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2008.03.31

この国を地球の時間の流れに載せよう

消灯中のトロント一昨日取り上げたアースアワー(Earth Hour)は世界的に成功したようで、元祖のオーストラリアでは成人人口の半数が消灯行動に参加したというし、全世界で3千万人もの人が電気を消したとも伝えられている(ロイター電)。3千万人といえば、世界の人口のほぼ200人に1人にあたる数だ。

それだけの盛り上がりを、ここ日本では感じることはできなかった。私自身、アースアワーについて知ったのは前日のことだったし、ネットで検索しても、「アースアワー」について多くの人が書いているようにも見受けられない。

別に、お祭りがあるからって参加しなきゃいけない義理などないのだが、踊る阿呆に見る阿呆、祭りを知らぬは、もっと阿呆だ。「クールアース」とか言って安倍前首相のころから「温暖化問題に国を挙げて取り組んでいます」と口先では言って、本当のところ大したことをやっていないというこの国のお寒い現状を考え合わせると、これでいいのだとは言い難いだろう。

消灯前のトロントはやり言葉で言えば、「空気が読めない」と言うのだろうか。慰安婦問題でも捕鯨問題でもそうだが、日本で幅をきかせている右寄りの言説というのは、ものすごく閉鎖的で、「世界の空気が読めていない」と言えると思う。世界の人々が考えていることに無関心と言うのが正しいかもしれない。自尊心が高いこと自体はいいことなのだろうが、独りよがりになっている今の姿は、ただのお馬鹿さんだ。

十分に多くの人が世界の動きを見ていれば、アースアワーの話題も、もっと盛り上がったはずだ。なのに、私たちの中で世界を見ている人は少なすぎた。環境問題に真剣に取り組んでいる人たちは、ちゃんとアースアワーという催しがあるということを世に訴えていた。しかし、テレビなどが垂れ流す大企業寄り、体制寄りの情報の音量が大きすぎて、私たちはその訴えを見逃してしまった。

うさんくさい資本家の宣伝や、かびくさい国粋主義的な雑音なんかは軽く無視して、外の空気に窓を開きたい。聞こえてくる音のすべてが快いものではないだろうけど、耳を澄まそうと思う。この国でまかり通っている歪んだ時間を、少しずつ解きほぐしていこう。普遍的な時間を取り戻すために。

写真は saveourclimate さんが CC-by で公開している、トロントの消灯前後。

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2008年 3月 31日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.03.30

東独春画

旧東ドイツ軍には秘密の映画部隊があり、軍幹部や共産党幹部向けにポルノ映画を作成していたことが明らかになった。英テレグラフ紙の "Secret Stasi pornographic films found"、英インディペンデント紙の "Stasi's official pornography department finally exposed" などが報じている。ドイツのテレビ局 MDR が作成した旧東独の性に関するドキュメンタリー(たぶん、Sex im Sozialismus と題されたこの番組だと思う)の中で紹介されたらしい。

記事によると、東ドイツでは、おおやけにはポルノ映画は資本主義の病弊であるとして禁止されていた。なのに偉い人たちは自分たちだけ楽しんでいたなんて、ずるい。あと、男だけいい思いをしていたんだろう、みたいな批判も可能だろう。

「祖国のためにやる」などの題が付けられた作品の中の女性医師や女性兵士については、インディペンデント紙に出演シーンの描写、MDR の記事に写真へのリンクがある。

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2008年 3月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.29

地球のための一時間

今日はアースアワー(Earth Hour)という一斉消灯行動が国際的に行なわれるのだそうですね。都市や自治体としての参加が売り物みたいです。26の大都市を含む35か国371自治体で、世界標準時9時、つまり日本の午後6時から1時間、観光名所などのランドマークが消灯するそうです。28日づけAFP電 "'Earth Hour' to plunge millions into darkness" で知りました。私、こういう催しが好きです。何かあったら、教えてくださいね。

日本では杉並区が参加するようです(区からのお知らせ)。こっちは午後8時から9時になっていますね。「可能な範囲での消灯」を呼びかけています。防犯上問題になるようにしてまで、あるいは代わりにロウソクを使ってまで電気を消すようなことはするなという姿勢です。これなら参加しやすいですね。

アースアワーは去年、オーストラリアで始まった運動だとのこと。2年目にしてアジア、ヨーロッパ、アメリカなどにも広まりました。1時間消したところで節約できる電気は知れているが、みんなの考えるきっかけになる、という趣旨です。

家庭でちまちま電灯を消すことも大切なのだと思いますが、都心で大企業の広告ネオンを消すのは(あるいは、今回そういう形で日本では運動が広がっていないことを考えるのは)、物質主義、過剰な消費商業主義、寡占化された資本主義についてみんなが考える契機として重要だと思います。

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2008年 3月 29日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.28

壁に刻まれた名前

ワシントンDCにベトナム戦死兵祈念碑(Vetnam Veterans Memorial)という石碑がある。ベトナム戦争で死んだアメリカ兵の名前が刻まれた黒い大理石の壁だ。その壁を部分ごとに写した6千枚余りの写真をつなぎ合わせて自由に拡大縮小できるような形で電子化し、政府の戦死兵資料のデータベースと連動させてさまざまな形で検索できるようにしたサイトが今週、公開された: Interactive Vietnam Veterans Memorial

Vietnam Veterans Memorial画像は40万ピクセル×12,500ピクセル。壁には58,320の名前が記されており、そのうちの70ほどは重複や誤記。女性であることが明示されているのは8名のみ。2,056名は遺体が回収されていない。死亡時の平均年齢は22.8歳。

私が住んでいた町の出身者もいた。海兵隊所属、上等兵、狙撃兵、白人、カトリック信者、独身、1948年11月20日生まれ、1968年9月29日出兵、1969年3月1日、敵からの攻撃により爆弾の破片を体中にあびて負傷し死亡、20歳。

ベトナム戦争や日本のアジア太平洋戦争のように不正義な戦争であっても、それに駆り出されて死んだ兵隊たち個人は悼まれるべきだろうと思う。40年の時間を超えて、自分と関わりのある戦死兵を探しあてることができるデータベースというのも、一つの追悼の形式かもしれない。戦死兵を軍神だの英霊だのにまつりあげ、間違った偏狭で危険な思想を再生産するだけの装置よりも、はるかにましだと思う。

