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2006.06.03

「ガーダ」を観ること

ガーダのポスター

大阪九条のシネ・ヌーヴォーで、「ガーダ・パレスチナの詩」を最終日に滑り込みで観てきました。写真は、映画館の近くの商店街にあったポスターです。パレスチナ人のガーダさんが日本の街の中に組み込まれているという構図が面白いかなと思って撮ったんですが、あまり伝わらない絵になってしまいました。

映画の内容については、公式サイトP-navi info の記事などを参照していただくとして、ごく私的な鑑賞記を書こうと思います。

時間軸で切り分けるとすると、「ガーダ」は、一回目のインティファーダ(民衆蜂起)直後の、主人公ガーダが結婚し出産するころを扱った部分と、二回目のインティファーダの真っ最中の部分に分けられると思うのですが、前半の最後で、生まれてきた子どもについてガーダが「この子は和平プロセスが始まった月に生まれたの(~月に私たちは結婚したの、だったかもしれない)。だからこの子は平和の子なの。この子が大きくなったら、私はインティファーダがどんなものだったか、話して教えて上げるの」と語る場面で、涙が噴き出して来てしまいました。で、その後すぐ、二回目のインティファーダの中、とても悲しい事件が起こってしまい、もう涙が止まらなくて、さあ大変。確かに私は涙もろいのですが、私以外にもすすり泣いたり、鼻をかんだりする音が聞こえて来ましたから、これは私だけの問題ではないと思います。涙腺が緩い人は大きめのハンカチを持っていくことをお薦めします。

この場面で私が泣いたのは、インティファーダを過去のものとして語っているが、4年後にそれが繰り返されることや、映画の後半で、ガーダが1948年のイスラエル建国によってパレスチナ人の多くが故郷を追われる、いわゆるナクバの語り部たちの聞き取り調査をするということを知っていたからです。その後も繰り返される迫害をまるで過ぎ去ったもののように語っているのが憐れであったし、まるで現代のパレスチナというものを定義するかのようなイスラエルの暴力を語り継ぐ大きな流れの中に、意図せずにガーダとその子が連なっていることに感動しました。

飛び交う銃弾や石の礫によって表わされる現実とともに、この映画は、それを「語り継ぐ」ことの意義を強く主張しています。ガーダの子どもは、インティファーダの話を母から聞き、微かな記憶をたどることによって「パレスチナ人」になっていくのではないでしょうか。ガーダ自身、ナクバを体験した人たちと出会い、彼女たちの話を聞くことによって「パレスチナ人」になっていったのではないでしょうか。

そして、この映画は、ガーダたちの姿を追い、彼女たちの語りを記録することによって、観る私たちを傍観者ではなく当事者に、「パレスチナ人」に変えていくプロセスなのではないかと思いました。

かつて、ベルリン封鎖の中、アメリカのケネディ大統領が言った "Ich bin ein Berliner" (私もベルリン市民だ)という言葉を思い出しました。この映画を観、銃声の轟く中、不自由な生活を送るガーダたちと共に時間を過ごした私たちも、「パレスチナ人」なのです。ガーダは、私たちの中に生きているのです。

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2006年 6月 3日 午前 12:17 | | この月のアーカイブへ このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

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» 「ガーダ パレスチナの詩」観てきました トラックバック ++つぶやき手帳++
うにさんのブログ「壊れる前に・・」を読んでいて、ハッと思い出しました。 以前どこかでチラシを見て気になっていたのに、ついつい忘れていた作品です。 「ガーダ パレスチナの詩」(公式サイト) きのう、たまたま上映といっしょにトークショー(監督の古居みずえ氏、フォトジャーナリストの広河隆一氏)をやるということを知り、即決即行で渋谷のUPLINKに駆けつけました。... 続きを読む

受信: 2006/06/11 18:08:46

» 新しい「ガーダ パレスチナの詩」評 「ガーダ」水のような映画 トラックバック P-navi info
転載させてもらった新しいガーダ評です。アラブ文学に詳しい方からのコメントも。 続きを読む

受信: 2006/06/20 14:56:47

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『ガーダ -パレスチナの詩- 』という映画を見たいの~。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。 この映画を撮影したのは、フォトジャーナリスト・古居みずえさん(当時40歳)。 フォトジャーナリストになるまでは、普通のOLさんだったそうです。 あるとき、古居さんは原因不明の関節リウ... 続きを読む

受信: 2006/06/23 15:49:53

» 『ガーダ 〜パレスチナの詩〜』(古居みずえ作品) トラックバック 残 照
撮影・監督:古居みずえ製作:安岡卓治 /野中章弘編集:安岡卓治/辻井潔協力:ガーダの家族/ナセルの家族/カラムの家族/ハリーマの家族/アブ・バシーム&ウンム・バシーム/ハンユニス難民キャンプの皆様製作協力:古居みずえドキュメンタリー映画支援の会代表 土井 幸美/北林 岳彦製作:安岡フィルムズ アジアプレス・インターナショナル(2005年/DVCAM(NTSC)/106分/日本映画)(C)2005 安岡フィルムズ/アジアプレス・インターナショナルいくつもの印象に彩られた映像作品でした。 まず冒頭に挙... 続きを読む

