虐殺は幻、あいつは民族の敵
トルコからの報道(Reuters電、BBCの記事、判決言い渡し前のトルコの英字新聞 The New Anatolian の記事)。日本の情況と重ね合わせながら読みました。
Elif Shafak さんという有名な作家が作品の中で登場人物に1915年のオスマン・トルコによるアルメニア系住民の虐殺について語らせたら、それがトルコ民族のアイデンティティやトルコ国家の尊厳を傷つける行為を禁ずるトルコ刑法第301条の違反に問われ、ナショナリストの団体から訴えられていた裁判で、無罪の判決が出ました。
1915年の民族虐殺をトルコ政府は史実として認めていません。ナショナリストたちは、それがアルメニア人によるプロパガンダだとしています。
シャファクさんを訴えていた法律家の団体 Jurists' Union Association は、作品中の会話で「トルコの屠殺者たち」「ジェノサイド」「羊の群れのように殺された」などの表現を使った彼女や Orhan Pamuk、 Perihan Magden、 Hrant Dink などの作家を「トルコ民族、トルコ国家の敵」、国外の勢力の手先と呼び、制裁を呼びかけていました。公判をめぐり、裁判所周辺では大きな混乱が起こったもようです。
折しも同じ日に、日本では、入学式や卒業式での日の丸に向かっての起立や君が代の斉唱を強要する東京都教育委員会の通達は違憲だとする判決が出ました。アジアの両端で民族主義的反動の動きに釘を刺す判決が出たのは奇遇でしょうか。ちょっと胸をなで下ろしたい気持ちになりました。
エリフ・シャファクさんの問題の小説は The Bastard of Istanbul 、英語版は2007年初頭の発売予定、リンク先のアマゾンで予約受付中です。
2006年 9月 22日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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Bruceによりますと、トルコのフェミニスト作家が、無罪になったそうです。
トルコには、トルコ民族のアイデンティティやトルコ国家の尊厳を傷つける行為を禁ずるトルコ刑法第301条というのがあるそうです。
Reuters電、BBCの記事もでてます。
この記事を日本で書いているのは、
壊れる前に...さんだけだったみたい。
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_eef2.html
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折しも同じ日に、日本では..... 続きを読む
受信: 2006/09/23 12:55:35
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