死刑廃止と憲法改正
«Nul ne peut être condamné à la peine de mort» (なにびとも死刑に処せられることはない) ― フランスでは、死刑の廃止を定めた憲法改正案を来月(2007年1月)、シラク大統領が発議するらしい。死刑の禁止は1981年に法令化されているが、容易に覆されないよう、憲法自体に書き込んでしまおうというもの。
12月25日、日本では4人の死刑囚が処刑された。どんな理由であれ人を殺める権利が国家にあることを認めてしまうと、恣意的、政治的に死刑執行を行なう国を批判することができなくなってしまうという一点からでも、死刑廃止は私たちも目指さなければならない方向だと思う。死をもって罪を償わせるという原初的な「仕返し」の発想から人類が解き放たれる日が来るかどうかは分からないのだけれど、死刑廃止が普遍的、世界的な流れになることは間違いないと思う。冒頭で言及した仏リベラシオン紙の記事によれば、現在でも、国連加盟国192か国のうち119か国で死刑は廃止されている。
今の憲法が古くなったからと言って自民党が提案している新憲法草案では、第31条に「何人も、法律の定める適正な手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」とあり、逆説的な書き方ではあるが死刑を容認する姿勢が明確に示されている。これがこれからの時代に相応しい憲法になるとは私には思えない。
死刑廃止の意見を表明しているかたがたにトラックバックを送ろうと思います:秘書課、村野瀬 玲奈です。、どん底あるいは青い鳥。、死刑問題特報室、薫のハムニダ日記、保坂展人のどこどこ日記。
2006年 12月 29日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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» クリスマスの死刑執行を報じるル・モンド紙の記事 トラックバック 秘書課村野瀬玲奈です
「ル・モンド」の記事は、12月25日の政治的死刑大量執行が外国からはこう見えるという一例です。忙しさで翻訳が遅れてしまい、申し訳ありません。私も記事を翻訳してくれる秘書がほしい。しかし、「世界愛人主義同盟」社長によると、予算が足りないので私の秘書まで雇う ..... 続きを読む
受信: 2006/12/29 15:16:09
» フランス、「改憲」へ トラックバック 秘書課村野瀬玲奈です
「壊れる前に...」のうにさんから、「死刑廃止と憲法改正」というエントリーのトラックバックをいただきました。ありがとうございます。さっそく、紹介されたリベラシオン紙を見に行きました。そこには予想以上のすごいことが書いてありました。********************** ..... 続きを読む
受信: 2006/12/29 19:02:50
» 私の死刑考 トラックバック 言ノ葉工房
12/25日のクリスマスに、再審請求中の死刑囚を含む4名の死刑が長勢甚遠法相の署名によって執行されました。
私は5年程前に、とある講演を聞いてから、長い間死刑について考えて来ました。それらをノートに書いていたので... 続きを読む
受信: 2006/12/29 19:12:08
» クリスマスに死刑を執行する美しい国、ニッポン トラックバック 薫のハムニダ日記
死刑執行:4人に 安倍政権で初 1年3カ月ぶり
◇死刑制度の維持したい法務省の強い意思
9月末に就任してからまだ日の浅い長勢甚遠法相が25日、一度に4人もの死刑執行を命じたことは、毎年執行の実績を積み重ねることで、死刑制度の維持を確かなものにしたい法務省の強い意向を反映している。杉浦正健前法相が死刑執行命令書への署名を拒否したまま退任したことから、同省としては今月の執行を逃せば14年ぶりに「死刑執行なし」になるという事情があった。
(毎日新聞 2006年12月25日)
今日、12月25... 続きを読む
受信: 2006/12/29 22:50:20
» 日記:死刑について トラックバック P-navi info
忘れられない光景をドキュメンタリーの中で見た。場所は米国のとある刑務所の前。真夜中の12時に多くの人が詰めかけ、奇声を発している。その米国の州では死刑執行の氏名、日時が前もって知らされるという。人々はその情報を元に死刑執行の瞬間を待ち望んで集まっていた。 続きを読む
受信: 2006/12/30 20:35:48
» 死刑執行 トラックバック ミクロネシアの小さな島・ヤップより
フセイン元イラク大統領の死刑が執行されたようだ。
