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2007.06.30

麻薬の相場

28日付けのエコノミスト紙に "Pricing powder" という短い記事が載っています。記事と言うより、グラフとその解説です。

世界各地の路上でコカインを1グラムあたりいくらで買うことができるかの調査です。本場(?)コロンビアでは、2ドル。ビッグマックよりも安いそうです。ダントツで一番高いのはニュージーランド。その後、オーストラリア、日本と続きます。記事によると、日本は、イスラエル、ドイツ、イギリスと卸価格がさほど変わらないのに、小売価格は数倍もするとのこと。「警察が躍起になっているか、市場競争が少ないからだろう」と書いてあります。

1品目だけ見ても経済の動向は分からないと思い、元の資料である国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告書 World Drug Report 2007 にあたってみました。コカインの他、阿片、大麻、覚醒剤系薬剤に関しての数値が載っていました。

大麻の小売価格、国別比較グラフ一番身近と思われる大麻の小売価格に関して、グラフを作ってみました。日本が1グラムあたり58ドル30セントで世界一です。グラフでは上位5か国まで追ってみました。後は、マリファナが部分的に合法化されているオランダと、だれでも聞いたことがありそうな国を適当に選んであります。安く手に入る国は載せてありません。ギニア(1セント)、スリランカ(1.5セント)、カメルーン、マダガスカル(2セント)とか、グラフに載せたうちで一番安い中国と比べてもさらに1桁違っていて、グラフにしにくいんです。

私はうぶなので、よく分かりませんが、ここ一週間の報道を見ても、マリファナがアレルギー性皮膚炎に効くことが分かったり、インドネシアの Yusuf Kalla 副大統領が伝統料理の調理用に大麻の使用を許可するべきだとの発言をしたりしています。マリファナに関しては、案外、近い時期に、大きな動きがあるかもしれません。

注: この記事を読んでいる人がこれぐらいしか知らないだろうと言っているわけではありません。ちなみに、そこらへんのことに関しては、一年ほど前に書いたことがあります。ところで、期せずして、ABCD包囲網と同じ構成になってしまいました。

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2007年 6月 30日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.06.29

韓国で日系企業の抗議により労組準備委のサイトが閉鎖

韓国のハンギョレ新聞英語版の記事 "Daum shuts down pro-union cafe" によれば、日系企業で労働組合を結成しようとしていた人たちが大手プロバイダ Daum で作っていたオンライン・コミュニティが、会社側の申し入れによって閉鎖されたらしいです。

問題の企業は液晶ディスプレイ関係の部品を作っている日東電工傘下の Korea Nitto Optical Inc. (KORENO)。この会社に組合を作ろうとしていた KORENO Promotion Committee for a Democratic Labor Union が開設していたコミュニティ・サイト(カフェ)が閉鎖されました。会社側から「名誉毀損の疑いがある」として閉鎖要求が出されていたようです。具体的にどのような点が問題とされていたのかなどは、記事からでは分かりません。

公開が停止されたというだけでなく、開設していた人自身、サイトに入れなくなり、それまで集めてきた情報等が読み出せなくなったというのが、ひどい気がします。何事も、ネットに頼りすぎてしまうと、まずいのかもしれません。バックアップを取ったり、分散させたりしなくてはなりませんね。気をつけましょう。

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2007年 6月 29日 午前 10:09 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.28

慰安婦問題の委員会決議、再び

アメリカ議会下院外交委員会で慰安婦問題に関して日本政府に謝罪を求める決議案が可決された(アルジャジーラの記事)。これで昨年9月の状態に戻ったことになる。議事のプロセスの上で昨年のそれを超える進展があったわけではないという意味で、決議の26日の委員会通過は、あまり重要な出来事ではないと言えるだろう。

しかし、昨年9月には、この問題はほとんどだれの意識に上がってもいなかったわけで、それから一年足らずの間に日本の歴史修正主義者の無軌道な反動性が世界中に知れ渡ったことの意味は非常に大きい。日本国内においても、慰安婦問題や、その連鎖反応で、南京での虐殺の問題や沖縄での軍命による集団自決の問題に関しても、修正主義者たちがコツコツと作り上げてきた虚像(偽の歴史)がもろくも崩壊したことは、喜ぶべきことだと私は思う。

国会で、紆余曲折の後、安倍首相が彼なりの謝罪(甚だ不十分には思えるが、これは謝罪ではないのかと問われたら、いや、謝罪ですと言うほかないような発言)をした際、私は、「妄想的な歴史観を持った人たちが彼の足を引っ張」ることを心配した。残念ながら、その心配は、反動的な国会議員たちがアメリカの新聞に広告を出すという形で、現実のものとなってしまった(広告を出した人たちにしろ、国内で愚かな言説を広めようとしている人たちにしろ、自分たちがどれほど自己満足のあまり世界の常識から逸脱しているか、どれほど自分たちが馬鹿なのか、おそらくはまだ身に染みてはいないのだろうと思う。いい加減、気付けよ)。

下院決議を求める署名には2,000人を越す人が集っている。あなたにも、ぜひ、名を連ねてほしい。

上で言及したアルジャジーラの記事には、日本兵によって拉致され、強姦されたフィリピンの女性の証言へのリンクがある:'My Fight For Justice From Japan'。いろいろな読み方ができると思う。私がこの証言を読んで感じたことを一言で表わすとするならば、「戦場での強姦を防ぐために慰安所を設置した」という類の説明が、男の側から、暴力を行使する側からの表現である、ということだ。もう少し平たく言うならば、軍関係者によって拉致されたことと慰安所で性奴隷としての扱いを受けたことを分断された事象だととらえることは、またぞろ例の「狭義の強制」云々のように、論点を自分の都合に合わせて切り分けることに過ぎないということだ。そういう言説を許してはいけないように、私には思われる。

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2007年 6月 28日 午前 12:35 | | コメント (0) | トラックバック (3)