写真は SnoShuu さんによるもの。CC-by-nc-nd。

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2008年 3月 28日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.27

命の重み

命について考えさせられるニュースが続いています。

土浦と岡山で起こった「だれでもいいから殺したかった」といった言葉とともに報じられる事件。どちらも若者によって起こされました。私の想像力では、人を殺してみたかったという彼らの気持ちが理解できないので、的外れかもしれませんが、「あなたには人の命を奪う権利はないのだ」ということをもっと強く教えることが必要なのだと思いました。

イージス艦「あたご」の当直員だった海士長が自殺を図ったというニュース(毎日共同)。人は自分自身の命を管理する特権を持っているとは思いますが、自分の命を損なおうという判断は極めて抑制的になされなければならないと思います。自分自身の命ですら軽く見てはいけない、自分自身の命でさえ完全に自由ではないということを社会全体で確認しなくてはいけないと思いました。

袴田巌さんの再審請求が最高裁で棄却されたニュース(毎日共同)と、その背後にある死刑制度の問題。私は、冤罪とか更生の可能性などの点で問題がなかったとしても、それでも死刑というのは行なわれるべきではないと思っています。仮に極悪人であっても、その命を軽く見てはいけない、国家にすら人の命を奪う権利はないと思います。ましてや、無実を訴えている人に死刑判決の見直しの機会を与えないなんて。

殺人、自殺、死刑。この三つの中で殺人だけを犯罪と考え、それを減らすために道徳を明確化しようとする時、自殺する人がたくさんいるのに何も手を打たない社会や死刑を容認する社会は、説得力のある倫理体系を作ることができるのでしょうか。

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2008年 3月 27日 午前 12:11 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.03.25

ダライ・ラマの心の平和

Tibet on mind, Dalai Lama teaches compassion - 24日づけの The Times of India 紙が伝えるダライ・ラマの近況。ダライ・ラマ14世は、先週の金曜日からニュー・デリーに滞在している。「瞑想の実践と諸段階」というワークショップで教えるためだ。

緊急時にも関わらず、以前からの約束を果たしに来たダライ・ラマだが、いつもと違って、あまり笑わない。「いつもなら、私は瞑想する時、かなり集中するのですが、今はだめです。集中できません。でも、原稿を用意してきましたから、大丈夫です。」そんな冗談とともに見せる笑顔も悲しげだ。「いろいろと心が騒ぎます。頭の中は心配でいっぱいです。」

しかし、ダライ・ラマの表情や声には怒りの影はない。だれかが「チベットでジェノサイドが起こっていても、中国人に対して憐れみや思いやりの気持ちを感じ続けることができるのですか」とたずねた。ダライ・ラマは答える。「私が怒りや憎しみを感じても、それはチベットの人々の助けにはなりません。そして、それによって私の内的な平和が壊されてしまいます。憎しみはそれを感じる人を壊してしまいます。頭の中には心配や不安がありますが、私の心は穏やかです。ちゃんと1日8時間眠っていますよ。」

怒りや憎しみで行動しても、チベットの人々の助けにはならない。これはダライ・ラマだけのことではなく、私たちにも当てはまると私は思う。

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2008年 3月 25日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2008.03.24

聖火リレー

今日、ギリシャで北京オリンピックの聖火が灯され、聖火リレーが始まる。それを前に、23日、タイの聖火リレー走者の一人が中国によるチベットでの武力鎮圧に抗議して走ることを辞退したという。AP電 "Thai Olympic torchbearer withdraws in protest over China's crackdown in Tibet" で知った。

北京オリンピックのコンセプトの一つが「緑のオリンピック」ということで、タイでは八十数人の走者のうち6人が環境問題の活動家から選ばれた。コカコーラ社からの推薦で選ばれた Narisa Chakrabongse さんもその一人で、Green World Foundation という環境団体を主宰している。バンコク・ポスト紙の "Thai takes a stand" によれば、ナリサさんは、「三月半ばからのチベット人の虐殺は人権の甚だしい侵害であり、聖火がアテネを離れる2週間前、オリンピック開幕の5か月前という時期にこれが起こったことは、中国政府が世界の感情を無視していることを反映している」とし、中国政府が取った行動が国際社会には受け容れられないものであることを明確に伝えるために、聖火リレーには参加しないことを決断したとしている。

日本では、先週、53名の走者が決まった(長野市のサイトによれば、1名が調整中)。おそらく、内心、葛藤している人もいるのだろうと思う。「オリンピックに政治を持ち込みたくない」「しかし、これは政治の問題ではなく、人権の問題だ」等々。心中をお察しする。納得のいく決心をするまで、あと一か月ある。

なにも、ボイコットしなくても、抗議の気持ちを伝えることはできるようにも思う。例えば、チベットの旗をふまえて、片足に青い靴下を、もう片方の足には赤い靴下をはいて走ればいいかもしれない。さりげない意思表示でも、世界はきっと気がつくだろう。

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2008年 3月 24日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.03.23

パナイ島の戦争祈念碑

World War II memorial unveiled in Iloilo - フィリピン中部のパナイ島のイロイロ市で新たに第二次世界大戦の祈念碑が建てられた。日本による占領に抵抗し、日本軍と戦って死んだ抗日ゲリラ兵1,421人の名前が刻まれている。「記憶の壁」(the Wall of Memory)と名付けられた祈念碑は、Panay、Guimaras、Romblon の島々が解放されて63周年にあたる先週、Iloilo 市 Jaro 地区にある Balantang Memorial Cemetery National Shrine で除幕された。

フィリピン政府の報道発表 "Ilonggo WW II veterans say Victory Day commemoration a must" も、対日ゲリラ戦の経験者たちが戦勝記念日にあたり、「この高貴な戦いを今の若い世代にも語り継いでいってもらいたい」と語ったことを報じている。

パナイ島では、日本人の民間人たちの集団自決もあったらしい。先日、フィリピン下院外交委員会で慰安婦への謝罪と補償を求める決議が採択された時、新聞のインタビューに応えていた元慰安婦のかたも、この島の出身だった。

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2008年 3月 23日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.22