受信: 2006/06/26 14:06:39

コメント

「この子が大きくなったら、私はインティファーダがどんなものだったか、話
して教えて上げるの」って,いかにもですが,私も間違いなく泣くんだろうな…

投稿: ah0k | 2006/06/04 0:11:31

ah0kさん、こんにちは。ah0kさんも涙腺、弱いんですか? いや、それより、とにかく、お体お大事に。

投稿: うに | 2006/06/04 21:49:47

 シネ・ヌーヴォーには行ったことがないのですが、中々に良い映画を上映しているようですね。確か「ホテルルワンダ」も上映していたそうですが。この映画も見てみたいのですが、時間が作れるかどうか。DVDにはならないでしょうね。なってくれたら買うのですが。

投稿: アッテンボロー | 2006/06/05 0:52:41

アッテンボローさん、こんにちは。草加さん主催のオフ会でお目にかかれて、うれしかったです。

大阪での上映は私の行った日が最終日だったので、今後は自主上映会とかの取り組みが必要になると思います。映画館の人と話したのだけど、あまり人の入りはよくなかったようです。

私は立ち読みしかしていないのですが、岩波書店から本が出ています。

アッテンボローさんも息子さんのご病気で大変そうですね。早くよくなられることをお祈りいたします。ご自身も無理ならさらぬように。

投稿: うに | 2006/06/05 6:30:40

こんばんは。
アッテンボローさんはどちらにお住まいかわかりませんが、もし、お近くなら「ホテルルワンダ」は”みなみ会館”で、10日からアンコール上映をします。
今日、京都シネマに年会員の申し込みをしに行ったら、前売り券が売ってありました。

投稿: winter-cosmos | 2006/06/06 0:53:00

winter-cosmosさん、情報ありがとう。アッテンボローさんの目にとまるか分かりませんが、みなみ会館のホテルルワンダのページにリンクをはっておきます。
http://www.rcsmovie.co.jp/minami/2006/hotel/0604.html

投稿: うに | 2006/06/07 23:58:58

こんにちは。TBをお送りしました。
こちらの記事を参照したおかげで良い作品を見に行くことができました。東京の渋谷では、まだ当分やるようです。
きのうのトークショーでは会場の床に人が座るくらいの盛況ぶりでした。

わたしはガーダの「何のための闘いだったか」でグッときましたよ。

投稿: 主義者Y | 2006/06/11 20:38:25

主義者Yさん、トラックバックとコメントありがとうございました。パレスチナを訪れたことがあるんですね。いいなあ。写真とか見せてくださいよ~。で、お互い、引退したら、ぜひいっしょにどこか探検に行きましょう!

投稿: うに | 2006/06/12 1:25:03

なぜかTBがうまく入らなかったので、コメント欄のほうで。

新しいガーダ評を転載させてもらいました。詩や語りの部分についての解説もコメントでついています。よろしかったら、どうぞ。

投稿: ビー | 2006/06/20 15:07:22

あら?TBでinvalidが出ていたのに、今みると入ってますね。重複になってしまって、ごめんなさい。

投稿: ビー | 2006/06/20 15:09:25

ビーさん、コメントとトラックバックありがとうございました。ココログはサーバの負荷を下げるためにキャッシュを使っていて、そのせいで時々、最新の更新が表示に反映されなかったりするようです。

渋谷ではまだ「ガーダ」の上映が続いているみたいなので、東京近郊のみなさま、ぜひ。Yahoo! の劇場案内のページへのリンクをはっておきます。
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tyth/id11566/

投稿: うに | 2006/06/20 21:12:21

ビーさんのブログに、「ガーダ」の京都上映の話が載っていました。近畿地方で見逃したかた、いかがですか?
http://0000000000.net/p-navi/info/info/200606222117.htm

投稿: うに | 2006/06/22 23:21:19

うにさん、
やっと「ガーダ」を見てきました。やっぱりドキュメンタリーはいいですね。息づかいが直に感じられて。
むかし、「栄光への脱出」なんて映画を見たことを思い出しました。ユダヤの人たちの気持ちもわからないではないですが、やっぱりイスラエル建国は強引でした。その犠牲になった人たちが、どんな気持ちでいるかこの映画を見てわかりました。

投稿: ag | 2006/06/24 22:31:46

agさん、映画好きのagさんから高い評価をもらって、勇気百倍。

「栄光への脱出」は、映画は見ていませんが、調べてみたら、Leon Uris の原作 "Exodus" は20年以上前に読んだのを思い出しました。

投稿: うに | 2006/06/24 23:50:13

このところパレスチナに関わる映像作品が比較的多彩に公開されるようになってきていますので、うれしいですね。
この「ガーダ」という作品は古居さんという女性の映像ドキュメンタリー作家固有の対象との距離感とやさしさ(=強さ)に貫かれていて秀逸でした。ドキュメンタリーとはいっても結局は作家性が重要なのだなとあらためて教えられました。

>観る私たちを傍観者ではなく当事者に、「パレスチナ人」に変えていくプロセスなのではないかと思いました。
映像作品の力と、うにさんのその感受性を表す表現ですね。
TBさせていただきました。

投稿: ペンギン | 2006/06/26 14:09:25

ペンギンさん、コメントとトラックバックありがとうございました。

ブログを拝見して、私と波長(?)が似ているみたいなので、これから続けて読ませていただこうと思います。そのうちコメントさせていただきますので、よろしくお願いします。

投稿: うに | 2006/06/27 0:22:36

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