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2007.10.31

撤退前夜

インド洋に派遣されていた海上自衛隊の補給艦が、11月1日のテロ特措法期限切れを前にパキスタン海軍の駆逐艦に対して最後の給油を行なった。この話は、日本の新聞では30日の朝刊で大きく取り上げられていたし、AP電が29日づけで伝えている。

パキスタンでの報道を知りたかったのだが、Dawn 紙(30日29日)や Jang 系列の The News には記事が見あたらない。ニュースが地球を一回りしたころ、思い出したように載るのだろうか。

別れた恋人たちの片方が二人でいっしょに過ごした時間を未練がましく思い出しているのに、もう一人はきれいさっぱり気分転換している、みたいな。もともと、ちょっとマッチョに振る舞ってみたいやつと、いろいろ貢いでくれるから付き合ってやっていただけの関係だったのさ。そんなありきたりの構図を思い描いてしまった。うーむ、こんな想像力では今後の闘いが心配だぞ、がんばれ、私。

とりあえず、撤退に祝杯をあげよう。

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2007年 10月 31日 午前 12:27 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.10.30

スペインの歴史の記憶

Bill in Spanish Parliament Aims to End 'Amnesia' About Civil War Victims - ニューヨーク・タイムズ紙の記事。スペインでは、1936-9年の内戦と、それに続くフランコ将軍による右翼独裁政権の犠牲となった人たちを讃え、政治犯などを裁いた軍法会議が違法であったと定める「歴史の記憶のための法律」が作られようとしている。

記事によれば、1975年の独裁体制終焉後、スペインで民主化が順調に進んだのは、人々があえて歴史に目をつぶってきたからだという見方もあるようだ。そのような視点からすれば、歴史記憶法案は過去を掘り返すような危険を伴っているわけで、反対も多く、法案が成立するかどうかは定かではない。右翼政党は言うに及ばず、フランコに与した過去を持つカトリック教会も強く法案に反対している。先週末、カトリック教会は、内戦で人民戦線側に殺された右派のスペイン人498人を福者に列するという、きわめて反動的なことをした(El País 紙 "498 mártires españoles en los altares")。

Ley de Memoria Histórica 法案は、10月17日に下院の憲法審議会を通過し(El Mundo 紙の記事)、31日、下院本会議で審議が行なわれる予定。

安易な比較はよくないかもしれないが、日本が第二次世界大戦後、安定した軌道を歩むことができたのも、みんなが「過去から目をそむける」ことに同意していたからにほかならない。やがて、戦争の痛みを知らない世代が台頭すると、歴史修正主義が跋扈することになった。そして通信が発達し、交易がさかんになり、世界の国々との結びつきが強くなるにしたがって、目をそむけることに同意などしなかった人たちの声が聞こえるようになってきた。その時には、歴史記憶法を制定しようとしても、もう遅いのだ。

戦後60年余り。スペインで独裁が終わって30年余り。私たちが30年ほど前に何をしなければならなかったかを、スペインのニュースは教えてくれる。

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11月1日追記:下院本会議を通過。"Spanish parliament condemns Franco" - AP電。

2007年 10月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.29

少年の手紙

フランスでサルコジ大統領が全国の学校で朗読を命じたという文章を読んでみた。共産党員だった Guy Môquet という17歳の少年が第二次世界大戦中、レジスタンスに身を投じ、死刑に処される前に家族にあてた手紙だ(ここにテキストのほか、手紙そのものの写真がある)。

正直言って、私にはこの手紙の価値が全く分からない。それは多分に私がフランス語を豊かな情感を持って読み取ることができないことによるのであろうが、死を前にして愛する者に別れを告げるということが一般的にもつ情意面での昂揚以外に、ギー・モケが置かれた状況だからこそ生まれるはずの価値が何ら明示的に言及されていないことに私は不満を懐く。

Paris, October 2007, by Phillippe Leroyerギー・モケは占領という圧倒的な帝国的覇権に対して闘ったのであり、ナチスドイツの民族主義的、人種差別的なイデオロギーに対して闘ったのだ。だから彼の死には価値があるわけだ。しかし書き手である彼と読み手である彼の家族にとって当然であっただろうそのような事柄について、彼は手紙の中では直接触れていない。私たち後代の読み手はそれらの背景を歴史的な知識で補って、彼の手紙を理解しなくてはならない。

フランスの現代史に詳しくない私には、彼の手紙は、日本が行なった戦争の中で特攻隊に配属されて、もうすぐ意味もなく死ぬことが決まっている兵隊が書いた手紙と何ら変わりがないように思えてしまう。

おそらく、そのことが、まさにこの手紙がサルコジ大統領に選ばれた理由でもあるのだろう。政治的色彩の薄い手紙は、愛国主義とか、民族主義とか、権力者の好みの色に染めやすいのだ。

写真は philippe leroyer さんが Flickr で CC-By-nc-nd で公開しているもの。年金制度をめぐる鉄道ストのパリで18日に撮影。男性が手にしている新聞の写真がギイ・モケ少年だ。

…と、ここまで書いてしまってから、村野瀬玲奈さんのブログ経由でレイバーネットの「サルコジ大統領の最初のつまずき」という記事を知った。私の言いたかったことが、私よりもはるかにしっかりした分析に基づき、しかも情報量豊富に書かれている。

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2007年 10月 29日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.10.28