2007.06.27

ボリビアのハードボイルド小説

ボリビアの作家の作品でアメリカで英語に訳されたのは、これが10冊目なのだそうです。Juan De Recacoechea さんの American Visa。ボリビアの英語教師がアメリカに行くことに執着し、ビザを取るために、偽の証明書を役所に提出するのですが、ばれそうになり、賄賂に使うお金を得るために犯罪に走る、といった話が、ハードボイルド(ノワール)の文体で描かれているようです。1994年にボリビアで文学賞を受賞し、ベストセラーになったそうです。ボストングローブ紙の短信で知りました。

「グローバリゼーションの周縁に置かれた社会のようすをかいま見ることができる」、「ボリビアに住んでいた時、体験した生活の色や人々の姿がたくさん詰まっている」などの紹介の言葉につられて、思わず注文してしまいました。ボリビアと言えば、チェ・ゲバラが死んだ地ですし、500年にわたる植民地主義、新植民地主義を打ち破って先住民のエボ・モラレスさんが昨年、大統領に選ばれた国です。興味のあるかたも多いのではないかと思い、読む前ですが、紹介してみました。

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2007年 6月 27日 午前 12:03 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.26

米議会はポッドキャストを救えるか

このタイミングでアメリカ議会のことを書くと、「ああ、あれか」と思われそうだ。しかし、今日はインターネット・ラジオの話である。

SaveNetRadio.org今年の3月に、アメリカ政府の Copyright Royalty Board (著作権料委員会と訳すらしい)が、ポッドキャストなどインターネットでの配信に対する著作権料請求額の引き上げを決めた。議会で差し止めの議決などがない限り、7月15日から新たな著作権料の適用が始まる。

6月26日には、著作権料値上げはネット・ラジオを殺してしまうとして、商業局から小規模なポッドキャスターまで、ウェブで放送を行なっているさまざまな人々が「沈黙の日」の活動に参加する。一日、音楽の代わりに、沈黙や、ラジオの雑音や、波の音などを流し、連邦議会での審議を求めるのだ。

この取り組みに参加する局など、詳しくは Save Net Radio Coalition のサイトで(このサイトはスタイルシートがおかしいらしく、1024*768未満の画面では左端のほうを見ることができない)。バナーもこのサイトからのもの。

日本では、ポッドキャスティングとかが思ったほど普及していないように思う。不勉強で分からないのだけど、これも著作権の関係じゃないかな、と思っている。

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2007年 6月 26日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.25

硫黄島で骨を拾う

アジア太平洋戦争の末期、小笠原諸島硫黄島の戦闘と言えば、だれでもまず Joe Rosenthal さんによる写真(擂鉢山で星条旗を立てている米兵たちの姿)を思い浮かべるだろう。Rosenthal さんのすぐ近くで William H. Genaust 軍曹という海兵隊員が16ミリフィルムで撮影を行なっていたらしい。彼の撮ったフィルムから作られたスチル写真がこれだ。

Iwo Jima flag raising, by Bill Genaust

戦争映画とかを見ていれば印象も変わるのだろうけど、私はこの写真が撮られた2月23日に米軍が硫黄島を制圧したものだと思っていた。実際には戦闘はそれから1か月以上も続いたのだそうだ。Genaust さんは、3月4日に敵軍の機関銃掃射により死んでいる。場所は、米軍が362A高地と呼んでいたところ。

AP電 "US team searches Iwo Jima for photographer's remains" によれば、2年前にアメリカの雑誌で彼のことを読んだ人が遺骨探しを提案し、現在、米軍によって捜索が行なわれているらしい。アメリカによる遺骨収集は60年ぶりとのこと。

アジア太平洋戦争は、読み終わって閉じられて書架に戻された本ではない、と思った。

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2007年 6月 25日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.24

ギュンター・グラスに感謝する

Günter Grass さんは昨年の8月にドイツで出版された自伝の中で、自分が17歳の時、徴兵され、ナチスの精鋭部隊である Waffen-SS に配属されていたことを明らかにした。「戦後ドイツの良心」とも目されていたグラスさんの戦争協力者としての過去に人々は驚き、60年余りの間そのことについて黙ってきたことに関して、バッシングが起こった。

自伝の英語版 Peeling the Onion の出版にあわせて、グラスさんが英ガーディアン紙のインタビューに応じている: "Look back in anger"。

記事は、かなり距離を置くような文体で書かれている。気になるところが一個所あった。それは、この一年間にグラスさんが受け取った手紙の多くは彼を支持するもので、特に戦争を記憶している世代の人から、孫と戦争の話をするきっかけを作ってくれてありがとうといった趣旨の手紙が来たのが彼の心を打ったという部分だ。私たちの社会でも、そのようなきっかけが必要だと思う。

去年の夏、ギュンター・グラスさんのニュースを聞いて私が最初に感じたのも(驚きでも怒りでもなく)感謝だったことを思い出した。うまく表現できないのだが、私の彼に対する信頼は揺るぎないもので、彼の「恥ずべき過去」を聞いて、私は意外に思うよりも、むしろ彼の戦後の活動がすべて説明されたような気がした。人間は自分たちの過去の責任をしっかりと引き受けることによって善になることができるということを見せてもらったように思った。

去年も今年も、私の国の情況を見ると、絶望的にならざるを得ない。そんな中で、ギュンター・グラスは、灯台のようにな、羅針盤のような存在にも思える。ありがとう、ギュンター・グラス。長寿と、更なる活躍を祈る。

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2007年 6月 24日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2007.06.23

猫の目線で見る

猫の目線で見ると言っても、村野瀬玲奈さんのところで開催される猫の座談会の話ではありません。

一定の時間間隔でシャッターが切れるように改造した超小型カメラをネコの首にぶら下げて撮った写真です。カメラを首にかけた Mr. Lee ちゃんというネコの一日(photo tour というリンクをたどってください)。他のネコと出会ったり、鳥を見上げたり、夕暮れのきれいな景色を眺めたり。時々、あごやヒゲが写っているのも、かわいいです。世界一有名なネコの写真家といったところでしょうか。

