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2007.04.30

ドイツの春闘、私の春闘

ドイツの金属、電気、繊維等の産業分野で200万人以上の労働者が加入している組合 IG-Metall が今週、大規模なストライキを行なう構えを見せている。ドイツ国営通信社 dpa の記事によれば、29日、その第1波として、ベルリン、ラインラント、ババリア地方の工場で1時間の時限ストが行なわれた。

組合側は6.5%の賃上げを求めてきたが、雇用者側は2.5%のベースアップと0.5%の一時金支給を提示し、交渉が決裂したため、「警告スト」が行なわれたものらしい。組合側は、大規模で広範囲にわたる、長期ストを行なう決意があると述べている。次回の労使交渉は5月3日に予定されている。AP電 "German industrial workers go on strike" の解説によれば、ドイツでは賃金交渉は産業ごとに、地区単位で行なわれるらしい。電信などサービス産業を中心に同じく200万人以上を組織している ver.di 労組も雇用条件の悪化に対抗するため、ストライキを計画している。

足下を振り返り、自分の職場について若干述べると、2005年度以降、財政が厳しいとか言って年末一時金が削減され、年間収入が5%減額したままなのだが、このほど退任した前理事長と前総長に対し、お手盛りで規定が変更され合計1億6千万円もの退職慰労金が支払われたということが発覚し、不満が高まっている。失われつつある職場の民主主義を少しでも取り戻すために、私も一組合員として闘っていく決意だ。

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2007年 4月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.04.29

アメリカの歴史は日本より長い

ちょうど2か月前にも同じ趣旨の記事を書いたのですけれど、この種の話を聞くたびに、私の思いは強くなります。

"Site of Colo. Indian massacre opens" という AP電を紹介します。アメリカのコロラド州で、142年前(1864年11月29日の夜)に、Southern Cheyenne and Arapaho というアメリカ先住民の集落の 150人が入植者たちによって皆殺しにされる事件があり、その虐殺事件の祈念公園(The Sand Creek Massacre National Historic Site)がこのほど開かれたと報じています。

記事では、「過去の残虐な行為や無法な行為をちゃんと認識する度量と強さを持っていることが、国家の強さの何よりの証拠であると言えるでしょう」という研究者のコメントが引用されています。

虐殺は狂信的な宗教家に率いられて行なわれたらしく、事実が明るみに出た当時から、連邦議会が抗議声明を出すなど、糾弾の声は出ていたようです。しかし、内戦(南北戦争)の中で、彼らは英雄として扱われもしたそうです。1世紀半の時が過ぎ、やっとだれもがこの事件の犯罪性に合意するようになったということなのかもしれません。

私はもちろんアメリカの歴史を礼賛するものではありません。しかし、自分の国を振り返って見た時、たかだか数十年前の人権侵害や虐殺事件を「もう何回も謝ってきた」とか「30万という数字はでっちあげで、多くても数千か数万」だと言って、平然とやり過ごそうとし、その一方で「日本は悠久の歴史を持つ美しい国」などとしゃあしゃあと言ってのける同胞たちの心根を、憐れみもし、心の底から軽蔑もします。

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2007年 4月 29日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.04.28

ネットの世界比較

Global net use makes rapid rise という BBC の記事に、ネットの使いやすさ、値段の安さ、ネットをめぐる法的規制などを考慮して算出された e-readiness 順位表というのが載っていました。1位がデンマーク、2位がアメリカとスウェーデン。アジアでは香港が4位、シンガポールが6位、韓国が16位、台湾が17位、日本が18位に入っています。

70か国を対象にして行なわれた調査だそうで、エコノミスト紙の Economist Intelligence Unit というサイトに詳しい報告書があります。70位までのリストも報告書に載っていました。下の方は、イラン、アゼルバイジャン、インドネシアなどの国々が並んでいます。調査にはアフリカの国は南アフリカとエジプト、ナイジェリア、アルジェリアぐらいしか含まれていないようです。アフリカ諸国は、もっと下のほうに位置するのかもしれません。

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2007年 4月 28日 午前 12:16 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.04.27

「普通の国になりましょう」を読んだ

ダグラス・ラミスさんの新刊『普通の国になりましょう』を読みました。憲法9条を変えることを目論む言説に現れる「普通の国になる」という表現が「平均的、規範的、アメリカ的、正常、偽善的、常識的」などのうち、どのような意味で用いられているかを多角的に考察しています。憲法を守るか変えるかという問題が沖縄や環境の問題にも結びついていることが、とても説得力ある形で提示されています。

一か所だけ引用してみます:

時代そのものが病的になると、その時代の「普通の人」も病気になります。 … 奴隷制の時代、ファシズムの時代、その「時代の精神」を疑う人(つまり、健全な人)はめずらしい存在になります。そのめずらしい人が「普通の人」になるように圧力をかけるのは、その人を「病気にする」ことです。

おそらく、私のブログを読んでいる人の多くは、この言葉に力づけられるのではないでしょうか。新しいアイデアが書いてあるわけではないけれど、頭の中を整理するのに、とてもよい本だと思います。お勧めします。

実は、ここ数日、頭に疲れが溜まってきていて、難しいことが何も考えられなくなってしまっていました。こういう時は絵本でも読もうと思い、書店の子ども向けの本のコーナーに行って、偶然、この本に出会いました。おかげで頭がかなりすっきりしました。絵がたくさんあるし、小学校5年生以上に配当されている漢字にはルビがつけられていますが、4年生にはちょっと難しいんじゃないかな。書店の人には、「この本、子どもの本のところに置いてありましたが、社会問題のところにも置いてください」とお願いしてきました。

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2007年 4月 27日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007.04.26

ヌールの石は99

13世紀、モンゴル軍の侵略によって、メソポタミアの大都市、バグダッドが破壊されようとしていた。当時、バグダッドは学問の世界的な中心で、その図書館は当時の人類の叡智の集大成であった。学者たちは、書物に蓄積された知識を破壊から守るため、宝石に本の情報を流し込む錬金術を編み出した。99のヌールの石(Noor Stones)に蓄えられた叡智は、イベリア半島で大切に守られていたが、やがてそれも四散してしまう。今、失われたバグダッドの叡智を再び結集させるため、99人のムスリムの勇者が立ち上がった。

