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2007.09.30

ルワンダが死刑廃止

ルワンダが8月に死刑を廃止したことをAP電 "Rwanda Calls for End to Death Penalty" で知った。1994年にジェノサイドを経験したルワンダが死刑を廃止するのであれば、ほかのどんな国も死刑など行えないはずだという考えのもと、カガメ大統領らが全世界的な死刑の中止(モラトリアム)を呼びかけている。

現在開かれている国連総会には、死刑中止に関する総会決議案が提出されており、12月に議決される(Amnesty International のページ)。水曜日に行なわれたイタリアのプロディ首相の演説の中心はこの決議案だった(AP電 "Italy Pushes Death Penalty Moratorium")。金曜日に開かれた決議案支持国の会合には、決議に必要な97か国を超える101か国が参加した。反対するアメリカや中国(世界で行なわれる死刑の9割近くが中国のもの)による切り崩しが予想されるため、決議案の行方はまだ定かではない。

ルワンダの The New Times 紙にも "Rwanda backs universal abolition of death penalty" という記事がある。イタリアの死刑廃止を求める団体 Hands Off Cain のサイトにもルワンダの死刑廃止に関する記事がある。

ジェノサイドに関与して国外に逃亡している犯罪者たちが多く存在するが、今までヨーロッパ諸国は、強制送還すれば処刑される確率が高いとして、送り返すことを拒んできた。ルワンダが死刑を廃止したことによって、送還が実現することが期待されている。死刑をなくすことが、人道に対する罪を犯した者への裁きを促進することになるわけだ。

「あのルワンダでさえ死刑を廃止したのなら、他の国で死刑をやっていいわけがない」という“論理”を受け入れるためには、肌の色や話す言語が違っても、お互いの経験を語り合うことができ、共通の教訓を導き出すことができるという、“普遍的な人間性”への信頼が必要だ。そして、管見では、死刑制度の維持を説く人たちの多くは、そのような信頼を欠いた人たちであるように思う。だから、私は、このニュースが死刑モラトリアムなり死刑廃止への大きな弾みとなるかについては、かなり懐疑的だ。

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2007年 9月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.29

泣きながら

今週末は土曜日も日曜日も仕事です。やっと土曜の朝の仕事の準備が終わりました。で、律儀にブログを書きます。いつもより2時間近く遅い更新です。と言っても、今日はずっとそればっかりやっていたので、ブログに書くことが何もありません!

今、目を通したアルジャジーラの記事 "Myanmar Bloggers Tell Their Story" で、ビルマのようすが分かるブログが2つ紹介されていました。 "ko htike's prosaic collection" と "dawn_1o9's Xanga Site" です。

私はひねくれ者なので、みんなの目がビルマに向かっている時こそ、ほかの場所で起こっていることについて書きたいのですが、ちょっと無理みたいです。頭は仕事の疲れでいっぱいだし、心は撃たれた人たちのことから引きはがすことができません。

2007年 9月 29日 午前 01:47 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.09.28

ゴルバチョフは語る

80万人を超える人々が犠牲になったスターリンの「大粛清」(1937-8)から70周年のフォーラムにおけるゴルバチョフ元ソ連共産党書記長の発言が報じられています。AP電 "Gorbachev warns of history whitewash"、ロイター電 "Gorbachev warns Russians against rise of Stalinism"。

プーチン大統領のもとのロシアでスターリニズムの時代を恐怖政治としてではなく、「黄金時代」としてとらえ直そうという風潮が強まっていていることに警鐘を鳴らす発言で、「だれが苦しんだかを覚えておかなくてはならない。それは私たちすべてへの教訓であるが、学ばなかった者も中にはいる」「社会が健忘症を患っていたら、その国は現在を生きることはできない。未来に向けて長期的な計画を立てることもできない」と、歴史修正主義を強く批判しています。

この記事でも触れられているロシアの歴史修正主義的な傾向については、今月初めの東京新聞の記事でも読むことができます。

プーチン大統領自身は、直接スターリンを擁護したことはないようですが、「他の国からロシアがその歴史に罪の意識をいだかせられるのはよくない」と発言しています。このような流れの中で、すでにロシアの若者の半数は「スターリンは賢明な指導者であった」「スターリンが行なった悪よりも善のほうが多い」と考えているそうです。

AP電の中に、ドイツのある都市にナチスの強制収容所の方角を示す標識が立っているという話が紹介されています。それを見た子どもが「ダッハウって何? ブッヒェンヴァルトって何?」と親に尋ねる。「そうやって歴史は受け継がれていくのだ」。フォーラムの参加者は、そう語っています。

私たちも同じように考えなければならない問題だと思いました。

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2007年 9月 28日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007.09.27

辺野古のパブコメ

昨日、職場で久しぶりに部署の違う友人に会ったら、「辺野古の意見書、書いた?」と言われ、27日が締め切りなので、ぜひ書くようにと諭されました。言われた後も、忙しくて、忘れていたのですが、グリーンピースのサイトにも26日付けで記事が出ていたので思い出しました。不勉強が祟って、ろくなものが書けませんでしたが、先ほど、一応、ファクスで送りました。

送り先(ファクス:098-866-3375)は、辺野古から緊急情報ブログに載っていました。内容は、方法書を批判する資料集・解説のページを参考にしました。以下、あまり参考になりませんが、私の意見書です。使えるようなら、ご自由にコピーしてください。

普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書に対する意見書
[日付]
沖縄防衛局長 殿
[住所]
[名前]
那覇防衛施設局が縦覧を行なっている環境影響評価方法書について、意見を述べます。
まず、この方法書は現行の環境アセス法にのっとった手続きを経たものではないという懸念が示されていることを重く受け止めていただきたいと思います。代替施設の運用開始予定期日に合わせただけの、違法な、既成事実化のための文書ではないということをていねいに近隣住民のかたがたに説明なさらなければ、施設とともに生きていくことを強いられる人々の国に対する信頼は地に墜ちてしまうように思います。
また、大部であるにもかかわらず報告書からは珊瑚やジュゴンなどの辺野古の海の生き物の将来が読み取れないという批判があります。自然環境は基本的に尊重されるべきものであり、琉球の海のように、類いまれな環境であれば、その保護は強く図られるべきです。そのことが納得のいく形で示されていないこの報告書は、不十分なものと言わざるを得ません。
さらに、方法書には、事業内容(航空機の発着頻度やルートなど)が記載されていないことも指摘されています。
これらの点に留意し、環境アセス法違犯の疑いのある現況調査を凍結し、方法書を撤回すること、そして願わくば沖縄県民の圧倒的多数が反対している海上基地計画自体を見直すことを要望します。