Juergen Perthold さんの許可がもらえましたので、紹介の写真を追加します。まずは、首からカメラを提げた Mr. Lee ちゃんです。

Mr. Lee with the CatCam

ネコから見た世界はこんな感じです。

CatCam at work

写真を転載する際は、必ず Mr. Lee CatCam のサイトから Juergen Perthold さんにメールを送って、許可をもらってください。

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2007年 6月 23日 午前 12:00 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2007.06.22

アマゾンの密林を監視する

つい先日、ダルフールの様子を衛星写真で継続的に監視するという話があったが(6月7日「ダルフールを見守る目」)、ブラジルのアマゾン奥地の違法な森林伐採や鉱山資源採掘を監視するためにも Google Earh を使おうという計画に関する記事を読んだ:AP電 "Tribe and Google Earth team to support Amazon forests"。

Surui という民族からグーグル社側に打診があったもので、グーグル社も協力を約束したが、まだ詳細は明らかではない。現在は、スルイの人たちがグーグル・アースの衛星写真と GPS を使って、現地の地図を作っている段階らしい。Google Earth Blog にも記事がある。

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2007年 6月 22日 午前 09:31 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.21

ヘリコプター四重奏曲

ドイツの作曲家シュトックハウゼンの作品に「ヘリコプター弦楽四重奏曲」というのがあるのだそうだ。このたび、Braunschweig という街で演奏が行なわれたと伝える Deutsche Welle の記事 "Hovering in Helicopters, String Quartet Gets Stockhausen Right"。

4機のヘリコプターにそれぞれ演奏者が乗り込み、地上700メートルで旋回している時に弦楽部分が演奏される。観客は無線で送られてくる音楽を格納庫で聴く。1日のうちに飛行が3回行なわれ、1回ごとに異なった聴衆が聴いた場合、演奏が成立するのだという。この日の演奏は1995年のアムステルダム、2003年のザルツブルクに次いで史上3回目。

スタジオ録音のようだが、CD が出ている:Stockhausen: Helikopter-Quartett。今回の演奏に関するニュース映像らしきものもあるが、音楽の面はよく分からない。

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2007年 6月 21日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.20

占領者が作る内戦を許さない

パレスチナの分裂状態。ハマスがガザ地区を掌握し、ファタハが西岸地区の実権を握る。何にも増して私たちの目に強く映るのは、イラクとの相似であろう。シーア派が南部を、スンニ派が西部を、クルド人が北部を… 占領者たちによって演出された内戦。

英ガーディアン紙のサイトに掲載された Karma Nabulsi さんの論評 "The people of Palestine must finally be allowed to determine their own fate" に、先週、同紙が報じた国連の秘密メモからの引用がある(13日付け "Secret UN report condemns US for Middle East failures" にメモへのリンクがある):「アメリカは明らかにファタハとハマスの間の対立を煽っていた。メッカ合意の一週間前には、ワシントンで開かれた実務者会談の席でアメリカの特使が二回も「この武装衝突はいいね」などと口にしたほどだ。ガザで起こりつつあった内戦に近い状態について語ったものだ。一般市民が次々と死んだり負傷したりしている時にだ。」

passage from the confidential UN report on Palestine

ナブルシさんの主な論点を拾っておく(私の考えは彼女の意見とほとんど同じだ)。パレスチナ自治政府という機関は、そもそも主権委譲が5年ほどで行なわれるという前提で作られた弱い組織であったにも関わらず、さまざまな足かせをされたまま、イスラエルの占領を継続させるための機関として長きにわたって利用されることになった。アラファトは解放闘争としてやるべきことはすべてやったが、アッバスは、何もしようとしなかった。それが選挙でのハマスの勝利を呼んだ。選挙は公正であったのに、米英はハマスと交渉を行なうことを拒んだ。メッカ合意や、イスラエルに収監されているパレスチナ指導者たちの文書を尊重し、パレスチナ人に自分たちの代表を決める自由を与えるべきである。

殺し合って、だれもいなくなった地に、おもむろに入って行こうと占領者たちは目論んでいる。遠くに生きる私たちにも、それを許さないように声をあげる道義的な義務があると私は思う。

追記: P-navi info にトラックバックを送ろうとして、P-navi info の読者に私の考えを読んでもらうより、ここから P-navi info にリンクを張るほうがずっと大切だと気がつきました。あ、3つリンクを張りましたが、飛ぶ先はみんな同じです。芸がないな、私。

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2007年 6月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.19

ヨシノユギさんの裁判

ヨシノユギさんという人が闘っている。ヨシノさんは性同一性障害(GID)と診断され、一年ほど前に乳房の切除手術を受けた。手術後、縫合部が壊死する。しかし、病院はヨシノさんの不安の訴えに取りあわず、外科的にも、精神的ケアの面でも、ヨシノさんを放置する。今年の3月、ヨシノさんは手術を行なった病院の医療過誤の責任を問うて、京都地方裁判所に提訴した。その第一回公判が今週の金曜日(6月22日)に開かれる。

私が性同一性障害について知ったのは、ほんの数年前のことだ。正確に言えば、「ああ、あの人は性自認が外見と異なっていたのだろう」と、ある人物をおそらく傷つけてしまってから、思い当たった。

私は、ヨシノさんの闘いが、性同一性障害をめぐる、一人にふりかかった偶発的な不幸に関するものであるとは思わない。さまざまな形で多数者の括りから外れている人々が誇りをもって生きる世界が現実のものとなっているかどうかという問題でもあるし、もっと具体的なレベルで、私たちの社会の医療が安心して任せられるものなのかどうかという問題でもあると思う。

だから私はヨシノさんを他人事ではなく自分たちの問題として支援していきたいと考えている。

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2007年 6月 19日 午前 12:21 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.18