続く琵琶湖の酸欠状態

3月に書いた話の続きです。京都新聞「琵琶湖北湖の酸素濃度、観測史上最低に」や毎日新聞の記事によれば、今月22日の調査で、琵琶湖の水中の酸素濃度が観測史上最低を記録したそうです。3月にも書いたように、昨冬が暖冬だった影響で対流が起こらず、低酸素化した状態になっていましたが、秋に入って、その傾向がさらに進み、酸素濃度が1リットルあたり0.3-0.4mgとなったとのこと。コイやフナの棲息には3ミリグラムの酸素濃度が必要だとされているそうで、生態系への影響が懸念されています。湖底の動物性プランクトンが死滅して水質が悪化する恐れも指摘されています。

通勤の途中に電車の窓から琵琶湖が少しだけ見えるのですが、当然のことながら、私の目にはそんな危機的な状況にあるようには映りません。目に見えておかしくなって来たら、もうその時は遅いのでしょうね。

この話、ひとり琵琶湖にとどまらず、多くの人のまわりで静かに起こっているのかもしれません。

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2007年 10月 28日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.27

クラスター弾による被害は続いている

Cluster bombs pose grim reminder of 2006 war - レバノンのデイリー・スター紙の記事。2006年夏のイスラエルによるレバノン侵攻で撒かれ、不発のまま残っているクラスター弾による住民の被害について伝えている。

国連の地雷除去プログラム Mine Action Coordination Center は、これまでに13万個以上の不発クラスター弾を除去した。多くは旧式のものだが、中には、不発のまま残らないようにするための自爆装置のついた新型の M85 というクラスター弾も見られる。製造する企業は、M85 が不発のままになる確率は1%程度だとしているが、除去にあたっている団体は、不発率は5%から10%程度だと見積もっている。

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2007年 10月 27日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.10.26

みんなにウィンドウズ

ちょうど一か月前にここに書いた発展途上国の子どもたちむけラップトップ・パソコン。XO Laptop と呼ばれるこのパソコンのソフトウェアはすべてオープンソースで、OS にはリナックスが使われているようなのですが、マイクロソフトがこれに Windows を載せようとしていると、ロイター電 "Microsoft sees progress in getting Windows on XO" が伝えています。

記事で言及されている OLPC News というブログを見ると、昨年12月に "Microsoft Windows XP on the Children's Machine XO?!" という記事があります。今回の記事は、その後一年間の作業を経て、マイクロソフト社が Windows XO (とでも呼ぶつもりでしょうか)の開発に自信を示したというもの。

子どもたちが他の環境に慣れてしまう前にウィンドウズに触れるようにしようという意図で開発が進められているようですが、なんだかねえ…

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2007年 10月 26日 午後 07:50 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.25

免田栄さんが語る

"Confessions Are Not Always True" - 自白がいつも真実を語っているとは限らない。1948年に起こった冤罪事件で、30年以上、死刑囚として再審請求を重ね、1983年に無罪を勝ち取った免田栄さんの最新インタビュー。免田さんは現在81歳。

逮捕後、警察署で、繰り返される取り調べによって何も食べられなくなり、水も与えてもらえず、「自白」を強いられたこと、再審請求において弁護士をつけることもままならなかったことなどに加え、家族からも見捨てられた死刑囚は刑務所の職員からも冷たく扱われること、無罪を勝ち取って牢を出てからも社会復帰はむずしかったことなどを語っている。

免田さんは16日に国連で開かれた、イタリアなどが提出する死刑執行モラトリアム決議案に関する集会でも、同じく冤罪で死刑判決を受けたウガンダの Edward Edmary Mpagi さん、アメリカの Ray Krone さんらとともに、死刑廃止を訴える発言をしている: "Falsely Accused Push for Moratorium at U.N."。「今月にも、今日にも、今すぐにでも死刑を執行されるかもしれないと知りながら生きる毎日は拷問です。死刑囚であることは人間性を失わせ、その人に莫大な心理的な影響を及ぼします。だれに科するにしても酷い罰であり、無実である人にとってはなおさら凄まじいものです」という免田さんの発言が紹介されている。

死刑廃止の運動に関わる一方で、「世間の人は自分を元死刑囚としてしか見てくれない」と悲しげに語る免田さんがいる。その言葉に十分応えることができるような記事が書けないのが残念であるが、全世界死刑執行モラトリアムを現実のものにした大きな力の中の一人として免田さんを語れる日が近いことを私は信じている。

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2007年 10月 25日 午後 09:37 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.24

カイロの空気

Living in Cairo Is the Same as Smoking a Pack a Day - エジプトのカイロの空気はものすごく汚れていて、ただ住んでいるだけで、一日20本のタバコを吸うのと同じぐらい体に悪いそうです。環境被害も甚大で、空気汚染による損失はGDPの5%にあたるという試算もあるといいます。

空気汚染の最大の要因は mazot と呼ばれる燃料の使用。マゾットは原油を精製した後に残った重油のようなものだそうです(手元の辞典だと mazut ともつづるようです)。ピラミッドやスフィンクスの時代から続く煉瓦造りの炉で使われるのですが、効率が悪く、温室効果ガスを大量に発生するほか、発ガン性の強い化学物質も多く出るとのこと。

より効率のよい天然ガスへの転換が国際NPOの手で進められ、二酸化炭素の排出量が減り、スモッグも消えました。施設の改善と同時に、労働条件の改善なども図られているとされています。なんか、いいことづくめで、信じていいものやら分かりません。悪いニュース(数々の食品の偽装とか)ばかり聞かされて、心が曲がってしまったかな、私。

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2007年 10月 24日 午後 11:27 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.23

チリの海はクジラの聖域になるか

南米のチリで、排他的経済水域内での捕鯨を全面禁止しようという動きが高まっている。チリの首都サンティアゴでは、来年6月23日から27日にかけて国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会が開かれる予定で、それを前に、チリ沿岸がクジラの聖域になるかもしれない。