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2007年 9月 27日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.26

このパソコンが買いたい

貧しい国の子どもたちに約100ドルのラップトップ・パソコンを配ろうという話については、何年か前から聞いていましたが、来月、いよいよ量産態勢に入るのだそうです。ただし、発展途上国の教育行政からは期待していたほどの注文が来ていないとのこと。

来月、$399でこのパソコンを2台買って、1台が自分のもとに、もう1台が発展途上国の子どもたちに贈られるという企画が行なわれます。アメリカとカナダからしか買えないみたいなので残念ですけれど。XO Giving のサイトはこちら。ニューヨーク・タイムズ紙の記事 "Buy a Laptop for a Child, Get Another Laptop Free" で知りました。

もちろんPCやマックほどのことはできないそうですが、電力消費は10分の1程度だとのこと。ほしいなあ。日本語にはまだ対応していないようですが、エチオピアの政府から注文が来ているということは、エチオピアの文字は大丈夫だということでしょうか。ソフトウェアはすべてオープンソースだということですから、日本語が使えるようになるのも案外近いのかもしれません。

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2007年 9月 26日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2007.09.25

ビリーンから広がる非暴力

ビリーンの村がさまざまな非暴力的な抗議行動や裁判闘争を通じて隔離壁のルートを変更させる最高裁判決を引き出したこと(P-navi info の記事)が、パレスチナ各地に非暴力の波を作っているらしい。クリスチャン・サイエンス・モニター紙の "Nonviolent protest gains in West Bank" (前半後半)。

イスラエル軍が道路封鎖のために置いた大きな岩を西岸地区のベツレヘムの西隣 Al Walajeh の村人たちが取り除いた。「明日にはイスラエル軍がブルドーザでまた元に戻すだろう。でも私たちはまた来週、岩を動かすんだ」と村人は語る。ビリン以前には、非暴力主義も法廷闘争も、何の役にも立たないと人々は考えていたが、外部から好意的な報道を受けることや、パレスチナ内部の勢力争いの暴力の連鎖を断ち切り、傷を癒す力となることで、人々が非暴力主義に目を向けるようになったようだ。

Al Walajeh

記事は、非暴力主義が大きな流れとなるかはまだ分からないとしながらも、「ガンディーはこれで一つの国全体を解放したことを忘れてはいけないよ」という参加者の声を紹介して結んでいる。

国連の地図で見ると、Al Walaja の村は、建設予定の隔離壁に完全に封鎖される形になっている。今回、村人たちが動かした岩は、たぶん地図の「▲」の印の位置にあるものだと思う。

記事には、この行動に日本人のバックパッカーが1人参加したと書かれている(写真を見ると、左上のほうにいる人がそれらしく見える)。すごく誇りに思う。私もそのような行動力のある人になりたい。

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2007年 9月 25日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.24

ダッカ大学の一か月

8月下旬に始まったバングラデシュの学生による抗議行動について、ワシントン・ポスト紙に一か月のまとめのような記事が出ていました。 "Bangladesh's Epicenter of Political Tumult" (前半後半)。デモなどに参加した学生や教員は拘束され、学校もラマダン明けまでロックアウトされてしまったようです。

記事によれば、1971年の独立以来、ダッカ大学は常にバングラデシュでの政治運動の中心に位置していて、大学生たちは、貧しく文字の読めない人々の代わりに声をあげることが自分たちの義務だと考えてきたとのこと。大学の閉鎖はさほどめずらしいことでもないようです。政党が学生運動に影響を強めており、活動家を送り込んだりしていて、従来の自主的な政治運動とは質的に違うとする見方もあるようです。

一か月前に抗議行動が起こったきっかけは、学生が開いた傘から飛んだ水が駐とん中の兵士にかかって、けんかに発展したこと、とされています。

素手の学生が兵士を蹴飛ばしている一枚の写真がネットに出回っていて、軍に対する抗議行動のシンボルのようになっていると書かれています。残念ながら、ちょっと探してみたのですが、まだ見つかりません。(追記:コメントでgataroさんが教えてくださいました。)

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2007年 9月 24日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007.09.23

隣人の過去

ドイツのザクセンハウゼン(Sachsenhausen)収容所を生き延びたユダヤ系のポーランド人が、今はアメリカのアリゾナ州にある養老施設に住んでいる。4年前、彼は、隣の部屋に新しく入居してきたルーマニアからの移民の部屋で、その新しい隣人がナチスのSS親衛隊の制服を着て写っている写真を見た。怒りは覚え、部屋を出はしたものの、「彼もこのコミュニティーの一人なのだから」と思うことにして、そのままにしておいた。

先月、その隣人が、移住してくる時に自分の戦争犯罪を隠していたことをとがめられて、アメリカ国籍を剥奪され、国外退去処分とされた。彼は、ザクセンハウゼン収容所で監視兵として働いていたのだ。

強制収容所に入れられていたユダヤ人の腕には、囚人番号が入れ墨として刻まれている。ナチスの手先だったその隣人も、それを見たはずだと、そのユダヤ人は言う(BBCの記事)。

1か月ほど前にも、同じようにナチスの兵隊だった過去が明らかにされ、アメリカから国外追放になった人の話を書いた。たぶん、私が気がつかないだけで、このような話はたくさんあるのだろう。

日本では、60年「も」経ったからとか、「未来志向」が云々などと言う人たちがやけに声が大きいので、忘れてしまいがちではあるけれど、第2次世界大戦の戦争犯罪の追及は、今もなお続いているということだ。

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2007年 9月 23日 午前 12:33 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.09.22

パレスチナのラマダン

仕事からの帰り、空を見上げると、半月よりもふくらみを増した月が沈みかかっていた。ラマダンも一週間が過ぎたということだ。

Ramadan woes - エジプトのアルアフラム紙が、パレスチナのラマダンの様子を伝えている。イスラエルによる経済封鎖によって物資自体が不足しているほか、何か月もの間、給料が支払われていなかったり、失業していたりで、購買力が極端に落ちている。店に人は少ない。イスラムの慈善団体による食料の配給に頼る家庭も多い。もちろんガザにもそのような貧困家庭は多いが、実は西岸地区の貧困家庭に事情はもっと深刻だ。ハマスと関連があるとして活動停止を命じられた慈善団体があるからである。