トヨタ × 教育委員会

アメリカのテキサス州サンアントニオの近郊にトヨタが工場を建設し、昨年11月に生産ラインが動き出した。その工場の資産価値が大方の予想よりかなり低く見積もられ、不動産税が不当に安く設定されているとして、地元の教育委員会(Southwest Independent School District)が異議申し立てを起こしている。

サンアントニオのテレビ局 KENS のニュースによると(ブラウウザのウィンドウの大きさを変えられてしまうので、注意してください)、8億ドルと見込まれていた税収が7億ドルに減ったため、2,400人以上の生徒の教育に影響が出るらしい。

新聞のコラムによれば、トヨタはトヨタで今の額でも不満で、もっと課税額を下げるように申し立てをするらしい。コラムを書いている Roddy Stinson さんは、トヨタの申し立ては却下されるだろうと予想している。

アメリカと日本では社会の仕組みがずいぶん違うので、すぐに日本でもやってみようというわけにはいかないだろうけど、教育委員会が大企業を告発するなんて、ものすごくイケてると思いませんか? がんばれ、SWISD!

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2007年 6月 18日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.17

安倍内閣はすごい

安倍内閣の支持率が3割を切っているというのが、私にはどうしても理解できません。安倍首相、ものすごく仕事をしていると思うのですが…

ぱっと考えつくだけでも、教育基本法も変えたし、憲法を変える手続きを定めた国民投票法も作りました。慰安婦問題でも、国際的な非難を受けたにも関わらず、だんまり戦術で苦しいところを既に乗り切った観があります。汚職や不正経理の疑惑で大臣が自殺しましたが、それも自らの進退問題には発展させませんでした。ほかにも「人権メタボ」とか「産む機械」とか、いろんな暴言を吐く閣僚をかかえつつも、守り通して来ています。

昨夜のNHKニュースではこんな話も出ていました:

ことしの経済財政運営の基本方針、いわゆる「骨太の方針」に盛り込む公的年金の加入記録をめぐる問題への政府の対応策が明らかになり、年金の加入記録を住民基本台帳ネットワークと連携させることで、住所が変わった人などの年金記録を住民票の情報を参照して確認できるようにするとしています。この中では、年金の加入記録をめぐる問題の再発を防ぐため、新たな年金記録の管理システムを導入するとしています。具体的には、年金の加入記録を住民基本台帳ネットワークと連携させ、住所が変わった人や亡くなった人などの年金記録を住民票の情報を参照して確認できるようにするとしています。また、平成23年度から24年度をめどに、年金・医療・介護などの社会保障全般を一元的に管理する「社会保障番号」を導入し、国民1人に1枚の「国民サービスカード」を配るとしています。政府は、こうした内容を盛り込んだことしの「骨太の方針」を、来週、経済財政諮問会議で取りまとめることにしています。

国民総背番号制じゃないですか、これ。最近なんで急にマスコミが「年金、年金」と騒ぎ始めたのか不思議に思っていたのですが、こういうことだったのですね。いや、最初からそういう路線が敷かれていたのではなく、今の政府自民党にはピンチをチャンスに変える切れ者がいるのかもしれませんけど。

いずれにしても、安倍内閣の強運には目を見張るものがあります。ブロガーとしても、2年前から注目してきた甲斐があるというものです。で、この提灯記事のキメのセリフは、もちろんこれ:「安倍総理 日本国万歳」。

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2007年 6月 17日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.16

性的少数者と政治

「友人の友人まで公開」に設定してあるオレンジ色の日記帳に、かつての恩師に学会で再会した時のことを書いたことがあります。

私が学生だった時(もう15年も前の話。マサチューセッツに留学していた時のこと)、その恩師はガールフレンドと同棲していたのだが、昨日、学会の懇親会にその彼女も来ていた。
「個人的な質問だけど、もしかして結婚した?」と聞いたら、声を揃えて "Yes!" と言って、おそろいの結婚指輪を見せてくれた。すごく幸せそうだった。
おめでとう! 正式に同性婚した人に会ったのはこれがはじめてです。幸多かれ。

アメリカで唯一マサチューセッツ州で認められている同性婚については、私がこのブログを書き始めた当初から注意を払ってきました。合法化された時の記事はこちらです。

今週の木曜日(14日)、マサチューセッツ州議会では、保守系の議員らが提出していた同性婚を禁止するための州憲法修正案が圧倒的な大差で否決されました。ボストン・グローブの記事 "Right of gays to marry set for years to come"。規定により、同趣旨の州憲法修正案の発議は5年間できなくなるそうです。

もちろん、まだ同性婚が当たり前のことになったと言えるような状態からは程遠いものの、同性愛者の法的、経済的な地位や権利のために運動してきた人々にとっては、歴史的な勝利であることは間違いありません。

性的少数者をめぐる問題は重層的で多様だと認識しています(近日中に、もう一つ記事を書きます)。その声を政治の場に届けることはとても大切だと思います。幾人もの声が必要だと思うのですが、何事も一から始めなくてはなりません。このブログでも何回か名前を挙げた尾辻かな子さんが民主党から参議院比例区に出馬する予定です(尾辻さんのブログサポーターのブログ)。選挙となると、さまざまな政策を総合的に判断して票を投じなければならないので、正直なところ自分が投票日にどんな気持ちでいるか、今の私にはまだ分からないのですが、尾辻さんの擁立は私の判断にはとても大きな要因です。ご健闘をお祈りします。

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2007年 6月 16日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007.06.15

今夏の流行

"The power of pink" というタイトルを見て、アメリカの反戦女性団体 Code Pink とか、増山麗奈さんの桃色ゲリラとか、乳がん啓発運動とかの話かと思ったら、全然違って、ファッションの話だった。

アメリカ(少なくともボストン)では、今年の夏、ピンクのネクタイが人気になりそう、という話。市長や、地元の経済界の有力者もピンクのネクタイを締めているとのこと。

ピンクと言っても薄めが望ましいと書いてあるので、そんなものかなと信じてしまうのだが、「ピンクのネクタイなら、青いシャツとブレザー、競泳用の水着、そしておしゃれな革靴といった出で立ちでも様になる」などとも書いてあって、もしかするとこれは全部、皮肉か冗談なのかもしれない。

