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2006.12.15

手をたずさえる時代

昨日は、授業を終えて急いで部屋に戻り、参議院の中継をネットで見ました。午後6時04分。教育基本法案が特別委員会で可決。悔しかったです。昔のことを思い出しました。

2003年の7月8日、私は参議院の文教委員会を傍聴していました。当時、私は国立大学に勤務しており、6月末まで組合の執行委員をしていて、国立大学法人化に反対する立場で、審議を見守っていました。自分が悪法だと確信している法案が目の前で可決される虚しさや屈辱を味わいました。その時に職場のメルマガに書いた傍聴記を読み返してみました。審議と採決のようすを伝えた後、私はこう書きました。

私は、自分たちの雇用や労働条件を守るという地道な仕事と、自由や平和や平等、民主主義などの理想を実現していくという働きを組合に期待します。法人法案廃案は、その二つの目標がぴったりと重なり合った、ある意味で取り組みやすい課題だったのだと思います。これから先、この二つは表面上、別々の道になってしまうでしょう。法人化準備の中、私たちの職場を脅かす力は今までとは比べものにならないほど強くなり、より具体的な姿を見せてくるに違いありません。その一方、教育基本法や憲法を変え、戦争のできる国を作ろうという動きもまた、弱まることはないでしょう。その根は一つなのだろうけれど、実際の私たちの取り組みはばらばらになってしまいかねません。

職組が取り組まなければならない課題をいくつか検討した後、私はこう書いています。

これらは、どれも、組合員みんなが腹をくくって力を合わせなくては動かすことができない大きな岩のような課題です。社会を変えようなどという大それた考えをいだいていなくても、自分の生活を守りたいだけでも、そのためには手をたずさえ、そして一人でも多くの仲間を見つけて、行動していかなくてはならない、そんな時に私たちはいるのではないでしょうか。

3年余りの時が過ぎ、憲法を変える企みの大きなステップが現実になってしまいました。この間に、私は国立大学から私立大学へと職場を移しました。でも、問題は同じなんです。教育に短期的な経済的な尺度を当てはめて教育の姿を歪めていく力。一人ひとりの自由な思考を育てるのではなく、経営者や指導者の求める方向性を受け容れる人を生産するための飼い慣らし。

こんなことで「教育が再生する」わけなどないことは、明らかだと思うのですが。単調なパターン美が形作られる以外に「美しい国」が近づくわけなどないと思うのですが。

3年前には、新幹線に飛び乗って国会の傍聴に行ったのですが、今、私にはそれを許す健康がありません。国会のまわりに集まる人々に思いを託すのみです。でも、数年後、もし憲法が変えられようとしていたならば、私も必ず国会の前に行きます。国会を取り巻くみなさん、そしていろいろなところから私と同じような思いに駆られているみなさん、(必ず来るであろう)その時に会いましょう。そして、それまで、一人ひとりの場所で、できるかぎりのことをやっていきましょう!

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2006年 12月 15日 午前 12:58 | | この月のアーカイブへ

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12月14日。 教育基本法・参院委員会強行採決に抗議 http://www.youtube.com/watch?v=TgYwQPWOQ0w ★この類の動画に簡単な説明文を付けて、矢継ぎ早にユーチューブやグーグルビデオにアップして、世論をじわじわと刺激する対ネット戦略が、教育基本法改定反対派には..... 続きを読む

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» 本当にありがとう トラックバック ブログ「旗旗」
つまり彼らはたまたま今は「国会議員の数が多い」以外になんら自分たちのやっていることの正当性を論理で説明することができないでいる。後は「こうだったらこうだい!」と駄々をこねまくっているだけで、何一つまともに反論してこなくなった。この姿勢はとりわけ衆院の�... 続きを読む

受信: 2006/12/15 9:27:54

» 日記:今日から新たに 教育基本法が死んだ翌日に トラックバック P-navi info
うにさんのエントリへのレスでもあります 続きを読む

受信: 2006/12/16 21:06:06

» 怒りを忘れた日本人・・・ トラックバック はんなり・・・
  昨日の夕方、とうとう参院本会議にて、教育基本法改悪案が、民主・共産・社民・国民新の野党4党の反対の中で、自自民、公明両党の賛成多数をもって可決、成立した。  でも、その現実を真っ向から受け止めている国民は少ない。 メディアも、どうでもいいことばかり...... 続きを読む

受信: 2006/12/17 12:44:09

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忘年会で、旧友から教育基本法の話題を振られた。もちろん僕がブログでその問題を取り上げていることを知っての話である。彼は「根本的に、教育基本法を改正しようという連中の言うことも、それに反対している連中の言うことも、どっちもわからない」と切り出した。 続きを読む

受信: 2006/12/17 18:13:08

» 「STOP!教育基本法」のバナーについて トラックバック ++つぶやき手帳++
改悪法の参院本会議の採決により、当面の反対闘争としては「敗北」を喫したことになる。当ブログでは徹底抗戦の意を示すため、遅ればせながら(10月29日エントリー)「STOP!教育基本法」のバナーをサイドバー最上部に掲げた。法案が通過してしまった今、このバナーを掲げ続けることは意味がないのであろうか?ここでいったん「敗北」をしてしまい区切りのついたテーマなのだから、こんどは次の闘争課題に向けて差し替えるべきものだろうか? そうは考えない。 正確に言えば、リンク先の全国連絡会サイトの動向もあるので、... 続きを読む

受信: 2006/12/18 3:48:18

コメント

こんにちは。
昨日、トラバを試みさせていただいたのですが、エラー。(; ;)
でも、今日は、上手くいきました。

本当に、上に立つ人間にロクな人間が居ないのはどうしでしょうか?
それとも、上に上っていくうちに、ロクでもない人間にならなければ落ちてしまうのでしょうか。

投稿: はんな | 2006/12/17 12:48:35

はんなさん、こんにちは。

はんなさんや私が「ろくでもない」と考えるイデオロギー(この語の定義をあまりよく知らずに使っています)を持つ人たちのほうが団結力も資金力もありますからねえ。私たちもあきらめちゃいけないんだけど。

投稿: うに | 2006/12/17 21:49:41

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