という筋書きで始まるまんがシリーズです: The 99。最初の十数ページ(英語版)がオンラインで読めます。クリスチャン・サイエンス・モニター紙の記事(ページ123)で知りました。アラビア語版はエジプトを中心に好評を博していて、この秋にはアメリカで英語版の出版が始まるそうです。なぜか英語版は台湾で既に売られているとも書いてありました。

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2007年 4月 26日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.04.25

ニューモント社に無罪判決

インドネシア、スラウェシ島ブイヤット(Buyat)湾の公害裁判で、被告のニューモント社とその役員に無罪の判決が出ました(AP電 "Newmont Mining and executive aquitted in Indonesian trial"、AFP電 "Indonesia clears US miner in pollution trial")。

マナド地裁の Ridwan Damanik 裁判長は、金採掘に伴う廃棄物による湾の汚染は基準値以内であり、また、住民の健康被害に関しても十分な証拠がないという判決を24日、言い渡しました。検察は控訴する模様です。

真実がどのようなものであったか、私には知るよしもないのですが、重篤な健康被害を訴えていた住民を証人として呼ばなかったなど、検察側の裁判の進め方に不備があったことは明らかなように思います。住民の声が十分に代弁されていたか疑問を残す結果となりました。工業化の途上にある国の市民団体にとって、また彼らを支援しようと考える人たちにとって、環境を守るためにはどのように運動を進めていけばいいのか、大きな教訓となったということかもしれません。

AP電によると、判決言い渡し後に、インドネシア政府のエネルギー鉱山資源局が「判決はありがたい。有罪判決が出ていたら、投資に悪影響が出ていただろう」というコメントを出しています。政府側が敗訴した時に、別の部局とは言え官庁が敗訴を歓迎するコメントを出すというのは、どういうことでしょうか。今まではさほど熱心に報じていなかったのにも関わらず、判決前の数日、「海外の投資家が見守っている」といった論調の記事が欧米の通信社等によってかなり配信されていたこと(例えばロイター電 "Indonesia awaits Newmont pollution case verdict")も考えれば、インドネシア政府にどれだけのやる気があったかは、推して知るべしといった気もします。

このブログでは、2年半ほど前からブイヤット湾の汚染について継続的に取り上げてきました。最近では、昨年11月今月初めに記事を書いています。11月の記事から過去の記事をたどっていくことができます。

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2007年 4月 25日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.04.24

王政復古のウワサ

Betraying "Democracy" in Burma ― アメリカのオルタナティブ・メディア truthout の記事。ビルマ(ミャンマー)の軍事政権が王政復古を計画中で、Than Shwe 将軍が今年中に国王の座に着くのではないかと論じています。外交ルートを通じて諸外国にも打診が行なわれているが、アウンサンスーチーさんの処遇をめぐって調整がついていないのだとも述べています。

私は信じないことにしました。ただし、どうもこの話は最初に受ける印象ほどトンデモな話でもないらしく、「民主化の一過程として王政を敷くという可能性」を論じる記事をこの1月に書いている人がいました(Asia Times の記事を BurmaNet が再録したもの)。王制になれば、軍の力を牽制するために官僚組織が育成され、そこに権力のバランスが生まれ、緩やかに民政に移行していけるのではないか、という趣旨です。また、昨年、タンシュウェ軍事政権が首都をラングーン(ヤンゴン)から Pyinmana に移し、Naypyidaw と命名しましたが、この語は「王の座」という意味なのだそうです。

truthout の記事には、欧米諸国は軍事政権に対して民主化を要求していると言うが、それは名ばかりで、アメリカはビルマの軍事政権が情報収集施設の建設に応じるなら王政復古を認めるのではないか、とも書いてありました。しかし、その前提として提示されている Great Coco 島に中国が通信傍受などの施設を建設しているという話は、国外でビルマの民主化活動を支援する The Irrawaddy 紙が否定しています。

今どき、軍の最高司令官が国王を名乗って王朝を樹立すると言うと怪しげな感じがしますが、共産主義の労働者の楽園のはずだったのに指導者が世襲する国もあるし、かなり民主的な国だけど父子で(ひょっとすると次は夫婦で)順繰りに大統領になる国もあるし、親や祖父の七光りの政治家が首相になって大威張りしている国もありますから、驚いてはいけないのかもしれません。

それに、君主制にもいろいろあるとは言うものの、日本も天皇制を遺していますから、「王制なんか、やめときなさいよ」とも言いづらいですね。まあ、「王制になったら軍の影響力が弱まるなんて思っちゃだめだよ。王様のために死ぬのが美しいとか言いながら戦争を始めるのがオチだよ」みたいなことは言えますね。というか、私たちはしっかりとそれを言い伝えていかなければなりません。

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2007年 4月 24日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.04.23

平和ゲーム

パレスチナ自治政府の大統領かイスラエルの首相になりきって、中東に平和をもたらすのがゴールというビデオゲームがあるらしい。その名も PeaceMaker

PeaceMaker のスクリーンショット

アッバス大統領の役を選ぶと、最初の仕事はイスラエル軍がガザを攻撃して18人が死んだという事態にどう対処するかになるそうで、イスラエル側と交渉をする度に、ハマス支持者からの支持が弱まるのだそうだ。その後、強硬派を取り締まるとハマスとファタハの内戦が始まり、テロを容認すると国際社会から糾弾され、中道路線をとるとシオニストの傀儡だと批判されるなど、とてもストレスの多いゲームになるらしい。オルメルト首相の役を選んでも、いろいろと大変だが、資金は潤沢にあるし、何をやってもアメリカの大統領が支持してくれるので、アッバス大統領の役よりも少し楽なのだそうだ。ここらへんはカナダの Globe and Mail 紙の評による。イスラエルのハアレツ紙にも紹介が載っている。

万事うまくいけば、エルサレムを共同の首都とするパレスチナ、イスラエルの二か国共存状態となり、ノーベル平和賞がもらえるらしい。失敗すると第3次インティファーダが勃発し、中東全体が不安定化する。

