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2007.10.06

スペインの王制論議

カタルーニャ独立運動の集会写真は、国王の来訪に抗議して9月13日にスペインのカタルーニャ地方 Girona (Gerona) で行なわれたデモのようすです(Jaume d'Urgell さん撮影、CC-by-nc)。逆さに置かれた国王と王妃の写真が焼かれる横で大きなカタルーニャ独立運動の旗が振られています。

この写真の撮られた集会では2名が不敬罪で逮捕され、検察側が15か月の禁固刑を求める裁判になっています("Pair who burned Royal pictures face 15 mths jail")。逮捕された2人に連帯して9月22日に同様に国王の写真を燃やした9人は10月4日に釈放されました("Spanish judge lets youths who burned king's pictures go free")。

この事件がきっかけとなって王制に関する議論が活発になり、今週初めには国王自身が、王制はフランコ独裁軍政が終わった1975年以降、スペインの安定に貢献してきたとの自己弁護の発言を強いられるまでに至っています。BBC の記事 "Spain king defends monarchy role" によれば、多くの人が王制はもう不要な過去の遺物だと再び(スペインは1931年に一度、共和制に移行し、フランコのもとで王制に戻りました)考え始めているようです。

私は、王制の類は封建制度の名残で、自由と平等を旨とする近代市民社会において、それは悪だと考えます。そして自分の国の似たような制度を無くしたいと願っています。私たちの国よりも少し先を歩んでいるスペインでの議論についても注意を払っていこうと思います。

この夏に書いた関連記事:スペインの「不敬」騒動

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2007年 10月 6日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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 スペイン映画『サルバドールの朝』を観てきた。1970年代、フランコ独裁の末期、反体制過激派として活動し、逃走中警官を殺してしまい、死刑に処せられた青年の実話である。 続きを読む

受信: 2007/10/15 10:13:24

コメント

初めまして、たまたま見つけて興味あることばかりだったので、お気に入りに追加させていただきました。自分も日本の天皇制はいらないと思います。
メディアで「~さま」の表現を聞くたびに違和感を覚えます。理由は色々あると思うけど、今の若い人にとってそう感じている人は多いんじゃないでしょうか??
イマイチ考えはまとまってませんが。。これからもちょくちょくブログ拝見させていただきます。

投稿: ナオト | 2007/10/06 16:21:53

ナオトさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

> 理由は色々あると思うけど
そうですね。民主主義などとの兼ね合い以外の面で、王制が評価すべき点を持っているかもしれないというのは、十分ありうることだと私も思います。

投稿: うに | 2007/10/06 22:59:56

自由と平等を旨とする近代社会にとって王制が悪とありますが、それでは近代社会は正義だという事ですね?それは言いすぎだと思います。なぜなら、通信技術も教育も普及していないような中世の時代に、近代社会的な自由や平等や民主主義を行おうとしても、不可能だからです。近代社会を正義だと主張するのは、一方的な見方に過ぎません。ただ、現代にそれが合っているだけです。それが永遠に続く保障はありません。また、自由と平等と君主制は共に共存できる制度です。本質的に君主制は民主主義と矛盾しないのだから。君主制や貴族制が実利がなく、名誉称号として残るだけならそれで良いではないですか。それはそれで、伝統文化の一つとして大切にしておくべきです。君主が文化の担い手と、国民の象徴的存在として君臨する事は良い事だと思います。

投稿: リリ | 2007/12/23 14:54:42

> 自由と平等を旨とする近代社会にとって王制が悪と
> ありますが、それでは近代社会は正義だという事で
> すね?

そんなこと言っていません。

投稿: うに | 2007/12/23 15:09:22

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