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2008.03.17

壊される街

イスタンブールのスルクレ地区

トルコのイスタンブールにスルクレ(Sulukule)という地域があることを知った。ちょっと知るのが遅すぎたようで、その街は今、壊されようとしている。都市整備計画に基づき、先週の木曜日、ついに家屋の取り壊しが始まった。15日づけ Turkish Daily News 紙の "Demolition teams at work in Roma neighborhood"、一か月ほど前の記事 "Int'l voice raised for Sulukule"。

スルクレ地区の取り壊し

スルクレには、ビザンティン帝国の時代から千年近くもの間、ロマ(ジプシー)の人たちが暮らしてきた。取り壊しにあたっては、40キロ離れた土地に住宅が用意されているとのことだ。しかし、そこでは生計を立てることはままならない。取り壊された家々の跡には住宅も建てられるが、それを買うだけのお金を持つロマの人たちは少ない。また、取り壊しの執行にあたっては、「3月末までに退去するように」と命令書に書いてあったこともあって、まだ荷物を家の中に置いたままだった人もいたらしい。家を壊された人の中には、路上生活を強いられる人もいる。

イタリアの人権団体 EveryOne (Urgent campaign to save Sulukule)が、再開発は歴史的な遺産を破壊するだけでなく、ロマ(rrom)のコミュニティをも破壊するものだとの懸念を発表し、署名を集めている。

どこの国のことであっても、だれかが強制的に立ち退かされるという話を聞くと、心が早鐘のように騒ぐ。人々の生が引き裂かれるのを見るのはとても辛い。より近くでおこっている立ち退きのを思い出し、自分がトルコ語を読めないのは幸いだとも思った。もし読めたら、スルクレについてたくさんの心ない発言を目にしていただろうから。

一枚目の写真は john brock さんによるもので、一年前の撮影。二枚目は E. A. Roberts さんによるもので、取り壊し当日の撮影。どちらも CC-by-nc-sa。

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2008年 3月 17日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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