロ戦略の一環として、部族地域の社会経済的な発展を支援する政策を率先して作っていくことに合意し、外相は日本政府がこの面での支援を倍増して7億7千万円の支援を行なう用意があると述べた」と伝えている。479億に比べればずっと少ない7億7千万円という数字は、パキスタンの政治家やメディアからは大きく注目されているようだ。

先に見た外務省の支援内訳には、部族地域を対象とするものは含まれていない。外務省による外相訪問の「概要と評価」文書でも、パキスタン側より「部族地域における教育・医療等社会インフラ支援の重要性が強調された」とか、両国が「部族地域における経済社会基盤を整備することもテロとの闘いにおいて重要であるとの認識で一致した」とか、パキスタン側が「部族地域(FATA)支援…に対し、深い謝意とその継続への期待が表明された」との表現はあるが、日本からの金銭的な支援が確約されたことだとか、その内容については何も書かれていない。

外務省のサイトで検索すると、今年の1月に部族地域の開発のために7億円の無償資金協力を行なう旨の取り決めが両国の間で交わされたことが分かる。これが今回、高村大臣が手土産にしたものと同じものなのか、それともこれは前年度ぶんということになるのか、私には分からない。いずれにせよ、この資金協力は「ノン・プロジェクト」ということで、あらかじめ資金の具体的な使途を特定させることなく渡されるものらしい。

なんとなく不明瞭だ。日本の納税者、有権者にもう少し説明をしてほしい感じがする。「そもそも中央政府の統治がほとんど及んでいない部族地域で中央政府にインフラ整備ができるのか?」「教育・保健面っていうのは表向きで、実は軍事支援なのではないか?」「それとも、説明責任のないお金として政権関係者の懐に消えていくのか?」など、いろいろと考えてしまう。

連休が明けたら、外務省に電話して聞いてみるといいだろうか。でも連休が終わると時間がなくなるんだよな。

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2008年 5月 6日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.05

食糧危機の真犯人

穀物価格の高騰に代表される世界の食糧危機はインドや中国などの新興国で経済成長の結果として消費が拡大しているのが原因だとされることがあるが、これはとんだお門違いだというインドからの反論。タイトルがそのままよい要約である "US eats 5 times more than India per capita" というタイムズ・オブ・インディア紙の記事だ。

記事はアメリカの農業省の統計をもとに、以下の事実を明らかにしている。

  • インドの人口一人あたりの年間穀物消費量は178kg。アメリカの2007年の一人あたり年間穀物消費量は1,046kg。EUはアメリカの半分、中国はアメリカの3分の1。アフリカは162kg。
  • インドの一人あたり年間穀物消費量が上昇しなかったのに対し、アメリカでは2003年から2007年までの間に100kg上昇した。
  • 牛乳の消費量はアメリカが78kg、インドが36kg、中国が11kg。
  • 植物性サラダオイルはアメリカが41kg、インドが11kg。
  • 牛肉。アメリカが42.6kg、インドは1.6kg、中国が5.9kg。
  • 鶏肉。アメリカが45.4kg、インドは1.9kg。
  • 豚肉。アメリカが29.7kg、インドはほとんどなし。EUが42.6kg、中国が35kg。

実は私、太っているので、他人のことを食べ過ぎだとかお説教できる立場にはない。そうか食糧危機の犯人は私だったのだ、と反省中です。

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2008年 5月 5日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2008.05.04

テロと拷問

昨日紹介したように、アメリカ政府によってグアンタナモ空軍基地に2002年から不当に拘束されていたジャーナリストのサミ・アルハジさんが解放された。故郷のスーダンに戻った al-Haj さんが首都ハルツームの病院でロイターのインタビューに応えている - "'Torture is terrorism', ex-Guantanamo man tells US"。アルハジさんは、拘束中にアメリカ兵からさまざまな拷問を受けたと語る。記事は彼の

「安全保障と人権は切り離すことのできない問題です。そのうちの一つだけでよいなどということはあり得ません」「人権は平和な時だけのものではありません。いつも、困難な時や戦争の時でさえも、それを守っていかなければなりません」「私が最後にアメリカ政府に言いたいのは、拷問がテロを止めることはないということです。拷問こそがテロなのです」