私は真面目で冗談があまり通じない人間だし、ファッションには全く疎いし、そもそも省エネルック(これは古い言い方ですね。今は何と言うんでしたっけ。そうだ、クールビズ)で夏はネクタイを締めないので、ピンクのネクタイは締めてみる機会がなさそうです。

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2007年 6月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.14

くじらは長生き

国際捕鯨委員会はアラスカの先住民に捕鯨枠を認めている(今後5年間で255頭)。最近アラスカで捕まったホッキョククジラの体内から、130年前の漁で使われた銛(もり)が発見された:"19th-century weapon found in whale"。記事に銛の写真がある。

銛の先端は長さ10センチ程度。首と肩胛骨の間のあたりに刺さったままになっていた。19世紀にアメリカの捕鯨の拠点だったマサチューセッツ州にある New Bedford Whaling Museum の話では、銛は1879年に特許を取った、命中した後で爆発する方式のもので、1890年ごろの漁で使われたものだろうとのこと。アラスカの Inupiat Heritage Center に展示されることになるらしい。

(はい、私も気になって、調べました。メルヴィルの Moby Dick (白鯨)が書かれたのは1851年でした。リンクは Project Gutenberg のファイルです。)

クジラの年齢を正確に計測する方法はなく、たいていは眼球の中のアミノ酸から推測するのだそうだ。200歳近くと考えられるクジラが見つかったこともあるとのこと。今回のように年齢の特定につながるようなものが体内から見つかるのは、めずらしいらしい。

日本が今やっている「調査捕鯨」で手負いになった鯨が130年後ぐらいに見つかってニュースになったりするのだろうな、と考えた。

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2007年 6月 14日 午前 12:27 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.06.13

ダライラマ、中国を語る

ダライラマがオーストラリアを訪問中です。12日、キャンベラのプレスクラブで講演を行なった際の発言がロイター電 "Dalai Lama warns against China containment" で紹介されています。

「中国を孤立させたり、牽制するのは絶対的に間違っている。道徳的にも間違っている。中国は国際社会の主流に引き入れられるべきである。幸いなことに中国も国際社会に仲間入りしようとしている。非常にいいことだ。しかし、中国と良好な関係、真の友好関係を形作りつつも、いくつかの原則に関しては確固たる姿勢を取るべきである。人権、民主主義、法治主義、報道の自由など。そうしてこそ中国の真の友人であると言える。」

彼のこの言葉、特にその最初の部分は、中国を不必要に刺激しないための政治的な配慮から出た発言だと考えることもできるでしょうし、母国チベットを不当に占領している者に対してすら愛と寛容の態度を貫ける彼の深い思想を象徴するような言葉だととらえることもできるでしょう。

実際には、ダライラマの心の中には、この二極端に収束しないようなさまざまな想いがあるのだと思いますが、彼の言葉をどのように解釈するかを聞けば、その人の人間性や世界観がかなり分かるような気がします。

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2007年 6月 13日 午前 12:18 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.12

格差を受け継ぐ子どもたち

"Class divide hits learning by age of three" ― 英ガーディアン紙の記事。親の経済格差が幼い子どもの能力に反映されていることがイギリスで行なわれた大規模調査で明らかになったことを伝えている。調査を行なった Centre for Longitudinal Studies at the Institute of Education in the University of London による報道資料はこちら

2000年から2002年にかけて生まれた子ども1万5千人あまりを対象に言語能力や認知能力を継続的に調べたところ、満3歳になった時点で学歴の低い親を持つ子どもは大卒の親を持つ子どもに比べて、語彙の豊富さでは10か月の差が、色、文字、数字、物の大きさや形などに関する認知能力(学校に進む準備の度合い、と書かれている)では12か月の差が見られたと言う。その他の分析結果としては、女の子のほうが男の子よりも3か月進んでいること、全英の平均に比べスコットランドの子どもが2から3か月進んでいること、バングラデシュ、パキスタン系の家族(3分の2が貧困層にある)の子どもたちが学校に進む準備の度合いで1年ほど遅れていること、黒人(42%が貧困層)の子どもの約4分の1に遅れが見られるのに対し、白人(貧困層は25%未満)の子どもの遅れは4%にしか見られないこと、が分かったらしい(貧困層とは、全国平均の6割未満の年収額の家庭と定義されている)。

調査にあたった Heather Joshi さんは語っている:「子どもたちは長距離走の途上にあるわけで、最初の数年に遅れをとっているからと言って見捨てられるべきものではない。しかし、子どもたちは平等なスタートラインから出発したわけではなく、幼いころの経験に影響されずに多様な背景から逃れられるわけでもない。」

それぞれの社会の生活様式や、それぞれの政府の取り組みによって、子どもの育まれかたは大きく異なるはずだ。だから、この調査で明らかになったことがそっくりそのまま私たちの国に当てはまるとも思えない。ただ、それなりに子どもへの格差是正の取り組み(記事でも言及されている SureStart)を行なっているイギリスでもこのような状態であることは、教育の姿(のみならず、もちろん雇用と労働の形をはじめとするさまざまな社会の構造)を変えていこうとしている日本の議論の中でも、しっかりと認識されるべきだと思う。

そして、自由競争という概念が先験的に是であるとするような堕した思考に陥っている者たちの欺瞞を絶えず問い直すことが必要だ。

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2007年 6月 12日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007.06.11

恋文を書きながら

フィリピンの Inquirer 紙 "Writing love letters makes learning easy, fun"。マニラ首都圏の Pasay 市にある Pangarap Shelter という孤児たちの施設の授業のようすを伝えています。Hands On Manila という団体が開いている授業で、先生はみなボランティア。親に捨てられ、学校をドロップアウトしてしまったストリート・チルドレンを学校に戻していくのが目的です。