食料を用意できない家庭のために、モスクなどで食事が用意される場合も多い。モスクも抗争の場になっていて、ガザではハマスの指導者たちが tarawih と呼ばれるラマダンの祈りの主唱者となってラマダンを組織拡大に用いれば、西岸ではファタハの自治政府がハマスとの結びつきの強いモスクでは祈るなとの広報につとめている。

ラマダンは人々が故郷に帰り家族がいっしょに過ごす時でもあるが、イスラエル国境沿いの住民は、イスラエルの攻勢のため、それも適わない。仕事から家に帰る人たちも、イスラエルの意地悪のせいか、いつもよりも長く検問所で待たされる。記事は、イスラエル軍の監視を逃れて長く潜伏していたパレスチナ人が、ラマダンを機に家に帰ろうとしたところ、家から10メートルのところでイスラエル兵によって射殺されたという切ない話で結ばれている。

ラマダン・カリーム! パレスチナの人たちは、私のようにのんびりした気持ちで月を見ることもかなわないのかもしれない。

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2007年 9月 22日 午前 12:46 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.21

お布施の鉢を裏返す

ビルマ(ミャンマー)では、仏教の僧たちが、軍人やその家族からはお布施をもらわないというボイコットによって、軍部独裁政権への抵抗姿勢を明らかにし始めた。ロイター電 "Myanmar junta scared of monks' cold shoulder"。

ビルマの僧と兵隊 お布施は解脱への道と考えられており、それを拒む(「お布施の鉢を裏返す」 "patam nikkuijana kamma" と言うらしい)のは、いわゆる「破門」のようなものらしい。ビルマの僧たちがこの行動に出るのは、1990年の選挙後に民主化勢力の弾圧を行なった時以来はじめてとのこと。イラワディ紙の18日の記事 "Monks March as Boycott Begins — Authorities Use Tear Gas" によれば、その際には、ボイコットに参加した僧も強い弾圧の対象となったらしい。

どこかでだれかがこのボイコットを始めたことを聞いたら、僧は連帯してボイコットに参加するのが道義であり、ならわしだと言う。僧たちを支持する市民のデモ等も開かれているらしい。

写真は JRodrigues さんが Flickr で CC-by-nc-nd のライセンスで公開しているもの。今年8月の撮影。

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2007年 9月 21日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (6)

2007.09.20

「黒い水」を堰き止める

イラク情勢は大きな転機を迎えているようだ。17日にイラク政府(マリキ政権)がアメリカの民間傭兵会社 Blackwater に国外退去を命じた。Blackwater の武装警護員が11人のイラク市民を銃で殺傷したことに対する措置だ。

ブラックウォーター社は約1,000人の武装警護員によってアメリカ政府(占領当局)の外交官などの護衛を担当していたが、この退去命令によって、アメリカ人の安全が保障できなくなった。そのため、アメリカ政府は、アメリカ人がバグダッドの要塞地区グリーン・ゾーンから出ることを禁止せざるを得なくなった(AP電)。

この状況は、イラクは安全を回復しつつあるというアメリカ政府の説明が全くでたらめであることを暴露するのみならず、イラク政府が、アメリカ政府との対立を辞せず、わずかなりとも「主権」を主張しつつあることを示している。

マリキ政権がアメリカと距離を置く姿勢をとり続けることができるならば、その姿勢を軸として、今よりはずっと広い連立が生まれる可能性が開け、内戦状態が緩和されることも期待できると思う。そんな希望を持ち、イラクに思いを馳せよう。

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2007年 9月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.19

9月入学は大学の国際化をもたらすか

文科省が大学の9月入学を促進する方針を決め、早ければ今年度中に省令を改めるという話が報じられている。読売新聞のサイトにある記事は、次のように始まっている:

文部科学省は18日、現在は「原則4月」と定めている大学の入学時期について、年内にも完全に自由化し、各大学の判断に委ねる方針を決めた。日本の大学は、海外の大学に比べて外国人教員や留学生の受け入れが遅れており、「4月入学」がその最大の要因とされている。

学年暦が4月始まりになっていることで、夏休みを境に学年を分けている国との教育交流に支障があることは間違いないと思うが、受け入れの遅れの「最大の要因」が年度始まりが4月であることだとは到底考えられない。と言うか、それさえ変えれば問題がなくなるようなふりをして、他の面で有効な施策を行なわないつもりであるなら、その行政は批判されるべきだと思う。

何が「最大の要因」かは分からないけれど、一つの大きな問題は教授言語が日本語であって、それに適う日本語の習熟度を持ち合わせた留学生が少ないことに間違いない。だから、この点を解決するためには、海外での日本語教育をもっと盛んにする必要がある。もちろん、留学した後の、大学内での留学生に対する日本語指導も重要だ。これらの面で取り組みもせず、ただ留学生を入学させても、十分な教育が施せる保障はない。

この他にも、入学試験ではなく書類選考で入学許可を出すとか、英語や中国語で開講されるクラスを増やすとか、寮を整備するなど住宅確保の支援をするとか、いろいろ必要なことはあるだろう。何にも増して、大学にいるだれもがもっと多様性を受容するようにならなければならないことは言うまでもない。

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2007年 9月 19日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.18

バグダッドに平静さは戻らない

先週、ブッシュ大統領は「バグダッドは日常的な生活を取り戻しつつある」として、イラクの戦争、占領が順調に進んでいると述べた(スピーチ)。

"Living in fear is still the norm for Iraqis" - McClatchy 新聞系列のこの記事は、バグダッド市民へのインタビューを通じて「日常的な生活」など、どこにも存在しないことを明らかにしている。

シーア派住民とスンニ派住民が共存していた戦前とはうって変わって、きっかりと宗派で住む場所が分けられているが、それによって安全が保障されるわけではなく、人々は絶え間ない不安の中で暮らしている。自分の住んでいる地域から外に出て買い物をするという、以前なら日常茶飯事だったことが、今では到底考えられないことになってしまっている。電気は、よくて一日に2時間ぐらいしか通じない。水道水は飲むことができない。

