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2007.02.26

未来は既にやって来た

Climate change laps at Bangladesh's shores ― 21日付けの Los Angeles Times 紙の記事。25日のボストン・グローブ紙にも転載されていた。バングラデシュ南西部の Bhamia という村では、数年前まで飲み水として問題なく利用できていた池が、最近では塩分の含有量が増して、飲用に適さなくなってしまった。水浴びをすれば、乾いた後、肌に細かな塩の結晶が残る。塩分を含まない水を得るには、数キロ歩いて別の村に行かなくてはならない。より激しい洪水に見舞われることが多くなった他、海水が川を逆流してきて地下水源に染みこみ始めているのだ。

温暖化は、もちろん未来の悲劇でもある。2040年までに海面が30センチほど上昇したならば、約1億5千万のバングラデシュの人口の12%が住んでいる場所が海に沈んでしまう。今世紀の終わりまでに90センチ上昇するというシナリオのもとでは、国土の4分の1が海中に没し、3千万人が家を失う。30年前に作られた堤防は、洪水が激しくなって、洪水時の水面が3メートルも上昇したため、役に立たなくなってしまった。このような数字だけでも、私たちの身の回りに比べ逼迫した事情が察せられるが、飲み水がなくなったり、塩分が多くなったため米が育たなくなったりして、温暖化は、ここでは既に現実のものとなっている。未来は既にやって来ているのだ。

村で小学校を終えた人は5人に1人ぐらい。多くは文字の読み書きができない。村人たちは、自分たちの不信心が神の怒りを誘ったのではないかと囁き合い、洪水や、台風や、酷暑からの救いを求めて祈っている。もちろん、バングラデシュは、その人口の多さにも関わらず、地球の温暖化の原因となっているガスのほんのわずかしか排出してはいない。問題は彼らの不信心ではなく、私たちの放縦だ。彼らはその甚だ不公平な被害者に過ぎない。

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2007年 2月 26日 午前 12:34 | | この月のアーカイブへ

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