学校に戻るとしても本来の学年よりも下になってしまうため嫌がる子どもや、ストリートで生きていくためには学校など必要ないと考える子どもが多いようです。授業の間、じっとしていられない子どものほうが普通なくらい。

そんな中で、とてもうまく行っている例としてあげられているのが、英語の授業です。子どもたちにフィリピノ語でラブレターを書かせ、それを先生が英語に訳しながら教えていきます。新しい単語や文法はそこから学ぶわけです。「後学のために」などと言いながら、男の子たちが英訳文を一生懸命ノートに写し取っていきます。

まさか毎週ラブレターばかり書かせているわけではないと思いますが、楽しそうです。私も語学の教師なのですが、作文でラブレターを書かせたのは、いつのことだったでしょう。もうずいぶん昔のことになります。学生たちのきょうだいのような年齢の時には、やりやすかったのですけどね。学生たちも、親のような年齢の先生の授業では、ラブレターなど書きたくないでしょう。それとも、しっとりとした、大人っぽい愛の言葉でも教えてみましょうか。あ、それには、私では経験値が低すぎますね。

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2007年 6月 11日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.10

サミ・アルハジさんと私たち

Reporting on life behind the wire: The Sudanese journalist held in Guantanamo Bay ― 英インディペンデント紙に掲載された Andrew Buncombe さんによる記事。アメリカ政府によってグアンタナモ収容所に拘束されているスーダン出身のジャーナリスト Sami al-Haj さんの5年間を振り返っている。

サミ・アルハジさんは、2001年12月にカタールのテレビ局アルジャジーラの撮影係としてアフガニスタンに入国しようとしているところをパキスタン当局によって身柄を拘束された。その後、アメリカに身柄が引き渡され、6月7日に米軍のグアンタナモ収容所での生活が満5年を迎えた。弁護士の面会の機会ごとに、収容所内部のようすを外に伝えてきた。24時間まぶしすぎる照明がつけられたままの、奥行き3メートル、幅1メートル80センチほどの独房。そこから出られるのは一週間に一度だけ、わずか一時間だけ許されている運動と、取り調べの時だけだ。取り調べは28時間休みなく続けられることもあり、苦痛な姿勢を強いられるなどの拷問を受ける。テロリストを支援していたなどの容疑で拘束されているはずだが、取り調べでは、そのようなことはほとんど聞かれず、スパイとしてアルジャジーラに戻れといったことばかり言われる。

グアンタナモには、一時は45か国から700人を越える“容疑者”が収容されていたが、世界からの非難を浴び、現在では380人程度になった。収容されていた人たちのうち、訴追されたのはわずか4名。半数以上は、何ら確たるテロ容疑などもないのに、反タリバンの北部同盟やパキスタン当局によって米軍の賞金目当てにテロリストに仕立て上げられた人たちらしい。

*

先日、自衛隊が反戦を唱える市民運動家などを監視していたことが明るみに出た。この監視活動は何ら問題ないという見方がある。私は、そういう見方をする人はとても視野の狭い人だと思う。もっとましな税の使い方があるだろうということを棚上げにすれば、確かに、自衛隊がデモの大きさを調べたり、参加者がどんな声をあげていたかをメモしていても、法律に抵触はしないのかもしれない(ちなみに、私自身は、自衛隊が監視活動を行なっていたということ自体より、その内部資料が外部に流れたということのほうに大きな衝撃を感じた)。

しかし、そのような法律論、技術論は、在日米軍再編とか、ミサイル防衛とか、イラク派兵とか、さまざまな領域で自衛隊がアメリカ軍と「一体化」しつつあるという文脈を踏まえて不安を訴える人たちには、何ら説得力を持たない。アメリカ軍の行なっている情報蒐集の一つの形はグアンタナモに見られるような拷問だ。拷問の存在自体はアメリカ政府は否定すらしていない。アメリカ政府が(アメリカ軍が)気にしているのは、ジュネーブ条約に抵触するかどうかではなく、明らかに国際法に抵触する行為がアメリカの国内法的に許されるかどうかという点だけだ。そういう人たちと歩みを一にする防衛省が、今後、人権を蹂躙することがないと言えるのか。今回明らかになった情報保全隊の活動は、この国がかの国と同じ方向に歩み出していることを示してはいないだろうか。

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2007年 6月 10日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.09

キエフのブック・マーケット

ウクライナに行く予定は全くないのですが、キエフの街の紹介記事を読んでしまったので、メモしておきます。ほら、あるじゃないですか、思いがけなくある都市に行くことになって、「ああ、そういえば昔、この街について何か読んだよな、あれ、何だったけな」と気になって仕方がない時。それの予防。

キエフ・ポストの "Shopping at Petrivka"。 記事を書いた Olga Kovalenko さんは地方出身で、初めてキエフを訪れた時、「キエフに行ったら Khreshchatyk、Podil、そして Petrivka に行くとよい」と言われたのだそうです。最初の二つはきれいなところなので、すぐ納得したのですが、ペトリフカは、地下鉄の駅を降りてみると地味な工業地帯で、「なぜここが?」と思ったそうです。

ペトリフカの魅力は、大きな本の市場。いや、本だけでなく、パソコン関係のものから CD や DVD、日常雑貨まで、何でもあるようです。家族連れはもちろん、ヘビメタ系の若者から絵の好きな人まで、だれもが楽しめると書いてあります。以前は雑然と露店が並んでいましたが、今は区画整理されて整然としているそうです。

古本屋ももちろんありますし、DVD は、買った店に持って帰ると、格安で他の DVD に買い換えることができたりするそうです。最近になって日本のアニメ関連商品がかなり進出してきて、ビデオやゲームだけでなく、まんがやフィギュアなども売られているとのこと。まあ、日本から行って、得るものがあるのかは分かりませんが。

ソ連時代の本や地図、レコードなども売られているそうです。共産趣味者にとっても穴場ということでしょうか。英語の本はさほど種類がないようですが(ペンギン・ブックスが中心)、ウクライナで再版されているものはとても安いようです。Anthony Burgess の「時計仕掛けのオレンジ」が 10フリヴニャ(約250円)で売っていたそうです。

