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2006.01.03

スラウェシ島の公害、続報

昨年11月21日以降のインドネシア・スラウェシ島の公害関係のニュースのまとめです。ほとんどジャカルタ・ポスト紙ぐらいしか目が通せていません。ニューモント社が情宣のために運営している buyatbayfacts.com にも、何も新しい情報は掲載されていません。以下に書くように、スラウェシ島では、イギリス系の別の鉱山をめぐって新たな問題も持ち上がってきているようです。

11月26日のThe Jakarta Post: マナド地裁での公判で、PT Newmont Minahasa Raya 社側の証人 Siegried Lesiasals さんが、 環境に対する影響評価(Environmental Impact Analysis = Amdal) 委員会がBuyat Bay への廃棄物の投棄を承認していたと証言した。The Indonesian Forum for the Environment (Walhi) や the Office of the State Minister of the Environment も Amdal に参加していたという。

12月2日の The Jakarta Post: 環境省長官 Rachmat Witoelar が、マナド地裁での裁判とは別に争われていた南ジャカルタ地裁での民事訴訟に関して、ニューモント社と政府の和解交渉が進んでいるとして、控訴しない方針を発表した。Mahendra Siregar 副長官によれば、基本線では既に合意に達しており、救済策の中には被害を被った Buyat 地域の開発支援計画も含まれているという。補償額は3,000万ドル程度と予想されている。ニューモント社川の Luhut M. Pangaribuan 弁護士が歓迎を表明。AP電によれば、政府が訴訟で請求していた金額は1億3,660万ドル。

すでにネットでは見られなくなってしまったが、12月28日にAFP電が環境省の Hutomo 副長官(環境法令遵守担当)が和解交渉では「主に地域開発計画(community development program)が話し合われたが、どのような形になるかは、まだこれから決まる」(ただし、記事の別の個所では「補償金」の形はとらない、とされている)、「交渉は彼らが有罪か否かについてではなく、彼らがどのように状況の改善に貢献できるかについてのものだ」、「もうすぐ合意に達するという情報を得ている」と述べたと報じている。Hoetomo 副長官の発言は、Forbes 誌も27日付けで伝えている

スラウェシ島北部では、ブイヤット湾以外にも鉱山からの廃棄物による公害の発生が報じられている。12月5日の The Jakarta Post によれば、Rinondoran Bay の住民がイギリス系の金採掘業者 PT Meares Soputan Mining (MSM) が操業を開始すれば廃棄物の投棄によって水が汚染されると訴えている。The Anti-Mining Network (JATAM) はMeares Soputan Mining が年間120トンから170トンに上る廃棄物をリノンドラン湾に投棄する予定だと推定している。The People's Alliance against Mining Waste の Hitsel Kasamu さんをはじめとする住民代表が人権委員会、国会、関係省庁、イギリス大使館などで陳情活動を行なった。リノンドラン湾は北ミナハサ地区とBitung市にまたがった地域。Bitung 市 Batu Putih 村の住民によれば、36,000人ほどの湾の人口の大半は漁業に従事しており、月平均で4,000トンから5,000トンの漁獲量がある。Lembeh 海峡に面しており、ダイビングによる観光も盛ん。魚類の多様性が観察される海域である。

12月15日には The Jakarta Post にこの問題をとりあげたイギリスの Frances Carr さんの論評が掲載されている。PT Meares Soputan Mining (英国のArchipelago Resources社の系列だとされている)が、建設中のToka Tindung 鉱山からの廃棄物は国際水準を満たしており安全だとしているのに対し、社内の文書によっても、1リットルあたり 23 マイクログラムの銅を含むとされており、これが ASEAN の水質基準の3倍にも上ることが指摘されている。また、Carr さんは、廃棄物が海底にとどまるという MSM の説明も説得力がないとしている。海底の環境基準をインドネシアは定めていないが、MSM のあげる数値はクロムやマンガンの値が合州国のNOAAの指標を越えているとしている。MSM の行なった環境評価が7年以上前のものであること、Tangkoko-Dua Saudara 国立公園の環境も破壊するものだとして、MSM による操業に反対している。

12月24日の The Jakarta Post は、環境団体 JATAM の Siti Maimunah さんの、政府はMSM の操業をただちに制止するべきだとの発言を伝えている。この記事によれば、採掘現場の面積は74万1千ヘクタールで、会社側の説明によれば、submarine tailings disposal (STD) による投棄で、廃棄物は800メートルから1,200メートルの海底にとどまるとされている。Geology and Mineral Resources の Simon Sembiring 長官は、まだ環境省から何ら指示を受けていないとして、コメントを拒否している。また、関連施設の建設が行なわれても、ただちに投棄が始まるわけではないとして、建設の停止を命じるつもりはないとしている。Indonesian Center for Environmental Law (ICEL) は、住民が環境法 23/1997 を適用してただちに建設阻止の申し立てをすべきだとしている。JATAM によれば、現在、STD の認可を受けているのはPT Newmont Nusa Tenggara と PT Newmont Minahasa Raya の2社のみ。

ブイヤット湾の汚染については、2005年11月21日の記事および、そこに記した過去の記事へのリンクをご参照ください。

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2006年 1月 3日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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