記事に出てくる地域の名前をバグダッドの市街図で探して、印をつけてみた。イラクの人たちの暮らしを思い描いてみたいのだが、私の想像力は及ばない。遠くにいて、占領する側に立つことを強いられているのだから、しかたがないさ、などと言って片付けてしまいたくはない。


地図を拡大する

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2007年 9月 18日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.09.17

ラマの橋立て

インドとスリランカの間の海峡には、あたかも橋のように浅瀬や砂州が続いていて、船底の浅い船しか通れないらしい。浅瀬の一部を掘り下げて大型船が航行できるようにする Sethusamudram 航路建設計画が進行中だが、その差し止め裁判が宗教論争のようになっている。

Ram Setu

この「橋」は、Adam's Bridge とか Ram Setu (ラムの橋。Rama/Ramar、Sethu などの綴りも見受けられる)と呼ばれ、ヒンズー教の信仰の拠りどころの一つである古代詩の「ラーマーヤナ」によると、ラーマ王が猿の軍団に建造させたものとされているらしい。工事がラーマーヤナに記された歴史的な建造物の破壊にあたるとして、差し止め請求が出されているようだ。

これに対し、インド政府は、Ram Setu は人工的な建造物ではなく、自然によって形作られたものであるという証言調書を提出した。この調書がヒンズー教への冒涜であるとして、各地で抗議行動が起こり、政府は調書を撤回し、担当大臣が辞任を口にするような事態に発展している。さらに、右翼政党の中からは、シーク教徒である大統領の適格性まで疑問視する声が上がっている。

宗教的に重要な意味合いを持つ場所であるから手を付けるべきではないというのなら、まともな主張だと思うのだが、聖典の字義通りの解釈しか許さないというのは、なんとも近寄りがたい感じがする。こういう原理主義的な対立は意味のあることだったのだろうか。

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2007.09.16

ジンバブエに立ちすくむ

Pets Killed for Food in Zimbabwe - ジンバブエでは経済が完全に破綻しており、店には何も品物がなく、食べる物がない人々がペットだった犬を殺して食べている、と報じるAP電。インフレ率は政府発表で7,600%(つまり、76倍)、実際には25,000%程度と考えられ、今年の暮れまでには100,000%に達するとの予測もある。これはこれでものすごく衝撃的なのだが、以下の2点を併せて考えたい。

まず、7月のころの報道を見ると、同じ動物愛護の観点からではあるが、インフレで生活できなくなった人たちが難民化したため、飼い主に捨てられた犬や猫が多く、それらを安楽死させざるをえなくなった、という話が書いてある。窮して犬を食べているという話は、7月の時点ではまだ出ていない。ちなみに、冒頭に挙げた記事も安楽死に触れている。薬剤が足りず、安楽死もさせてあげられないという話だ。

もう一つは、ムガベ政権の強権性を物語るものだが、ジンバブエの評判を落とすような言論をした者や政権の批判をした者は厳しく弾圧されているという点だ。動物愛護団体も、ペットとしていっしょに暮らしてきた動物を食べることの道義的問題を指摘したことで、非国民的だとして当局から目を付けられてしまっている。

つまり、経済の崩壊がとても急速に進んでいる上に、そのことを批判的に論じる自由もないわけだ。放っておいていいものでもないだろうが、私に何ができるか分からない。立ちすくんでしまっている自分が情けない。

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2007年 9月 16日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.15

アラーは原発を望まない

インドネシアで原子力発電所の建設計画が進んでいることに関し、今月初め、地元のイスラム学者らが、原子力発電は、それがもたらす利益よりも核廃棄物などがもたらす災害の可能性のほうが大きく、ハラム(haram、ムスリムに許されていないもの)である、という宗教見解(ファトワ、fatwa)を出したそうです。Greenpeace の記事で知りました。リンクの張り方が分からないのですが、日本のグリーンピースのサイトにも以下のような記述があります。

インドネシア政府が中部ジャワのムリア半島で進めている初の原子力発電所建設計画に対し、同国最大のイスラム系団体ナフダトゥール・ウラマー(NU)のジュパラ県支部が9月3日、ムリア原発の建設禁止を宣言しました。NUはインドネシア社会で大きな影響力をもっています。原子力導入を止めるうえで、この宣言はきわめて重要なステップとなるでしょう。

Map of Java, Indonesiaパブリックドメインの地図を集めた Perry-Castañeda Library にあるインドネシアの地図からジャワ島を切り出してみました。クリックするとインドネシア全体の地図に飛びます。右の地図で、ジャワ島中部北岸 Semarang の"g"のあたりが原発建設予定地のムリア半島で、"n"の文字のあたりが今回のファトワを出した神学者たちがいる Jepara です(ちなみに、プラムディアのブル四部作の中で、主人公ミンケと文通していた少女が Jepara に住んでいるという設定だったと思います)。

この原発建設計画には日本企業も受注しようと積極的に動いているらしく、日本でも反対運動が組織されています(どの団体にリンクを張るのが一番いいのか分からないので、適当に)。安倍首相(今の時期、「首相」という肩書き付きで彼のことを呼ぶのも、いたわりを欠くようで申し訳ない気もしますが)も、先月インドネシアを訪問した際、お願いをしたようですが、つれない返事だったのか、共同宣言では触れられていません。冒頭に挙げた Greenpeace の記事から察すると、韓国企業のほうが優勢なのかもしれません。

インドネシアは世界最大のムスリム人口を有する国なので、ファトワが核開発の禁止に言及したことは、大きな意味があると思います。もちろん、違う神学者集団は違う見解に達するのかもしれませんが、パキスタンやイランなど核開発を進めている国でも同じようなファトワが出るといいな、と思ってしまいます。あ、私は政治と宗教の分離を旨としているので、「ファトワが出るといい」と言うのは不適切かもしれません。基本的には、宗教家が政治についてとやかく言うのはよくないと思うのですが、イスラムが狭義の信仰だけでなく、生活態度全般への指針を定めていることを考えると、「生き方」として原子力発電を悪しきものとするというのは、とても興味深いことのように思います。原発うんぬんって、政治家の課題ではなくて、私たち一人ひとりの生き方の問題ですものね。