作っているのは ImpactGames というアメリカの会社で、社員や顧問の陣容を見るとイスラエル寄りなのだが、評からはわりとバランスのとれた作りのゲームのように見える。まあ、実際にやってみないと何とも言えないのだが、私はビデオゲームの類がものすごく苦手なので、どなたかお願いします。PC 版とマック版があり、無料の体験版(220MB)がサイトからダウンロードできる。あとで$19.95払えば、そのまま使えるらしい。言語は英語、アラビア語、ヘブライ語から選べる。

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2007年 4月 23日 午前 12:00 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2007.04.22

カトリック教会が教義を一部変更

ローマ教皇庁が洗礼の秘跡に関するカトリック教会の教義の一部改訂を示唆した(Catholic News Service の "Vatican commission: Limbo reflects 'restrictive view of salvation'"、AP電の "Pope revises stance on limbo held for centuries" など)。

教皇ベネディクト16世が教皇庁の諮問機関である国際神学委員会(International Theological Commission)の "The Hope of Salvation for Infants Who Die Without Being Baptized" と題された報告書を承認した。カトリック教会の公教要理(カテキズム)では、今まで、洗礼を受けずに死んだ幼児が神の救いに預かることができるかどうかは、神の憐れみにすがることしかできないとされていた(カテキズム1283節)。今回の答申は、この伝統的な教義が「救いを不必要に制限的に解釈している」とし、神の恩寵は洗礼を受けずに死んだ幼児にも及ぶと述べているらしい。

今回の教義の変更は中絶などの現代的な問題への対処の一環として行なわれたと言われている。国際神学委員会は現在の教皇である Joseph Ratzinger 司教が2年前まで委員長を務めていた機関なので、その答申を教皇が受け入れたこと自体は驚くべきことではないのかもしれない。しかし、わずか15年ほど前に確認された教義を改訂するという点では、このニュースは驚きと、いくぶんかの期待をもって迎えられるべきだと私は考える。

私の期待は、同性愛に関する教義が見直されることだ。カテキズム(2357節以降)では、同性愛者への寛容を説きつつも、同性愛は不自然な逸脱であり、認められないとされている。旧約聖書にも新約聖書にも、同性愛を指弾する言葉が出てくるので、今回のようには容易に教義が変更されるとは思えないが、聖書の中でイエス・キリスト自身は同性愛者に対して辛い言葉は一言も残していないと思う。寛容な神の恩寵が無条件で彼ら彼女たちのものにもなることを切に願う。

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2007年 4月 22日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.04.21

憎むことの罪

EUが人種差別や他民族排斥を扇動するような言動を犯罪として扱う法案に合意した(Deutsche Welle の "EU Agrees on Penalties for Racism and Xenophobia"、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの "EU adopts measure outlawing Holocaust denial" など)。

この法案は、人種、肌の色、宗教、出自、民族などに基づいて集団や個人に向けられた暴力や憎悪を煽る意図的な行動に対して1年以上3年以下の懲役を科すというもので、ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪を否定したり著しく矮小化したりした場合にも適用される。

各国の国内法が優先するとされているほか、扇動等の定義も各国に委ねられており、言論の自由との兼ね合いの判断も各国の法制に基づいて行なわれることになるので、EU全体で法制化されても、おおむね象徴的な意味合いしか持たないのかもしれない。

法制化の議論は2001年から続けられてきたが、ラトビアなどバルト3国がスターリンによる粛清もジェノサイドとして扱うよう求めたため、合意が遅れていたと書かれている。今回、全会一致で承認された法案は、戦争犯罪等については国際法廷で認められたもののみを対象としている。

法律によって差別が根絶できるとは私は思わないが、差別や偏見を煽ったり戦争犯罪を否定しながら「悪いことをしている」という自覚が全くない人への意識喚起にはなるのかもしれない。日本でもこういう法律があるといいなと思うけれど、首相からして戦争犯罪に無反省な人なので、それはヨーロッパ27か国が合意するよりもあり得ないことなのだろう。

ドイツの裁判所は戦争犯罪等について普遍的管轄権を認めている(国外での犯罪にも司法権が及ぶと考えている)ので、この法律ができると、理論的には、日本の悪質なブログや安倍首相の発言もドイツで提訴できるようになるのではないかと思う。胸に手を当てて、心当たりのある人は、私がドイツ語を勉強して告発状を書くのを、気長に、首を洗って待つがよい。

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2007年 4月 21日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2007.04.20

乱射事件と核武装

Europe reacts to Virginia shooting ― カナダのテレビ局 CBC のフランス特派員 David Common さんによる記事です。ヨーロッパのいろいろな新聞がバージニア州の大学での痛ましい事件に寄せて、アメリカでもっと銃規制が行なわれるべきだという社説を載せていることを伝えています。記事の後半は、それに対するアメリカの保守系メディアの反論や、アメリカの読者からの投書などが紹介されています。

紹介されている投書の一つは、「本当の問題は、学生や教員のだれも銃を持っていなかったことだ。(持っていれば)30人も殺される前にくい止めることができたかもしれないのに」というもので、その突飛さに驚かされました。こういった考えの人は少なからずいるらしく、乱射事件の犯人が銃を購入した店の持ち主も同じような発言をしています(英テレグラフ紙の 'If students were armed they could fight back')。

みんなが銃を持っていたら、ちょっとした諍いが銃がらみのものになってしまいそうだし、銃を悪用する人も出てくるだろうと、だれもが考えると思ってはいけないのですね。

こういった意見の愚かさは、小銃と個人のレベルでは自明のように思えますが、軍備(特に核)と国家のレベルでは覆い隠されたものになっていることも事実だと思います。安倍首相(5年前)、麻生外相、中川自民党政調会長なども日本も核兵器を保有するかもしれないと発言していましたね。愚かなことです。

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2007年 4月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.04.19

共同通信社の世論調査

二日続けて、心が石になってしまうのではないかと思うようなニュースに触れ、更に、私たちの目の届かないところでは同じような(あるいはもっとひどい)ことが何倍にも何十倍にもなって毎日繰り返されているのかもしれないと考えてしまうと、周りの人たちに微笑むことすら忘れてしまいそうです。

回り回ってリンクが流れてきたジャパンタイムズ17日付けの記事を読んで、先週末に行なわれた共同通信社の世論調査に二日遅れで気がつきました。わりとうれしい結果だったので、一人でも多くの人が知るといいと思い、紹介します。埼玉新聞の記事にグラフが載っていたので、まねして作ってみました。

憲法を変えること(記事に合わせて、下では「改正」と書きます)については前向きな人が多数派ですが、9条については、変えないほうがいいと答えた人のほうが圧倒的に多かったようです。

憲法改正の賛否

憲法改正の賛否グラフ

9条改正について

9条改正についてのグラフ

先週、衆議院を通過した法案で定められた手続きは、関連する事項ごとに区分して賛否を問う形だそうですから、国民投票の中で9条を護っていくことは十分に可能だと思います。着実に、冷静に(でも、情熱的に)、平和への票を投じる人の輪を育てていきましょう!