故郷に帰る日

Return and Coexistence Initiative by Ziad Abu Ein - パレスチナ自治政府の閣僚で、ファタハの幹部である Ziad Abu Ein さんがパレスチナ難民に向けて“帰還”を呼びかけている。パレスチナの Ma'an News Agency の記事エルサレム・ポスト紙の記事Palestine Media Center の記事で知った。

一斉帰還が実行されるのはナクバから60年の日である(イスラエルの建国記念日の)5月14日。帰還は国連決議194号の実力行使であり、奪われた故郷に帰ろうとするパレスチナ人は、国連の旗のみを掲げ、国連決議の文章を難民証明書とともに胸に貼り、ユダヤ人たちと平和的に共存するために失われた地を目指す。かつて住んでいた家は壊されているだろうから、テントを忘れずに携帯すること。この出来事を見届けるために、世界各国の指導者、判事、ジャーナリスト、芸術家たちの立ち会いを要請する。

ファタハの求心力が低下していることを考えると、この提案がどの程度、現実味を持っているかについては懐疑的にならざるを得ないが、逆に考えれば、この日、一人でもイスラエルの空港や国境検問所で追い返されるパレスチナ難民がいれば(あるいは、私たちの予想に反して入国が認められれば)、それは十分に衝撃的なことだと言えるようにも思う。

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2008年 3月 22日 午前 12:12 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.21

テルアビブにいる私たち

イスラエルのテルアビブでは、中国大使館の前で連日、チベットでの武力弾圧に対する抗議行動が行なわれている。16日のハアレツ紙19日のエルサレム・ポスト紙

抗議行動には、イスラエルで農業労働者として働いている亡命チベット人だけでなく、イスラエル人も参加している。ユダヤ人の参加者の一人は、「特定の集団に対して暴力が振るわれるということの意味を、ユダヤ人はあまりにもよく知っている」と述べ、ホロコーストの民族的な体験に引きつけて、チベットへの連帯を語っている。

記事には「パレスチナ」の文字はない。

最初、「自分たちが起こしている人道問題を放っておいてチベット連帯もないだろう」と思った。しかし、本当は、おそらく、デモに参加している人の中にはパレスチナの占領について強く心を痛めている人もいるのだろうと思う。ただし、それはなかなか記事には出てこない。

たぶん、日本でチベット問題について中国政府に物申している私たちの姿も、「お前らが言えた義理かよ」と言われる類のものだろう。意地悪な人であれば、私たちがパレスチナ云々と語る時にだって、「まずは自分たちの戦争責任、植民地経営の過去をしっかり精算することではありませんか」と冷笑するだろう。

胸を張って言えるように、力を尽くそう。チベットに自由を。そして日本帝国主義の被害者たちに正義と尊厳を。

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2008年 3月 21日 午前 01:54 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.03.20

イラクの5年間から分かること

反戦とか平和とかを唱える人は夢見がちな愚か者で、戦争をも厭わない人は賢い現実主義者だという印象論が世にあります。イラクの戦争が始まって今日でちょうど5年。この5年の日々は、これが全くの作り話であることを明らかにしてきました。

「イラクが大量破壊兵器を持っている証拠など見つかっていない」「サダム・フセインとアルカイダは結託していない」「武力で平和はつくれない」「戦争を始めたらベトナム戦争のように泥沼化する」。戦争を望まない人たちのこれらの主張が正しかったことを私たちは一つひとつ確認してきました。それは悲しい過程だったとも言えます。

The Iraq War Will Cost Us $3 Trillion, and Much More - 今月の9日にワシントン・ポスト紙に掲載されたノーベル経済学賞受賞者 Joseph E. Stiglitz 氏らによる論評です。イラク戦争の費用を一つずつ積み上げていくと、3兆ドル(300兆円)になると試算されています。「失敗した戦争のために海外で3兆ドルも使って、国内で痛みを感じないわけがない」「ベトナム戦争に次いでアメリカ史上2番目に長い戦争、そして第二次世界大戦に次ぐ最も高くつく戦争になった」「中国がアフリカで影響力を増しつつあると心配する考え方がある。しかし、アメリカが毎月イラクで戦うために使う費用は、毎年アフリカに与える支援の倍以上だ」「イラク戦争によって失われた生産性は大恐慌以来最大だ」等々。経済の面でも、現実をよく見ていなかったのは戦争が分に合うと考えた人たちのほうだったようです。

これほどはっきり自分たちが間違っていたことを示されても、戦争好きの人たちが自分が(ちょっと言葉は悪いですが)ばかだったということに気づかないのはどうしてなのでしょう。イラク開戦5周年の今日が、気づくきっかけになるといいのですが。

この5年間、徹底的に壊されたイラク。その傷が、一日でも早く、少しでも、癒えますように。

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2008年 3月 20日 午前 12:00 | | コメント (18) | トラックバック (0)

2008.03.19

右翼の圧迫感に負けないで

映画「靖国」(李纓監督)の上映を予定していた東京のシネマコンプレックス新宿バルト9が、万が一問題が起きればビルの他のテナントに迷惑を掛けることになるとして、この映画の上映を中止した(18日づけ朝日新聞共同通信)。「靖国」は、つい先日、稲田朋美議員(自民党、衆議院福井1区)らが検閲まがいの事前上映を求めた映画だ。

私たちは、東京のグランドプリンスホテル新高輪が「街宣車が押し寄せたら取り返しのつかぬ事態になる」「宿泊客らの安全を守りたかった」という理由にならない理由で日教組全国集会の予約を一方的に取り消したというニュース(日教組のページ)に驚いたばかりだ。

反動的、国粋主義的なテロリストたちの暴力に、私たちは怯えはじめているらしい。私たちの社会の病は、思っていたよりも深刻だ。

怖気づいてはいけない。跳ね返そう。もっともらしい、臆病で卑劣な言い訳を聞かされるのはまっぴらだ。

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2008年 3月 19日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (4)

2008.03.18

少しずつチベットを知る

チベットの旗週があけて、厳戒態勢がしかれ、主な僧院が閉鎖されたラサは、暴動や銃撃がないという意味では、平穏なようです。凪のような時間が、問題を深めたり先送りしたりするだけの弾圧ではなく、平和的な話し合いに向けて使われることを祈ります。