Mercopress の "Whale sanctuary call in advance of 2008 IWC Congress" によれば、サンティアゴで、先週、ラテンアメリカ10か国の15の環境団体が集まって、チリ政府に保護区化を求める声明を出した。チリ議会でもクジラ保護の必要性の認識が広まりつつある。

記事によれば、チリでは1967年まで捕鯨が盛んだったが、IWC の捕鯨禁止条約に署名したため、捕鯨をやめたのだそうだ。現在も日本の共同船舶がチリの領海内(Corcovado 湾周辺)で科学的調査のためと称して捕鯨を続行しているが、肉の大半は市場に出回っていることも紹介している。

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2007年 10月 23日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.22

軍隊とスポーツ

Military World Games (ミリタリー世界競技大会)というスポーツ大会が昨日までインドのハイデラバードで開かれていた。ミリタリースポーツ国際評議会(CISM)が1995年以来、4年に一回、オリンピックの前年に開いているもので、今回が第4回。103か国の兵隊が参加したという。

ミリタリースポーツと言うだけあって、近代五種と並んで軍事五種(「手榴弾投げ」が入っている)などという競技もあるし、落下傘降下もある。しかし、競技のほとんどはサッカー、陸上、柔道など普通のものらしい。今回の大会では女子背泳ぎで世界記録が生まれたそうだ。

日本は参加していない。憲法第9条で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めてある手前、「自衛隊は軍隊ではない」という建前を崩すことができないのかもしれない。そういえば「軍隊がない国」と言われるコスタリカも参加していない。もちろん、いろいろな国がそれぞれの理由で参加していないのであろう。大きなところでは、インドネシア、オーストラリア、メキシコが不参加。軍隊が幅をきかせていそうなビルマ(ミャンマー)とかトルクメニスタンとかの姿も見えない。

それにしても、憲法第9条が理由でスポーツ大会に参加できないのに、戦争に行く軍艦にインド洋で給油ができるというのは納得できないな。

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2007年 10月 22日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.21

ある誤訳

毎日新聞の「「核施設」騒動、結局は国連通訳の誤訳が原因」 ― 9月6日にイスラエル軍がシリア北西部を空爆した事件に関し、国連の軍縮委員会でシリア代表が「(イスラエルは)わが国の核施設を攻撃した」と述べたとされた(シリアは各施設の存在を認めていないので、すわ、口がすべったのかと思われた)のは、通訳の人の間違いだったという話。アラビア語からフランス語への通訳はおおむね正確だったが、フランス語から英語への通訳が余計な「核」という単語を足してしまったらしい。

17日づけのAP電に、誤訳と訂正後の文が出ている。関係個所だけ対照させると(間違えると恥ずかしいので、日本語には訳さない)、

修正前:an entity that violates other countries' airspace, and that takes action against nuclear facilities, including the attack on 6 July this year on a nuclear facility in my country
修正後:that which violates the airspace of sovereign states and carries out military aggression against them, like what happened on Sept. 6 against my country

国連の報道発表 GA/DIS/3345 では、すでに修正が施されている。フランス語への翻訳までは問題なかったというので、フランス語ではどうなっていたのか知りたいところだが、フランス語版の報道発表には、この部分が含まれていない。AFPのフランス語の記事を見ると «il a agi contre des installations nucléaires» となっていて「核」という言葉が入っているが、これは修正前の英語から訳し戻されたものだろうと思う。

通訳と言っても、何でもその場で訳せるはずはなく、予習が必要だ。空爆に関する記事とかを読んで「核施設への攻撃」であったと疑われていることを摺り込まれてしまったのが悪く作用してしまったのだろう。毎日新聞の記事では「通訳の処分を検討する考えを明らかにした」とあるが、処分が行なわれたことを報じる20日づけのAP電では、文書で懲戒されたとある。

19日づけのAP電では、通訳の人はフリーランスだったとされている。国連なら恒常的に通訳業務が発生するのだから、ちゃんと正規雇用して、準備作業が研修として位置づけられ就業時間内に行えるようにしなくては、質の確保は難しいのではないだろうか。

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2007年 10月 21日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.20

秘密の学校

ドイツのブレーメンで、州政府の教育方針に飽き足らない親たちが過去30年間にわたって秘密の学校を運営してきたことが明るみに出た。"German 'ghost school' uncovered after 30 years" という英ガーディアン紙の記事で知った。この「学校」は左翼的な親たちが始めたもので、楽しく学べる素敵な場所だったらしい。卒業生たちは偽造された卒業証明書を手に中等教育に進み、多くは大学を出て立派な社会人になっていると言う。

教育委員会などは、「学校」の存在を認識していたことを否定しているが、「学校」は過去に警察による立ち入り調査を受けたりもしていた。おそらくは、多くの人々の無言の善意に守られてきたのだろう。

エリート家庭が子どもに特別な教育を施す場であったという側面もあったのかもしれない。でも、やっぱり「秘密の学校」って、ものすごく心躍るではないか。

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2007年 10月 20日 午前 12:01 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.19

ムンバイの国際空港

インドのムンバイの Chhatrapati Shivaji 国際空港は都心から至近距離にあるが、便数の増加などで手狭になったため、拡張工事を行なうことになった。このたび、土地整備計画を実行する企業が決まったらしい。

滑走路のすぐ横、敷地のすぐ外には、巨大なスラム街があり、その人口は8万5千世帯、35万人とも言われる。それだけの人数を別の場所に団地を造成して移住させるという作業がこれから4年の間に行なわれる。フィナンシャル・タイムズの記事: "Mumbai project to rehouse 350,000"。