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2007年 4月 19日 午前 12:08 | | コメント (10) | トラックバック (0)

2007.04.18

世銀報告書から見る世界の貧困

世界銀行に関しては、Paul Wolfowitz 総裁のスキャンダルばかりが報道されているような気がするが、先週末に World Development Indicators 2007 が発表された。それによると、1990年には、一日1ドル以下で暮らしている人が世界には12億5千万人いたが、2004年には9億8,500万人にまで減少した。一日2ドル以下で生活している人も減っているが、2004年にも26億人おり、これは発展途上国の人口の約半数にあたる。

もうちょっと目を通してから記事を書きたいところだが、眠気に勝てません。報告書の公表については、フィリピンの Inquirer 紙の記事で知りました。フィリピンでは、人口の19%が一日1ドルのレベル以下で生活している計算になるそうです。

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2007年 4月 18日 午前 01:01 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.04.17

ウミダ・ニアゾバさんの釈放を訴える

ウズベキスタンの人権活動家 Umida Niazova さん(Niyazova と綴られている場合もあります)が1月下旬からウズベキスタン政府によって不当に拘束されていることを知り、東京のウズベキスタン大使館(ファクス:03-3760-5950)に釈放を求めるファクスを送りました。

ニアゾバさんは、ウズベキスタンの人権団体 Veritas に勤務するかたわら、国際的な人権団体 Human Rights Watch の通訳をしていました。32歳で、2歳になる男の子がいます。1月に隣国キルギスタンから帰国する際、不法入国の嫌疑をかけられて逮捕され、持っていたパソコンに入っていた人権関係の文書が違法であるとされて首都タシケントで拘留されています。彼女が収監されている施設は、拷問などの非人道的な扱いで有名なところだということです。

以下の記事をご参照ください:

世界のさまざまな国で、独裁的な政治が行なわれたり、人権が蹂躙されたりしているわけで、それらすべての実状を知ったり行動を起こすことは私たちには不可能です。しかし、平和で民主的で自由で基本的人権が尊ばれる国に生きる私たちは、一人ひとりが、自分が気づいたそのような事象について異議申し立てをする責任のようなものを負っているようにも思います。

私の場合、仕事でウズベキスタンに行ったことがあるのと、全然関係ない分野と地域についてですが、最近「通訳」の仕事を頼まれたのがあって、読んだビジネス・ウィーク紙の記事がやけに気になってしまいました。

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2007年 4月 17日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.04.16

歴史の改ざんを許さない力の弱さ

ドイツの保守政治家による「歴史改竄発言」を拠り所に、私たち自身を取り巻く状況を考えてみる。

ドイツ最南部のBaden-Württemberg州で、1966年に Hans Karl Filbinger が知事に就任した。彼は第二次世界大戦のころ、ナチスの党員であり、海軍軍事裁判所の判事を勤めていた。この過去が1978年、Rolf Hochhuth という作家の Eine Liebe in Deutschland という作品で取り上げられ、巻き起こった論争の末、Filbinger は知事を辞職した。

Filbinger は今年の4月1日に93歳で死んだ。その追悼式の弔辞(州政府のサイトに掲載されているが、ドイツ語なので私には読めない)で現州知事の Günther Öttinger は「Filbinger はナチではなかった」「彼はナチスに反対だったが、意に反して裁判官にさせられた」「彼の出した判決によって命を落とした者はいない」などと述べた。

Öttinger 知事のこの発言に対し強い批判が起こっている。Filbinger が多くの死刑判決を出したことは歴史的な事実であり、サディスティックなナチであった彼のことをナチスの批判勢力であったように描くのは、あからさまで危険な歴史の塗り替えであり、ユダヤ人などの迫害生存者にとっては屈辱的である、として辞任を要求する声があがっている。知事と同じキリスト教民主同盟に属するメルケル首相も知事を批判した(Deutsche Welle の 13日付けの記事14日付けの記事)。

知事は14日に州のサイトに弁明を掲載した。亡くなった人を讃えるのは伝統的なことだとし、「過酷なナチスの独裁を相対化しようとしているとの批判を受けたが、そのような意図はなく、誤解を受けたことを残念に思う」というものだ。AP電は、発言を取り消したり、謝罪するつもりはないらしいと伝えている。

問題発言をしたエッティンガー知事は1953年生まれ。日本の安倍首相より一歳ほど年上の「戦後生まれ」だ。一見、この二人の保守的な政治家のやっていることは似ているようにも思えるが、よく考えると、エッティンガー知事はナチスドイツの根本的な悪を認めた上で、一人の人間をそこから引きはがそうとしているのに対し、安倍首相をはじめとする自民党などの政治家たちは日本の戦争犯罪そのものを否定しようとしているわけで、この二つの行為や意図は必ずしも一括りにできるものではない。その違いは今までドイツと日本がどのように歴史と向き合ってきたかの違いを反映していると言えるだろう。さらに、彼らの発言が受けている批判の強弱も、今、私たちがどれだけ真剣に歴史を引き受けようとしているかを映し出しているに違いない。

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2007年 4月 16日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.04.15

バグダッドのグリーンゾーンから

Jane Stillwater's Report from Iraq ― ごく普通のアメリカのおばあさんによるバグダッドからの現地報告です。ブッシュ大統領の私邸があるテキサス州 Crawford で出版されている月刊誌 The Lone Star Iconoclast オンライン版に3月末から連載されています。

