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2006.03.14

国と民、四十年前と今

この週末、山口県岩国市でアメリカ軍の空母艦載機の移駐を受け入れるか否かの住民投票が行なわれた(岩国住民投票を成功させる会“住民投票へ行こう!!”Blogを参照)。「防衛は国の専権事項だから住民投票にはなじまない」などといったボイコット運動も行なわれる中、投票は成立し、投票数の約9割、有権者の過半数が受け入れ反対の票を投じたが、この明確な意思表示について、小泉首相は「どこでも住民投票をすれば反対でしょうね、基地は」「そこが安全保障の難しいところです」「(住民投票の結果が在日アメリカ軍の再編計画全体に)影響がないよう努力していく」 と語ったと言う。

場所も時代も別の話になってしまうが、今、私たちが成田空港と呼んで利用している施設は、はじめ、成田の南隣、富里に建設することが内定していたのだそうだ。しかし、富里の農民たちは猛烈な反対運動を展開し、内定を白紙に戻させてしまう。次は茨城県の霞ヶ浦を埋め立てて空港を作る計画が持ち上がったが、ここでも漁民などの反対で計画は断念される。

それで4転、5転、行き所がなくなって、佐藤自民党内閣が、天皇の御料地、三里塚1060ヘクタールの3割7分、天皇の御料地と県の竹林で3割7分しかないのに、1966年6月、三里塚に閣議決定してしまった。私達三里塚の農民には一言の話もないまま、前もって話せば猛烈な反対になるということで、三里塚の農民の知らない間に、あれよあれよという間に閣議決定してしまった。そういうことでできたのが現在の三里塚空港だ。そうやって農民を切り捨て、農民を追い出し、三里塚に空港を造った。

私も農民だ。農民の倅だ。だから何としても自分達の土地は守らねばならない。そうして、三里塚・芝山の同志とともに闘った。

と、空港反対同盟の幹部だった秋葉哲さんが語っている。『管制塔元被告連帯基金運動 4ヶ月の記録』(2005年、管制塔元被告団・声明の会・連帯サイト、1,500円)で読んだ。1966年とは、今からちょうど40年前のことだ。

40年前の三里塚と今の岩国の問題を同じように括るのは乱暴すぎるかもしれず、また、いろいろな色やニュアンスを持つ過去との比較は望まれないのかもしれない。しかし、「国のやることに、(一部の、犠牲を強いられる)住民は黙っていろ」とする図式は全く変わっていないように思う。

有無も言わせず押しつけるのではなく住民投票ができるようになったこととか(但し、その結果は黙殺されそうだが)、口を差し挟めないとされる領域が防衛なり外交なりだけに絞られたこと(もちろん、他の問題の時は、別の言い訳が出されるのかもしれないが)は、この40年間に市民が勝ち取ってきた進歩ではあるのかもしれないけれど。きっと、まだまだ足りないのだ。

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2006年 3月 14日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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沖縄タイムス3月13日朝刊より 県、政治的影響大と分析/岩国の住民投票 「負担へ 続きを読む

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» 住民投票の是非について〜市長のQ&Aより〜 トラックバック “住民投票へ行こう!!”Blog
このブログで参加を呼びかけてきた「艦載機受け入れの是非を問う住民投票」が様々な論議を呼んでいます。その中で気になるのが、「国の安全保障に関わる問題に住民投票はふさわしくない。」「結果は岩国市民のエゴだ。」というものです。 安倍晋三官房長官は13日の記者会見で、「住民投票に否定的な人は投票していない。岩国市は近く合併を控えており、周辺地域には『なぜ今の時期に住民投票をするのか』と疑問を持っている人も多い」と、住民投票への不快感をにじませた(3月14日産経新聞更新)そうです。 住民投票が終わ... 続きを読む

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» アンケート 岩国市の住民投票の結果を、国は尊重すべきか?(3月22日18:00締め切り) トラックバック Under the Sun -EQT-
 アンケートを実施しております。TBで回答するタイプとクリックで回答するタイプです。よろしければ回答お願いします。 質問:空母艦載機受け入れの是非を問う、岩国市の住民投票の結果を、国は尊重すべきか?  ぜひ多くの方々の参加をお待ちしています。  ちなみに、結果については、各メディア・政党に送ることを考えています。 (とらばアンケート) 質問:空母艦載機受け入れの是非を問う、岩国市の住民投票の結果を、国は尊重すべきか? ↑TBで回答するアンケートです。 すなわち、「尊重するべ... 続きを読む

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