« トルコが刑法301条の見直しへ | トップページ | 世界経済フォーラムの日の、もう一つのニュース »

2008.01.27

ラファに続くもの

'Breakout into Israel' ahead - 26日づけ、The Australian 紙のエルサレム発の記事。ハマス幹部の Ahmed Youssef さんが「次にガザから人々が流れ出す時は、イスラエルに流れ込む時かもしれない。50万人のパレスチナ人が自分の父母が60年前に逃げ出したり追い出されたりした町や村に向かって行進するだろう。これは空想の話ではない。多くのパレスチナ人は命を賭す覚悟ができている」と語ったことを伝えている。

この発言はイスラエルのエルサレム・ポスト紙も "Hamas: 500,000 will march on Erez" という記事で報じているのだが、「自分の父母が60年前に逃げ出したり追い出されたりした町や村に向かって」の部分が見事に抜け落ちており、代わりに目的地がガザ北部のエレツ検問所だということになっている。

一人の記者の書いたものをあまり大きな話にふくらませるのは危険だとは思うが、この対比は、問題が単にガザの経済封鎖だけでなく土地の収奪であり占領であり帰還権であり、それに対するイスラエルの態度であることを私に思い出させた。ラファ「解放」がもたらす爽快感から現実に引き戻されたと言えるかもしれない。

しかし、現実とは何なのだろう。22日、ラファ検問所では集まったガザ市民がエジプト軍による放水などで排除され負傷者も出た(アルジャジーラのビデオ)。翌日には、爆破された壁を踏み越えて、人々が笑顔で国境を行き来した(ビデオ)。エジプト政府の対応一つで、そこには平和が生まれたのだ。イスラエルでだって、同じように劇的な変化は可能なはずだ。現実とはそんな可能性を秘めた概念であることを私は信じたい。

このブログで

Tags: , , , ,

2008年 1月 27日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ラファに続くもの:

コメント

この記事へのコメントは終了しました。