一応、記者としてバグダッドのグリーンゾーンに入り、イラク軍の要人にインタビューしたり、米軍の記者会見に出席したりしながら、もっと日常的な観察をこちらの連載に書いているようです。もともとブッシュ大統領の始めた戦争については深く懐疑的だったスティルウォーターさんが、バグダッドに来る前には即時撤退が最善と考えていたけれど、米軍の存在ゆえにわずかながら存在するグリーンゾーンの小康状態の中で外の世界から遮断されて暮らすうちに、それすらも判断できなくなったと語っているのが印象的です。

最初こそ健気に楽しそうに書いていた彼女は、グリーンゾーン内の議会の爆破事件に接し、出国を決意しますが、混乱でそれすらもかなわない状態にいます。

高遠菜穂子さんたちが拉致されたころ、アメリカが始め日本も支持した戦争によってイラクはとんでもないことになってしまったと思ったものですけれど、記者ですら米軍管理区域から一歩も出られず、爆破事件と隣り合わせにいる今は、あのころよりもはるかに悪い状態になってしまったことを思い知らされます。

イラクのことを書きながらも、私は憲法のことを心配しています。自衛隊がイラクに行って復興支援に活躍したのだなどという話が全く説得力を持たないことを、しっかりと記憶しておきましょう。

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2007年 4月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.04.14

国民投票法案の衆議院可決

「日本国憲法の改正手続に関する法律案」が衆議院で可決される場面をテレビのニュースで見ました。起立による採決だったのですね。とても大事な法案なのに、個々の議員の投票行動はおろか正確な票数さえ記録に残らないのでしょうか。なにかとても不思議な気がします。

私、恥ずかしいことですが、どういう法案が通ったのか、よく知らないのです。ニュースで、関連する事項ごとに区分して賛否を問う形になったと知りました。衆議院のサイトには、与党提出の法案民主党提出の法案も、提出時の文面しか掲載されていません。そのどちらも、憲法改正案全体に関して一括して賛否を問う形式のものだったので、特別委員会での審議のようすを逐一追っていなかった私は、かなりびっくりしました。

暢気すぎると言われるかもしれませんけれど、戦争の放棄を定めた9条を守るということに関しては、この形式は、むしろ有利になったと言うか、前向きに、この特徴を最大限に活かす運動をしていかなければならないと思いました。あ、その前に、参議院でぜひ廃案にする努力をしなくてはいけませんね。今国会は延長がないわけですから、とことん、やれることを全部やっていきましょう!

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2007年 4月 14日 午前 12:00 | | コメント (6) | トラックバック (2)

2007.04.13

カート・ボネガットの死を受け入れる

カート・ボネガット(Kurt Vonnegut, Jr.)が亡くなりました(AP電)。私が若いころ、夢中になって読んだ作家です。

彼の代表作 Slaughterhouse-Five の主人公 Billy Pilgrim なら、肩をちょっとすくめて、 "So it goes" (だとさ、こんなもんですかね)とでも言うでしょうか。嘆く必要はないはずです。Tralfamadore 星人たちが言うように、今この瞬間にボネガットが死んでいるにしても、彼が元気に生きている瞬間はとてもたくさんあるのですから。

神よ、変えることができないことを受け入れる平静さと、
変えることができるものを変える勇気と、
それらを見分ける知恵をお与えください

という、『スローターハウス・ファイブ』に出てくる祈り(serenity prayer)を、私は心で唱えながら生きてきました。生き延びてきました。ありがとう、カート・ボネガット。

あなたの墓碑には、やはりこう刻まれるのでしょうか(スローターハウス・ファイブのイラストです)。

Slaughterhouse-Five illustration: Everything was beautiful, and nothing hurt

(折しも、Gmail の不調で、メールクライアントが昨年夏からのメールを全部また延々とダウンロードしています。喜びの便りあり、悲しみのメールあり。全てが走馬燈のごとく通り過ぎていきます。)

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2007年 4月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.04.12

Google Earth でダルフールを見る

Google Earth を立ち上げ、アフリカを見ると、スーダンのダルフール地方の紛争の情報を見ることができます。アメリカのホロコースト記念博物館(United States Holocaust Memorial Museum)が作成したダルフール危機の情報レイヤーを、グーグルが現在、デフォルトのレイヤー(明示的にチェックを外さない限り表示される標識群)としています。

写真を見たり、証言(英語)を読んだりすることができます。「破壊された村」のアイコンにカーソルを載せると、村の名前が表示されます。

同じ地球に生きる者として心を寄せるべき問題の地理的な情報が、多くの人の目に触れるような形で提示されたことは、ものすごく価値のあることだと思います。でも、率直なところ、私はあまり想像力をかき立てられるような感じはしませんでした。私がビデオゲームとか仮想現実とかに全然のめり込めない体質だからかなあ。

ダルフールからは、隣国チャド軍とスーダン政府軍の組織的な戦闘が起こったり、被害が東部に拡大したりといったニュースが伝えられています。

後に来る世代から「なぜジェノサイドを許したの?」と責められないようにしたいと思いつつ、何もできていない私です。「国を(憲法を、平和を)守るので精一杯だったんだよ」と言ったら、許してくれるでしょうか。

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2007年 4月 12日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007.04.11

韓国では日本文学が人気

伝言ゲーム的に話が少しずつ変わって伝わっているのではないかという一抹の不安があるけれど、中国の英字新聞で韓国の出版界における日本文学翻訳作品の話を読んだ:星洲日報の "Korean Literary Market Confronts Protracted Slump"。

韓国の出版界は停滞気味で、久しくミリオンセラーが生まれていない。2006年の出版点数は45,221件で、前年よりも4.4%増加したが、売り上げは12%落ちた。その中で、日本からの翻訳本は約4,300件で、翻訳本の約42%を占めている。大手の教保文庫では、韓国語で書かれた小説の売り上げがフィクション部門の23%であったのに対し、日本語からの翻訳小説は31%に達した。日本文学は、軽いものから純文学まで、幅広く売れている。

韓国の読者がより洗練され、多様な作品を好むようになったのに対し、韓国の作家は従前のスタイルから抜け出せておらず、「一人称小説」が多い。といったことが書いてあった。

韓国の若手作家で注目すべき存在としては、ユーモラスなパク・ミンギュ、ファンタジー系でかつ都会の疎外感をうまく描くキム・エラン、皮肉の効いた短編のイ・ギホの名前が、もう少し上の年代では、64歳のジョ・ジュンネの名前が挙げられている。

