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2008.04.18

JPEPAは批准されるのか

フィリピンのアロヨ大統領が今週、上院に対して日比経済連携協定(JPEPA)の早期批准を要請した(Inquirer 紙の "Arroyo renews call to Senate to ratify JPEPA")。外交委員会の Miriam Defensor-Santiago 委員長が28日に条件付き同意の意見書を出すことになっているが、議会内には反対の声も根強く("Arroyo can’t pressure Senate on JPEPA--Senator Pia Cayetano")、3分の2の賛成が得られるかはまだ不確定なようだ。

フィリピンのシンクタンク IBON Foundation がJPEPAを却下する8つの理由をまとめている("Reasons To Reject The JPEPA"、16日発表) 。

  1. JPEPA は不均衡である。日本はフィリピンより多くのセクターを協定の適用外として保護している。フィリピンも5つのセクターを日本からの投資から除外しているが、実質的な保護になっていない。
  2. JPEPA によってフィリピンが得る利益は非常に少ない。看護師受け入れなどが大きく宣伝されているが、実際には日本語能力などの厳しい資格認定を伴っており、多数の受け入れは期待できない。
  3. 有害ゴミ受け入れの根拠となってしまう。同意なしに有害ゴミを輸出しないと日本政府は言うが、フィリピン政府が「ゴミ処理施設の開発」の名目で同意を与える可能性がある。
  4. 「自由貿易」は後進国の発展に寄与しない。歴史的に明らかである。日本の経済規模はフィリピンの50倍もあり、「対等な立場」は強者にのみ有利に働く。
  5. 自由化はフィリピンの経済政策の足かせとなる。投資の制限撤廃は、フィリピンに益のある投資を誘導するような政策の実施を不可能にする。
  6. JPEPA はフィリピンの工業を破壊し、雇用機会を減少させる。そもそも、フィリピンからの工業品の輸出は日本企業の現地法人によるものや下請けがほとんどなので、関税が撤廃されてもフィリピン経済への恩恵は少ない。むしろ、関税撤廃によって原材料の輸出が安価になれば、雇用自体が海外に出てしまう危険性もある。
  7. JPEPA は農業を破壊する。バナナやパイナップルの輸出が容易になると説明されているが、実際にはフィリピンから日本への農業品の輸出は少なく、また、ドールやデルモンテのような多国籍企業に牛耳られている。
  8. JPEPA はフィリピンの発展とは無関係である。そもそも JPEPA は日本の大企業がフィリピンに投資しやすくすることを目的としたものである。

どの点ももっともだと思うのだが、それでも批准されてしまうのではないかと恐れる。先日取り上げた事件以外にももう一件、日本人によるフィリピン人の殺害が最近起こっているので、社会全体として日本への憤りもあるだろうと思う。でも、政治って、それぐらいでは止まらないのだろう。

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2008年 4月 18日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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