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2008.01.21

補給艦「おうみ」を止めよう

昨日(2008年1月20日)未明の共同通信電ほど、政府が私たちを屈辱的なほどにあざむいていることを示すものはないと思いました。

 新テロ対策特別措置法に基づく海上自衛隊のインド洋での給油活動について、日本政府が要求した使途の検証の明文化を米政府が拒み、給油に関する取り決め文書である日米の交換公文に盛り込まれないことが分かった。米側は「作戦行動に影響を及ぼし、現場の負担になる。決して受け入れられない」とはねつけた。複数の日米関係筋が19日、明らかにした。

つい先日(1月10日)の高村外務大臣の国会答弁(参議院外交防衛委員会)は何だったと言うのでしょうか:

 補給の対象になる艦船でありますが、これについては海上阻止活動にかかわる船である、そういうふうに限る、そして補給することがその海上阻止活動に資するようになる、そういうふうになるということを明確にするような交換公文を相手方政府とこれから交渉してまいりたいと、こういうふうに思っております。
 ただ、一片の文書を作ればそれでうまくいくという話ではなくて、あらゆる機会に相手方にそして現場の人にまでそういうことを徹底するように、そういうことを努力をしていきたいと、こういうふうに思っております。

石破防衛大臣も、1月11日の記者会見でこのように語っています:

私としては、再議決され再開されたからそれでめでたしということでは全くなくて、この議論を通じて明らかになった課題に対して、我々防衛省として本当にこれを真摯に受け止め、反映をさせていかなければならないと思っております。従いまして、転用の問題も指摘をされ、私どもとして合衆国の協力も得て、あるいは他国の協力も得て、誠心誠意転用はないということをお示しをしてきたのですけれども、これから先にそれを制度的にきちんと担保しなければいけないでしょう。あるいは補給の取り違え事案というものもありました。これは省内の体制というものをきちんとしていかなければならないと思っております。航泊日誌の誤破棄の問題もそうであります。従いまして、アカウンタビリティーと言うのか説明責任と言うのか、そのことをきちんと果たしていくことに万全を期したいと思っております

彼らが半月も経たぬうちにこれらの発言を翻すことを、私たちは絶対に許してはいけないと思います。多くの国民の反対を押し切って再開されようとしている自衛隊による補給活動は、燃料等の使途限定の明示化と検証手段の確保、説明責任なしには、行なってはなりません。これは派兵がいいか悪いかの問題だけではなく、大臣や国会議員のことを私たちがどのくらい信じて任せられるかの問題でもあります。

中日新聞に掲載された記事を見ると、疑惑は更に深まります:

 関係筋によると、日米の外交、防衛当局は、対テロ新法案が国会に提出された昨年10月から調整に着手した。
 日本側は提供した燃料の転用疑惑を踏まえ、対テロ新法の目的を明記するよう要求。米側は当初、目的外使用の禁止が明示されていなかった旧テロ対策特措法に基づく交換公文と同じ文言を主張した。
 日本側はその後、使途の検証ができるよう「日米両政府は法律の目的に合致することを担保するため、必要な調整を行う」との表現を盛り込むよう求めたが、米側は「艦船のタンクは空にならないため、給油量と、目的を限定した消費量を完全に合致させるのは不可能」と拒否。
 日本側が譲らなければ、海自の給油を受けないこともやむを得ないとけん制した。

高村外務大臣や石破防衛大臣は、上に引用した発言をした時、すでにアメリカが交換公文に使途検証を明記するつもりのないことを知っていて、素知らぬ顔をして嘘をついていたのではないでしょうか。

国会ではっきりさせてもらいましょう。そして、補給艦「おうみ」を止めましょう。

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2008年 1月 21日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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» ・新テロ特措法の骨抜き〜給油再開は止めるべき トラックバック 杉浦 ひとみの瞳
「燃料使途の検証、明記せず 米が日本の要求拒否」という報道に驚きました。 昨年、インド洋での給油がアメリカのイラク戦争に流用されたのではないかが問題となり、この点について、使われていないという説明に躍起になったばかりの政府です。そして、今回の新テロ特措法では、その点が留意されたはずだったのではないでしょうか。 石破防衛相は、給油の目的外の使用はさせないとはっきり言っていましたね。 にもかかわらず、なんに使ったかを検証することを認めない、というのがアメリカの考えです。 日本は、「それでは約束が違う」... 続きを読む

受信: 2008/01/21 9:55:53

» ・市民が立ち上げた「シビリアンコントロールの会」 トラックバック 杉浦 ひとみの瞳
新テロ特措法が成立したものの、日本が給油した油の使途について、アメリカは「明らかにはできません」といっているそうです。 イラクには油は流用しないし、活動も限定するから、自衛隊派遣後の国会承認はいらない、これまで規定されていた「国会の承認」を削除してといってできたこの新法、制定自体が錯誤無効ではないか(間違った情報を元に判断していたのでその成立はナシです、ということ)、なぜこれを国会議員が何もいわないのか、と思っています。 なし崩し的に戦争に加担して行き、シビリアンコントロールもできない状態は、実は... 続きを読む

受信: 2008/01/22 17:39:22

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