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2007年 4月 11日 午前 01:46 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.04.10

東京をボイコット

私は東京の渋谷区の生まれです。物心ついたころの都知事は美濃部亮吉さんでした。東京を離れて20年も経ちますし、望郷の念などという感傷にも無縁なのですが、石原慎太郎都知事の三選を目の当たりにして、ちょっと大げさですが「ああ、もう私が帰れる街ではないんだな」と思いました。首都の首長として大変恥ずかしい差別主義者が当選したということだけでなく、歩みを一つにできなかった(昔風に言えば)革新陣営の人たちにも落胆を禁じ得ません。その思いを「東京をボイコット」という行動にしてみます。

「東京をボイコット」で検索しても、一件も引っかかりませんねえ。ちょっと意外。商標登録でもしてみましょうか。最後に「。」を入れたりすると少し今っぽくなるかも。東京には仕事で年に5、6回しか行かないのですが、とりあえず宿は横浜あたりに取ることにします(高い宿に泊まる人なら、都の宿泊税も払わないことになるので効果的ですが、残念ながら私は安いホテルにしか泊まりません)。会議の日程を決める時などにも、一応、「この会議、都内で開く必要あります?」とか言ってみる。東京は避けて通れるものでもないので、これくらいかなあ。まあ、痛くもかゆくもなく、独善的ですが、しかたないですね。

さて、振り返って、私が住んでいる市の京都府会議員選(定数2)は、以下のような結果でした。なんとも代わり映えがしません。ご近所の人たちの傾向を考えても、思わず納得してしまう数字です。

2003年2007年
民主党現職9,10939.2%8,95338.2%
自民党現職8,26235.5%8,32835.5%
共産党新人5,89225.3%6,16826.3%
23,26323,449

選挙戦の間、一番頻繁に回って来たのは自民党候補の車でした。名前の連呼しかしないのが特徴的でした。それでも当選するんですよねえ。そこらへんがこの街への失望に私を誘いますが、自分の住んでいる街をボイコットするわけにもいきませんから、政党に属さない一市民として、少しでもよくしていく努力を続けていこうと思います。

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2007年 4月 10日 午前 12:00 | | コメント (3) | トラックバック (8)

2007.04.09

なんてったってアイドル

柄にもなく、女性アイドルを二人、紹介します。

一人目。台湾のレイニー・ヤン(Rainie Yang)こと楊丞琳(Yang Chenglin)さんというアイドル歌手が中国で批判を浴びているという話を産経新聞で読みました。4年前にクイズ番組で日本と中国が何年間戦争をしていたか聞かれて答えられなかったことや、日本のテレビのインタビューで「私、前世は絶対日本人だったと思います!」と語ったことなどが問題にされ、新作の映画封切りを控えて歴史に関する無知を謝罪したら、今度は「動機が不純だ」と槍玉に挙げられているとのことで、ちょっと可哀想です。

産経の話をそのまま信じるのも不用意すぎるので、一応、ウラを取ってみました。新浪網の記事が楊さんの過去の語録集みたいなものも付いていて、参考になります。「三国志」について聞かれて、「どこの三か国ですか」と答えたなど、かなり天然ボケキャラの人みたいです。いずれにせよ、日本が過去の歴史と誠実に向き合ってこなかったことで、日本びいきの人が辛い思いを味わっているという話だと思うのですが、産経の記事は全くの他人事のように書いてあって、冷酷だなあと思いました。

楊さんのサイトの一番下で、歌声を聴くことができます(Firefox ではだめみたいです)。ライブはお世辞にも上手には聞こえませんが、後ろのほうにある「遇上愛」というアルバムの曲はわりといいものもあります。残念ながら全体的にあまり私の好みではありません。こういう可愛い女の子が好きな人は、ぜひ応援してあげてください。ちなみに、今回封切られる映画は同性愛を扱ったものだそうです。私も応援します。

ご紹介するアイドルの二人目は Shada Hassoun さんです(Shatha と綴られることもあるようです)。アラブ世界で大人気のレバノンの Star Academy というアイドル発掘番組にイラク代表として出場し、3月の終わりに、みごと優勝を飾りました。

ワシントン・ポスト紙の記事によると、シャダ・ハッスーンさんはお父さんがイラク南部の出身で、彼女自身はモロッコで生まれ育ち、フランスの学校に通ったようです。だれも彼女がシーア派かスンニ派か知らないことが幸いして、宗派間抗争に苦しむイラクの人々の心を「統一」する存在として、イラクの人々に幅広く支持されているようです。

決勝でシャダさんは Fairouz の「バグダッド」を歌いました(YouTube)。優勝が決まり、シャダさんはイラクの旗を掲げます(YouTube)。彼女が出ているこの携帯電話のコマーシャル(YouTube)がすごく素敵だと思います。この別れた恋人たちがよりを戻すように、イラクの人々がお互いに歩み寄れますように。

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2007年 4月 9日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.04.08

シアトルのレイチェル・コリー

現在、シアトルで上演中の My Name is Rachel Corrie の劇場パンフレットに、地元のユダヤ人団体が「彼女はブルドーザの前で転んだだけだ」「パレスチナ人の自爆テロで殺されたレイチェルという名前のイスラエル人もいる」などと書かれた広告を掲載しているのだそうです(Infoshop News の記事)。劇場の芸術監督は、残念なことだが、そのような主張をする団体にも言論の自由があるのだから、しかたがないと述べています

リンクは張りませんが、シオニスト系のサイトでは「彼女はパレスチナ人の陰謀で殺された」という広告を載せようぜ、みたいな話題で盛り上がっていて、まあ、どこの社会にもこういう不愉快なことを考える人がいるものだと、ある意味、感心しました。

一方、Seattle Post-Intelligencer 紙に掲載された Robert L. Jamieson, Jr. さんのコラムでは、シアトルでの劇の上演にも助力したユダヤ教の聖職者の話も紹介されています。この劇が「自らの理想とそれを実行に移す能力の間でどのようにバランスを取るか、そして困難に直面した時にいかに虚無主義に陥らないようにするか」という一人ひとりが考えなければならない普遍的な問いを投げかけているのだと語る Daniel Weiner さんの言葉には、考えさせられるものがあります。

