フィリピンで高まる経済連携協定への批判
「日比EPAに否定意見相次ぐ・フィリピン上院」という記事が日経新聞のネット版に5日づけで出ている。一年前にフィリピンと日本との間で調印された「経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(略称:日・フィリピン経済連携協定)」(左のリンクは外務省。フィリピン政府のサイトはこちら)の批准に反対する声がフィリピン国内で高まっているという話だ。
フィリピン Inquirer 紙の4日づけ記事 "Anti-JPEPA advocates ask RP to renegotiate treaty" によれば、上院の外交委員長は、批准を否決し再交渉を求めて大統領府に差し戻すか、協定の審議を延期するかで考えあぐねているようだ。23日までに意見書を提出することを求めている。そもそもこの協定が合憲かどうかでも疑義があるようで、違憲訴訟になれば負けそうであるようなことも書いてある。
Inquirer の記事は、この協定で恩恵を受けるはずである人々、とりわけ看護師、介護士などの団体が協定に反対していることを紹介している。同じく Inquirer の "JPEPA makes working in Japan tougher for health workers" がその詳細を紹介している。日本の国家試験に合格するだけの日本語能力を身につけるのが並大抵のことではないこと、合格しても3年間という期限付きの不安定な雇用しか得られないことなどが反対の主な理由である。
日経の記事は、フィリピン政府が「巻き返しに躍起だ」と伝えているが、Inquirer 紙に15日に掲載された "What’s wrong with sending nurses to Japan?" という論説もその一環だろうか。日本の看護師の収入がとてもよい(平均月収35万超と紹介されている。たしかに超過勤務手当とかを含めればそうなるのかもしれないが、いずれにせよ初任給ではないだろう)とか、「芸能ビザで日本に行ったフィリピン人に聞けば分かるように日本語はとても簡単だ」とか書いてある。うーん、私がもう少しこの問題に知識があったら、反論の投書を書くのだけれど。
Tags: フィリピン, グローバリゼーション
2007年 10月 17日 午前 01:19 | Permalink | この月のアーカイブへ
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