また、就任して3ヶ月しかたっていない長勢甚遠法務大臣は、早速4人の死刑執行命令書に署名した。そしてこの12月25日、刑は執行された。クリスマスの日に死刑執行を行う「国際感覚」は、さすがだね(秘書課、村野瀬 玲奈嬢のル・モンド紙の記事訳をぜひ参照されたし)。毎年執行の実績を積み重ねることで、死刑制度の維持を確かなものにしたい法務省の強い意向を反映している。杉浦正健前法相が死刑執行命令書への署名を拒否したまま退任したことから、同省としては今月の執行... 続きを読む
受信: 2006/12/31 10:46:52
» クリスマスの死刑執行について トラックバック Tomorrow is Another Happy
昨日のエントリーに、シッポちゃんからこんなコメントをいただいた。
私は死刑制度がある以上、死刑執行がクリスマスだからといって
そういう感傷を抱くのも少し違和感があるんですけどね。
これが本人の誕生日とかなら... 続きを読む
受信: 2007/01/02 2:23:01
» クリスマスに死刑 トラックバック おこじょの日記
Timesの記事。 Four hanged on Christmas Day - World - Times Online The death penalty is supported widely in Japan and analysts said that the Government wanted to carry out executions in 2006, which would have been the first year without hangings since 199... 続きを読む
受信: 2007/01/04 16:42:38
» 潘基文国連事務総長のフセイン死刑擁護発言!? トラックバック 薫のハムニダ日記
国連事務総長に就任した潘基文氏が、昨年末にあわただしく執行されたイラクのフセイン元大統領の死刑に対して「各国が決めることだ」などと死刑を擁護するともとられかねない発言をしたことが、韓国内でも反発を招いています。
潘基文事務総長はその後、軌道修正を図っているようですが、今日のハンギョレ新聞にはこんな一コマ漫画や、こんな社説が掲載されてしまいました。
死刑制度反対 -国連-
潘基文国連事務総長
フセイン処刑擁護発言
(ブッシュ)ナイス!
死刑存置国出身の国連事務総長の限界
... 続きを読む
受信: 2007/01/06 0:26:21
» 死刑廃止を憲法で規定することを決めたフランスの「改憲」 トラックバック 村野瀬玲奈の秘書課広報室
「秘書課、村野瀬玲奈です。」で、「フランス、『改憲』へ (死刑廃止)」という記事を2006年12月29日に紹介しました。
さて、今日は、先ほどヤフーフランスでヘッドラインのトップに出ていた続報です。
(引用開始... 続きを読む
受信: 2007/01/31 3:10:34







コメント
こんにちは、うにさん。
TBありがとうございました。こういう「改憲」なら歓迎ですね。数年前からフランスの世論調査では死刑反対が50%超で推移しているようなので、もう死刑が復活することはないでしょうが、死刑否定の意思をはっきりさせるということなのでしょうね。
あ、ちなみに、死刑反対を表明しているブロガーはもっとおおぜいいます。紹介しましょうか?(^^)/
投稿: 村野瀬玲奈 | 2006/12/29 1:28:11
>12月25日、日本では4人の死刑囚が処刑された。
日本は秘密裡に執行されてしまうことが恐ろしいですね。
永山則夫の死刑も、未成年の殺人が起こって、ものすごいスピードで執行されていったと記憶しています。
ただ、光市母子殺人事件のような悲惨過ぎる事件、犯人に反省の色なし、そして、理路整然と極刑を求める若きご主人を見ていると、私は簡単に答えを出すことができません。
昔から、死刑制度に関する答えが出ていないのです、私。
私は家族を殺された経験が無いから、何か考えても、結局、机上の空論になってしまうような気もして・・・。
投稿: はんな | 2006/12/29 1:53:18
死刑については私も良く分かりません。日本の場合、無期懲役刑だとうまくすれば6,7年で出所する例もあるそうなので、死刑と無期との差が大きすぎますので、そこいらを埋めてからじゃないと被害者はたまらないでしょう。イギリスでは何年か前に矯正の可能性がないとして子供が死刑になりましたね。衝撃でした。
投稿: さなえ | 2006/12/29 12:18:34
喩えがいいかどうか分かりませんが、私は唐辛子の辛さにものすごく鈍感なんです。他の人が辛くて食べられないというようなものを、ほとんど何も感じずに食べてしまいます。辛さに強いというのではなく、辛さを感じないんです。
それと同じで、家族や友人を殺された人の怒り、悲しみ、悔しさみたいなものには想像が及ぶのですが、殺人犯に対して極刑を望むという気持ちは、私が苦手な憎しみの感情に近すぎて、どうしても思いが至りません。
私たち一人ひとりがそういった鈍感さ、敏感さを程度の差とともに持っているとすると、「身近な人を殺された人の感情に配慮して」というのは、議論の出発点としては甚だ不適切な気がします。