その言葉を噛みしめながら、私も今日、投票に行きます。京都に住む私には「宣戦布告」などという言葉を口にして喜んでいる人を都知事の座から追い落とすことはできませんが、私の街で、よりよい人が選ばれるように。

レイチェル・コリーとはどんな人だったのかについては、P-navi info の「レイチェル・コリーの死から4年」の記事にリンクを張っておきましょう。私も一年前に記事を書いています。

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2007年 4月 8日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2007.04.07

天然ガスと歴史認識

昨年10月に、オスマン・トルコによるアルメニア人の虐殺を否定する言動を罰する法案をフランス議会下院が可決しました(10月13日の「ジェノサイド否定論者を取り締まる」の記事をご参照ください)。トルコの英字紙 The New Anatolian の4月6日付け "Turkey blocks GdF talks in 'genocide' row" などの報道によると、トルコ政府は、これに反発して、計画中の天然ガスパイプライン Nabucco の合弁事業にフランスの Gaz de France 社の参入を拒否することにしたそうです。国営 BOTAS 社が今まで行なってきた折衝を来年のフランス大統領選後まで凍結するとのこと。このほかにもトルコは軍事面でのフランスとの協力関係も停止させています。

パイプライン計画は、ヨーロッパへのエネルギー供給の分野でのロシアの覇権を揺るがす、地政学的にも重要な意味を持つ大きな事業のようですが、歴史認識の問題が喉に刺さった魚の骨のようになっているということでしょう。あまり他人事とも思えません。

昨年9月に「虐殺は幻、あいつは民族の敵」の記事で名前を挙げた Hrant Dink さんが、1月19日に暗殺されました。それを受けて、トルコ刑法301条の撤廃を求める決議案がアメリカ議会下院に提出され、外交委員会で審議されているそうです(H. RES. 102)。

他の国の非人道的な過去を糾弾するのにふさわしい高潔さをアメリカ自身が持っているかと言えば、決してそうだとは言えないと思いますけれど、どの社会にも心ある人たちはいるはずで、それはアメリカも例外ではないと思います。そして、そのような人たちと手を携えて歩いて行きたいと思いませんか? もしそう思われたら、どうかその気持ちを署名として表現することを検討してみてください。

トルコのことについては、4月3日にも書きました。合わせて読んでいただけるとうれしいです。また、コメントやトラックバックに関しては、3月28日の記事もご参照ください。

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2007年 4月 7日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.04.06

大学人署名二つ

大学の教職員の支持を訴えている二つの活動を紹介します。

一つは改憲と国民投票法案に反対する大学人アピールです。国民投票法案が平和主義に基づいた現行憲法を変えることを容易にするための第一歩だという点のみならず、その中に「公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」の条項(自公修正案の要綱によれば「教育者は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用して、国民投票運動をすることができないものとすること。ただし、違反した場合の罰則は設けないものとする。」)が書き込まれていることに対して、私は強い危惧を感じます。

授業中に自分の意見を延々と述べて押しつけてはいけない、という話なら納得できないでもない(教育というものが、教師の人間性に拠るものであることを考えれば、この部分ですら簡単に納得してはいけないのでしょうけれど)のですが、投票年齢に達していない「児童」(小学生)や「生徒」(中高生)に対する影響力等を問題にしているところを見ると、もっと広い局面での制約が意図されているのでしょう。とても心配です。

このアピールには、私も賛同者に名を連ねました。まだ呼びかけ人、賛同者を募集中とのことです。私がこのアピールを知るきっかけとなったペガサスブログにトラックバックを送ります。

もう一つは、ロシアのモスクワ国立大学社会学科の学生たちが募っている署名およびファクス、メール等の送信です:ここ に英語の呼びかけ文があります。

学生たちによれば、モスクワ国立大学の社会学科では、有能な教員はみな去ってしまい、レビ・ストロースがだれかも知らない教員がいて、試験には学科長の書いた国粋主義的(反ユダヤ的)な本が範囲に指定されているなど、教育の質の低下が著しいのだそうです。世界各国の大学教員が声を上げて、圧力をかけてほしい、とのことです。

純情な「大学の自治」の考えからすると外から圧力をかけることには躊躇してしまいますし、ほとんどのページがロシア語で私には読めないので、私はまだ署名をしていないのですが、日本も放っておくと、こんなふうになるのではないかなと思い、ご紹介します。この署名運動については仏リベラシオン紙の記事で知りました。

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2007年 4月 6日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (3)

2007.04.05

ニューモント社裁判の判決言い渡しは延期

2年半ほど前から、インドネシアのスラウェシ島北部にあるブイヤット(Buyat)湾に、ニューモント(Newmont)社によって金採掘の廃棄物が投棄され、住民の健康被害が出ているといわれる公害事件について、何回か書いてきました。

当初、4月4日にマナド地裁で判決の言い渡しが予定されていたのですが(インドネシアの環境団体 WALHI のサイト)、18日まで延期になったようです:ロイター電 "Indonesia court delays verdict on Newmont"。去年の暮れごろから、あまり記事が見あたらなかったのですが、まばらな記事から得た印象では、政府側の健康被害の論証はかなり弱く、ニューモント社側は「インドネシア警察の調査は非科学的だ」といった感じの高圧的な反論を繰り返していて、事実として暮らしを脅かされているブイヤット湾住民に有利な判決が出ることは期待できない情勢だと思います。3月中旬の豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙 "Indon court set to find Newmont guilty"は、検察側が勝訴に自信を持っているようだと報じていますが…

インドネシアの報道では確認していないのですが、アメリカの鉱業業界紙の記事では、WALHI が新たにニューモント社とインドネシア環境省を提訴したという情報もあります。

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2007年 4月 5日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.04.03

トルコの愛国心教育

ロイター電で "Seeds of Turkish nationalism sown at school" (トルコのナショナリズムの種は学校で蒔かれる)という記事が流れている。トルコの愛国主義、軍国主義的傾向と教育の現状を概観したものだ。私にもっと文才があったら、上手に日本の情況と比べて、私たち自身に対する警鐘として記述できると思うのだが、力不足のため、記事の要約にとどめたい。