Tibetan Centre for Human Rights and Democracy や ニュースサイトの Phayul.com によれば、中国政府や漢民族系住民に対する抗議行動はチベット各地で続いているようです。17日づけの記事は次の4つです。

  • 16日、ラサ近郊の Phenpo Lhundup にある Gaden Choekhor 僧院の僧侶らによるデモ。
  • 17日朝、四川省のチベット人自治区にある Marthang という町の中学校で、ダライ・ラマの帰還を求めた生徒たち約40人が逮捕され、他の生徒たちも留置所の前で抗議行動を行なっている
  • Meldrogungkar の僧などによるデモ。
  • Amdo Mangra の Kagya 僧院で約70人の僧と市民約500人が参加するデモ。逮捕者はなし。

地名とか、よく分かりません。私の持っている紙の地図帳はけっこう詳しいのですが、載っていないところも多いです。

上にあげた記事にも表われていますが、チベット文化圏ないしチベット人の居住地帯というのは、チベット自治区(西蔵自治区)にはとどまらないのですね。私は全然認識していませんでした。The Tibetan & Himalayan Digital Library地図は、起動時にはチベット文化圏全体が表示されています。左欄にある PRC Provinces (中華人民共和国の省)をクリックしてレイヤーを重ねてみると、文化圏と自治区の関係がよく分かります。

写真は gilus_pl さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの。ワルシャワでのチベット連帯行動の時に撮影されたようです。

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2008年 3月 18日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (5)

2008.03.17

壊される街

イスタンブールのスルクレ地区

トルコのイスタンブールにスルクレ(Sulukule)という地域があることを知った。ちょっと知るのが遅すぎたようで、その街は今、壊されようとしている。都市整備計画に基づき、先週の木曜日、ついに家屋の取り壊しが始まった。15日づけ Turkish Daily News 紙の "Demolition teams at work in Roma neighborhood"、一か月ほど前の記事 "Int'l voice raised for Sulukule"。

スルクレ地区の取り壊し

スルクレには、ビザンティン帝国の時代から千年近くもの間、ロマ(ジプシー)の人たちが暮らしてきた。取り壊しにあたっては、40キロ離れた土地に住宅が用意されているとのことだ。しかし、そこでは生計を立てることはままならない。取り壊された家々の跡には住宅も建てられるが、それを買うだけのお金を持つロマの人たちは少ない。また、取り壊しの執行にあたっては、「3月末までに退去するように」と命令書に書いてあったこともあって、まだ荷物を家の中に置いたままだった人もいたらしい。家を壊された人の中には、路上生活を強いられる人もいる。

イタリアの人権団体 EveryOne (Urgent campaign to save Sulukule)が、再開発は歴史的な遺産を破壊するだけでなく、ロマ(rrom)のコミュニティをも破壊するものだとの懸念を発表し、署名を集めている。

どこの国のことであっても、だれかが強制的に立ち退かされるという話を聞くと、心が早鐘のように騒ぐ。人々の生が引き裂かれるのを見るのはとても辛い。より近くでおこっている立ち退きのを思い出し、自分がトルコ語を読めないのは幸いだとも思った。もし読めたら、スルクレについてたくさんの心ない発言を目にしていただろうから。

一枚目の写真は john brock さんによるもので、一年前の撮影。二枚目は E. A. Roberts さんによるもので、取り壊し当日の撮影。どちらも CC-by-nc-sa。

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2008年 3月 17日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.16

電球よ、さらば

Argentina to 'Ban the Bulb' - アルゼンチンが2010年までに白熱電灯を禁止することにしたそうです。この記事によると、電球の禁止を法律で決めた国はこれで10か国。アイルランド(2009年までに)、オーストラリア、アルゼンチン、イタリア、フランス(2010年)、イギリス、オランダ(2011年)、カナダ(2012年)、アメリカ(2014年)、中国(2017年)です。日本は「禁止を検討中」として表に名前が挙げられています。

私の家では、もともと照明のほとんどが蛍光灯で、電球があるのはトイレとか廊下とか、あまり長く点いていないところです。付け換えてどれだけ効果があるのかなと疑問に思いつつ、電球が切れたところから電球型蛍光灯(CFL)に換えていっているのですが、この間買ったやつは、1分ぐらい経たないと明るくならなくて、ちょっと閉口しています。

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2008年 3月 16日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.15

チベットの抵抗、続く

中国による占領に反対する蜂起の49周年だった月曜以降、チベットのラサでもデモなどの行動が続いている。14日の共同電「僧 侶2人が重体、混乱続く」もそうであるように、情報統制の中、現地からの情報は残念ながらアメリカ政府の広報機関 Radio Free Asia によるものにほぼ限られている。これを書いている時点で、Radio Free Asia の最新記事は "Tibetan Monks in Critical Condition After Attempted Suicide, as Protests Mount"。リンクを張るが、それは私が Radio Free Asia を信頼しているという意味ではない。

ニューヨーク・タイムズ紙の "Monk Protests in Tibet Draw Chinese Security" が別のルートの情報として僧侶たちの抗議行動の詳細を載せている。クリスチャン・サイエンス・モニター紙の "Police keep tight lid on Tibet after protests " (前 半後 半)に、デモとその鎮圧を目撃した海外からの旅行者の証言がある。

11 日12 日の記事で書いたインド国内での行進の続報。タ イムズ・オブ・インディアロ イター電ニュー ヨーク・タイムズなどによれば、行進は Dehra という町で警察に阻止され、参加者の大半は逮捕拘束された。逮捕者たちは「今後、政治的活動は行なわない」という念書に署名することを拒否し、ハンガース トライキに入っているらしい。

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2008年 3月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2008.03.14

イルカがクジラを助けた話

Moko the friendly dolphin saves whales - ニュージーランドで、クジラの親子をイルカが助けたというニュース。浅瀬に乗り上げてしまった親子のクジラが、方向感覚を失って、どちらが海か分からなくなってしまい、立ち往生していました。自然保護局の人が海のほうに連れていこうとしましたが、うまくいかず、クジラたちは衰弱してしまいました。その時、沖をイルカが通りかかり、クジラたちが困っているのに気がつくと、鳴き声をあげてクジラたちを誘導し、手を引くように、沖のほうまで連れて行ったのだそうです。