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2007年 9月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.14

ニューモント社現地法人社長は語る

ニューモント社による金採掘に伴う汚染物質の垂れ流しが原因で、インドネシア、スラウェシ島ブイヤット湾で公害問題が起こっていることをこのブログで取り上げてから、ちょうど3年になります。今年4月にニューモント社を無罪とする判決が出された後は、控訴審の動きなどについては書かずに来てしまいました。

アメリカのオルタナティブな雑誌 Mother Jones のサイトに、9月10日付けで "Mr. Clean: Accused of Poisoning Indonesian Villagers, Rick Ness Tries to Prove His Innocence" という非常に詳しい記事が出ています(1234関連記事1関連記事2)。

記事で明らかにされる主な事実を列挙します。ニューモント社は月に約1億円を訴訟対策に使っている。ニューモント社は垂れ流しによる汚染はないと主張しているが、実際にブイヤット湾に潜ってみると、海底はかなりヒ素などを含むと思われる物質で汚染されている。ヒ素や水銀などが原因と見られる皮膚病などの患者はブイヤット湾と鉱山の間にある村に実際に多く居住している。ニューモント社はWHOの調査で健康被害がなかったという結果が出たと主張しているが、WHOはその報告書を承認していない。などです。

どうも訴訟も報道も、ニューモント社による情報戦に大きく影響されてしまったようです。住民の訴えやインドネシア政府の調査は信頼に値しないという、お金の力にものを言わせた世論誘導。ニューモント現地法人の Rick Ness 社長は、この記事の中でも、インタビューに応えて、ブイヤット湾の汚染というのは全くのでっちあげだと語っています。

この記事を書いた David Case さんは、ネス社長がとても人間味にあふれた好人物であることも記しています。ちょっと、絶滅収容所を管理していたナチスの兵士たちが、家に帰れば、いい父親であった、みたいな話を思い出してしまいました。

このブログで

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2007年 9月 14日 午前 12:49 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.13

サミ・アルハジさんの危機

Al-Hajj 'suffering from depression' - アメリカ政府によってグアンタナモ収容所に拘束されているスーダン出身のジャーナリスト Sami Al-Hajj さんの近況をアルジャジーラが伝えている。サミ・アルハジさんについては、このブログでは3か月ほど前に取り上げた

記事によれば、イギリス人とアメリカ人の精神科医が診断したところ、アルハジさんは重篤なうつ病を患っており、生きる気力を全く失っているという。「消極的な自殺」状態にあると書かれている。常に恐怖と不安を感じているらしい。

アルハジさんは今年はじめからハンストを続けており、看守たちによって強制的に栄養補給を受けさせられているとのこと。精神科医は彼の状態を「非常に心配している」とし、即時、専門的な治療を受けさせるべきだと主張している。

だれが恐怖(テロ)を作り出し、だれが恐怖(テロ)と戦うことを強いられているか、考える。アルハジさんに、そしてグアンタナモに拉致監禁されているすべての人に、生きて出てきて、その経験を語ってもらいたい。

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2007年 9月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.12

独仏首脳が市場規制を主張

私と家族は経済のことにものすごく疎い。先月の終わりごろだったか、アメリカのサブプライムローン問題とやらで株安になった際、ニュースで日銀が市場に「資金供給」を行なっていると聞いて、「資金供給って、何をやっているんだろう」「日銀の前に行くと、お金を配っているんじゃないか」「行ってみようか」という会話が大まじめに交わされたくらいだ。

だから、このニュースも、ちゃんと読めているか自信がないが、AFP電で "Merkel and Sarkozy call for stronger regulation of markets"。ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領が共同宣言を出し、国際金融市場の規制強化を訴えている。市場自由化が行き過ぎ、現在の市場は投機家ばかりが儲かるしくみになっていて、よろしくない、という訴えだ。新自由主義の思想が落日を迎えつつある様子がよく見て取れるように思う。

同記事では、サルコジ仏大統領がドイツももっと原子力発電を進めるべきだと語ったと伝えている。戦争犯罪人の祀られているところに首相が行くのはいかがなものか、という外国からの意見に「内政干渉だ」と目くじらを立てる人たちがいる社会に暮らしていると、「こんなこと言っていいの」と思ってしまう。

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2007.09.11

ナチスの価値観

ドイツ北部のテレビ局NDRで番組の司会役が、その発言をとがめられて解雇された。シュピーゲル紙の英文記事 "'Motherhood Crusader' in Trouble: German TV Presenter Sacked for Praising Hitler's Family Policies"、NDR の報道資料 "NDR beendet Zusammenarbeit mit Eva Herman"。問題となったのは、ナチス時代についての次の発言だ。

「おぞましい時代でした。全く頭がおかしくて非常に危険な指導者がみなさんもご存じのように、ドイツ人に大きな被害をもたらしました。しかし、その時代には、よいこともあったのです。それはその時代の価値観です。子どもがいて、家族があって、絆があるという考え。これはすべて壊されてしまい、何も残っていません。」

この人はふだんから「女は外で仕事ではなく、家で子育てを」といった主張をしている人だというのだが、そんな人から発せられる言葉なら、なおのこと、さらっとやり過ごしてしまいそうではないか。しかし、ドイツは黙ってはいなかった。

注目したいのは、この発言によって放送局が解雇を行なったということだけでなく、この発言を聞いて、番組のゲストに予定されていた人たちが次々と辞退したということだ。広く社会がこのような発言を拒絶していることが分かる。

ヒトラーの時代と日本の戦前戦中が同じだとか、ナチスの反ユダヤ主義と現代の日本の右翼的な人たちが典型的に持つ民族差別的な傾向を同一視できるとか言うつもりはないが、どうも私は腐った言葉に慣れすぎてしまったようだ。

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2007年 9月 11日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.09.10

テロ特措法と価値観外交

今日は歴史の転換点になる可能性を持っている。日本では臨時国会が始まる。野党が過半数を占める参議院で否決されるか、延長の期限までに審議が終わらず、テロ特措法が葬り去られるはずの国会だ。パキスタンでは、1999年のクーデターで国を追われた Nawaz Sharif 元首相が今日、帰国を試みると言われている。

