死刑廃止と被害者の声
フィリピンが死刑制度を廃止した。Gloria Macapagal-Arroyo 大統領が24日、共和国法9346号に署名し、刑罰としての死刑を禁止したほか、既に言い渡された死刑判決を総て終身刑(reclusion perpetua)に変更した。共和国法9346号は同時に、終身刑受刑者が保釈の対象とならないことを定めている。
フィリピンでは、マルコス独裁政権が倒された後の1987年憲法のもとで死刑が廃止されていたが、1993年の法改正で殺人、誘拐、麻薬売買、レイプなどの凶悪犯罪に対して死罪が復活した。エストラーダ政権下でレイプ犯など7名が処刑されたが、その一人 Leo Echagaray さんが冤罪だったのではないかという声が高まり、2000年以降、死刑執行(致死薬物の注射による)が停止されてきた(The Daily Tribune の記事による)。
腐敗で不人気なアロヨ大統領がカトリック教会の支持を得るためにやったことだとか、反体制派の活動家やジャーナリストが軍部や警察に殺害され続けている中で死刑廃止とは説得力がないとか、反響はさまざまである(Inquirer の記事)。また、現在フィリピンでは22歳の女性(ニコルさん)をレイプした容疑でアメリカ兵4人に対する裁判が進行中である。
"Maggie: There’s no escaping law of karma" は、1967年に25歳の時、レイプされた女優 Maggie de la Riva さんに死刑廃止についての意見を聞いた記事だ。彼女をレイプした4人の男性は1972年に処刑(火焙りらしい)された。彼女は死刑廃止には特に強く賛成でも反対でもないという。死刑が妥当な罪人もいれば、死刑が妥当でない罪人もいる。もし罪人が悔悟し更正の道を歩むのであれば、死刑に処する必要はないだろうと語っている。デ・ラ・リバさんは、死刑が犯罪に対する抑止の効果を持つとし、自分を襲った犯人たちが死刑に処せられたことによって、犯人たちが出獄して再び彼女の前に現われる恐怖から逃れられたとしながらも、被害者が復讐のために犯人の死刑を望むのは間違っていると述べている。
犯罪の被害に遭われたかたが私のこの記事をお読みになった際、どのように感じられるか、はなはだ心許ないのだが、デ・ラ・リバさんの言葉を引用しよう:
「あなたに傷を負わせた者は、もうそのことを終わったことにしてしまっているのです。もうそのことを思い出したりもしないのかもしれない。なのに、あなたは憎しみの感情によって、その人に鎖で繋がれたようになってしまっている。もしあなたが許さなければ、苦しむのはあなたなのです。その人が赦しに値するから許すのではなく、あなた自身が心の平和を取り戻すために許すべきなのです。」
デ・ラ・リバさんはこのほかに、泣き寝入りせず、しっかりと正義を求めることの重要性を説いている。彼女がこれらの言葉を口にすることができるようになるには、長い長い時が必要であっただろうことを感じさせるインタビューだ。
2006年 6月 26日 午前 12:00 | Permalink | この月のアーカイブへ
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