お手柄のイルカの名前はモコちゃんというそうです。海岸近くで海水浴客とじゃれあう、愉快なイルカらしい。英インディペンデント紙の記事が詳しいです。

やっぱりイルカやクジラって、頭がいいんでしょうかね。それにしても、通りかかったのが優しいイルカで本当によかった。他人が苦しんでいても知らんぷりするような冷たいイルカや、他人の不幸を陰険にあざ笑うような意地悪なイルカ、自分と同じ種族しか仲間じゃないと思ってるような視野の狭いイルカだっているんでしょうから、きっと。

世界というものは、人間だけのもの、ないしは人間対自然といった図式で捉えられがちですが、本当はもっと豊かなものだというのが分かる話ですよね。

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2008.03.13

振り返る

Hitler's Austria Through the Eyes of the Press - ナチスドイツによるオーストリア併合の70周年にあたる今年、オーストリアでは1938年当時の新聞のコピーが週刊で発行されてい る、というニュース。"NachRichten" (「後から-判断する」と「ニュース」の掛け言葉らしい)と名づけられたその「新聞」を通じて、人々は、いかに積極的に人々がナチスを受容していったかを 知る。実際のところ、報道機関のナチス化にあたっては、ほとんど抵抗もなかったらしい。

記事によれば、第二次大戦末期、連合国側は、オーストリアをナチスによって侵略された国、つまり「ナチスの被害者」として扱うことに よって、ドイツからの離反を促した。しかしその「被害者扱い」が、結果的には、歴史を直視しない戦後の否定主義の土壌になったという。今でも、自分たちが ナチスの共犯だったということを認めたがらない人たちがいるらしい。しかし、多くの人たちは自分たちの戦争責任を認識するようになった。

このへんは、ちょっと日本にも似ているかもしれないと思った。空襲、原爆、沖縄戦などで苦しめられた日本人たちは、自分たちを戦争の被 害者だと規定し、その体験から「戦争はもうこりごり」という思いを語ったからだ。私は子どものころ、まわりの大人たちからそういう話をとてもよく聞かされ た。しかし、そのころ、「日本の兵隊が行った先の人たちも、同じような苦しみを体験したに違いない」という当たり前の真理を、だれ一人、語ってくれる人は なかった。疎開だとか戦後の闇市だとかに視点がべっとりとくっついてしまっていて、他の人の目で見る余裕などないようだった。

今なら客観的に見ることができ、冷静に判断することができるだろう。そんな思いでこの新聞は作られているのかもしれない。「当時の新 聞」を発行する試みは、イギリスの Albertas 社というところが中心になってやっているらしい。今まで、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、スペインでも取り組まれたとのこと。

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2008年 3月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.12

歩き続ける

BBC の "Indian Tibetans 'defy march ban'"、ロイターの "India to block Tibetan protest marchers" - 昨日の記事で言及した亡命チベット人による行進は、ダラムサラから20キロ歩いたところで、インドの警察によって制止を受けたらしい。Dharamsala があるのはヒマチャル・プラデシュ州の Kangra 地区というところで、そこから出ることは、中央政府によって発行された令状によって差し止められていると告げられたという。

行進は制止を無視して続けられており、水曜日中には Kangra 地区の境界線に達するもよう。逮捕には非暴力で抵抗し、保釈され次第、行進を再開すると語っている。

火曜日には、チベットのラサでも抗議行動が行なわれたことをアメリカ政府の広報機関 Radio Free Asia が伝えたが、BBC によれば、中国外務省の Qin Gang 報道官が「不法行為」を取り締まったことを認めている。

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2008年 3月 12日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.11

チベット、チベット

チベットの蜂起49周年だった昨日、ダライ・ラマが声明を発表した。ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のサイトにその日本語訳が読める。一節を引用する:

チベットでは、弾圧が続いています。数えきれないほどの想像を絶する人権侵害、宗教の自由の否定、宗教的問題の政治問題化が増え続けています。これらはすべて、チベット人を人間として尊重する姿勢が中国政府に欠如していることに起因しています。そしてこれが主な国民感情となり、チベット人と中国人との間に差別を生んでいるのです。

「人間として尊重する姿勢の欠如」という表現は、とても明解なのだけれど、逆に、あまりにも多くの事象を引き受けすぎてしまうようにも思う。パレスチナの問題だってそうだし、野宿者や生活保護受給者の問題だってそうだし、慰安婦にされた女性たちに謝罪を尽くそうとしないという問題だってそうだ。別の言い方をすれば、一つひとつの事象の解決を示唆する力に弱いということだろう。もっと身も蓋もない言い方をすれば、そもそも差別感情を持っている人に、こんなことを言っても通じないだろう。しかし、アフリカの植民地解放闘争だって、アメリカの公民権運動だって、これに関して闘い、自由や平等を勝ち取ったのだ。あきらめてはいけない。

タイムズ・オブ・インディア紙 "Tibetan exiles set off from India on symbolic march home"、AFP電 "Dalai Lama lashes out at Chinese 'repression' in Tibet" - チベット亡命政府のあるインド北部ダラムサラから、100人ほどの僧侶がチベットへの行進を始めた。徒歩で国境を越え、6か月ほどかけてチベットに向かう予定。妨害などを防ぐため、道のりや最終目的地は明らかにされていない。象徴的な闘いだ。彼らの行く道が平和でありますように。

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2008年 3月 11日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.03.10

北朝鮮の経済規模

North Korea far poorer than reported: expert - 北朝鮮の経済規模は、これまで考えられてきたレベルをはるかに下回り、世界の最貧国なみだろうと韓国の元統一相が推定していることを報じるロイター電。

昨年8月に韓国銀行(韓国の中央銀行)が発表した統計(英文報道資料)では、2006年の北朝鮮の国民総所得(GNI)は228億ドル程度でその規模は韓国の3%未満とされていた。一人あたりGNIは$1,100程度(約11万円)ということになる。この中から比較的大きな部分が軍事などの部門に回されているにしても、伝えられてくる経済状況を見ると、この値はちょっと高すぎるように思われる。