11月1日に期限が切れるテロ特措法によって、日本は海上自衛隊がインド洋で、いわゆる有志連合の国々の軍艦に給油を行なっている。ワシントン・ポスト紙の記事 "Japan's Floundering Abe Fights for Floating Gas Station" は、日本の給油事業を「海上の無料ガソリンスタンド」と呼び、日本が220億円にのぼる燃料を日本の納税者の負担で提供してきたことを紹介している。

記事はまた、シーファー駐日アメリカ大使が講演で、日本に給油事業を続けさせたい理由がパキスタンを有志連合にとどめておくことであると説明したことを報じている。もとの報道が見つからないのだが、この記事によれば、パキスタンは日本の給油事業がなくなったら撤退することを表明しているのだそうだ。

忘れてならないのは、パキスタンのムシャラフ政権がクーデターによって権力の座についた軍事独裁政権であるということだ。今日予定されているシャリフ元首相の帰国にあたっても、反体制派の弾圧をやめるよう Human Rights Watch がムシャラフ政権に対し警告を発している

軍事独裁政権に対し軍艦の燃料補給という形で軍事面で協力をするのであれば、安倍首相には自由とか人権とか民主主義といった「価値観」を説く資格はない。そのような価値観を大切にしたいのであれば、海上自衛隊はインド洋から撤退し、ムシャラフ政権への協力を打ち切るべきである。

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2007年 9月 10日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (6)

2007.09.09

海上補給活動について、日米首脳は本当に意見が一致したのか

安倍首相とブッシュ大統領の会談に関する報道について、気がついた点、その一。日本での報道はだいたい、

大統領は「日本の支援は、米国はじめテロとの戦いに参加している国際社会のメンバーにとって不可欠」と述べ、インド洋での海上自衛隊の給油活動継続に強い期待を表明。(時事通信)
大統領は「日本のテロとの戦いに改めて感謝を表明したい」と謝意を示すとともに、「日本の支援は、テロとの戦いに参加する国際社会のメンバーに不可欠だ。引き続き支援を期待する」と述べ、補給活動継続を事実上、要請した。(読売新聞

のように、「補給活動」なり「給油活動」という表現が、ブッシュ発言の直接引用文の外に置かれているのに対し、英語(AP電)では、

``The role that Japan plays in this fight is a vital role, and it's a necessary role. Japan provides a vital service not only to the United States, but to other countries as a refueler of our ships,'' Bush said, boosting Abe for his constituents back home. (英ガーディアン紙

のように、それにあたる表現が直接引用の中に入っていることだ。AP電から直接引用の部分を若干の悪意を交えて訳すなら、「日本がこの戦いで演じている役割は極めて重要なもの、必要不可欠なものだ。日本はアメリカだけでなく他の国々にも、船舶の燃料補給役として極めて重要なサービスを提供している」といったところだろうか。日本語にすると、「おっ、サービスなの? ただでくれるんだ。ラッキー」みたいな語感になるが、たぶん英語ではそういう意味ではないのだろう。そう祈りたい。

いずれにせよ、テロと戦うのであれば日本が何をやるのがふさわしいかという議論があってしかるべきだと思うが、ブッシュ大統領の頭の中では、そんなことはどうでもよくて、ひたすら給油をやってほしいのだということは、よく分かる。

もう一つ、ブッシュ大統領の頭の中が透けて見えるのに日本ではあまり報じられていない点がある。イラク戦争との関係だ。ホワイトハウス報道担当から配信されている "President Bush and Prime Minister Abe of Japan Make Remarks at APEC" というのを見てみよう。

これは、会談後の写真撮影の時の両首脳の発言の書き起こしだ。上記のAP電はこれをもとに書かれているようだ。先ほど見た「燃料補給役としてのサービス」の話にすぐ続けて、この日、明らかになったオサマ・ビン・ラデンのビデオテープの話になり、以下のように、かねてからの持論を展開している。

このテープにイラクの話が出てくるのがおもしろい。イラクが、この過激派との戦争の一部だということを思い出させてくれるからだ。アルカイダがわざわざイラクに言及するのは、イラクでやりたいことがあるからだ。彼らは我々を追い出して、自分たちの安全地帯を作りたいのだ。なぜ安全地帯がほしいかと言えば、それはそこからアメリカに攻撃をしかけるためだ。いや、他の同盟国どこにだっていい。だから、我々が強い決意と決心をもって自分たちを守り、アルカイダに安全地帯を与えず、幼い民主国を助けることが重要だ。そうすれば、彼らの野望にとっては大きな痛手となる。

私たちにとっては、インド洋で補給を受ける英米軍がアフガニスタンで戦争をしているのかイラクで戦争をしているのかは、とても重要なことなのだが、ブッシュ大統領の頭の中では、ぜんぶいっしょで、どうでもいいことなのだ。

報道では、両首脳が「海上給油活動の重要性で意見が一致」などと報じられているが、本当に一致しているのだろうか。お互いに都合のいい解釈をすることにして、解釈にズレがあるのは分かっているのだけど、つっつかないということで意見が一致している、といった感じじゃないだろうか。

nofrills さんの「テロ特措法」の記事、主義者Yさんの「じつはイラク戦争のための『テロ特措法』」にトラックバックを送ります。草加さんの「テロ特措法:アフガンではなくイラク戦争に補給していた」にも送ったつもりなのだけど、反映されないみたいです。もう一度やってみよう。

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2007年 9月 9日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007.09.08

キューバの反体制派たち

Cuban dissidents seek unity in Castro's absence - カストロ大統領死去後に向けて団結が必要だと、反体制派の活動家がハバナで記者会見を開いたそうです。呼びかけ人は Hector Palacios さん(自由主義者と書かれています)で、共産党の一党独裁から段階的、平和的に多党制に移行させることを提言し、政治犯の釈放を要求しています。

記事によると、4月には Manuel Cuesta Morua さん(社会民主主義者と書かれています)が同じような呼びかけを行なったほか、先週、Oswaldo Paya さん(キリスト教解放運動の中心人物)が自由公選と表現の自由を求める呼びかけを行なったそうです。フィデルの健康状態が好転しない中、彼の死後を見据えた運動が勢いを増しているようです。

反体制派の中での歩調の違いもあり、Cuesta Morua さんの呼びかけについては、「生ぬるい」として、Palacios さんや Paya さんなどが「自由のための団結」という宣言を出したとも書かれています(英語版を見つけました)。それに名を連ねた人たちとして、以下の名前が挙がっています。Elizardo Sanchez さん(人権運動)、 Martha Beatriz Roque さん、 Vladimiro Roca さん、 Oscar Espinosa Chepe さん(経済学者)。