アルジャジーラのビデオを見ると、この「スラム街」には、本当の掘っ立て小屋からかなり立派な邸宅まで多様な居住形態が見られることが分かる。また、植民地都市なりの豊富な伝統も持っているらしい。遠い不便な土地に移転させられることを拒否している住民もおり、人権の観点からしっかりと見守っていくことが必要な気がする。

折しも、今年の9月に全日空が成田(三里塚)・ムンバイ間の直行便を就航したそうだ。

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2007年 10月 19日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.10.18

貧困と死刑

Poverty and Capital Punishment Go Hand In Hand ― 世界中のいたるところで、死刑と貧困が強く相関しているという調査結果を IPS が報じている。アムネスティ・インターナショナルや Penal Reform International などの団体も、この結論が妥当なものと考えているようだ。

死刑制度のありかたが国々によって違うように、死刑と貧困の関わりかたも違う。世界でもっとも多くの死刑が執行される中国では、殺人だけでなく、60以上の犯罪に死刑が適用されている。貧しい人による軽微な犯罪にも適用されるということだ。

アメリカでは死刑囚の95%が貧困層の出身だという数字も紹介されている。

日本がテロとの戦いの一環として支援しているパキスタンは世界中の死刑囚の3分の1をかかえていると考えられるが、専門家はパキスタンで死刑判決を受けた被告はほとんどが公正な裁判を受けられなかった人たちだと指摘している。

アメリカと密接な同盟関係にあるサウジアラビアでは、イスラム法で認められている diyat によって、被害者や遺族にお金を支払うことで刑を免れる者がいる。もちろん、裕福な人たちだ。また、サウジアラビアでは死刑を受ける人の多くが貧しい外国人労働者だ。裁判の過程で全く言葉が分からないまま、死刑になる場合もあるらしい。

日本もこの記事に取り上げられている。今いる約100人の死刑囚の多くは、自分で弁護士を立てることができず、国選弁護士で裁判に臨んだ人たちだと言う。記事は国選弁護士の力量が問題だとは述べていないが、弁護に多くのお金をつぎ込める人とつぎ込めない人の間で、裁判が有利になったり不利になったりすることは想像に難くない。より極端な例では、サハラ以南のアメリカでは、貧しい人が公正な裁判を受けられると考えること自体が幻想だと記事は述べている。

日本では、殺人にのみ死刑を認めているし、仕組みとして十分であるかは別として国選弁護人とともに裁判に臨むことができる。世界の多くの国に比べて道徳的な司法制度を持っていると言えるのだと思う。あともう一歩、道徳的な高みに上りたい。

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2007年 10月 18日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2007.10.17

フィリピンで高まる経済連携協定への批判

日比EPAに否定意見相次ぐ・フィリピン上院」という記事が日経新聞のネット版に5日づけで出ている。一年前にフィリピンと日本との間で調印された「経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(略称:日・フィリピン経済連携協定)」(左のリンクは外務省。フィリピン政府のサイトはこちら)の批准に反対する声がフィリピン国内で高まっているという話だ。

フィリピン Inquirer 紙の4日づけ記事 "Anti-JPEPA advocates ask RP to renegotiate treaty" によれば、上院の外交委員長は、批准を否決し再交渉を求めて大統領府に差し戻すか、協定の審議を延期するかで考えあぐねているようだ。23日までに意見書を提出することを求めている。そもそもこの協定が合憲かどうかでも疑義があるようで、違憲訴訟になれば負けそうであるようなことも書いてある。

Inquirer の記事は、この協定で恩恵を受けるはずである人々、とりわけ看護師、介護士などの団体が協定に反対していることを紹介している。同じく Inquirer の "JPEPA makes working in Japan tougher for health workers" がその詳細を紹介している。日本の国家試験に合格するだけの日本語能力を身につけるのが並大抵のことではないこと、合格しても3年間という期限付きの不安定な雇用しか得られないことなどが反対の主な理由である。

日経の記事は、フィリピン政府が「巻き返しに躍起だ」と伝えているが、Inquirer 紙に15日に掲載された "What’s wrong with sending nurses to Japan?" という論説もその一環だろうか。日本の看護師の収入がとてもよい(平均月収35万超と紹介されている。たしかに超過勤務手当とかを含めればそうなるのかもしれないが、いずれにせよ初任給ではないだろう)とか、「芸能ビザで日本に行ったフィリピン人に聞けば分かるように日本語はとても簡単だ」とか書いてある。うーん、私がもう少しこの問題に知識があったら、反論の投書を書くのだけれど。

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2007年 10月 17日 午前 01:19 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.16

我が国の誇り

Japanese bobtail Tess wins cat show at MSG - ニューヨークで開かれたアメリカの愛猫家連盟の美猫コンテストで尻尾の短い日本猫 Tess ちゃんがみごと優勝しました。

日本猫と言っても、アメリカ生まれアメリカ育ちみたいですが。そもそもこのコンテストが大きなイベントなのかすら、記事からは分かりません。また、記事の写真を見ると、うちの近所にもいそうな猫なんですけど。

ま、国威の発揚や、民族の誇りを強くするのにはいい感じなので、紹介してみました。

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2007年 10月 16日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (4)

2007.10.15

六ヶ所村でトリチウムを検出

この記事は環境を考える Blog Action Day の企画に賛同する意図を込めて書きます。

Blog Action Day, October 15, 2007

六ケ所・尾駮沼にトリチウム/県・原燃が報告 ― 東奥日報の10月13日の記事です。再処理工場に近い尾駮沼で4月17日に採取した水から、3月までの調査ではいつも「定量下限値未満」だったトリチウム(水素の同位元素)が初めて検出されたことを伝えています。試運転(アクティブ試験)中の再処理工場から4月6日、7日、14日に液体廃棄物の海洋放出を行なったことの影響だろうと青森県の原子力施設環境放射線等監視評価会議評価委員会は見ているようです。