イ・ジョンソク(李鍾奭、이종석、Lee Jong-seok)元統一相は、韓銀の推算は韓国の高い物価水準をそのまま当てはめたもので実態とかけ離れていると、先週発表された世宗研究所の報告書(韓国語)で論じている。イ元統一相によれば、北朝鮮のGNIは89億ドルで韓国の約1%。一人あたり所得は$400程度(つまり、一日1ドル程度)となる。この数値なら、人口の1割が90年代に餓死した(と推測される)ことも説明がつく。

世界銀行が発表した世界各国の2006年一人あたりGNIの表では、北朝鮮はデータなし、脚注で$905以下だろうと書かれている。今回の数値はこれと比較してもずっと低い。

北朝鮮に敵対的な態度をとる人たちからは、イ元統一相は北朝鮮に肩入れしすぎていると見られているようだ。今回の数値もちょっと低く見積りすぎているところがあるのかもしれないが、大きな人道的な危機がそこに待ち受けていることは間違いないと私は思う。率直なところ、経済制裁は政権よりもまず一般市民に影響を与えることを知りつつ、こういう国に向かって経済制裁を続けろと主張する人たちって、かなりひどいと思う。

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2008年 3月 10日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.09

連立

最近、テレビを見ると、アメリカの大統領選に向けた民主党の候補者選びのニュースをよくやっています。オバマが何々州で勝ったとかクリントンの代議員の数が何人とかの話ばかりで、肝心な政策が何も分かりません。…などと言いながら、私も誘惑に負けて、数合わせの話をします。

Failed Left Experiment in Hesse: Rebellion Forces SPD to Abandon Plans to Form Government - 独シュピーゲル紙。ヘッセン州の州議会選挙が1月に行なわれたのですが、議席数が拮抗していて、いまだに州首相が選出できずにいるそうです。

ヘッセン州議会の勢力分布

ウィキペディアに載っていたヘッセン州議会の勢力分布図です。左下から左翼党(Die Linke、旧東独共産党系)6議席、社会民主党 (SPD、労組系) 42議席、緑の党(Bündnis 90/Die Grünen、市民運動系)9議席、自由民主党 (FDP、自由主義経済派) 11議席、キリスト教民主同盟 (CDU、保守) 42議席。

社会民主党は、まず、緑の党と自由民主党との連立を試みましたが、自由民主党が拒否して頓挫。次に、緑の党および左翼党との連立を模索しましたが、内部から反対(言ってみれば、共産党アレルギー)が出たため、この話も立ち行かなくなったというのが、記事の伝えるところです。

衆議院の解散総選挙の後には、日本でもこういう話をしているんでしょうかね。

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2008年 3月 9日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.08

良き隣人と信じるためには何が必要なのだろう

沖縄のうるま市で、2006年10月25日の夜、二人の男がナイフで人を切りつけ、現金や携帯電話などを盗む強盗致傷事件を起こした(沖縄タイムス、10月31日の記事11月1日の記事)。事件翌日に出頭したDは、キャンプ瑞慶覧の海軍水兵Sの無職の夫だった。もう一人は海兵隊員のMで、基地内で米軍が身柄を確保し、日米地位協定に基づき日本側へ引き渡されたらしい。那覇地裁で二人は禁固8年の判決を受けたようだ。

この顔ぶれが新聞に帰ってきた。今日づけのアメリカ軍の機関紙 Stars and Stripes の記事 "Sailor testifies she didn't try to have Marine killed" によると、S(海軍水兵の女性)が殺人教唆容疑で軍法会議にかけられている。夫のDが浮気をして相手の女性C(海兵隊員)を妊娠させたことに腹を立て、M(海兵隊員)にCの殺害を依頼したというのだ。Sは容疑を否認している。

証言台に立ったMは、自分がアメリカ最大の若者ギャング組織 Crips のメンバーであることを認め、そのことを知ったSが自分に殺人を依頼したのだと思うと述べている。

Crips は Bloods との抗争で(アメリカで私はギャングなどいない田舎町に住んでいたのだが、それでも名前を知っているほど)有名だ。そうなのか。沖縄にはロサンゼルスのストリート・ギャングがいるわけだ。いや、この言い方はよくない。どう表現すればいいのだろう… アメリカ軍の兵士の中にはギャングのメンバーがいる。つまり、基地にはギャングが付いてくる。そして日本政府は、そして私たちは、米軍基地の7割を沖縄に押し付けている。そういったわけだ。

怖い人(例えば暴力団関係者)が自分の家の近くに住んでいるとか、怖い人たち(例えば不良少年たち)が通り道にたむろしているとかといった時、人は不安に思って息をひそめ、萎縮してしまうかもしれない。そういう恐怖を私たちは沖縄の人たちに強いていると言うことができる。

米軍関係者による犯罪の発生率は沖縄全体の犯罪の発生率に比べて高くはない(から安心しろ)という言い方をすることがある。自分がそうやって(例えば、あなたの隣人であるその組長は今まで一度も逮捕されたことがありません、あそこにいる不良たちの中には今まで補導されたことのある者は一人もいません、とか)慰められる側になったとすると、すぐに「ああ、そうですか、じゃ、安心です」とは言えないと思う。まあ、それが偏見だと言うならば、そうかもしれないのだけれど、それを取り除くにはそういった統計だけではだめなのだとも言えるだろう。では何が必要か。私には分からない。

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2008年 3月 8日 午前 12:12 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.07

イスラエルの大学で

Academic freedom? Not for Arabs in Israel - The Electronic Intifada の記事でイスラエルのアラブ系市民と高等教育の現状を知る。

イスラエルの南部のスデロットという町がある。ガザからハマスのカッサム弾による攻撃を受けているところだ。そこに Sapir College という大学があり、Nizar Hassan さんというアラブ系の教員がいる。ハッサンさんは映画監督であり、映像論を教えているらしい。数か月前、一人のユダヤ人の学生がクラスに軍の制服を着て現われた。そのことを注意したせいで、今、彼は「イスラエルの軍服に敬意を示さなかったため」という理由で職を解かれそうになっているらしい。

ハッサンさんの主張は傾聴に値する。彼は自分がアラブ人だからイスラエル軍の制服に文句をつけたのではなく、軍服というものは、それがどの軍のものであっても暴力の象徴であり、彼のクラスの中では許されないと主張しているのだ。そういう普遍的、人間的な価値に基づいた主張を大学当局側は理解しようとしない。彼を人間として見る前に、「アラブ人として見て」いるのだ。