なんとなく楽しそう。ウクライナ、行こうかいな。

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2007年 6月 9日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.08

格差社会アメリカ

なにぶんにも経済学の素養が全くないので、いいまとめができませんが、Frank Levy さんと Peter Temin さんという二人の経済学者が発表したアメリカの経済格差拡大に関する "Inequality and Institutions in 20th Century America" という論文が話題を集めそうな気配です。The New America Foundation のサイトに PDFやセミナーの録音へのリンクがあります

元の論文まで見つけておいて、ざっとでも目を通さずに紹介するのは私っぽくないなあと思いつつ、この研究について書いていた二つの新聞記事(わりとまともな感じの英フィナンシャル・タイムズの "US graduates suffer income inequality" と、かなり経営者寄りの視点を感じさせるワシントン・ポストの "The Equality Quagmire")をもとに、一番大きな要点らしきものを挙げてみます。

  • 1950年から1973年までを見ると、アメリカ経済全体の生産性は97%上昇した。この時期、高卒男性の給与は95%上昇。大卒男性は106%。所得の最上位0.5%層は37%の上昇に留まった。
  • 1980年から2005年までを見ると、アメリカ経済全体の生産性は71%上昇した。この時期、高卒男性の給与は4%下落。大卒男性は24%上昇。所得の最上位0.5%層は89%上昇。

つまり、(1) レーガン以降の新自由主義的な経済政策のもとでは、格差が著しく拡大し、(2) それ以前は経済格差の是正には社会全体の教育レベルを上げるという方策がある程度有効であったが、新自由主義のもとでは、大学を卒業したという学歴だけでは経済全体の成長による利益を十分に享受できない、ということだと思います。

労働組合の発言力の弱化と、超富裕層への利益集中にも相関があるようです。グラフは、論文の一番最初に出ていたもので、縮小してしまったので見にくいのですが、1945年から2005年にかけての、労組の交渉能力(青線)と超富裕層の所得の伸び(赤線)です。

状況はおおむね日本でも同じなのではないでしょうか。政府与党が未だに推し進めている構造改革、規制緩和、市場開放といった新自由主義的な経済運営は、ほんの一握りの金持ちをさらに富ませているだけではないでしょうか。もう一度、労働組合がしっかりと物を言い、それを労働者一人ひとりが支持し、またそれによって益を得るような社会を作り直そうではありませんか。

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2007年 6月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.07

ダルフールを見守る目

Eyes on Darfur ― アムネスティ・インターナショナルが開設した、空からダルフールを見守るサイト。ロイター電で知った。12の村を数日おきに人工衛星から撮影し、新たな破壊活動が行なわれた形跡がないか監視する。これらの場所に目が届いているのだということをスーダン政府に向けて印象づけるのが狙い。

Eyes on Darfur 画像サンプルサイトの Villages at Risk のセクションで見られる衛星写真の解像度はこのくらいだ(サイトにある 640x480 のVGAサイズの写真から、縦横150ピクセルのみを示している)。数ピクセル四方の白い四角が一つ消えた時、家が一軒焼き討ちされたことが分かる、という感じなのだろう。Satellite Evidence のコーナーが、過去の破壊前後の写真の比較検証を提示しているのだが、破壊後の写真が破壊された家屋を赤い点で示していたりするので、実際の生の目で比べてみることができないのが残念だ。

報道資料によれば、多くの人が見ることによって、だれかが破壊に気がつくことを期待しているようだが、イメージ処理の技術で変化が自動的に検知される、などということも可能なのかもしれない。科学技術の発展が人間の安全保障に役立つ形で実現されていくことを願わずにはいられない。

最近書いた、関連記事:

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2007年 6月 7日 午前 12:08 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.06

ホロコーストから学ぶ

アンネ・フランクと同い年だった少女の日記が新たに公開された。AP電 "Moving diary of 'Polish Anne Frank' unveiled"。日記は、ポーランドの Bedzin という町に住んでいたユダヤ系ポーランド人 Rutka Laskier さんが 1943年の1月から4月にかけて書いたもの。彼女が目撃したナチの残虐行為や日常の恐怖、諦めなどがつづられているほか、少女らしく、ヤネックという名の少年へ募らせる恋愛感情や、自らの性への気づきも記されているという。また、西欧ではほとんど知られていなかった「ガス室」の存在に言及がなされていることも注目に値すると記事は記している。ルトゥカさんはその後、アウシュビッツに送られ、消息を絶っている。

日記は親友の Stanislawa Sapinska さん(キリスト教徒のポーランド人)に託され、長年、死んでしまった友の思い出の品として彼女の家に置かれていたが、親類から重要な歴史的な証言だからと説得され、昨年、イスラエルの Yad Vashem 博物館に寄贈されたらしい(ヤド・バシェム博物館の地理的な位置を把握していないので、「イスラエルの博物館」と書くことに、ためらいを感じている)。記事には、出版された日記の表紙の写真のほかに、ヤド・バシェム博物館を訪れているサピンスカさんの写真が載っている。

私は、この日記が偽造されたものだろうと考えるほどの猜疑心は持ち合わせていないが、このニュースがイスラエルによるガザや西岸地区の占領の端緒となった1967年の戦争の40周年にあたる今週に配信されていることには強く政治的な意図を感じる。自分たちの加害者としての側面から目をそらし、被害者としての像を結ぼうという意図。それを再生産するために私がこれを書いているのではないことを明らかにしておきたいと思う。

なぜ、かくも過酷な迫害を受けたユダヤ人たちは、今、パレスチナの人々を苛む側に立つ自分たちを許しているのか。人とは、教訓を学べないものなのだ、という早急な結論に満足したくない私たちは、ここから何を考えればいいのだろうか。

おそらく、いかに戦争が悲惨なものであっても、それを被害者としてのみ語り継いでいくことは、平和を守る力になるとは限らないということなのであろう。ホロコーストも。原爆投下も。数々の空襲も。自分の受けた苦しみを他者への思いやりに転化させる能力はすべての人の中で自然に発揮されるわけではない、と言い換えることができるかもしれない。

