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2008.01.11

エレーヌ・ベールの日記

フランスで、ナチス占領下のパリを生きた若いユダヤ人女性の日記が新たに出版され、大きな話題となっている。AP電 "Student's Diary Tells of Occupied Paris"、独シュピーゲル紙 "France's Own Anne Frank: Helene Berr's Holocaust Diary Flies Off the Shelves"、フランスのLe Point "Hélène Berr, l'autre Anne Frank" など。

日記の著者は、当時パリ大学で英文学を勉強していたエレーヌ・ベールさん。裕福なユダヤ人の家庭に生まれ、自由な生活を送っていたが、占領下、ユダヤ人たちが黄色いダビデの星を胸に付けることを強いられるようになったころから、彼女の暮らしに暗い影がしのび寄ってくる。やがて一家は逮捕され、強制収容所に移送される。第二次世界大戦末期、収容所が連合軍に解放されるほんの数日前に、エレーヌさんは病気によって息を引き取る。日記は何人かの知り合いの手を経て、フランスのホロコースト記念館 Mémorial de la Shoah に寄贈され、今回、出版の運びとなった。

アムステルダムの隠れ家で暮したアンネ・フランクと異なり、エレーヌさんは街を歩くことができた。また、大学生で、文学専攻だったこともあり、当時の雰囲気がとてもよく伝わってくる文章らしい。秋には英語での翻訳出版が決まっているほか、15か国で出版契約の話が進んでいるらしい。日本でも読めるようになることを切に願う。

出版社は Tallandier、 Journal d'Hélène Berr、ISBN 978-284734-500-1、定価20ユーロ。

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2008年 1月 11日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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