実際のところ、イスラエルの大学では、「アラブ人である」ことの有標性はあらゆる局面で見て取れるようだ。イスラエルの人口に占めるアラブ系市民の割合は約5分の1。しかしアラブ人学生の割合は15分の1だ。さらに、アラブ人教員は全教員の1%にも満たないと記事は伝えている。

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2008年 3月 7日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (3)

2008.03.06

残っている植民地

UN urges C 24 decolonization advance process というアルゼンチンの通信社の記事で知ったのですが、国連には脱植民地化特別委員会(Special Committee on Decolonization)という組織があるのですね。前世紀の半ば以降、多くの植民地が独立を果たしましたが、現在でも16の地域が自治権を持たない形(Non-Self Governing Territories)で残っているのだそうです。

  • アフリカ:Western Sahara
  • アジア、太平洋:American Samoa (米)、Guam (米)、New Caledonia (仏)、Pitcairn (英)、Tokelau (ニュージーランド)
  • 大西洋、カリブ海、地中海:Anguilla (英)、Bermuda (英)、British Virgin Islands (英)、Cayman Islands (英)、Falkland Islands (Malvinas) (英)、Gibraltar (英)、Montserrat (英)、St. Helena (英)、Turks and Caicos Islands (英)、United States Virgin Islands (米)

また、2001年から2010年は第二回植民地主義根絶のための十年(Second International Decade for the Eradication of Colonialism)なのだそうです。

私たちの意識は、どちらかというと、独立しても大国の影響(支配)下におかれたままで、経済的に喰い物にされるような、いわゆる新植民地主義の問題に向きがちですが、一応、植民地主義の本家もまだ残っているのだ、というメモでした。

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2008年 3月 6日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.03.05

アメリカのパレスチナ介入

'Us Plot Against Hamas' Revealed - アメリカ政府がファタハに資金や武器を供給してガザのハマスを倒す計画を立てていたことを示す文書が発見されたと伝えるアルジャジーラの記事。文書は Vanity Fair に掲載されたと書いてあるが、ネット版には見あたらない。

質問を受けたライス国務長官は、ハマスはイランに支援されていたのだから、ファタハを支援するのは当たり前でしょうと、悪びれる様子もなかったらしい。

ファタハに勝たせたかったのではなく、同士討ちをやらせてパレスチナを消耗させたかったんだろうなぁ。

追記:ガーディアン紙の "US plotted to overthrow Hamas after election victory"、エルサレム・ポスト紙の "Vanity Fair: Bush approved plot to oust Hamas" が詳しい。

ついでに追記:アメリカ政府がボスニアのセルビア人政党にお金を出していた話も、たまたま同じ日に出ていた。"United States cuts aid to Bosnian Serb ruling party"。自民党なんかも昔はこうやってお金をもらっていたんだろうねえ。もしかすると今でももらっているのかな。

さらに追記: Vanity Fair の記事へのリンクを張ります: "The Gaza Bombshell"、truthout にコピーがあります。

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2008年 3月 5日 午前 01:08 | | コメント (8) | トラックバック (0)

2008.03.04

ケニアの和解

昨年末の大統領選挙以降、大規模な暴動などが続いてきたケニアでは、先週の木曜日に、ようやくキバキ大統領(Kikuyu 民族、Party of National Unity)とオディンガ氏(Luo 民族、Orange Democratic Movement)の間で合意が成立し、混乱は終息に向かっているようです。日曜日には、交渉のまとめ役をつとめたコフィ・アナン国連前事務総長がケニアを離れました。このまま状況がよくなっていくことを祈りたいです。

合意文書の前文の部分を訳してみます。原文はケニアの Daily Nation 紙の "What President Mwai Kibaki and ODM leader Raila Odinga agreed on" です。

 2007年の大統領選に疑義が唱えられたために起こった危機は、ケニア社会の中に深く根ざした長年の対立を表面化させた。この対立は、放置されれば、統一国家としてのケニアの存在自体を危うくするであろう。ケニアの市民は今、自分たちの国がなくならないようにすることを指導者たちに求めている。
 現在の状況をもってすれば、どちらの側も、もう一方の協力を得ずに国を統治することは現実的ではない。実質的な権力の分け合いがなければ、国を前進させ、癒しと和解のプロセスを始めることはできない。
 この合意をもって、私たちは政治的指導者として、ともに前に歩みを進める。今ある危機を乗り越え、国を新しい道に乗せるのである。個人への報奨としてポストを新たに作るとかいう問題ではない。この合意は、ケニアの政治的指導者たちの目を党派的な考えよりも遠くに向け、国全体のためのことをもっとよく考えるようにするためのものだ。この合意は、整合性を持ちつつ広い範囲に影響を与える改革課題を実現し、繰り返し起こる抗争の根本的な諸原因に対処し、すべての人にとってよりよく安全で繁栄したケニアを作るための手段を提供するものである。
 政治危機を解消するため、そして連携と協力の精神のもとに、私たちは2008年国民的合意と和解法を定めることに合意した。その内容は両者によってすべて合意されたものであり、ここにその案文を添える。

深く根ざした対立があり、今のままに放置するのは現実的ではなく、手を取り合って前に進められたらいいのにね、と傍目に思う国はケニアだけじゃありませんよね。このケニアの和解は、さまざまな紛争を解決していくための努力の、一つの教科書的な例になるのではないかと思います。

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2008年 3月 4日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.03

ガザ、即時停戦を!

