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2007.08.30

ペルー、地震、音楽

私が愛して止まない歌手にスサナ・バカ(Susana Baca)さんという人がいる。アフロ・ペルー(afroperuano, Afro-Peruvian)、つまり南米ペルーに拉致されてきたアフリカ人奴隷の子孫たちを代表する音楽家だ。

今月15日に発生したマグニチュード8.0の大地震は、ペルーの黒人文化の中心地を直撃したらしい。ロサンジェルス・タイムズ紙の27日の記事 "Landmarks battered in Peru" は、首都リマの南東約200キロにあるエル・カルメン(El Carmen)という街を取材している。

Map of Peruエル・カルメンとその周辺の沿岸地域は、アフリカからの奴隷、先住民、ヨーロッパからの入植者、労働者として移民してきた中国人などが混ざり合って、独特な多様性に富んだ文化を形作っているらしい。なるほど、地元紙の写真を見ると、いろいろな顔の人がいる。

この街に住むアフロ・ペルー音楽の大御所 Amador Ballumbrosio さんは、家が「荒波の中の小舟のように」揺れたと語っている。エル・カルメンでは、死者こそ出なかったものの、1万人以上が家を失った。教会の鐘楼が崩れ落ちた(街の人たち - carmelitanos と呼ばれる - は、だれも命を落とさなかったのは、街の守護聖人である聖母マリアのおかげだと語っている)。まだ立っている家々も、壁に割れ目が入っていたりして、住める状態ではない。

記事の中で、スサナ・バカさんがインタビューに応じて語っている:「地震は、アフロ・ペルーのコミュニティに甚大な被害を与えました。世界中から友人が電話をかけてきてくれて、何ができるかと聞いてくれます。再建のために、みんなの力が必要だと答えています」。記者は、再建には何年もの月日が必要であるように見受けられる、と書いている。

被災地に入った国境なき医師団からの通信には、「地震発生から約2週間が経ちましたが、各国のメディアは既に被災者の状況を報じなくなっています。その一方で、現地を去る援助団体も出始めています。しかし国境なき医師団のスタッフは、援助を切実に必要としながら忘れ去られている人びとを目の当たりにしています。」

忘れてしまうには、まだ早すぎる。

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2007年 8月 30日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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