今回検出されたトリチウムは1リットルあたり2~3ベクレルで、EUの安全制限値が100ベクレル/リットルだそうですから、「仮に直接沼の水を飲んだとしても、健康に全く影響がないくらいの低い値」という県の説明は妥当なものだろうと思います。ただ、初めてのものは初めて。これから悪くならないことを祈ります。また、日本原燃の記録では6月に4月の2倍半程度の放出が行なわれています。その影響は今回の報告(4月から6月までの試料調査)では確認できなかったみたいですが、7月の調査で出るのか、あるいは放出直後しか検出できないのか(数日で希釈されてしまうのなら問題ないということなのかもしれません)など、今後も見守っていく必要があるように思えます。たぶんここに調査結果が掲載されるのだと思います。

同じ日の東奥日報は、「止めよう再処理!10.13全国集会」での講演でフランスの市民団体 ACRO の研究者が六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場がモデルとしたラ・アーグ(La Hague)再処理工場周辺で高濃度のトリチウムによる汚染が広がっていること、トリチウムと炭素14の健康への影響がこれまで考えられてきたよりも大きいことが分かったことなどを報告したと伝えています。

私は原理的に核エネルギーの利用を否定しているわけではないのですが、原爆の悲惨さを味わった国に生まれた者、チェルノブイリの悲劇を実時間で見知った世代としては、核が環境に与えかねない影響には、どうしても敏感になってしまいます。願わくば、そういった敏感さ、慎重さを知識で補いたいものですが、勉強が足りません。

注: 東奥日報や時事通信社(現在発生している問題に関する記事)は、「六ケ所」と表記しているようです。村役場、青森県、日本原燃、原子力資料情報室などは「六ヶ所」を使っているみたいです。ここでは、コピーして貼り付けているところは元のままの表記で、自分で打つ時は「六ヶ所」を使っています。どうでもいいようなことだと思うのですが、広い世の中には、このことに異様なほどの執着を見せ、意見の違う人を傷つけるようなことを平気で言う人もいるので、念のため、断り書きを入れておきます。

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2007年 10月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.10.14

明日は環境ブログ行動の日

国連環境計画(UNEP)が共催する企画で、明日10月15日に環境についての記事をブログに書こうというものがあります。Blog Action Day のサイトはこちら。UNEP のサイトの報道資料はこちらです。

Blog Action Day, October 15, 2007このブログ・アクション・デーには1万を超えるブログが参加するとのこと。明日、環境についての記事を書けば参加したことになるのだと思いますが、参加登録も受け付けています。私も参加しようと思います。登録もしてみました。あとは書くことを考えるだけです…

私、環境に関してさほど無責任な態度で生きてはいないつもりですが、「これが私の意見です」と語れるほどの考えを持っていないのも事実です。ちゃんと書けるかなあ。心配です。そんなふうに今日一日、悩む仲間を増やしたくて、この記事を書きました。

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2007年 10月 14日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.10.13

アフガニスタンのケシ

US step up pressure on Afghan drug war - 英テレグラフ紙のカブール発の記事。アフガニスタンで麻薬の原料となるケシの栽培が増えているとして、アメリカ政府がかけている圧力を報じている。

米政府が推進しようとしているのは Roundup という商品名で売られている Glyphosate という除草剤の空中散布だ。Roundup の空中散布はコカ栽培撲滅のために南米コロンビアで行なわれており、健康被害をもたらしている(この点については、ごく最近、報道を読んだ記憶があるのだが、記事を見つけられない。問題が明らかになった2001年ごろの記事を代わりに示す )。

テレグラフ紙の記事は、ラウンドアップの使用に積極的なアメリカ大使が以前、コロンビア大使を務めていたことに言及している。William B. Wood 大使は、ラウンドアップの安全性を証明するために自らにラウンドアップを散布するというパフォーマンスをする用意があると述べているそうだ。度し難い愚かさだ。

ラウンドアップの生産の最大手は、言わずと知れたモンサント社である。そして、モンサント社はラウンドアップに耐性のある遺伝子組み換え大豆も販売している。だれの懐にお金が落ちる仕組みになっているか、非常に分かりやすい構図がここにあるように思える。

記事はまた、タイなどの国で、20年ほどの月日をかけて、緩やかにケシ依存の経済構造を解消していった例が紹介されている。アフガニスタンで求められているのも、そういった辛抱強い取り組みなのだろうと思う。

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2007年 10月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.10.12

まんがシェークスピア

フランスの英語放送 France 24 の "Manga takes on Shakespeare" - イギリスで出版されている、まんが版シェークスピアの話題です。「そもそも戯曲であるから、視覚的表現に適している」「日本のまんがはアメリカのものと違って、登場するキャラが複雑で深みがあるから、シェークスピアの作品にはもってこい」だそうで、わりと納得してしまいました。Self Made Hero 社の Manga Shakespeare のページはこちら

「あらし」はエネルギー危機に陥った未来社会、「ロミオとジュリエット」は現代の東京が舞台になっているそうです。日本語のまんがならとっくの昔にあるのではないかという気もしますが、どうでしょう。

放送の冒頭では、19世紀の日本を舞台にした「お気に召すまま」映画化(Kenneth Branagh 監督、2006年)の話が出ていました。日本では劇場公開されなかったのでしょうか。