ガザがとてもひどいことになっている。イスラエルによる攻撃で一日で50人以上のパレスチナ人が死んだ(詳しくは P-navi info を参照)。イスラエルのオルメルト首相は、「イスラエル南部は既に戦争状態だ」とすら言っている(エルサレム・ポスト紙)。

イスラエルの平和団体 Gush Shalom が、即時停戦を求める署名をイスラエル人とパレスチナ人から募っている。私もイスラエル人かパレスチナ人だったら、きっと名を連ねていただろう。

今すぐ停戦を! イスラエル・パレスチナの共同呼びかけ
原文

 ガザとその周辺における状況の緊迫化は、人々に(男女を問わず、老若を問わず、またパレスチナの民間人にもイスラエルの民間人にも)激しい苦しみを与えています。イスラエル軍が行なってきた軍事作戦は、これまでに何百人ものパレスチナ人の犠牲者を出しました。その多くは武器を持たない民間人でした。ガザの包囲と経済封鎖は住民の大部分を絶望的な貧困へと陥れ、経済を破壊し、必要な治療を受けられない重病患者を死に至らしめています。一方、パレスチナからのスデロットへの攻撃は物理的な破壊よりもずっと大きな傷を住民の心に与えています。
 この紛争は均衡した二つの力の間に起こっているのではありません。中東で最も強い軍隊が、世界で唯一残った超大国に後押しされて、毎日のように戦車や戦闘機やヘリコプターや軍艦を使っているのです。その相手は、軽微な装備しか持たない民兵組織と、今回の封鎖よりもずっと前から続く占領のもとで貧困にあえいできた人口過密な地域の人々です。
 しかし、戦闘に巻き込まれた人々はだれもが苦しんでいるのです。どちらの側の人も。どちらの国民も。毎日恐怖に怯えて暮す痛み、傷を負って一生手や足が不自由になってしまった痛み、愛する人たちの死を嘆く痛みは、共通です。抑圧される側にいても、抑圧する側にいても。占領された側にいても、占領する側にいても。富んでいても、貧しくても。強い力を持っていても、無力であっても。
 境界線のどちらの側への攻撃も、互いを餌食にし、互いの心を激しくさせるだけです。ガザのパレスチナ人がイスラエルの「撤退」にも関わらず、依然として占領下に暮しているように感じるのは当然のことです。そして彼らは占領に抵抗しようと考えます。しかし、民間人に対してロケットを発射する者がいれば、それはイスラエルに対して、ガザの封鎖を強化し、武力攻撃を強めることの口実を増やしてあげることにしかなりません。
 暴力と流血の連鎖は果てしなく続き、イスラエル軍や政治家の中からは全面的な侵攻やガザの再占領を求める声が公然と繰り返し出されています。そのような事態になれば、何百人、何千人もの犠牲者が出ることが予想できます。
 ここに名を連ねる者は、イスラエル人もパレスチナ人も、このような厳しい現実を不可避なものだとは考えません。血なまぐさい紛争の激化や首を絞めるような封鎖ではない、だれの目にも明らかな選択肢があります。希望を与える選択肢です。ガザの封鎖を止め、停戦し、すべての敵対行為を止めることです。
 ガザの封鎖によってその住民全体に処罰が及ぶことは全く許されないことです。それは中世的な戦争の形であり、占領者であるイスラエルが遵守しなくてはならない現代の人権規範や国際法に真っ向から矛盾しています。封鎖は、他の問題とは無関係に、今すぐに解かれなければなりません。そしてガザは外の世界と自由に行き来ができ、人や物が自由に移動できなければなりません。
 ガザに住むパレスチナの民間人にもたらされた苦しみがスデロットの問題を解決せず、また解決の糸口にもならないことはすでに明らかです。唯一の解決法は、完全に双方が停戦することです。イスラエル占領軍によるパレスチナ人に対する武力攻撃は、歩兵、戦車、砲台、航空機、軍艦などからの砲撃すべてを含み、停止されなければなりません。暗殺、境界線を越える武装侵入や逮捕も中止されなければなりません。パレスチナ人によるイスラエル人に向けたロケット発射もです。さらに、捕虜の問題に関する交渉が再開されるべきです。まずはイスラエル兵ギレアド・シャリットさんとパレスチナ人捕虜の交換から。
 私たちは、このような停戦が非常に現実的で、実行可能で、望ましいと考えます。これによって命が救われ、困窮が緩和され、二国民の間に平和を構築しようという試みに必要な準備条件を整えることができます。私たちはまた、西岸地区、ガザ、東エルサレムでパレスチナ人が占領下に暮す間はいかなる永続的な解決も不可能だと考えます。

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2008年 3月 3日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.03.02

原発を止める壁

ジャカルタ・ポスト紙の "Locals reject nuclear project on Mount Muria" およびAP電 "Thousands protest plan to build Indon nuclear plant" がジャワ島中部の Jepara で計画されている原子力発電所建設(昨年9月に宗教指導者が建設禁止の宗教判断を出したもの)に対する抗議行動の近況を伝えている。

2月28日に約3,000人の住民が参加する集会が開催され、現地の原子力エネルギー事業団事務所の入り口をコンクリートの壁を作ってふさいでしまったらしい。何台ものトラックでセメントなどを運び、約8メートルの高さの壁ができたと書いてある。

抗議行動には国会議員や地方議員、村長も参加したらしい。原発建設はスハルト時代にダム建設とセットで提案されたものらしく、ダムのほうは住民の反対で白紙に戻された。原発のほうは、政府はまだ2010年に着工する気でいるらしい。

インドネシア近海では、このところ頻繁に大きな地震が起きていることを考えると、原発を建てるのは危険すぎると思う。他人事ではないが。

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2008年 3月 2日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.01

天安門母親的呼吁

来週開催される中国の全国人民代表大会(全人代、全国人大)と人民政治協商会議全国委員会(政協)の代議員たちに向けて、天安門事件で命を失った若者の母親たちがアピール文を公開した。Human Rights in China という団体のサイトに英文中文で掲載されている。

天安門事件は1989年6月4日の未明に起こった。アピールは、この"六四"事件について調査委員会を設置すること、遺族への謝罪と補償に向けた立法措置をとること、関係者の法的責任の追求を行なうことなどを求めている。中国が急速な発展を遂げる中、19年前の事件は人々の心にしこりとして残っており、この問題は対話によって解決されねばならない、とアピールは呼びかける。「一人ひとりの市民が帝政時代から受け継がれてきた屈従的な態度と歴史的な慣性を打ち破り、一人ひとりが普遍的な人間の価値の重要さを理解し」なければならないとも書かれている。冷静さと寛容に満ちた文章だ。

天安門母親と名乗るこのグループに支援の署名を送ることもできる。歴史的な不公正に正義をもたらそうという呼びかけに、日本に生まれた私は、より遠くまで遡る、より大きな責任を自覚しつつ、応じた。ぜひ、あなたも。

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2008年 3月 1日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

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