自分たちの歴史を都合よく勝手に作ってしまうこと(例えば「地なき民、民なき地」というシオニズムの思想や「大東亜戦争はアジア解放のための戦いだった」という驕り)の悪についても学ぶことができるであろうか。

そして、もちろん、他人の悪い点をあげつらうことばかり上手な人たちのいる社会で、自分たちをこそ厳しく律しようという良心の声を絶やさないことだ。その学びの証しとして、今、私はこれを書いている。

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2007年 6月 6日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.05

リベリア内戦の国際法廷始まる

Diamond wars dictator faces Hague trial ― 英ガーディアン紙の記事。リベリアの元大統領 Charles Taylor の戦争犯罪裁判がハーグの国際法廷で始まった。市民を虐殺したなどの人道に対する罪に問われている。

遠いアフリカの話であるが、テーラー元大統領は、映画「ブラッド・ダイヤモンド」で描かれたのと同様に、ダイヤの密輸によって内戦の資金調達をした人物である。もしかすると、あなたが身につけているダイヤモンドは、彼の汚れた手を経てリベリアからやって来た、血塗られたダイヤモンド、紛争ダイヤモンドであるかもしれない。

もう一つ、私たちとこの裁判が少しつながっているのかなと思ったことがある。テーラー元大統領が自分が国家元首であったため免責特権があり無罪であると主張しているのに対し、法廷がニュールンベルクや東京の軍事法廷を先例として挙げ、彼の主張を認めなかったと書かれていることだ。東京裁判では昭和天皇は訴追されなかったので、先例にならないような気もするが、好むと好まざるとに関わらず、世界は東京裁判の正当性を認知し、それを礎とした上で動いているのだということを、私たちはここに再認識することになる。

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2007年 6月 5日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.04

クラスター弾禁止条約で日本が方針転換

共同通信東京新聞などによれば、

政府は、クラスター(集束)弾禁止条約について、制定への賛否表明さえ留保していた従来の消極姿勢を転換し、多国間で軍縮問題を協議する「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)締約国会議」での制定へ向けた交渉に参加する方針を固めた。早ければ今月中旬からのCCW専門家会合で表明する。政府筋が2日、明らかにした。

批判に耐えきれず方針転換ということですね。記事は「ただ防衛省には戦術上の観点から条約に反対の声が依然強く、日本として締結可能な条約内容について引き続き政府部内で検討する」とも伝えています。田母神俊雄空幕長久間章生防衛大臣はまだ納得していないということでしょうか。

軍事のことはよく分かりませんが、少しいい方向に進んでいるように思います。あきらめず、私たちの手で政治を変え、世界を変えていきたいものです。

注:これは私だけではないのかもしれません。昨年、ものすごく軍事に詳しそうな人が「イスラエルは対人地雷禁止条約発効後、地雷を使っていないと言っているが、そもそも地雷は防御的な兵器なので、攻勢作戦しかやっていないイスラエルが使わないのは当然」という趣旨のことを書いているのをたまたま読んで、なるほどそんなものかと思っていたら、数日後にイスラエルがレバノンで地雷を使ったのが発覚して、脱力しました。

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追記: 記事の中でリンクを張ったブログの他に、ダルフールを主なテーマとする Daddy Said Good-bye というブログに東京新聞の記事が取り上げられているのを見つけましたので、そちらにもトラックバックを送りました。

2007年 6月 4日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007.06.03

ダイアモンドの空

ビートルズのアルバム Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band が世に出て40年というのに合わせて、とてもすてきな記事があった。Lucy in the Sky with Diamonds のもととなった絵と人が紹介されている。イギリス The Mail on Sunday 紙の "Revealed: The real Lucy in the sky with diamonds"。

ジュリアン・レノンが幼稚園で同級生だったルーシーさんを描いた絵を父親のジョン・レノンに見せたのがきっかけだったらしい。Lucy Vodden さん(旧姓は O'Donnell)は現在43歳。ジュリアンの描いた絵と、そのころのルーシーさんの写真も載っている。

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2007年 6月 3日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.02

一年後は私たち

反G8デモのポスター ハイリゲンダムでのG8サミット開催を前に、今日は近郊のロストック(地図)で大規模なデモが行なわれるそうです。右はそのポスターです。なんかあまりセンスがいいように思えませんが。何となく昔のソ連など共産主義諸国のポスターとかに雰囲気が似ているような気もします。そういう人たちがやっているのかなあ。それとも開催地が旧東ドイツだから、こういうのが普通なのだろうか。って、これは偏見でしょうか。

来年は日本で開催ですからね。対抗的な市民運動のやり方をいろいろと見ておいて、学ばないといけない気がしてきました。オルタナティブ・サミット等、いくつかのサイトにリンクを張っておきましょう。

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2007年 6月 2日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (3)

2007.06.01

ポッドキャスト大学

アップル社の iTunes Store が iTunes U と名付けられた諸大学の講義ポッドキャスト配信サイトを始めた。報道資料: "Apple Announces iTunes U on the iTunes Store"、ウェブページiTunes Store へのリンク

自分の身に引きつけて考えると、言語の授業は講義じゃなくて双方向性の高い授業が多いので、PowerPoint よりも黒板のほうが、いまだに使いやすかったりするんだよなー。録音して配信なんて、さらにまたその先の世界だ。やり取りをしながら板書などという形態がとれる少人数の授業を担当していることを幸せだと思わなくてはならないのだけれど、どんどん時代から取り残されていっているような気もする。遠からず、ポッドキャストで配信しているかどうかが評価尺度に加えられたりするかもしれないし。

自分のことを棚に上げて言うのは気が引けるのだが、大学全体としては、やっぱりポッドキャストとか取り組んだほうがいいな、と思う。日本でも推し進めたいですね。

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2007年 6月 1日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (1)

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