という言葉を伝えている。普遍的な意味でも考えさせられる言葉であるし、「テロとの戦争」を標榜して不正義を行ない続けるアメリカや、それに与する日本に猛省を迫る言葉でもある。

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2008年 5月 4日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.03

サミ・アルハジさんが解放された

Reprieve announces release of Sami Muhyideen Al Haj from Guantánamo Bay - 6年間にわたりグアンタナモ米空軍基地に拘束されていたアルジャジーラの写真家サミ・アルハジさんが解放された。とてもよいニュースだと思う。アルジャジーラによれば、無事、母国であるスーダンに到着したようだ。

Al-Hajj さんは2001年の暮れに、アルカイダとの繋がりの嫌疑をかけられて取材先のアフガニスタンで拉致され、敵性戦闘員としてグアンタナモに収容されていた。グアンタナモの中の様子について私たちが知るのは、彼が弁護士との面会などで伝えてきた情報に寄るところが多い。過酷な取調べを受けたアルハジさんは、ハンガー・ストライキを続けていて、一年以上、鼻から挿入されたチューブで強制的に摂食させられてきた。

彼をテロリストと決めつける証拠などあるはずもなく、アメリカは彼を起訴することもできず、釈放することになった。それまでに費やされた6年間という年月はあまりにも長い。日本も参加している「テロとの戦争」において、アメリカが人権をないがしろにして、いかに無責任なことをやっているかがよく分かる事案だ。そして、おそらくこれは唯一の事例ではない。

以前書いたアルハジさんに関する記事:

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2008年 5月 3日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.02

トルコ的な法律は変わらない

トルコでは4月29日から30日にかけて徹夜で国会審議が行なわれ、30日の朝、刑法301条を改正する議案が可決された。残念ながら条文そのものは見ていないが、AP電 "Turkey's parliament softens law restricting free speech" 等の報道によると、改正の要点は以下の4点らしい。

  • 「トルコらしさ(英語では Turkishness)」を侮辱した場合という言い回しが「トルコの国(Turkish nation)」やその機構を侮辱した場合と言い換えられた
  • 取り調べの開始に法務大臣の許可が必要となった
  • 禁固刑の上限が3年から2年に引き下げられた
  • 初犯の場合は執行猶予が付けられるようになった

EUなどから改正をある程度歓迎する声が出ているが、人権団体、少数民族政党等には「表面的な改訂に過ぎない」として失望をもって迎えられている。301条のみが修正の対象となり、言論の自由を阻むその他の法文が未着手なのも問題だ。

それにしても、国会での論戦がこのような生ぬるい改訂を行なおうとする与党の宗教政党と「反トルコ的な言論は許すべきではないから、改訂すべきではない」とする民族主義的な野党との間での議論に終始したというのを聞くと、日本がそのほんの少し手前で踏みとどまっていることが誇らしく思えたりする。

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2008年 5月 2日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.01

ポルトガルの正書法

As spelling changes, Portugal feels the empire striking back - リスボン発のAP電。ポルトガルでは今月の15日に国会で綴り字改革の議決が行なわれる。二重子音字で発音されないほうは書かないようにする(óptimo を ótimo に、acção を ação に)などが例としてあげられている。日常的な語彙11万語のうち2千語の綴り方が変わるらしい。

提案されている新しい正書法の原則はおおむねブラジルでの表記法に準拠するもので、旧宗主国であるポルトガルが旧植民地であるブラジルに屈するのかという問題として、熱く論議されているそうだ。急に出た話でもなく、またポルトガル国内で決められたものでもなく、ポルトガルの旧植民地(ブラジル、アンゴラ、モザンビーク、東ティモール、カーボベルデ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ)との間で取り交わされた合意文書の批准という形で話が進んでいるようだ。

保守的な綴り方を擁護する人たちに向けてノーベル賞作家の Jose Saramago が語った「だれかが言語を所有しているといった考えはやめたほうがいい。言語は、それを話している人々のものなのだ」という言葉を引用して記事は終わっている。

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2008年 5月 1日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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