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2007.10.30

スペインの歴史の記憶

Bill in Spanish Parliament Aims to End 'Amnesia' About Civil War Victims - ニューヨーク・タイムズ紙の記事。スペインでは、1936-9年の内戦と、それに続くフランコ将軍による右翼独裁政権の犠牲となった人たちを讃え、政治犯などを裁いた軍法会議が違法であったと定める「歴史の記憶のための法律」が作られようとしている。

記事によれば、1975年の独裁体制終焉後、スペインで民主化が順調に進んだのは、人々があえて歴史に目をつぶってきたからだという見方もあるようだ。そのような視点からすれば、歴史記憶法案は過去を掘り返すような危険を伴っているわけで、反対も多く、法案が成立するかどうかは定かではない。右翼政党は言うに及ばず、フランコに与した過去を持つカトリック教会も強く法案に反対している。先週末、カトリック教会は、内戦で人民戦線側に殺された右派のスペイン人498人を福者に列するという、きわめて反動的なことをした(El País 紙 "498 mártires españoles en los altares")。

Ley de Memoria Histórica 法案は、10月17日に下院の憲法審議会を通過し(El Mundo 紙の記事)、31日、下院本会議で審議が行なわれる予定。

安易な比較はよくないかもしれないが、日本が第二次世界大戦後、安定した軌道を歩むことができたのも、みんなが「過去から目をそむける」ことに同意していたからにほかならない。やがて、戦争の痛みを知らない世代が台頭すると、歴史修正主義が跋扈することになった。そして通信が発達し、交易がさかんになり、世界の国々との結びつきが強くなるにしたがって、目をそむけることに同意などしなかった人たちの声が聞こえるようになってきた。その時には、歴史記憶法を制定しようとしても、もう遅いのだ。

戦後60年余り。スペインで独裁が終わって30年余り。私たちが30年ほど前に何をしなければならなかったかを、スペインのニュースは教えてくれる。

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11月1日追記:下院本会議を通過。"Spanish parliament condemns Franco" - AP電。

2007年 10月 30日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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