まあ、私だけが感情の発達が不全だったというのなら、私が黙っていればいいことなのかもしれないのだけれど、けっこう世の中には私みたいな人が多いんじゃないかな、とも思います。
投稿: うに | 2006/12/29 23:10:47
感情的にということよりも、ある程度の年齢になった人の矯正はどれだけ可能かという問題です。人を殺した人が数年で出所し、再び殺人を犯した事件は何件も起きています。そのとき被害にあった人に対して、死刑反対の運動をしていたとしたら自分はどのような責任を負えるかを私は考えてしまいます。また、犯人逮捕に貢献した人は、犯人が出所したとき、どのくらいの恐怖を経験するでしょうか。
投稿: さなえ | 2006/12/30 6:36:05
さなえさん、
確かに、単に「牢屋にぶち込んでおく」だけで更正の効果が得られるとは常識的に考えられませんから、服役している人たちに対してどれだけ倫理面での指導なりケアなりが行なわれているのか(あるいは行なわれることが望まれるか)の問題とセットにして考えていかないと無責任になってしまいますね。ご指摘ありがとうございました。
投稿: うに | 2006/12/30 8:39:52
村野瀬玲奈さんのところのコメントにも書いたのですが、このフランスの「死刑廃止を盛り込むための改憲」という動きには、虚を突かれたような衝撃を受けました。
いつものことですが、有用な記事をありがとうございました。なお、「壊れる前に…」を僕のブログのブックマークに入れさせてもらいました。
投稿: レイランダー | 2006/12/31 1:58:09
レイランダーさん、
「有用」とか「ブックマーク」とか、年の瀬にいいプレゼントをいただいたような気持ちです。ありがとうございました。
今書いている記事から、後ほど、トラックバックをお送りします。これからもよろしくお願いします!
投稿: うに | 2006/12/31 23:40:39
今回、4名に対し死刑が執行されたましたが、
個人的には、死刑は全面的に廃止すべきものでないと考えております。
その理由なのですが、被害者とご遺族の立場を深く考えることこそが、国家の刑政の大きな目的であるというように考えることもできるからです。
今の死刑を見ていますと、一般的には極めて残虐な手段でもって人の命を奪った者に対して執行されるケースが殆どです。
そのような、人の命を奪った者に対して、断固たる態度でもって臨むべきであり、これこそが国の法秩序を維持していく上での絶対的な条件となると考えます。
投稿: RP | 2007/01/01 1:26:16
今までやりとりがあったわけでもない見知らぬ人から「個人的には…」と語られても、反応に困ってしまいます。記事やコメントで私が書いたことを踏まえずに、昔と同じ話を蒸し返されても説得力は全く感じられないし…
私はそういう意見の表明を助けるためにお金を払ってこのコメント欄を開いているわけではありません。今後はどうぞ自分の場所を作り、そこで発言なさりますように。
投稿: うに | 2007/01/01 9:43:46
うにさんといつのまにか交流がはじまった昨年末ですが、もっと以前から交流があったような気さえいたします。今年もよろしくお願いいたします。
さて、被害者と遺族の立場を考えることの重要性を前面に出す意見は今の死刑賛成論をささえるもっとも強い主張です。被害者と遺族の心情には私も深く同情しますし、遺族への物心両面での支援の必要性には全面的に同意するのですが、その支援を死刑によって実現することはやはりできないと思います。それに、犯人を死刑にしないでほしいという遺族の明瞭な願いを無視して執行される死刑があることを考えると、やはり死刑には賛成できないです。
また、(死刑が遺族を癒すという、実際にはそうでない仮定を百歩譲って認めるとしても)殺し方の残虐さを死刑適用の基準にする考え方についても矛盾があると思います。どのように殺されようとも、すべての被害者は同じ憐憫の感情を誘うわけですから、死に区別を設けるのはやはり賛成できません。
長くなりそうなので、私の秘書課でも後日もう少し展開してみようと思っています。
投稿: 村野瀬玲奈 | 2007/01/01 15:35:06
村野瀬さん、
きっちりとした考えを書いていただき、心強いやら、申し訳ないやらです。
今まで、自己紹介やあいさつもなしに唐突に反対意見を書いてくる人のお相手をして、ろくな思いをしたことがないので、あっさり切り捨てるような書き方になってしまいます。そんな私の代わりにしっかりと意見を言ってくださり、感謝しています。
以前書いた死刑制度と犯罪被害者の話が今夜書いている記事にちょっとつながっているのですが、話は死刑とは全然関係ない方向に進んでしまいそうです。
投稿: うに | 2007/01/01 22:12:15