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2007.08.28

ラトガーズ大の労使合意に学ぶ

アメリカ東部のニュージャージーの州立大学である Rutgers University で今月、非常に重要かつ画期的な労働契約が締結された。いくつか注目すべき点があるが、最も重要だと私が考えるのは、今後4年間でテニュア付きのポジション(任期制ではない教員職)を100人ぶん増やすことを大学側が約束している点である。

大学教員労組の全国団体 AAUP が、これを歓迎する声明を出し、「数字だけではなく、原理原則の問題に関しても強く交渉を行なってきた」ことの成果だとしている。

AAUP の声明や地元の The Star-Ledger 紙の記事によれば、今回の契約では、テニュア付き教員職を増やす以外にも、今後4年間で人件費を25%増額すること、大学院生でTA職にある者の健康保険を大学側が全学負担することなど、極めて革新的で、他の教育機関に働く者にとっても示唆に富む内容が多い。

大学側も組合側も、これらの条件改善が質の高い教員や大学院生の確保につながると考えているようだ。組合側は、また、この契約締結をてこに、非常勤講師の契約もまとめる意気込みである。

日本とアメリカでは労働法制が違うので、ラトガーズでできたことが、そっくりそのまま日本の大学でできるわけではないが、日本の大学の組合も経営陣も、このニュースをよく研究する必要があると思う。

日本では、組合が「任期制ではない職を増やせ」といった要求を出したら、経営側は「それは経営方針の問題で、労働条件の問題ではないから、交渉の場になじまない」などと言って、話し合いに応じないだろうと思う。任期制とか外部委託などによって教育の質が低下してしまうことについて、かねてから組合側は警鐘を鳴らしてきた。大学の経営者たちは、その声にちゃんと耳を傾けるべきである。

組合も、例えば、ラトガーズの組合が専任だけでなく非常勤講師の労使交渉にも関わっていることにも注目する必要がある。非常勤講師や嘱託講師は大学における「非正規労働者」だ。専任教員の属する組合には加入が認められていない場合が多い。しかし、その声をしっかりと掬い上げることなくして、労働者の代表を名乗ることはできないように思う。日本最大の労働センターである連合も非正規労働者の支援を新たな活動方針の中心に据えたと聞く。大学の組合も、それに倣うべきではないか。

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2007年 8月 28日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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