うーん、まんがも映画も古典的な英文学も苦手な分野なので、みごとにやる気のない紹介になってしまいました。

ちなみに、このブログでは、今までにこういうまんがの記事を書いています:

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2007年 10月 12日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.10.11

ペルージャからアッシジへの道

Italians March for Peace - 今週の日曜日、イタリア中部の都市ペルージャから24キロ離れたアッシジまで、20万人の人が歩いた。この「平和の行進」は恒例の行事だそうで、今年は「戦争の不在」としての平和だけでなく、ガルトゥング的に言えば社会の構造的な暴力や文化的な暴力もない「積極的な平和」の実現がテーマとなったため、「平和と正義はともに歩む」「すべての人にすべての人権を」などといったプラカードが目立ったと言う。


大きい地図を見る

記事は、ヴィチェンツァのダルモリン米空軍基地移転反対運動からの参加者が、基地建設阻止は「予防戦争」ならぬ「予防平和」(pre-emptive peace)だと語ったことを伝えている。とても力強い概念だと思った。

デモでは、イタリア政府が国民総所得(GNI)の0.7%をODAにあてるべきだという提案が採択されたらしい。私の手元にある資料は少し古いが、イタリアのODAはGNIの0.20%。スウェーデン(1.03%)、オランダ(0.81%)には遠く及ばない。日本は0.25%でイタリアよりも若干GNI比率は高いが、借款が多く贈与が少ないので、援助の質はイタリアよりも低いらしい。

ペルージャとアッシジという地名を見て、聖フランシスコ(フランチェスコ)が「ほんとうの歓び」について語った話を思い出した。フランシスコは、どんなにたくさん有名な人や有力な人が自分の修道会に入ったとしても、それはほんとうの歓びではないと語る。では、ほんとうの歓びとはどんなものかと問われて、フランシスコは次のように答える。

「まあ、夜ふけにわたしがペルージアから戻って、ここに着いたとしましょう。冬で、しかも、ぬかるみがひどい上、寒さときたら着ている服の裾につららが垂れさがるほどきびしく、おまけにそれがわたしの足にあたるので、そこに傷がつき、血が流れる始末…

フランシスコは門を叩いて、開けてくれるように頼む。ようやく修道僧が一人出てくるが、どんなに頼んでも、追い払われてしまう。

「そんな具合になっても、わたしがなお辛抱強く、取り乱したり、怒らなかったなら、それこそが、ほんとうの歓びであり、ほんものの徳で、しかも魂の救いとなるのです」。
レオナルド・ボフ『アシジの貧者・解放の神学』エンデルレ書店、1985

私はおそらく本当の歓びを味わうこともできないだろうし、本物の徳を身につけることもできないだろう。しかし、このように語る人を愛しく思う時、それだけでも、とても大きな救いを感じる。

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2007年 10月 11日 午前 01:13 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.10.10

幸せですか?

Gallup releases first survey of well-being worldwide - 世界131か国で、あえて「主観的」な質問ばかりして、人々の暮らしを映し出そうという意識調査が行なわれた。代表的な質問項目としては、「地元の警察を信頼していますか?(世界平均70%)」「いつも家族の衣食住をまかなえていますか?(75%)」「毎日、仕事の中で自分のいい面が引き出せていると思いますか(30%)」「現在の生活水準に満足していますか?(50%)」「自分の健康状態に満足していますか?(76%)」「昨日、まわりから敬意をもって扱われたと思いますか?(61%)」など。

主観的な評価であっても、国際協力などの面で、人々が何を望んでいるかを知るのは大切なことだ。例えば、開発途上国では食料や衛生面での援助よりも「仕事」が望まれていることなどが分かったと書いてあった。

ギャラップ社がこの調査をするきっかけとなったのは、アメリカのラムズフェルド国防長官が記者会見で9.11の攻撃はムスリムの人々に支持されていると思うかと聞かれ、「イスラム諸国ではギャラップ調査ができないから分からない」と答えたのを聞いたことだと言う。ギャラップ社の人は、調査ができないわけはないと思い、また、アメリカ政府がムスリムの人たちの考えていることを何も知らずに重要な決定をしていることに違和感を覚えたそうだ。

施策に反映させるとなると、慎重に考えることが求められると思うが、自分を振り返るためには、興味深い話題のように思う。かと言って、自分を数字と比べてみても、実は意味はないのかもしれない。ちなみに、冒頭に挙げた6問には、私は「いいえ、はい、はい、はい、いいえ、はい」。そう答えただけで、自分が非常に恵まれていることが分かってきた。

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2007年 10月 10日 午前 01:24 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.09

スイスの黒羊

右の画像は、スイスの保守政党、スイス国民党(SVP = Schweizerische Volkspartei)のウェブページです。白い羊が黒い羊を足蹴にして敷地から追い出しています。黒い羊は外国人移民。外国人は犯罪率が高く、スイスは安全のために移民を拒絶すべきだというメッセージです。このデザインでポスターがあるのですが、それをそのまま転載するほどの鈍感さを私は持ち合わせていないので、ウェブページの画像を縮小したものを載せることにしました。下のほうのグラフは、各種犯罪率に関するものです。

スイス国民党は泡沫政党ではなく、議会で最大の勢力を有する政党です。ポスターは人種差別ではなく、あくまでも「反犯罪のメッセージ」だと主張しているそうです。いろいろな言い方はあるのでしょうけれど、私は、こういう政党が第一党である国に行ってみたいとは思いません。そんなことを言いながら、産経新聞が幅をきかせている国に住み続けているのだから、「口だけ」だと言われるかもしれませんが。