先月にも書いたのですが、私の目には、現政権がフィデルの死後の「体制維持」のためにいろいろと布石をしているようには見えませんでした。たぶん、その時が来れば、マイアミに亡命したキューバ人たちがアメリカの圧倒的な資本の後押しで実権を握っていくだろうと思います。そういう構図の中で、これらの国内の反体制派の人たちの声は反映されていくでしょうか。「バチスタの時代に逆戻りだ」という声が聞こえてきそうな気がします。

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2007年 9月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.07

ファルージャの今

With Donkeys for Transport, All Is Well - 最近のファルージャのようすを伝えている。アメリカのメディアでの「ファルージャは、思いの外、安定している」という報道への反論として書かれている。

確かに、ここ数か月、爆発物を積んだ車が体当たり攻撃をするといったことはなかったようで、その面をとらえて「平穏になった」と言うことはできるが、実際のところ、車の運転が完全に禁止されているので、住民は多大な不便を被っており、平和というよりは、死んだような都市という感じのようだ。店の多くは閉まっていて、物資の不足で、必需品の値段も急騰しているらしい。電気も水もない。人々は意気消沈している。人々はロバに乗って移動している。

地元の歴史家が、「アメリカは、イラクをイギリスの植民地だった時代に逆戻りさせている」と語っている。宗主国イギリスは、政治家や有識者にではなく部族長に権力を与えていた。アメリカがやろうとしているのも、それだ。この歴史家は、部族長たちは、部族をまとめるぶんには、それなりの仕事をし、尊敬も得ているが、市や、県、ましてや国を指導していく度量を持ってはいないと指摘し、「これは進歩や繁栄ではなく、暗黒時代に引き戻す、間違ったやり方だ」と述べている。

自衛隊(ヒゲの人)も、サマワで部族のリーダーを接待したり、贈り物をしたりしていたって話だったよなあ、と思い出している。それを聞いた時には、「軽率なやり方だ」ぐらいにしか思わなかったのだけど、そうか、あれは新植民地主義の手法だと見抜かなければならなかったのだ。

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2007年 9月 7日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.06

民間人の犠牲に関する記録

Documents received from the Department of the Army in response to ACLU Freedom of Information Act Request - アメリカの人権団体 American Civil Liberties Union (ACLU) が4日に公開したリストです。イラクおよびアフガニスタンでアメリカ軍(陸軍)が民間人を殺傷した諸事件に関する軍の捜査記録、軍法会議の記録など。情報公開法に基づく請求により開示されたものです。公開に関する詳細は、報道資料 "ACLU Releases U.S. Army Documents That Depict American Troops' Involvement in Civilian Casualties in Iraq and Afghanistan" に記されています。情報公開に応じたのは陸軍だけだったようです。今回初めて明らかになった事件もあるようです。

「兵士たちが、まだだれも撃つ機会がないと不満を述べていたところ、中尉[名前部分は伏字]が『じゃあ、殺させてやるよ』と言い、彼らは何の理由もなくお婆さんとお爺さんを殺しました」などという文が見えます。

いろいろな見方ができるでしょう。本当に起きたのはこれだけなのかとか、海兵隊はどうなのかとか、数多い民間の傭兵に関してはどうなのかとか。規律に違反してではなく、軍の作戦の中で民間人が殺されるようなことはどれぐらいあったのだろうとか。反対に、アメリカはこうやってある程度自分たちの犯した過ちを認めているのに対し、全くだんまりを決め込んでいる国もあるじゃないかとか、そもそも、だれがだれを殺したかなど分かるはずもないような、凄まじい戦場はいくらでもあるじゃないかとか。

月並みですが、こういうのを見るたびに、戦争の放棄って、すばらしい理念だと思います。

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2007年 9月 6日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.05

遺髪

Lock of Che Guevara's hair to be sold - ボストン・グローブ紙では、このAP電は「変てこなニュース」に分類されています。チェ・ゲバラの遺髪がオークションに出されるという話です。

記事によれば、射殺されたチェが埋められる直前に切り取った一ふさの頭髪、追跡作戦に用いた地図、遺体の写真、指紋などの入ったスクラップブックを、CIAの元工作員が「過去に区切りをつけるために」売りに出すとのこと。この元工作員はボリビアから十年前にキューバに還された遺体は本物ではないと主張しているようです。先日お墓参りをしてきたばかりなので、複雑な心境です。

日本語では東京新聞に「『英雄』ゲバラの遺髪 競売に 元CIA工作員が出品来月、米で」という記事があります。

チェの死から40年。彼が解放のために戦ったボリビアでは2005年に社会主義政権が誕生しました。東部の天然資源の利権を守るために、きっと今でもCIAが暗躍しているのでしょう。そう考えると、これって変てこなニュースって言って片づけられないよな、と思います。

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2007年 9月 5日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.04

不得転生

チベット仏教の教えでは、ダライラマは観音菩薩の生まれ変わりであるらしい。この世にあるものはすべて、死んで、また生まれ変わる。指導者であるダライラマという存在も、今いる14世が亡くなれば、どこかで生まれ落ち、それを高僧たちが探し当てることになる。

9月1日、中国政府は、チベット仏教の活仏の生まれ変わりを規制する法律を施行した。国家宗教事務局のサイトにある、局令第5号「蔵伝仏教活仏転生管理弁法」というのがその条文だ。信仰の自由を保障するためにこれ定めるという、オーウェル的な文章で始まるのが印象的だ。国家の定めた手続きや認可によらなければ、不得転生 - 生まれ変わることはできない。

ダライラマ14世はこう語っている

「もし、チベットの人々がダライ・ラマの転生者が必要であるなら、私の転生者は、中国支配下のチベット国内ではなく、平和な世界のどこかの国に生まれると断言する。それは、前生がやり残した仕事を引継ぎ成就するために転生者は生まれ変わるとチベット人が信じているからである。前生がやり残した仕事を邪魔したり破壊したりするために生まれ変わる転生者はいない。もし、転生者がやり残した仕事を継承できない国に生まれたら、転生者として生まれ変わる意味がない。つまり、私の転生者を必要とするかどうかを最終判断する権利は、チベット国民にある」

