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2006.09.06

エボ・モラレスの社会主義

Capitalism Has Only Hurt Latin America ― ドイツの Der Spiegel 誌による Evo Morales ボリビア大統領のインタビュー。8月28日付け。ZNet 経由で知った。

読む人がまず感じるのは、彼にとって社会主義というのが理論の適用ではなく、彼の属する先住民の考え方に立脚したものらしいということだ。彼が生まれ育ったインディオのコミュニティでは「すべてが共有の財産だった。このほうが公平な生き方だと思う」と語り、「もし社会主義というのが暮らしを豊かにし、平等と正義をもたらし、社会や経済の問題を解決してくれるなら、喜んでそれを受け入れよう」と言う。

モラレス大統領は、社会の基盤となるのは、「盗むな」「嘘をつくな」「怠けるな」という普遍的な三つの柱だと言う。それを読んで、私はまず、こういった素朴な道徳概念で21世紀の複雑な世の中を制御していけるのだろうかと感じた。しかし、記事を読み終わって、私は、この行動規範が感じさせる非現代性は、実は超時間性とでも呼ばれるべきものであって、それは500年にもわたる白人植民者たちによる圧政を超越する力を持っていると考える。考えてみれば、この三つの柱の裏返しである、嘘をつき、盗み、他者の労苦の上に安楽で閉鎖的な経済制度を打ち立てるというのは、侵略や植民地支配の姿そのものである。

「1930年代、40年代には、インディオは街に入る時、殺虫剤を吹きかけられた」「チリとは海岸への交通路をめぐって120年前に関係が悪化したままだが、関係改善の努力を始めた」等々、彼の発する言葉には、限定的な現代というものにとどまらない重みがある。

まあ、比べても仕方ないのだが、「戦争は60年も前の話。これからは未来志向で」「道徳の基本に愛国心を」などと嘯く日本の政治家の軽薄なこと。

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2006年 9月 6日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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このエントリの内容に感銘を受けて、紹介を兼ねた文章を書きました。 続きを読む

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コメント

必要としない資本主義経済を押しつけ,欲しいままに略奪の限りを尽くした西洋各国が後始末をしないのはいつもの事.モラレス氏に大いに期待したいところ.

投稿: 桜田 | 2006/09/06 2:37:08

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