ポスターについては、ニューヨーク・タイムズ紙の "Immigration, Black Sheep and Swiss Rage" で知りました。記事で言及されている「天国と地獄(Himmel oder Hölle)のビデオは、YouTube で見ることができました。お勧めはしません。

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2007年 10月 9日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.10.08

素敵な街並み

私が以前住んでいたマサチューセッツの町が、アメリカの素敵な街並みベスト10に選ばれたそうです: Great Places in America。選んだのは American Planning Association という都市計画関係の学会です。

Northampton, by JTones

メインストリートが選ばれた Northampton というのが私が住んでいた町です。リストを見ると、他はすべて全国的に有名な都市なので、あんな小さな町が選ばれるなんて、ちょっとびっくりです。80年代の後半から90年代の初めにかけて、毎日のようにこのメインストリートを歩いていました。写真を見ると、そのころとさほど雰囲気は変わっていないようです。

その土地の歴史がしっかり保存されている、古い建物がそのまま店として生き生きと使われている、電線等が地下に埋設されていて景観がよい、歩行者にやさしい、などの点が評価されたようです。歩行者にやさしいというのは、(昔の話なので、今でもそうかは分かりませんが)街並みだけの話ではなくて、人々の心の話でもあり、歩いて横断しようとしていると、必ず走っている車は止まってくれます。それにひきかえ、日本では、横断歩道ですら車が止まってくれないので、とても悲しく思います。

私がいたのはレーガン政権とブッシュ41政権のころでしたが、大学町独特の雰囲気のおかげで、この町で私も左寄りになりました。そんな町でも、湾岸戦争が始まった途端、星条旗を掲げてパレードをしたりする人たちが現われました。戦争が人を狂わせるのか、あるいはもともと狂った人がいて、戦争がその人たちを活気づけるのか分かりませんが、日本では、戦争放棄を貫いて、こんな情景を見ないで済むといいなと、強く思いました。

写真は JTones さんが Flickr で CC-by-nc-sa で公開しているもの。メインストリートの北東方向です。南西方向はこんな感じ

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2007年 10月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.07

昨日からは赤字暮らし

October 6 is Ecological Debt Day - Global Footprint Network によれば、私たちは昨日、地球が今年中に供給できる資源を使い尽くしてしまったそうです。これからの2か月半あまりは、木を切れば、そのぶんは森林が再生するのが間に合わず砂漠化につながり、魚を捕れば、そのぶん海から魚が減っていきます。来年以降に使うはずだった資源を前借りして暮らしていくことになります。ロイター電 "World moves into the ecological red" で知りました。

人類が大晦日より前にその年の所得を使い尽くしてしまうようになったのは1987年だそうで、その年の生態系債務の日は12月19日でした。それ以降、債務開始日は年々早くなり、私たちは20年間で2か月以上早くその日を迎えることになりました。

ぎりぎりの生活をしているのだったら、赤字を減らしたり借金を返したりするのは難しいですが、とりわけ工業国はけっこう贅沢な暮らしをしているので、もう少し倹約したいものです。でも、過去20年間の借金が利子で膨れ上がっているのでしょうかね。だとすると、健全な状態まで戻すのは、至難の業かもしれません。

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2007年 10月 7日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.06

スペインの王制論議

カタルーニャ独立運動の集会写真は、国王の来訪に抗議して9月13日にスペインのカタルーニャ地方 Girona (Gerona) で行なわれたデモのようすです(Jaume d'Urgell さん撮影、CC-by-nc)。逆さに置かれた国王と王妃の写真が焼かれる横で大きなカタルーニャ独立運動の旗が振られています。

この写真の撮られた集会では2名が不敬罪で逮捕され、検察側が15か月の禁固刑を求める裁判になっています("Pair who burned Royal pictures face 15 mths jail")。逮捕された2人に連帯して9月22日に同様に国王の写真を燃やした9人は10月4日に釈放されました("Spanish judge lets youths who burned king's pictures go free")。

この事件がきっかけとなって王制に関する議論が活発になり、今週初めには国王自身が、王制はフランコ独裁軍政が終わった1975年以降、スペインの安定に貢献してきたとの自己弁護の発言を強いられるまでに至っています。BBC の記事 "Spain king defends monarchy role" によれば、多くの人が王制はもう不要な過去の遺物だと再び(スペインは1931年に一度、共和制に移行し、フランコのもとで王制に戻りました)考え始めているようです。

私は、王制の類は封建制度の名残で、自由と平等を旨とする近代市民社会において、それは悪だと考えます。そして自分の国の似たような制度を無くしたいと願っています。私たちの国よりも少し先を歩んでいるスペインでの議論についても注意を払っていこうと思います。

この夏に書いた関連記事:スペインの「不敬」騒動

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2007年 10月 6日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007.10.05

非暴力抵抗は終わっていない

ビルマ(ミャンマー)では、反政府活動に対する激しい弾圧が続いていて、大規模なデモなどは開かれていないようですが、3日朝刊の東京新聞が伝えたように、僧侶による断食や、「国営テレビの午後八時からのニュース時間に合わせてテレビのスイッチを消す」といった抗議行動が広がっているようです。

「ニュースを消す」非暴力行動については、2日付けのAP電 "Burma Citizens Launch Silent Protest" がより詳しく伝えています。1時間番組の最初の15分を視聴しないというもので、それに併せて家の電気をすべて消すという行動をとっている人もいるようです。政府のプロパガンダなどには耳を貸さないよ、という意思表示で、現在、市民が安全にとりうる行動はこのくらいが限度ではないか、という分析が示されています。

