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2007.03.18

答弁になっていない

辻元清美衆議院議員(社民、比例近畿)のサイトに、辻元議員が提出した「安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問主意書」への答弁書が掲載されている。率直なところ、安倍首相の不誠実さや愚鈍さに失望を禁じ得ない内容だ。ここにある一問一答形式のものが分かりやすい(ただし、ワード文書形式)。

辻元議員の最初の質問は、強制性の定義に変遷があったと安倍首相が述べていることについて、「何の定義が、いつ、どこで、どのように変わった」のか具体的に示せというものである。この部分に関しては、答弁書には何も書かれていない。答えたくない、答えられないのだと私たちは理解すべきだろう。

第2問は、強制性を裏付ける証拠がないという安倍首相の発言に関するもので、これに対する答えが、報道されているように「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」というものである。調査結果については、アジア女性基金の『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』を参照しろということらしい。3月6日に書いたように、この資料集には朝鮮総督府やその行政下の地方自治体からの文書が含まれていない。この面で調査が十分であったか、私たちはよく考えるべきである。

第5問は、「安倍首相は、「決議案」のどの部分が、どのように「客観的な事実に基づいていない」と判断しているのか。文言ごとにすべて明らかにされたい」というものだ。それに対する返答は、「御指摘の決議案については、米国議会で今後議論されていくものでもあり、政府として、その問題点を一つ一つ取り上げて意見を述べることは差し控えたいが、全般的に、慰安婦問題に関する事実関係、特に、慰安婦問題に対する日本政府の取組に対して正しい理解がされていないと考えている」となっている。これも3月6日に書いたことだが、具体的にどこが悪いのか言わなければ、安倍首相の見解は全く説得力を持たない。国会での議論を非生産的なものにしているのは安倍首相その人である。

3年ほど前に、当時の川口外務大臣が語用論(とりあえず、言語コミュニケーションを成り立たせるために私たちが暗黙の内に守っている決まり事、とでも言い換えておこう)をちゃんと理解していないのではないかという指摘をした。もし天然の愚鈍さでこのような答弁書を作成しているのであれば、安倍首相はもっと酷いと思う。グライスの『論理と会話』を買って、関連するところに下線でも引いて贈ってみるといいかもしれない。もっとやさしい入門書のほうがいいか。もし意図的にやっているのなら、それは安倍晋三という人物が不誠実極まりない、汚い人間だということで、そんな人物を「権力の頂点」(彼自身の表現による)に置いておくことは、私たち有権者一人ひとりの罪でもあるだろう。

辻元議員や、党派を問わず国会議員のかたがたの手によって、日本がその民主主義に誇りを取り戻せるよう、厳しく安倍首相の姿勢が問われることを希望する。私も市民としてできるだけのことはやっていきたい。

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2007年 3月 18日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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