私はチベットに行ったこともないし、仏教徒でもないが、ダライラマの言葉には、いつも、心をうたれる。どうか、チベットの人々の望むような形にチベットがなりますように。人々の信仰が人々を引き裂く道具となりませんように。

余談:生まれ変わりを法律で定めるなんて、ばからしいこと、と思っていたのだが、よく考えてみると、日本の法律にも似たようなものがある。

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2007年 9月 4日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.09.03

列車の行く手を遮るために

20年前、1987年の9月、私はアメリカに住んでいて、新聞も毎日読んでいたはずなのだが、この件について、私の記憶はとても不鮮明だ。9月1日、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のコンコード海軍武器補給施設(Concord Naval Weapons Station)を出た輸送列車の前に平和活動家たちが座り込み、その一人、元空軍兵の Brian Willson さん(当時46歳)が両脚切断、前頭部損傷などの大けがをした。

1日、この事件の20周年の行事が現地で行なわれた。サンフランシスコ・クロニクルに掲載された記事 "Nuremberg Actions' Brian Willson celebrates 20 years of resistance" (9月1日)、"Brian Willson and supporters mark 20th anniversary of train protest" (2日)。記事からリンクが張られている写真が衝撃的だ。

レーガン政権が行なっていた、イランに大量破壊兵器を売り、その利益で中米ニカラグアの社会主義政権(サンディニスタ)に対抗する右翼民兵組織コントラに武器を供給するという極秘政策が前年夏に明るみに出て、「秘密の戦争」を行なう政府への不信感が高まっていた時期だ。ウィルソンさんたちは、コントラや同じく中米エルサルバドルの右派独裁政権のための武器の搬出を妨げようとしていたのだ。

ウィルソンさんが戦争の悲惨さやアメリカ政府の悪に目を開かされたのは、ベトナム従軍中の1969年、空爆後の(もし「空爆」という単語では悲しみが伝わらないというならば、「空襲」と呼ぼう)村に調査のために入った際、死んだ子どもたちを抱きかかえて彼のほうをじっと見ている女性に声をかけた時だったと言う。その女性は、死んでいたのだ。彼のほうを見ていると思ったのは、ナパーム弾(焼夷弾)によってまぶたが焼けてしまっていたからだったのだ。

20年前の抗議行動について、ウィルソンさんはこう語る。「比喩的な意味で、ヤンキーの列車のじゃまをするとどんなことが起こるかってことだね。轢かれるんだ」。しかし、彼は死ななかったし、彼らの運動も死ななかった。事件現場には、今も毎週、祈りを捧げに訪れる人がいると言う。私もいつの日か行ってみたい。そのために地図を貼っておこう。


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20年前には、戦争とか平和とか、私はほとんど何も考えていなかった。考えるようになったのは、その数年後、湾岸戦争が始まった時だ。その時、私はまだアメリカにいたのだが、自分が「戦争をしている国」にいることが信じられなかった。それとの対比において、自分が帰る国は「戦争を放棄した国」だということをものすごく強く思った。実は、そういう私の想いを威嚇して追い払うかのように、日本という列車もそのころ動き出したのだ。

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2007年 9月 3日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.09.02

原子力機構に対する処分について

私の取っている新聞には1日の夕刊になっても載っていなかったニュース。時事ドットコム8月31日夜「報告漏れなど49件=放射能汚染、ぼや、手続き違反-原子力機構」、日経ネット9月1日朝「文科省、原子力機構の研究3施設に使用停止命令」。茨城県東海村の日本原子力研究開発機構の施設で、汚染を報告していなかったり、未認可で実験施設を稼働していたことが分かり、報告を受けた文科省が装置の停止命令を出したという話だ。

機構側の報告は発表資料「文部科学省及び茨城県への報告漏れ等に関する調査結果の報告等について(お知らせ)」で、文部科学省側の報告は「日本原子力研究開発機構における報告漏れ調査結果について」で読むことができる。「安全性や設備の健全性が損なわれるものはありませんでした」という言葉を素直に受け入れたい。まあ、そうだからこそ、大きなニュースとして扱われないのだ。

核をめぐっては、「兵器として用いるのは人道的ではない」という系列の論議とは別に、だれもが「万一、事故が起こったら大変だ」という思いは共有していると言えるだろう。推進派は「事故が起こらないように安全確保に万全を期しています」「だから核は安全です」という形で話をしていると思うのだけど、そういう「話」の組み立てをあっさり無力化するニュースのような気がする。言うは易く、行なうは難し。

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2007年 9月 2日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.01

鍋を打ち鳴らせ

ビルマ(ミャンマー)では、8月後半に軍政に反対する民衆のデモ等が相次いだ。ビルマ情報ネットワークの「燃料価格の暴騰へのビルマ国内での反応」という記事が詳しく情勢を伝えている。

'Braiding, Burma' by Monica Denevan国外の抵抗運動の拠点サイト The Irrawaddy が8月30日に掲載した "Burmese Protests to Take on a New Sound" という記事によると、現在、ビルマ国内では、だれが書いたのか不明なビラなどによって、9月11、12、13日の夜、7時02分、8時01分、9時00分に鍋やフライパンを打ち鳴らすという抗議行動の計画が進められているらしい。

大きな音を出すことによって邪気を払うという民衆信仰に寄り添い、それを隠れ蓑として反体制のメッセージを発するという企画。遠くにいる私たちも、何か連帯の表明ができないものかと考えている。単なるお祭り好きだと言われるかもしれないけど。ビルマと日本の時差は2時間半だから、現地にあわせて音を出すとすれば、9時半からということになる。ちょっと近所迷惑だよなあ。神戸に名誉領事館があるようだが、夜じゃだれもいないだろうしなあ。やっぱりファクスとかかなあ。

身近な人たちとどう連携していくかも問題だ。ビルマからの留学生は、年を追うにつれ、急激に「88年世代」色が薄れている気がする。もう20年近く前のことなのだから、当たり前と言えばそれまでなのだけど。

美しい写真は Monica Denevan さんの「髪結い、ビルマ」という作品。Denevan さんが所属する San Francisco Camerawork という団体が Flickr で CC-by-nc-sa で公開している

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2007年 9月 1日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

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