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2006.10.16

新左の思想

China's New Leftist ― 10月15日のニューヨーク・タイムズ日曜雑誌に、中国の「新左」思想家の汪暉(Wang Hui, 汪晖)さんが詳細に紹介されていた。汪暉さんは清華大学教授、雑誌「読書」(读书)主幹。もともとは魯迅の文学を研究する文学者であったが、1989年の天安門事件後、思想再教育のために陝西省に送られた汪暉さんは、沿岸部の都市の隆盛の対局に置かれた内陸部の農村の貧困を目の当たりにする。そこは、鄧小平の経済自由化政策によって集団農場が民営化され金持ちの手に渡り、医療などの福祉が人々の手に入らなくなってしまった社会だったのだ。

「新左」の考え方を大ざっぱにまとめると、ネオリベラルな経済政策やそれを求めるグローバリゼーションに反対し、福祉や環境を重視して、崩れてしまった共同体の再構築を目指す。中国の社会主義計画経済が完全な失敗で西洋化、資本主義化のみが前へ進む道だとは考えない。また、市場化が無条件で民主化をもたらすとも考えない。その一方、民衆の間に巣くう反日感情、反米感情などは「消費主義的なナショナリズム」であるとして与しない。民衆の力が、権力の腐敗等の批判に向けられる時、はじめて民主化の方向に社会は動きだし、大衆の参加による公正なシステムが生まれる、と考える、といったもののようだ。

江沢民退陣後、中央政府の政策が少しずつ「新左」の方向に向かってきたと記事は指摘し、中国各地で頻発する暴動事件などの多くが、鄧小平のもとで地方分権が進められた結果、地方の政府にはびこることになった腐敗に対抗するものであるという「新左」の分析を紹介している。こういった中央の政策との近似性ゆえ、経済のさらなる自由化を通じた民主化を求める人たちからは「新左」は復古主義だとの批判も聞かれると記事は伝えている。

私は常々、「もう一つの世界」への入り口は至る所に用意されていると思うのだけれど、ここにも確実に開けるべき扉があるように思う。

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2006年 10月 16日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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