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2007.08.22

美しい街へ

看板やネオンサインをすべてやめることにした都市の話です。Utne Reader の "Sao Paulo: The Ad-Free City" という記事(8月16日付け)で知りました。

ブラジルのサンパウロでは、昨年秋に都市美観条例(Lei Cidade Limpa, PL 379/06)が可決され、今年初めから屋外の広告が全面的に禁止されたそうです。もちろん広告業者は腹を立てていて、サンパウロ市全体で約1億5千万円の広告料収入がなくなり、2万人が失業すると主張しています(サンパウロの人口は約1,100万人)。しかし、市民は7割以上が屋外広告全面禁止に賛成と語っている、と伝えています。「視覚への公害」と呼んで看板禁止を主張した Gilberto Kassab 市長は、かなり右寄りの政治家のようですが(看板禁止についても、「これはファッショだ」という批判があるようです)、反対運動の先鋒となっているのも保守層、特にアメリカのメディア大手 Clear Channel Communications (右翼的な番組を流すラジオ局を多く保有しています)だそうです。

Utne の記事からは、企業広告に反対する団体の機関誌 Adbusters 最新号の "São Paulo: A City Without Ads" という記事と、広告撤去後の街の様子を写した Tony de Marco さんの Flickr 写真集にリンクが張られています。

この条例については、昨年12月にヘラトリ(全部カタカナで書いたら、ものすごく長くなってびっくりしたので、ちょっとキザっぽい略称を使ってみました。あ、こんなこと書いていたら、余計長くなってしまった)が "Billboard ban in São Paulo angers advertisers" (前半後半)という記事で取り上げています。地元の雑誌の編集部の人が「私企業の利益に対して公益が勝った、めずらしい例だ」と持ち上げていたり、商工会議所の人が「この過激な条例は市場経済や法治主義の尊重というルールを損なうものだ。私たちは消費者社会に生きているのであり、資本主義の神髄は情報と製品が入手可能であることだ」と息巻いていたり、なかなか臨場感あふれる報道です。

条例は、猶予期間を経て、4月1日から本格的に施行されたようですが、6月18日付けでビジネス・ウィークが街の様子を報道しています ― "São Paulo: The City That Said No To Advertising"前半後半。ヘラトリの記事には、条例が市議会では45対1で可決されたことが書かれていますが、唯一の反対票を投じた議員が広告会社の重役だということは、こちらの記事を読んで初めて分かります。ここらへん、とても勉強になりました。記事は、看板やネオンがなくなることで、「北朝鮮や東欧の共産主義国」のような街並みになってしまうのではないかと心配する声や、ホームレスや、スラム街(favelas)など、もっと取り組むべき課題は他にあるのではないかといった声が紹介されています。写真では、看板だけが撤去されて、広告塔の骨組みが残っているような様子がうかがえますが、「まだ、みんな、この条例が続くかどうか見守っているところなのです。ブラジルでは、法律ができると、本当に実行されるのか、みんなしばらく様子を見るんですよ」という説明もあります。

奇しくも、3年前2年前にコメントをいただいたことのあるかたが書いている「ブラジル・サンパウロから世界へ、そして渋谷」ブログに、20日付けで美観条例についての記事がありました。街の中の、小さい店の装飾の変化が写真で示されていて、必見です。全然きれいになっていないというか、よけいケバケバしていますねぇ。

ところで、安倍政権の支持率回復のために、日本全国でネオンサインの禁止とかを提唱してみるのはどうでしょうか。「看板を全面禁止」だと「やり方が強引だ」と批判されるので、ネオンだけ。「美しい国」という、かねてからの安倍首相の主張にも整合すると思います。さらに、ネオンを禁止すれば、二酸化炭素の排出が減り、京都議定書遵守という国際的な公約達成にもはずみが付きます。酷暑の中、原発の停止で電力の安定供給が危ぶまれていることに関しても「緊急時に指導力を発揮」することにもなります。もちろん「ネオンを減らすと、街が暗くなって、犯罪が増加する」という声が必ず出ます。そこはすかさず、すべての街角に自衛官を立たせて治安を守るというのを提案する… もし自民党本部のかたがこれを読んでいたら、ご連絡ください。

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2007年 8月 22日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

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