ピレシア人は国に帰れ!
Fond Only Of Hungarians ― 最近行なわれた世論調査でハンガリー市民の外国人嫌いが進んでいることが分かったという IPS の記事。1989年に社会主義体制が崩壊した後、言論の自由は進んだものの、失業や未来に対する絶望感も増え、それとともに民族主義的な考え方や排他的な感情も高まってきたという。
ブダペストの Tarki 社会学研究所の行なった調査によると、あからさまに他民族排斥的な考え方を持っているのは人口の4分の1に過ぎないが、ハンガリー国内にいる他民族に対して拒絶感を持っている人は、着実に増えている。質問項目の中には、ルーマニア人、ロシア人、アラブ人、中国人など実際に移住者がいる民族に加えてピレシア人(Piresians)という架空の民族に関するものも含まれていて、「ピレシア人がハンガリーにいること」に対する反感は昨年より9%も増えて68%にも達した。進歩的な Népszabadság 紙は、「ピレシア人はハンガリー人から仕事を奪っていき、国を乗っ取ろうとしているのだ。あなたが駐車しようと思った時にそのスペースを一歩先に取られてしまったなら、そいつはピレシア人に間違いない」と、潜在的民族差別主義者たちをおちょくっているという。
他民族の市民や同性愛者が身の回りにいると答えた人は寛容度が高いという結果も出ている。ただし、ロマ(いわゆるジプシー)に対する偏見は、ロマと日常的に接触のある人たちの間にも強い。難民受け入れに対する拒絶も強く、積極的な回答をした人は6%に過ぎない。
背景説明として、ハンガリーは人口の94%がハンガリー民族、95%がハンガリー語の母語話者であって「等質性が高い」ことや、移民人口は首都ブダペストに集中していること、ゆるやかな保守主義が主流の非都市部に対し首都ではリベラルな考え方と同時に極右勢力も多いことが記されている。
あまりしっかりと調べていないのだが、オリンピック開催に立候補しようかという話は出ているものの、首都の知事が好戦的な右翼の民族主義者で女性を蔑視したり市政を私物化したりしているということはないようだ。
Tags: ハンガリー, ナショナリズム, xenophobia, 多文化共存, 寛容
2007年 3月 25日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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コメント
ナチズムが押し寄せてくるまでのハンガリーは、異文化に対しヨーロッパでもっとも寛容な国でしたし(だから多くのユダヤ人はハンガリーに移り住んだのです)、現在のハンガリーの人たちに当時の面影を見ることは難しくないと個人的には感じていますので、こうした調査結果は残念でありません。
ただ、このIPS の記事にも書かれてますけど、これはEUの一部の国においてみられる共通の傾向だと思います。
ピレシア人のエピソードにしても、ハンガリーの人たちが過剰反応してるというのではなく、歴史的に傷を背負わせられてしまった国民に、取り付いて離れない悪夢がこういう形で回帰してきたということだと思います。
私としては、ハンガリーが成長することによって、そうした悪夢を振り払ってくれることを願いますし、今の段階で安易にハンガリーを東京と同列において比べるのはハンガリーに失礼ではないでしょうか。
私が知ってるのはブダ地区に住む人たちだけですので、多少偏りがあるのかもしれないですが、あんなに誇り高い民族はないと思ってます。
投稿: miele | 2007/03/27 3:32:22
mieleさん、コメントありがとうございます。
私もこれまでに何人かハンガリーの人と知り合う機会があって、その人たちが読んだとしても笑って許してもらえる記述にしたつもりです。
記事を書いてから思い出したのですが、私、半年前にも東欧のナショナリズムについて書いていますね。
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_5c3f.html
この時も、東京と比べてました。あらら。
投稿: うに | 2007/03/27 8:16:35
些細なことですが、彼らをいまだに東欧と呼ぶのは何か意図してのことなのでしょうか?
私は、ソ連邦も消滅して久しい今、地理的に中欧と位置づけるべきだとの流れにあると認識しています。
うにさんが、こうした基本的な認識を欠いてらっしゃるとは思えないのですが、つい出てしまったのだとしても、こうした場所では目にしたくない単語に残念だと思うのみです。
投稿: miele | 2007/03/28 1:53:39
確かに中欧のほうがいいですね。ご指摘ありがとうございました。
投稿: うに | 2007/03/28 7:32:51