小学校では毎朝、校庭で朝礼があって、「トルコ人であるのは幸せなことです」といった誓いの言葉を朗読して、勤勉や奉仕の精神を身につける。廊下の壁には、国を守ることが国民の義務だとか国歌を尊べといった標語が書かれている。授業では、いかにトルコが周囲の国々からの脅威にさらされているかを学ぶ。国際的にはオスマン・トルコが1915年にアルメニア人の大量虐殺を行なったというのが定説となっているが、トルコの学校で教えられるのは、反対にアルメニア人がトルコ人を殺したという歴史だ。国のために戦って死ぬことは大切なことだといった政府の方針と異なることを教室で言おうものなら、教師は生徒や親や同僚たちから徹底的な批判を受けるので、みんな黙ってしまっている。

エリート校とその他の普通の学校の格差は大きく、現行の教育行政では格差は縮まりそうにない。国の教育予算支出は国際的に見ても少ない。15歳の時点での数学の学力の国際比較などを見ると、トルコはとても低い。

何年か経ってこの記事を読み返して、安倍政権が行なおうとしている教育改革をなぜもっと厳しく批判しなかったのかと自分を責める自分の姿を想像することは、怖ろしいほど簡単だ。

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2007年 4月 3日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (3)

2007.04.02

パレスチナ、イスラエルの言語事情

In Mideast, a Growing Linguistic Divide というワシントン・ポスト紙の記事に、アラビア語を学ぶイスラエルのユダヤ人、ヘブライ語を学ぶパレスチナ人がどんどん減っているという話が出ている。

アラビア語を学ぶ人が減った理由は、イスラエル経済が発展するにつれてヨーロッパが主な市場だという意識が強くなり、近隣のアラブ諸国が目に入らなくなったということだとされている。徴兵制の軍隊で、比較的に安全な諜報活動の部署に配属されることを望む者だけがアラビア語を学んでいるというのが現状のようだ。そして、兵役期間が終わったらアラビア語を学ぶ動機付けがなくなるため、イスラエルでは大学のアラビア語学科が閉鎖の危機にさらされている(これは、裏を返せば、対アラブの情報収集を中学高校でアラビア語を学んだだけの素人のような人に頼っているということで、そんなことでいいのか、他人事ながら、いささか心配になった)。

ヘブライ語を学ぶパレスチナ人が減っているのは、予想通り、アルアクサ・インティファーダ以後、イスラエルでの就労の機会が減ったことによる。以前はイスラエルへの移民にヘブライ語を教える学校にパレスチナ人も通うことができたが、現在では隔離壁の建設などにより就学が困難になっている。パレスチナでヘブライ語を教える学校では、政治犯としてイスラエルの刑務所で服役していた時にヘブライ語を学んだ人が教師をやっている。

記事には以下のようなことも書かれていた:

  • イスラエルの公用語はヘブライ語とアラビア語
  • イスラエルのユダヤ人向け公立学校では、10年生までアラビア語が必修というのが建前であるが、およそ3分の1の生徒はフランス語、ロシア語などの言語に振り替えて学ぶか、アラビア語が必修ではない私立学校に通う
  • 11年生、12年生でアラビア語を選択する生徒は2.5%に過ぎない
  • イスラエルのアラブ人学校ではアラビア語とヘブライ語を学ぶ。パレスチナ自治政府の下の学校ではヘブライ語は教えられていない
  • イスラエルのすべての高校生は英語が必修で、試験に合格しないと卒業できない

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2007年 4月 2日 午前 12:31 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.04.01

参院選に向けた決意

イラク戦争に反対した元駐レバノン大使の天木直人さんが、質問主意書の制度を有効に使えば、議席が少なくても政治を変え得るような新党を作ることができるのではないかという提案をなさっています。質問主意書については、最近、私も辻元清美議員(社民党、衆議院比例近畿)が提出したものについて取り上げました。それを見る限り、質問主意書に対する安倍内閣の答弁書も、国会での答弁と同じぐらい虚しいものであるような気もしますが、質問時間の制約にとらわれず政府の姿勢をただしていけるこの制度は、確かにもっと活用されていいと思います。

「質問主意書新党」の可能性については、村野瀬玲奈さんなどいろいろなかたがネットで論じていらっしゃいます。はなゆーさんからは、この夏の参議院選の候補者の候補の一人として私の名前が挙げられました

天木直人さんとは自衛隊派兵差し止め名古屋訴訟の原告としてご一緒させていただきましたし、ブナ林便りではいつもお隣同士です。きっと力を合わせてやっていけると思います。そもそも私が国立大を辞めて私立大学の教員となったのも、自由に政治的な発言がしたかったからです。私のブログを継続的に読んでくださっているかたなら、私がどれだけ今の政治に不満を感じているかはご存じだろうと思います。政治の流れを変え、自由、平和、平等、友愛といった理想を現実のものにしようと願う私たちは、今、とても重要な岐路に立っていると考えます。7月22日の参議院選までに私たちに残された時間は限られていますが、私も無理を承知で、力を尽くそうと心を決めました。

ここ数日は、私のテーマ色を決め、さりげなくこのブログでもその色を使ってきました。あいにく私には黒のフリースで政見放送に出て「もはやこんな国は滅ぼすしかないっ!」と喝破するようなカリスマがありませんから、ポスターや政見放送では、マルコス独裁政権を倒した「ピープル・パワー革命」のコラソン・アキノ元フィリピン大統領にあやかったこの色のタキシードを着て、「ラバン」(若い人は知らないかもしれませんね。親指と人差し指でLの文字を作ります)とか「ピース」とか「ゲッツ」とかやろうと考えていました。淀川の川べりで練習もしました(ちなみに、川の向こう側では、「カッシーニでの昼食」ブログのかたが京都府議会議員選挙を戦っておられます)。

しかし、私はこの夏の参議院選に立候補することを断念します。最大の理由は家族の理解が得られなかったことです。に相談したところ、「ようやく単身赴任から帰ってきて、いっしょに暮らせるようになったのに、今度は東京に行ってしまうなんて、ニャんたること!」と猛反対されてしまいました。

国会での議席を目指そうが目指すまいが、戦争放棄を誓った憲法の理念を貫き、市民一人ひとりが誇りと希望をもって生きていける社会をつくっていきたいという私の想いは変わりません。私は闘い続けます。どうか今後とも、このブログをよろしくお願いいたします。

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2007年 4月 1日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (1)

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