英インディペンデント紙の "Protesters stay put to battle junta as world waits on Burmese border" は、タイ国境に亡命を希望する活動家が全くと言っていいほど姿を現していないことに注目しています。多数の難民が発生した1988年とは対照的だという観察です。1988年には、武装闘争に備えるためにラングーンから多くの人が逃れて来たが、今回は、活動家たちは市内で非暴力的な活動を続けるつもりなのであろう、というのが記事の分析です。

Democratic Voice of Burma は、10月6日の土曜日に、世界各地で昼の12時に抗議行動を起こすという企画を紹介しています。日本でもいろいろな行動が提起されていることと思います。私は、この日も仕事で、参加できず、残念です。

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2007年 10月 5日 午前 12:00 | | コメント (1) | トラックバック (3)

2007.10.04

パキスタンの大地震から2年

Tented schools a reality for 800,000 quake-affected children - 2年前の10月8日、パキスタン北西部をマグニチュード7.6の大地震が襲った。7万5千人が亡くなり、300万人が家を失ったと言う。記事は、2年経った今、崩壊した学校のほとんどは、まだテントや屋外で授業を行なっていることを紹介している。80万人もの子どもたちがそのような学校に通っている。

テントは、たいがい一校に一つあるだけなので、一つのテントの中で複数の授業が行なわれていたりしている状態で、十分に行き渡ってさえいない。夏は暑く、冬は、中で火を炊くのは危険なので、とても寒い。気候が厳しいので、そろそろ取り換えの時期に来ているテントも多い。危険を承知で、ひびの入った校舎で授業を続けることにした学校もある。

震災後2年で、建物が復興していないこと自体は、さほど異常なことではないのだと思う。しかし、パキスタンの艦船に無償で給油をする代わりに学校建設の面で支援をしていたら、どんなに状況が違っていただろうか、といったことは、やっぱり考えてしまう。

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2007年 10月 4日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.03

チベット遊牧民の定住化政策

100,000 Tibetan nomads ordered to settle in towns - チベットで、10万人にも上る遊牧民が中国政府によって都市に強制移住させられようとしているらしい。放牧のために草地の砂漠化が進んでいるというのがその理由だ。

環境が劣化していることが事実だとしても、その主な理由が過放牧だと言うのはちょっと信じがたい気がする。いずれにせよ、遊牧民に定住を強いるのは、マイノリティの伝統文化の否定に他ならない。遊牧地を規制して養生を図るなど、もっと穏便な策があるだろうにと思う。

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2007年 10月 3日 午前 12:18 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.10.02

オーストラリアのビッグイシュー

夏休みにオーストラリアに行っていた人がビッグイシューを買ってきてくれました。日本人の若者が買いに来たというので喜ばれ、販売員さんの間で話題になっていたようです。写真は9月11日から25日の間に販売された287号。月の上旬下旬というのではなく、隔週刊のようです。

The Big Issue, Australia価格は4ドル。オーストラリアドルが最近高いので、日本円にすると410円にもなります。半分の2ドルが販売員さんのものになるそうです。表紙から裏表紙まで入れて48ページです。紙も重みがあるせいか、日本版よりもかなり厚く感じられます。版は、横幅は日本と同じで、背丈が2、3センチ短いです。広告はあまり多くなく、日本版と同じぐらいです。日本版よりも写真やイラストを大きく取って、芸術性を意識しているようです。

この号で一番私の興味をひいたのは、40年前にオーストラリアが白豪主義を捨てる国民投票をした時のことをアボリジニーの人たちが綴る写真の展覧会についての記事でした。一人は写真の横に「私はもう植物でも動物でもなくなった」と書いています。植民地主義の世界が先住民を人間として認めさえしていなかったことに、あらためて驚きます。

買ってきてくれた人は、オーストラリアでは若い人が販売員をしているのでびっくりしたと言っていました。日本のビッグイシューが若い人を販売員にしない方針をとっている(『フリーターズフリー』01号、111-2ページ)のとは違うようです。…と思ったら、最新号(80号)に挟み込んであった値上げに関する文書は「若いホームレスの人々」に言及していますね。若い人たちの雇用がますます深刻になってきているのを含意しているようで、とても心配になります。

一年前に書いた、南アフリカのビッグイシューに関する記事:ビッグイシュー買った

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2007年 10月 2日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2007.10.01

韓国が差別禁止法制定へ

韓国の法務部(法務省)が国会に差別禁止法案を提出する。The Korea Times の記事 "Discriminators Will Face Legal Action" で知った。東亜日報の記事によれば、10月2日に正式発表され、11月に上程される。

差別禁止法は、性や障害、年齢だけでなく、人種、国籍などによる差別も禁止する。国籍による差別も対象となるため、海外から来た労働者などに対する不公平な取り扱いにも適用される。直接的な差別行為だけでなく、間接的な偏見も対象となっている。被害者は国家人権委員会に申し立てをすることができ、裁判所が差別行為の中止や被害への補償を決定する。差別を受けた当事者だけでなく、差別を目撃した人が申し立てを行なうこともできる。申し立てを行なった人への報復などに対しても罰が科される。

かなり先進的な内容だという印象を受けるが、ハンギョレ新聞は社説で、男女雇用均等法があるにも関わらず性差別はなくなっていないとし、法律を作るだけでは不十分で、国が主導して差別是正基本計画を作っていく必要があると論じている。また、裁判所の損害賠償判決だけでは救済策は十分ではないとも指摘している。

韓国と日本は似ている点が多いので、どのような法整備が実効的なのか、とてもよいお手本になると思う。そして、必ず日本でも包括的な差別禁止法を作ろう。

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2007年 10月 1日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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